令和4年度温暖化対策促進事業費補助金(クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業)
基本情報
この補助金のまとめ
この補助金の特徴
補助上限額1億4,000万円の大型支援
本事業の補助上限額は1億4,000万円と、環境関連補助金の中でも特に大規模です。トランジションボンドの発行に伴う外部レビュー費用は数百万円から数千万円に及ぶケースがあり、この費用を定額補助(全額補助)で賄えることは、企業にとって大きなメリットとなります。特に初めてトランジションボンドを発行する企業にとっては、コスト面でのハードルを大幅に下げる効果があります。
外部レビュー費用の全額補助(定額補助)
補助率が「定額」であることは、対象経費の全額が補助されることを意味します。通常の補助金では1/2や2/3といった補助率が設定されますが、本事業では対象経費の範囲内であれば実質的に自己負担なしで外部レビューを取得できます。これにより、コスト面での意思決定のハードルが大幅に低下します。
全業種対象で幅広い企業が活用可能
本補助金は特定の業種に限定されておらず、全業種が対象です。エネルギー、鉄鋼、化学、運輸など、GHG排出量の多い産業はもちろん、サプライチェーン全体での脱炭素に取り組むあらゆる業種の企業が申請可能です。トランジション戦略を策定し、それに基づく資金調達を計画している企業であれば、業種を問わず活用できます。
脱炭素経営の信頼性向上に直結
外部レビューの取得は、企業のトランジション戦略やグリーンウォッシュではないことの客観的な証明となります。投資家やステークホルダーからの信頼を獲得し、ESG評価の向上にもつながります。本補助金を活用して外部レビューを取得することで、脱炭素経営への本気度を市場に示すことができます。
ポイント
対象者・申請資格
対象となる事業者
- トランジションファイナンス(トランジションボンド、トランジションローン等)により資金調達を計画している法人
- トランジション戦略(長期的なGHG排出削減計画)を策定している、または策定予定の事業者
- 国内に事業所を有する法人(業種不問)
対象となる事業内容
- トランジションボンドの発行に際して外部レビューを取得する事業
- トランジションローンの組成に際して外部レビューを取得する事業
- ICMAトランジション・ファイナンス・ハンドブック等の国際的なガイドラインに準拠した外部レビューの取得
対象外となるケース
- 既にトランジションボンドを発行済みで、新規の外部レビュー取得を伴わない場合
- グリーンボンドのみの発行(トランジションの要素を含まない場合)
- 外部レビュー以外の費用のみの申請
ポイント
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申請ガイド
ステップ1:トランジション戦略の策定
まず自社の長期的なGHG排出削減計画(トランジション戦略)を策定します。パリ協定の目標に整合した科学的根拠に基づく計画であることが重要です。業種別ロードマップ等を参考に、具体的な削減目標とマイルストーンを設定してください。
ステップ2:外部レビュー機関の選定
ICMAトランジション・ファイナンス・ハンドブックに準拠した外部レビューを提供できる機関を選定します。国内外の格付機関やESG評価機関など、実績のある機関を複数比較検討することを推奨します。
ステップ3:補助金申請書類の準備・提出
公募要領に従い、事業計画書、経費見積書、トランジション戦略の概要書等の必要書類を作成します。外部レビューの内容・範囲・費用の妥当性を明確に記載し、環境省の指定する方法で提出します。
ステップ4:採択後の事業実施
採択通知を受けた後、交付申請を行い、交付決定後に外部レビュー取得の事業を実施します。事業期間内に外部レビューを完了させ、必要な成果物を取りまとめてください。
ステップ5:実績報告・精算
事業完了後、実績報告書を提出します。外部レビュー費用の支払い証拠書類、成果物(外部レビュー報告書)等を添付し、精算手続きを行います。
ポイント
審査と成功のコツ
トランジション戦略の質と整合性を高める
ICMAガイドラインへの準拠を明確にする
外部レビュー機関との事前調整を十分に行う
投資家向けの情報開示を意識した準備
ポイント
対象経費
対象となる経費
外部レビュー取得費用(3件)
- セカンドパーティ・オピニオン(SPO)取得費
- 第三者認証・検証費用
- トランジション評価レポート作成費
フレームワーク策定支援費(2件)
- トランジション・ファイナンス・フレームワーク策定コンサルティング費
- ICMAガイドライン準拠確認費用
トランジション戦略評価費(3件)
- GHG排出削減目標の妥当性評価費
- パリ協定整合性の科学的検証費用
- 業種別ロードマップとの整合性確認費
情報開示関連費用(2件)
- インパクトレポーティング体制構築支援費
- アロケーションレポーティング策定支援費
レビュー関連事務費(2件)
- 外部レビュー機関との調整に係る翻訳費
- 外部レビューに必要なデータ整備費用
対象外の経費
対象外の経費一覧(6件)
- トランジションボンドの発行手数料・引受手数料
- 社内人件費・一般管理費
- トランジション戦略そのものの策定コンサルティング費(外部レビューと直接関係しないもの)
- 投資家向けIR活動費・ロードショー費用
- グリーンボンド等、トランジション以外の債券に係る外部レビュー費用
- 補助事業期間外に発生した経費
よくある質問
Qトランジション・ファイナンスとグリーンファイナンスの違いは何ですか?
