【一般社団法人発明推進協会】令和5年度_日本出願を基礎としたスタートアップ設立に向けた国際的な権利化支援事業」
基本情報
この補助金のまとめ
この補助金の特徴
日本出願を基礎とした外国特許出願費用の助成
本事業の最大の特徴は、既に日本で出願済みの特許を基礎として、外国への特許出願手続きにかかる費用を助成する点です。パリ条約に基づく優先権主張出願やPCT国際出願の国内移行手続きなど、グローバルな権利化に必要な経費を幅広くサポートします。上限150万円という助成額は、主要国1〜2カ国への出願費用を十分にカバーできる水準です。
中小企業者「以外」を対象としたユニークな制度設計
多くの知財関連補助金が中小企業を対象とする中、本事業は明確に「中小企業者ではないこと」を条件としています。大学や公的研究機関に所属する研究者、ポスドク、個人発明家など、法人格を持たない段階の方を主な対象としており、スタートアップ設立「前」の知財戦略を支援する希少な制度です。
中間応答費用もカバーする実践的な支援範囲
外国特許出願では、出願手続きだけでなく、各国特許庁からの拒絶理由通知への応答(中間応答)にも多額の費用がかかります。本事業はこの中間応答費用も助成対象としており、権利化の最終段階まで一貫した支援を受けられる点が実践的です。
グローバル事業化を見据えた戦略的支援
単なる出願費用の補填ではなく、スタートアップ設立に向けた国際的な権利化を支援するという明確なビジョンに基づいた制度です。海外市場での事業展開を前提とした知財ポートフォリオの構築を後押しし、将来の資金調達やライセンス収入の基盤づくりに直結します。
ポイント
対象者・申請資格
基本要件
- 自身の研究成果をもとにスタートアップの設立を予定していること
- 日本国内で既に特許出願を行っていること(基礎出願が存在すること)
- 中小企業者ではないこと(個人研究者、大学所属研究者等が対象)
- 外国での特許出願による国際的な権利化を計画していること
対象となる方の具体例
- 大学に所属する研究者(教授、准教授、講師、助教、ポスドク等)
- 公的研究機関の研究員
- 個人発明家で法人化前の段階にある方
- 研究成果の事業化に向けてスタートアップ設立を検討中の方
対象外となる方
- 既に中小企業として法人を設立している方
- 研究成果と無関係な特許出願を予定している方
- 国内市場のみを対象とし、外国出願を予定していない方
- 他の類似助成事業で同一出願について助成を受けている方
ポイント
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申請ガイド
ステップ1:公募要領の確認と準備
発明推進協会のウェブサイトから公募要領をダウンロードし、対象要件・助成対象経費・スケジュールを確認します。特に日本出願の番号や出願日、外国出願の計画(対象国・出願方法)を整理しておきましょう。
ステップ2:申請書類の作成
所定の申請書に、研究成果の概要、スタートアップ設立の計画、外国出願の必要性と対象国の選定理由、経費見積りなどを記載します。日本出願の写しや研究業績を示す資料も準備してください。
ステップ3:見積書の取得
外国出願を依頼する予定の特許事務所や弁理士から、出願手続き・翻訳費用・現地代理人費用等の見積書を取得します。複数の見積りを比較検討することが推奨されます。
ステップ4:申請書の提出
公募期間内に、必要書類一式を発明推進協会に提出します。提出方法(郵送・電子申請等)は公募要領で指定された方法に従ってください。
ステップ5:採択後の手続きと実績報告
採択通知を受けた後、助成対象期間内に外国出願手続きを進めます。手続き完了後、実績報告書と経費の証拠書類(請求書・領収書等)を提出し、助成金の交付を受けます。
ポイント
審査と成功のコツ
知財戦略と事業計画の一貫性を示す
出願対象国の優先順位を明確にする
研究成果の新規性・進歩性を強調する
スタートアップ設立の具体性を示す
経費見積りの妥当性を確保する
ポイント
対象経費
対象となる経費
外国出願手数料(4件)
- 各国特許庁への出願料
- PCT国際出願手数料
- 国際予備審査請求料
- 各国移行手数料
現地代理人費用(3件)
- 外国特許事務所の代理人報酬
- 現地弁理士への委任費用
- 現地代理人の中間応答対応報酬
翻訳費用(4件)
- 明細書の外国語翻訳料
- 特許請求の範囲の翻訳料
- 拒絶理由通知書の翻訳料
- 意見書・補正書の翻訳料
国内代理人費用(3件)
- 国内弁理士の外国出願代理報酬
- 国内特許事務所の手続代行費用
- 中間応答に係る国内代理人報酬
中間応答関連費用(3件)
- 拒絶理由通知への意見書作成費用
- 補正書の作成費用
- 審判請求に係る費用
その他手続費用(3件)
- 優先権証明書の取得費用
- 出願書類の認証費用
- 特許庁への各種手数料
対象外の経費
対象外の経費一覧(8件)
- 国内特許出願に係る費用
- 特許維持年金・更新料
- 特許権の譲渡・ライセンス契約に係る費用
- 渡航費・宿泊費・交通費
- 特許調査・先行技術調査の費用
- 弁護士相談料(特許手続以外)
- 設備投資や試作品の製造費用
- 人件費・間接経費
よくある質問
Q大学に所属する研究者ですが、まだスタートアップを設立していません。申請できますか?
