令和8年度「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業」
基本情報
この補助金のまとめ
この補助金の特徴
最大1,179億円の超大型予算規模
本事業は令和8年度予算として最大1,179億円が計上されており、国内の脱炭素関連補助金の中でもトップクラスの規模です。ハードトゥアベイト産業の構造転換には莫大な設備投資が必要となるため、それに見合った大胆な財政支援が用意されています。
製造プロセス転換事業(3分野)の支援
鉄鋼分野では高炉・転炉から革新的電炉への転換や水素還元製鉄の導入、化学分野では廃プラスチックを活用したケミカルリサイクルやバイオ原料への転換、紙パルプ分野では木質パルプを活用したバイオリファイナリー産業への転換を支援対象としています。
自家発電設備の燃料転換も対象
製造プロセスだけでなく、石炭等を燃料とする自家発電設備の燃料転換事業も支援対象です。工場の電力供給源そのものを脱炭素化することで、Scope1排出量の大幅削減が期待できます。
GX政策との連動による戦略的位置づけ
経済産業省GXグループが所管し、GX投資促進課が担当する本事業は、2050年カーボンニュートラルに向けた国家戦略の一環です。採択されれば中長期的な政策支援の枠組みに組み込まれる可能性があります。
ポイント
対象者・申請資格
対象となる申請者
- 本公募の直接の申請対象は「補助事業者(執行団体)」であり、個別企業ではありません
- 国の補助金執行業務を担える法人(一般社団法人、公益法人、民間企業等)が想定されます
対象産業・分野
- 鉄鋼業:高炉・転炉を有する製鉄事業者向けプログラムの執行
- 化学工業:ナフサクラッカー等を有する石油化学事業者向けプログラムの執行
- 紙パルプ産業:パルプ製造設備を有する事業者向けプログラムの執行
- 自家発電設備保有事業者:石炭等を燃料とする自家発電設備の燃料転換プログラムの執行
地域要件
- 全国が対象(地域制限なし)
注意事項
- 令和8年度予算成立が前提であり、予算不成立の場合は事業が実施されない可能性があります
- 最終的な設備投資を行う個別企業は、採択された執行団体を通じて間接的に支援を受ける形となります
ポイント
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申請ガイド
ステップ1:公募要領の確認と体制構築
経済産業省の公募ページから公募要領を入手し、申請要件・審査基準を精査します。執行団体としての実績・体制が求められるため、補助金執行に必要な人員配置や管理体制を整えます。
ステップ2:申請書類の作成
事業実施計画書、収支予算書、組織体制図、過去の類似事業実績等の書類を作成します。対象産業(鉄鋼・化学・紙パルプ・自家発電)ごとのプログラム設計が求められる可能性があるため、各分野の専門知識を盛り込んだ計画が必要です。
ステップ3:申請書の提出
2026年3月5日〜3月25日の公募期間内に、指定された方法で申請書類を提出します。予算成立前の事前公募であるため、通常より短い公募期間となっています。
ステップ4:審査・採択
外部有識者を含む審査委員会による審査が行われ、補助事業者(執行団体)が選定されます。令和8年度予算成立後に正式決定となります。
ステップ5:二次公募の実施(執行団体選定後)
採択された執行団体が、実際に設備投資を行う個別企業向けの二次公募を実施します。
ポイント
審査と成功のコツ
産業知見と執行実績のアピール
GX政策との整合性の明確化
堅牢な管理体制の構築
技術審査能力の証明
迅速な事業開始体制
ポイント
対象経費
対象となる経費
製造プロセス転換設備(鉄鋼)(4件)
- 革新的電炉設備の導入費
- 水素還元製鉄プロセス設備費
- 電炉転換に伴う付帯設備費
- 既存高炉・転炉の撤去費
製造プロセス転換設備(化学)(4件)
- ケミカルリサイクル設備費
- 廃プラスチック前処理設備費
- バイオ原料対応プラント改修費
- 原料転換に伴う配管・制御設備費
製造プロセス転換設備(紙パルプ)(3件)
- バイオリファイナリー関連設備費
- 木質パルプ活用設備の導入費
- 既存設備の改造・転換費
自家発電設備燃料転換(4件)
- 燃料転換対応ボイラー設備費
- 燃料貯蔵・供給設備費
- 排ガス処理設備の改修費
- 石炭設備の撤去・処分費
設計・調査費(3件)
- 基本設計・詳細設計費
- 環境影響調査費
- 技術実証・試運転費
事業管理費(3件)
- プロジェクト管理人件費
- 外部専門家委託費
- 審査・評価委員会運営費
対象外の経費
対象外の経費一覧(7件)
- 土地の取得費・賃借料
- 既存設備の単純更新・修繕費(脱炭素化を伴わないもの)
- 一般的な事務経費・光熱水費
- 交際費・接待費
- 他の国庫補助金等と重複する経費
- 事業完了後の運転・維持管理費
- 消費税及び地方消費税相当額
よくある質問
Qこの補助金は個別の企業が直接申請できますか?
