「次世代航空機向け静脈産業構築事業」の公募
基本情報
この補助金のまとめ
この補助金の特徴
本事業の最大の特徴は、航空機産業に特化した「静脈産業」の体系的構築を目指す点です。静脈産業とは、製品の使用後に発生する廃棄物を回収・リサイクルし、再び資源として循環させる産業を指します。次世代航空機ではCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の使用比率が50%以上に達しており、従来の金属主体の解体・リサイクル手法が通用しません。本事業ではこの技術的課題に正面から取り組み、複合材料のリサイクル技術、レアメタル等の希少資源回収技術、解体工程の自動化・効率化技術などの研究開発・実証を支援します。NEDOの委託事業として実施されるため、採択された場合の研究開発費は全額NEDOが負担する形態が一般的です。航空機のライフサイクル全体を見据えた資源循環の仕組みづくりに貢献できる、極めて先進的な事業です。
対象者・申請資格
応募資格の基本要件
- 日本国内に拠点を有する企業、大学、国立研究開発法人、公設試験研究機関等
- 単独またはコンソーシアム(複数機関の共同体)での応募が可能
- コンソーシアムの場合、幹事機関(代表提案者)を定める必要あり
求められる技術的能力
- 航空機材料(特にCFRP複合材料)に関する専門知識と研究実績
- リサイクル技術、解体技術、材料評価技術等の関連分野での実績
- 研究開発を遂行するための設備・人材・資金基盤
コンソーシアム構成の推奨
- 大学・研究機関(基礎研究・材料評価)
- 素材メーカー(リサイクル技術・品質管理)
- 航空機関連企業(実機データ・解体ノウハウ)
- リサイクル事業者(実証・事業化)
ポイント
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申請ガイド
応募から採択までの流れ
1. 公募要領の確認 NEDOのホームページから公募要領、提案書様式、その他関連資料をダウンロードし、事業内容・応募要件を詳細に確認します。不明点はNEDOの担当部署に問い合わせることが可能です。 2. 研究開発計画の策定 公募要領に記載された研究開発テーマに沿って、具体的な研究開発計画を策定します。技術的な新規性・優位性、実現可能性、事業化の見通しを明確にすることが重要です。 3. コンソーシアムの組成(該当する場合) 複数機関で応募する場合、参画機関の役割分担、知的財産権の取扱い、研究開発費の配分等を事前に協議・合意します。幹事機関(代表提案者)を決定します。 4. e-Rad(府省共通研究開発管理システム)への登録 応募にはe-Radへの事前登録が必要です。研究機関・研究者の登録を済ませておきます。既に登録済みの場合は情報の更新を確認します。 5. 提案書の作成・提出 所定の様式に従い提案書を作成します。NEDOの電子申請システム(e-Rad経由の場合あり)を通じて期限内に提出します。本公募の応募期間は2026年1月16日〜2月16日でした。 6. 審査・採択 外部有識者による書面審査およびプレゼンテーション審査(ヒアリング審査)が実施されます。技術的妥当性、実施体制、研究開発計画の適切性、事業化の見通し等が評価されます。 7. 契約締結・事業開始 採択後、NEDOとの委託契約を締結し、研究開発を開始します。
ポイント
審査と成功のコツ
技術面での差別化
実施体制の充実
出口戦略の明確化
NEDO事業特有のポイント
ポイント
対象経費
対象となる経費
人件費
研究開発に従事する研究員・技術者の人件費(専従者・兼務者)
設備費・装置費
研究開発に必要な試験装置、分析機器、実証設備等の購入・リース費用
材料費・消耗品費
実験用CFRP材料、試薬、分析用消耗品等
旅費
研究打合せ、学会参加、現地調査等に係る旅費
外注費
専門的な試験・分析の外部委託費用
その他経費
論文投稿料、特許出願費用、会議費等
対象外の経費
対象外の経費一覧(5件)
- 汎用的な事務機器(PC、プリンター等)の購入費
- 建物の新築・改修工事費
- 飲食・接待費
- 量産設備の導入費
- 既存事業の運転資金
よくある質問
Q静脈産業とは何ですか?
静脈産業とは、製品が使用された後の廃棄物を回収・リサイクルし、再び資源として産業に戻す役割を担う産業です。人体の血液循環に例えると、製品を製造・供給する「動脈産業」に対し、使用済み製品を回収・再生する産業を「静脈産業」と呼びます。本事業では航空機の解体、部品・素材の回収、リサイクル、再生材料の供給までの一連の産業体制を構築します。
Qどのような組織が応募できますか?