はい、申請可能です。本事業はまさにスタートアップ設立「前」の段階にある方を主な対象としています。重要なのは、自身の研究成果をもとにスタートアップを設立し事業化する「予定」があることです。設立時期が明確に決まっていなくても、事業化の意思と計画があれば申請要件を満たします。申請書には、どのような事業を想定しているか、なぜ外国特許が必要かを具体的に記載してください。
Q助成上限150万円で何カ国くらいに出願できますか?
出願先の国や出願方法、発明の技術分野によって大きく異なりますが、一般的な目安として1〜2カ国程度の出願費用をカバーできます。例えば、米国への直接出願の場合、弁理士費用・翻訳費用・出願手数料を合わせて80〜120万円程度が相場です。PCT国際出願を利用する場合は、国際段階で約30〜50万円、各国移行で1カ国あたり30〜60万円程度が目安です。限られた予算を有効活用するため、事業戦略上最も重要な国に優先的に出願することをお勧めします。
QPCT国際出願の費用も助成対象になりますか?
はい、PCT国際出願に関連する費用も助成対象となります。具体的には、国際出願手数料、国際予備審査請求料、翻訳費用、国内・外国代理人費用などが含まれます。PCT出願は日本出願を基礎として優先権を主張できるため、本事業の趣旨に合致しています。複数国への出願を検討している場合、PCT出願を活用することで30ヶ月の猶予期間を得られ、各国移行の判断を段階的に行えるメリットがあります。
Q中小企業者ではないことが条件とのことですが、具体的にどういう意味ですか?
本事業は、中小企業基本法に定義される中小企業者(資本金や従業員数の基準で分類される法人等)ではない方を対象としています。具体的には、大学研究者、公的研究機関の研究員、個人発明家など、まだ法人を設立していない個人が主な対象です。既に株式会社等を設立しており中小企業に該当する場合は、本事業ではなく特許庁の「中小企業等海外出願支援事業」など他の支援制度を検討してください。なお、大企業に所属する研究者は対象外となる場合がありますので、詳細は公募要領をご確認ください。
Q既に外国に出願済みの特許について、中間応答の費用だけを申請できますか?
公募要領の条件次第ですが、本事業は外国特許出願の「出願手続又は中間応答等に要する経費」を助成対象としているため、中間応答費用のみの申請も認められる可能性があります。ただし、当該外国出願が日本出願を基礎としていること、他の助成制度で出願費用の助成を受けていないことなどの条件を満たす必要があります。具体的な適用可否については、申請前に発明推進協会に直接お問い合わせいただくことをお勧めします。
Qどのような分野の研究成果が対象になりますか?
技術分野の制限は特にありません。IT・ソフトウェア、バイオテクノロジー、医療機器、材料科学、環境技術、ロボティクス、AI・機械学習など、特許として出願可能な研究成果であれば幅広く対象となります。重要なのは、その研究成果をもとにスタートアップを設立して事業化する具体的な計画があることです。審査では発明の新規性・進歩性に加え、事業化の実現可能性やグローバル市場での競争力も評価のポイントとなります。
Q助成金はいつ支払われますか?前払いは可能ですか?
一般的に、本助成事業は後払い(精算払い)方式です。まず申請者が自己資金で外国出願手続きの費用を支払い、手続き完了後に実績報告書と証拠書類(請求書、領収書等)を提出します。審査の上、助成金額が確定し交付されます。前払いは原則として行われませんので、出願に必要な資金は事前に確保しておく必要があります。資金繰りが課題となる場合は、大学のURA(リサーチ・アドミニストレーター)やTLOに相談し、学内の立替制度等の活用を検討してください。
Q他の補助金・助成金と併用できますか?