本公募は「補助事業者(執行団体)」の選定を目的としており、個別の設備投資を行う企業が直接申請するものではありません。製造プロセスの転換や燃料転換を計画している鉄鋼・化学・紙パルプ等の企業は、本公募で選定された執行団体が実施する二次公募を通じて間接的に支援を受ける形となります。二次公募の時期や要件は、執行団体の選定後に公表される予定です。
Q予算規模の最大1,179億円は1社あたりの上限額ですか?
いいえ、最大1,179億円は本事業全体の予算規模(令和8年度予算案ベース)であり、1社あたりの補助上限額ではありません。個別企業への補助金額の上限は、執行団体が策定する二次公募の要綱で定められます。ハードトゥアベイト産業の設備転換は数百億円規模の投資を伴うケースもあるため、1件あたりの補助額も相当規模になることが想定されます。
Q対象となる産業は鉄鋼・化学・紙パルプに限定されますか?
製造プロセス転換事業としては、公募要領に記載されている鉄鋼・化学・紙パルプの3分野が主な対象です。一方、自家発電設備等の燃料転換事業については、石炭等を燃料とする自家発電設備を保有する事業者が幅広く対象となる可能性があります。詳細な対象範囲は公募要領でご確認いただくか、経済産業省GX投資促進課にお問い合わせください。
Q令和8年度予算成立前の公募とのことですが、リスクはありますか?
本公募は予算成立前の事前公募であるため、いくつかのリスクがあります。第一に、予算案が国会で修正された場合、事業内容や予算規模が変更される可能性があります。第二に、万が一予算が成立しない場合は事業自体が実施されません。ただし、GX関連予算は政府の最重要施策の一つであり、大幅な削減は考えにくいです。事前公募は早期の事業開始を目的としたものであり、多くの国の大型補助金で採用されている手法です。
Q補助率はどのくらいですか?
本公募の段階では、具体的な補助率は公表されていません。補助率は執行団体が実施する二次公募で設定されるか、公募要領の詳細に記載される可能性があります。一般的に、GX関連の大型補助金では補助率1/2〜2/3程度が設定されるケースが多いですが、技術の革新性や排出削減効果に応じて変動することもあります。経済産業省の公募要領を入手の上、詳細をご確認ください。
Q水素還元製鉄とは具体的にどのような技術ですか?
水素還元製鉄とは、従来の高炉製鉄でコークス(石炭)を還元剤として使用する代わりに、水素を還元剤として使用する製鉄技術です。従来プロセスでは鉄鉱石(酸化鉄)をCO(一酸化炭素)で還元するためCO2が副生しますが、水素還元では副生物が水(H2O)となるため、理論上CO2排出をゼロにできます。欧州ではHYBRIT(スウェーデン)等のプロジェクトが先行しており、日本でもCOURSE50等の技術開発が進められています。
Qケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルの違いは何ですか?
マテリアルリサイクルは廃プラスチックを洗浄・粉砕して物理的に再利用する方法で、品質劣化や異物混入の課題があります。一方、ケミカルリサイクルは廃プラスチックを化学的に分解してナフサや合成ガス等の化学原料に戻す方法で、バージン素材と同等品質の製品を製造できます。本事業では、ケミカルリサイクルによるナフサ原料の使用量低減を支援対象としており、石油由来原料への依存度を下げることでCO2排出削減と循環型経済の実現を目指しています。
Q他の補助金・助成金と併用できますか?