企業、大学、研究機関、またはそれらのコンソーシアム(共同体)が応募可能です。航空機関連メーカー、素材メーカー、リサイクル事業者、解体事業者、研究大学などが想定されます。複数機関によるコンソーシアム形式での応募が推奨される場合が多いです。
QCFRPリサイクルの技術的課題は何ですか?
CFRPは炭素繊維と樹脂(エポキシ等)の複合材料であり、両者を分離して炭素繊維を高品質に回収することが最大の技術的課題です。熱分解すると繊維が劣化し、機械的に粉砕すると繊維長が短くなります。航空機グレードの品質を維持したリサイクル技術の確立が求められています。
Q補助金額や助成率はどのくらいですか?
本事業はNEDOの委託事業として実施されるため、具体的な補助率ではなく、委託契約に基づく研究開発費の負担となります。金額は採択されるテーマの規模・内容により異なります。詳細はNEDOの公募要領をご確認ください。
Q事業期間はどのくらいですか?
具体的な事業期間は公募要領に記載されていますが、NEDO委託事業は一般的に3〜5年程度の中長期プロジェクトとして設計されることが多いです。年度ごとの評価を経て継続が判断されます。
Q他の補助金・助成金と併用できますか?
本事業はNEDOの委託事業であるため、同一の研究開発内容について他の国費(補助金・委託費)との重複受給はできません。ただし、関連する技術開発や事業化において、以下の制度を組み合わせて活用することが考えられます。 【関連するNEDO事業】 ・「グリーンイノベーション基金事業」:カーボンニュートラル関連の大型プロジェクト。CFRP リサイクル技術が脱炭素に寄与する側面でシナジーが期待できます。 ・「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」:リサイクルプロセスの省エネ化に関連する技術開発に活用可能です。 【他省庁の関連制度】 ・経済産業省「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」:中小企業がリサイクル技術を事業化する段階で活用可能。 ・環境省「脱炭素社会構築のための資源循環研究プログラム」:環境面からのアプローチで補完的な研究開発が可能。 【事業化段階での支援制度】 ・NEDO「研究開発型スタートアップ支援事業」:スタートアップがリサイクル事業を立ち上げる際に活用。 ・日本政策金融公庫の各種融資制度:事業化に向けた設備投資資金として。 注意:同一経費の二重計上は認められません。異なるフェーズ・異なる経費項目で組み合わせることが重要です。
詳細説明
事業の背景と目的
世界の航空機市場は今後20年間で約4万機の新規需要が見込まれる一方、同時期に大量の退役機が発生します。次世代航空機ではボーイング787やエアバスA350に代表されるように、機体構造の50%以上にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)が使用されています。しかし、CFRPのリサイクル技術は確立されておらず、退役機の多くが埋立処分されているのが現状です。
本事業は、この課題を解決するため、次世代航空機に対応した「静脈産業」(リサイクル・資源回収産業)の構築を目指す研究開発・実証事業です。
対象となる研究開発テーマ
- CFRP複合材料のリサイクル技術開発:熱分解法、溶媒法、機械的処理法等による炭素繊維の回収・再生技術
- 解体・分別プロセスの確立:航空機の効率的な解体手順、材料の自動分別技術、有害物質の安全処理
- 再生材料の品質評価・保証技術:リサイクル炭素繊維の強度・品質評価基準の策定、用途別グレーディング
- レアメタル・希少資源の回収技術:エンジン部品等に含まれるニッケル、チタン、コバルト等の効率的回収
- サーキュラーエコノミーモデルの構築:航空機産業全体の資源循環フロー設計、トレーサビリティシステム構築
事業スキーム
本事業はNEDOの委託事業として実施されます。採択された事業者はNEDOとの委託契約に基づき研究開発を実施し、研究開発費はNEDOが負担します。事業期間中は定期的な進捗報告が求められ、中間評価・事後評価が実施されます。
期待される成果
本事業を通じて、日本が航空機リサイクル分野で世界をリードする技術・産業基盤を構築することが期待されます。CFRPリサイクル技術は航空機だけでなく、自動車や風力発電ブレードなど他産業への波及効果も大きく、素材産業全体の競争力強化に寄与します。