本助成事業は外国特許出願に特化した制度であるため、同一の出願に対して他の助成金を重複して受けることは原則として認められません。ただし、異なる出願や異なる経費区分であれば、他の知財関連支援制度との組み合わせが可能な場合があります。 例えば、特許庁の「中小企業等海外出願支援事業」は中小企業が対象のため本事業とは対象者が異なりますが、スタートアップ設立後に中小企業として利用できる可能性があります。また、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)やJST(科学技術振興機構)の研究開発支援プログラムと併用する場合は、経費の按分が必要となることがあります。 大学発ベンチャー支援として、各大学のTLO(技術移転機関)が提供する知財支援サービスや、J-SCORE等の起業支援プログラムとは性質が異なるため、併用しやすい傾向にあります。スタートアップ設立後は、経済産業省や中小企業庁の各種補助金(ものづくり補助金、事業再構築補助金等)の活用も視野に入れた総合的な資金計画を立てることをお勧めします。 なお、併用の可否は公募要領で最新の条件を必ず確認し、不明点は発明推進協会に直接問い合わせることが重要です。
詳細説明
事業の背景と目的
日本の大学・研究機関には、世界市場で大きな価値を持つ研究成果が数多く眠っています。しかし、これらの研究成果を国際的に権利化し、スタートアップとして事業化するまでには、外国特許出願という大きな費用の壁が立ちはだかります。本事業は、一般社団法人発明推進協会が特許庁の施策の一環として実施するもので、スタートアップ設立を目指す研究者等の外国特許出願を資金面で支援し、日本発のイノベーションのグローバル展開を促進することを目的としています。
助成の概要
本事業では、日本出願を基礎とした外国特許出願の手続きに要する経費の一部を、上限150万円まで助成します。対象となるのは、パリ条約に基づく優先権主張出願やPCT国際出願の各国移行手続きなど、外国での権利化に直接必要な費用です。
- 外国特許庁への出願手数料
- 現地代理人(外国弁理士)の報酬
- 明細書等の翻訳費用
- 中間応答(拒絶理由通知への対応)にかかる費用
- 国内弁理士の外国出願関連報酬
対象者の要件
本事業の最大の特徴は、「中小企業者ではないこと」が申請要件となっている点です。これは、まだ法人を設立していない段階の研究者等を主な対象としていることを意味します。具体的には以下のような方が対象となります。
- 大学に所属する研究者(教授、准教授、講師、助教、ポスドク等)
- 公的研究機関(産総研、理化学研究所等)の研究員
- 個人発明家で、研究成果の事業化を計画している方
- 大学院生で、研究成果をもとに起業を目指す方
いずれの場合も、自身の研究成果をスタートアップにおいて事業化させる予定であることが求められます。
外国出願の戦略的アプローチ
外国特許出願を効果的に行うためには、戦略的な国の選定が重要です。助成上限が150万円であることを考慮すると、以下のような優先順位付けが有効です。
- 米国:世界最大の技術市場であり、ベンチャーキャピタルの集積地。スタートアップの資金調達において米国特許の有無は大きな判断材料となる
- 欧州:EPO(欧州特許庁)への出願により複数国をカバー可能。ただし各国移行費用に注意が必要
- 中国:巨大市場かつ模倣リスクが高い分野では早期の権利確保が重要
- その他:研究分野に応じて韓国、台湾、インド、東南アジア諸国なども検討
PCT出願の活用
複数国への出願を検討している場合、PCT(特許協力条約)国際出願の活用が効率的です。PCT出願を行うことで、最大30ヶ月の猶予期間を得ながら、各国への移行を段階的に進めることができます。本助成事業ではPCT関連費用も対象となるため、出願戦略の柔軟性が高まります。
中間応答への備え
外国特許出願では、各国特許庁からの拒絶理由通知への対応(中間応答)が発生することが一般的です。この対応には以下の費用が発生します。
- 拒絶理由通知書の翻訳費用
- 意見書・補正書の作成費用
- 現地代理人による応答手続き費用
本助成事業ではこれらの中間応答費用も対象となるため、出願から権利化までの一貫した支援を受けることができます。費用計画には中間応答の発生を見込んでおくことが重要です。
スタートアップ設立との連携
本事業の目的は、単なる特許取得ではなく、スタートアップの設立と事業化にあります。外国特許を取得することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 海外VCからの資金調達における交渉力の強化
- 海外企業とのライセンス契約による収益化
- 競合他社の市場参入に対する防御策の確保
- M&Aや事業提携における企業価値の向上
申請時の注意事項
申請にあたっては、以下の点に特に注意してください。
- 日本出願が既に完了していること(出願番号が必要)
- 外国出願先の国・地域と出願方法を明確にすること
- 経費の見積りは特許事務所等から正式に取得すること
- スタートアップ設立の計画を具体的に記載すること
- 他の助成金との重複がないことを確認すること