本事業は経済産業省が実施する大型GX関連補助金であり、他の国庫補助金との併用には厳格な制限があります。同一の設備投資に対して、他の国の補助金(例:省エネ補助金、再エネ設備導入補助金等)と重複して受給することは原則として認められません。ただし、事業の異なる工程や設備が明確に区分できる場合は、別々の補助金を活用できる可能性があります。例えば、製造プロセス転換設備は本事業で、工場全体のエネルギー管理システムは別の省エネ補助金で申請するといった切り分けが考えられます。また、地方自治体独自の脱炭素関連補助金との併用については、各自治体の要綱を確認する必要がありますが、国と地方の補助金は併用可能なケースが多いです。GX経済移行債を財源とする他の支援策(GXリーグ関連等)との関係性も整理しておくことが望ましいでしょう。いずれの場合も、補助対象経費の重複がないことを明確に示す必要があり、事前に経済産業省GX投資促進課に確認することを強く推奨します。
詳細説明
事業の背景と目的
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、日本の産業部門におけるCO2排出削減は最重要課題の一つです。特に鉄鋼・化学・紙パルプといった素材産業は、製造プロセス自体がCO2を排出する「ハードトゥアベイト(排出削減困難)」産業と呼ばれ、単なる省エネでは根本的な解決が困難です。本事業は、これらの産業における製造プロセスの抜本的転換と自家発電設備の燃料転換を支援することで、排出量の大幅削減と産業競争力の強化を同時に実現することを目的としています。
支援対象事業の詳細
本事業は大きく2つの柱で構成されています。
(1)製造プロセス転換事業
- 鉄鋼分野:従来の高炉・転炉プロセスは、コークス(石炭)を使った鉄鉱石の還元過程で大量のCO2を排出します。本事業では、スクラップを主原料とする革新的な電炉への転換や、コークスの代わりに水素を活用した製鉄プロセスの導入を支援します。これにより、鉄鋼製造時のCO2排出を従来比で大幅に削減することが期待されます。
- 化学分野:石油化学産業では、ナフサ(粗製ガソリン)を原料とするエチレン等の製造過程でCO2が排出されます。本事業では、廃プラスチックを活用したケミカルリサイクルへのプロセス転換や、植物由来のバイオ原料への転換を支援し、化石燃料依存からの脱却を図ります。
- 紙パルプ分野:木質パルプを活用したバイオリファイナリー産業への転換を支援します。化石燃料由来製品の代替素材としての可能性を持つ木質素材の高度利用により、産業としての付加価値向上と脱炭素化を両立させます。
(2)自家発電設備等の燃料転換事業
多くの大規模工場では、石炭等を燃料とする自家発電設備を保有しています。本事業では、これらの自家発電設備の燃料を低炭素燃料に転換するための設備投資を支援します。工場のエネルギー供給源そのものを脱炭素化することで、製造プロセス以外からのCO2排出(Scope1)も大幅に削減できます。
予算規模と事業スキーム
本事業の予算規模は最大1,179億円と極めて大きく、国のGX投資促進策の中でも重点分野に位置づけられています。事業スキームとしては、まず本公募で「補助事業者(執行団体)」を選定し、選定された執行団体が個別企業向けの二次公募を実施する間接補助方式を採用しています。
公募スケジュールと注意事項
公募期間は2026年3月5日から3月25日までの約3週間です。なお、本公募は令和8年度予算成立前の事前公募であり、以下の点にご注意ください。
- 補助事業者の正式決定は令和8年度予算の成立が前提です
- 予算審議の状況により、事業内容や予算規模が変更になる可能性があります
- 予算が成立しない場合、本事業は実施されません
問い合わせ先
本事業に関するお問い合わせは、経済産業省 GXグループ GX投資促進課(担当:平井、宮野)までご連絡ください。
- メール:bzl-toushisokushinnteam@meti.go.jp
- 電話:03-3501-2067(直通)