グリーンファイナンスは再生可能エネルギー事業など「既にグリーンな事業」に対する資金調達手法です。一方、トランジション・ファイナンスは、現時点ではCO2排出が多い事業であっても、長期的な脱炭素戦略に基づいて段階的に排出削減に取り組む企業を支援する金融手法です。鉄鋼・化学・セメントなどのHard-to-Abateセクターでは、一足飛びにグリーンな事業に転換することが困難なため、トランジション・ファイナンスが重要な役割を果たします。本補助金はこのトランジション・ファイナンスに必要な外部レビュー費用を支援します。
Q外部レビューとは具体的にどのようなものですか?
外部レビューとは、トランジションボンド等の発行体が策定したトランジション戦略やフレームワークについて、独立した第三者機関が客観的に評価・検証するものです。具体的には、セカンドパーティ・オピニオン(SPO)、第三者認証、検証(Verification)などの形態があります。ICMAトランジション・ファイナンス・ハンドブックの4要素への準拠状況、GHG削減目標の科学的妥当性、パリ協定との整合性などが評価されます。外部レビューの取得は投資家からの信頼獲得に不可欠であり、本補助金はその費用を全額補助します。
Q補助上限額1億4,000万円は1事業者あたりの上限ですか?
補助上限額1億4,000万円は1事業あたりの上限額です。トランジションボンドの発行規模やレビューの範囲によって外部レビュー費用は大きく異なりますが、大型のトランジションボンド発行に伴う包括的な外部レビューであっても、多くの場合この上限額の範囲内で対応可能です。なお、補助率は定額(全額補助)ですので、上限額の範囲内であれば自己負担なしで外部レビューを取得できます。
Qどのような企業が申請できますか?業種制限はありますか?
本補助金は全業種を対象としており、業種による制限はありません。ただし、トランジションファイナンスにより資金調達を行う(またはその計画がある)ことが前提条件となります。実際の活用が多いのは、エネルギー、鉄鋼、化学、運輸、不動産などGHG排出量の多い産業ですが、サプライチェーン全体での脱炭素化に取り組む企業であれば、製造業に限らず様々な業種で活用可能です。重要なのは、科学的根拠に基づくトランジション戦略を策定していること(または策定予定であること)です。
Q申請に必要な書類は何ですか?
一般的に必要となる書類は、①事業計画書(トランジション戦略の概要、外部レビューの内容・範囲を含む)、②経費見積書(外部レビュー機関からの見積もり)、③法人の登記簿謄本、④直近の決算書類、⑤トランジション・ファイナンスのフレームワーク(案)などです。公募年度により必要書類が変更される場合があるため、必ず最新の公募要領を確認してください。事前に環境省または執行団体に相談し、書類の過不足がないか確認することを推奨します。
Qこの補助金は現在も申請できますか?
本補助金(令和4年度温暖化対策促進事業費補助金)の公募は既に終了しています(ステータス:closed)。ただし、トランジション・ファイナンス推進に関する補助事業は年度ごとに実施される傾向にありますので、環境省のウェブサイトで最新の公募情報を定期的にチェックすることをお勧めします。類似の補助事業が新年度に公募される可能性がありますので、事前準備としてトランジション戦略の策定や外部レビュー機関の選定を進めておくとよいでしょう。
Q他の補助金と併用することはできますか?
同一の経費(外部レビュー費用)に対して他の国庫補助金を重複して受けることはできません。ただし、本補助金で外部レビュー費用をカバーし、トランジションボンドで調達した資金で実施する設備投資等について別の補助金(省エネ補助金等)を活用するという形での併用は可能です。経費の対象が異なれば併用できますので、外部レビュー費用とそれ以外の費用を明確に区分して管理することが重要です。申請時には他の補助金の利用状況を正確に申告してください。
Q他の補助金・助成金と併用できますか?
クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業は、外部レビュー費用に特化した補助金であるため、他の補助金との併用については以下の点に留意が必要です。まず、同一の経費(外部レビュー費用)に対して他の国庫補助金を重複して受けることはできません。これは補助金の基本原則である「二重取りの禁止」に該当します。一方で、トランジションボンドで調達した資金を原資として実施する設備投資等については、別途他の補助金(例:省エネ補助金、脱炭素化促進事業等)を活用できる可能性があります。つまり、「外部レビュー費用」は本補助金で、「実際の設備投資」は別の補助金で、という使い分けが考えられます。また、地方自治体が独自に実施するグリーンファイナンス支援制度との併用可能性もありますが、各自治体の制度要件を個別に確認する必要があります。申請時には他の補助金の利用状況を正確に申告し、経費の重複がないことを明確にすることが重要です。
詳細説明
クライメート・イノベーション・ファイナンス推進事業とは
本事業は、環境省が実施する温暖化対策促進事業費補助金の一環として、トランジション・ファイナンスの普及・促進を目的とした補助制度です。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、企業の脱炭素化への移行(トランジション)を金融面から支援するため、トランジションボンドやトランジションローンの発行・組成に必要な外部レビュー費用を補助します。
トランジション・ファイナンスの重要性
トランジション・ファイナンスとは、脱炭素社会の実現に向けて、長期的な戦略に則って温室効果ガス(GHG)削減に取り組む企業を支援するための金融手法です。グリーンファイナンスが「既にグリーンな事業」を対象とするのに対し、トランジション・ファイナンスは「これからグリーンに移行していく事業」を支援する点が特徴です。
特に、鉄鋼・化学・セメント・電力などの排出削減が困難なセクター(Hard-to-Abate sectors)において、急激な転換が難しい中での段階的な脱炭素化を資金面から後押しする重要な仕組みです。
外部レビューの役割と必要性
トランジション・ファイナンスにおいて外部レビューは極めて重要な役割を果たします。外部レビューは以下の機能を持ちます:
- グリーンウォッシュの防止:第三者による客観的な評価により、企業のトランジション戦略の信頼性を担保します
- 投資家への情報提供:投資判断に必要な客観的情報を提供し、資金の流れを促進します
- 国際基準との整合性確認:ICMAトランジション・ファイナンス・ハンドブック等の国際ガイドラインへの準拠を確認します
- 市場の健全な発展:トランジション・ファイナンス市場全体の信頼性向上に寄与します
補助内容の詳細
本補助金の主な特徴は以下のとおりです:
- 補助上限額:1億4,000万円(1事業あたり)
- 補助率:定額(対象経費の全額を補助)
- 対象経費:トランジションボンド等の発行に係る外部レビュー取得費用
- 対象地域:全国
- 対象業種:全業種
ICMAトランジション・ファイナンス・ハンドブックの4要素
外部レビューでは、ICMA(国際資本市場協会)が定めるトランジション・ファイナンス・ハンドブックの4要素が評価の基準となります:
- 要素1:発行体のクライメート・トランジション戦略とガバナンス - パリ協定に整合した長期目標と、それを実行するためのガバナンス体制
- 要素2:ビジネスモデルにおける環境面のマテリアリティ - 事業活動における環境課題の重要性の特定
- 要素3:科学的根拠のあるクライメート・トランジション戦略 - SBT等の科学的根拠に基づく短中期目標の設定
- 要素4:実施の透明性 - 資金使途の追跡、進捗報告、情報開示の体制
申請から補助金受領までの流れ
本事業の一般的な流れは以下のとおりです:
- 公募開始後、申請書類一式を準備し提出
- 環境省による審査(事業の妥当性、費用の適正性等を評価)
- 採択通知・交付決定
- 事業実施(外部レビューの取得)
- 実績報告書の提出
- 確定検査・補助金の交付
活用のポイント
本補助金を最大限活用するためには、以下の点が重要です:
- 経済産業省が策定した業種別トランジション・ロードマップを参照し、自社の戦略との整合性を確認する
- 外部レビュー機関の選定にあたっては、トランジション・ファイナンスの評価実績が豊富な機関を選ぶ
- 申請前に環境省や執行団体に事前相談を行い、対象経費の範囲を確認する
- トランジションボンド発行後のインパクトレポーティングまで見据えた計画を策定する