【環境省】【R8年度】脱炭素移⾏に向けた⼆国間クレジット制度(JCM)促進事業(シナジー型 JCMプロジェクトに向けた実現可能性調査含む)
基本情報
この補助金のまとめ
この補助金の特徴
JCMクレジット取得による二重の価値創出
途上国での温室効果ガス削減プロジェクトを通じて取得したJCMクレジットは、日本政府のNDC(国が決定する貢献)に計上されるだけでなく、企業の自主的なカーボンオフセットにも活用可能です。自社のScope3削減目標やサプライチェーン全体の脱炭素化に直接貢献でき、ESGスコア向上にもつながる投資対効果の高い支援策です。
シナジー型JCMによる技術組み合わせ支援
従来の単一技術導入支援に加え、複数の脱炭素技術(再エネ+蓄電池、省エネ+廃熱回収等)を組み合わせた「シナジー型JCMプロジェクト」に向けた実現可能性調査(FS)を新たに支援します。技術の相乗効果により削減効果を最大化でき、より大きなクレジット取得が期待できます。
MRV体制構築への補助
JCMプロジェクトの核心となるMRV(Measurement, Reporting, Verification=測定・報告・検証)体制の構築費用も補助対象です。モニタリング機器の導入、データ管理システムの整備、第三者検証機関との連携コストを支援することで、クレジット認定に必要な体制を確実に整備できます。
途上国への海外展開・販路拡大の足掛かり
JCMパートナー国(アジア・アフリカ・中東等25カ国以上)での事業実績を通じ、現地政府・企業とのリレーション構築が可能です。補助金を活用した実証実績は現地市場参入の信頼性向上に直結し、将来的な自立的事業展開への橋頭堡となります。
ポイント
対象者・申請資格
申請主体の要件
- 民間企業(法人格を有するもの)
- 業界団体・公益法人等(環境省の採択基準を満たすもの)
- 上記法人が参画するコンソーシアム
- 海外現地法人と連携した共同申請も可能な場合あり
事業内容の要件
- JCMパートナー国(アジア・アフリカ・中東・大洋州等25カ国以上)での実施であること
- 温室効果ガス削減効果が定量的に測定・検証可能であること
- JCM方法論(既存または新規開発)に基づく適切なMRV体制を構築できること
- シナジー型の場合は複数技術の組み合わせと相乗効果の説明が求められる
財務・コンプライアンス要件
- 補助事業を遂行するための財務基盤があること
- 過去に環境省補助金で不正受給・重大な違反がないこと
- 反社会的勢力との関係がないこと
実施能力の要件
- 対象国での事業展開に必要な技術・ノウハウを有するか、パートナー企業を有すること
- プロジェクトマネジメント体制が整っていること(担当者の明確化)
- 現地パートナー企業や政府機関との協力関係がある、または構築見込みがあること
ポイント
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申請ガイド
ステップ1:公募要領の精読と事業構想の確定
環境省のJCM補助金特設ページから公募要領・申請様式一式を入手します。補助率・上限額・対象経費の詳細を確認し、自社の事業構想がJCM方法論に合致するか事前検討を行います。不明点は事前相談窓口(環境省地球環境局国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官室)への照会を強く推奨します。
ステップ2:パートナー・コンソーシアムの組成
JCMパートナー国の現地企業・政府機関との協力体制を文書(MOU・覚書等)で明確化します。コンソーシアム申請の場合は幹事法人を決定し、各者の役割分担・費用負担を整理します。この段階でコンサルタント・設計事務所等の専門家を巻き込むことが採択率向上につながります。
ステップ3:事業計画書・申請書類の作成
主要書類は①事業計画書(目的・方法・GHG削減量・スケジュール)、②収支計画書、③JCM方法論説明資料、④MRVモニタリング計画書、⑤現地パートナーとの合意文書、⑥企業概要・財務資料です。GHG削減量の定量的な積算根拠と技術的実現可能性の説明が特に重要です。
ステップ4:申請・審査対応
電子申請システムまたは郵送で提出(要領に従う)。書面審査後、ヒアリング審査が実施される場合があります。技術的専門家による質疑に備え、事業担当者だけでなく技術者も審査対応できる体制を整えます。
ステップ5:採択後の交付申請・事業実施
採択内定後は補助金交付申請書を提出し、交付決定を受けてから事業着手します(交付決定前の着手は補助対象外)。事業実施中は進捗報告書を定期提出し、完了後は実績報告書・精算払請求書を提出して補助金を受領します。
ポイント
審査と成功のコツ
観点1:GHG削減量の定量的・説得力ある積算
観点2:現地パートナーとの協力体制の実証
観点3:技術的実現可能性と事業化への道筋
観点4:国内外の政策整合性と戦略的意義
ポイント
対象経費
対象となる経費
機械装置・システム構築費(4件)
- 再生可能エネルギー設備(太陽光・風力・バイオマス等)
- 省エネ設備・高効率機器
- 蓄電池・エネルギー管理システム(EMS)
- MRVモニタリング機器・センサー類
技術導入費(3件)
- 特許・ノウハウ・ライセンス取得費
- 技術移転に係る費用
- JCM方法論開発・申請費用
人件費(3件)
- 補助事業に専従する研究員・技術者の人件費
- 現地駐在員費用(一部)
- プロジェクトマネジャー費用(上限あり)
委託・外注費(4件)
- FS(実現可能性調査)の外部委託費
- 環境コンサルタント費用
- 第三者MRV検証機関への委託費
- 現地調査・測定の外部委託費
旅費・現地費用(2件)
- 現地調査・施工管理のための渡航費・宿泊費
- 現地スタッフ雇用・研修費用
間接経費(1件)
- 事業実施に必要な直接経費の一定割合(要領に定める率)
対象外の経費
対象外の経費一覧(8件)
- 交付決定前に発注・契約・支出した費用(着手前経費)
- 補助事業に直接関係しない国内拠点の運営費・一般管理費
- 土地の取得・賃借料
- 消費税(課税事業者の場合)
- 補助事業終了後のランニングコスト・維持管理費
- JCMと無関係な現地事業への転用が可能な汎用性の高い費用
- 接待交際費・飲食費
- 訴訟・法務費用(補助事業に直接関係しないもの)
よくある質問
QJCMクレジットとは何ですか?企業にとってどんなメリットがありますか?
JCM(Joint Crediting Mechanism:二国間クレジット制度)クレジットとは、日本企業が途上国でGHG削減プロジェクトを実施した際に認定される削減量の証書です。企業メリットは主に3点あります。①自社のカーボンニュートラル目標(Scope1〜3削減)のオフセットに活用でき、ESGスコア向上に直結します。②日本政府の2030年NDC目標達成に貢献する国策事業として、政府・自治体・大手取引先との関係強化に使えます。③将来的には国際炭素市場での売買可能性もあり、収益資産としての価値も期待されます。補助金を活用してプロジェクトを実施しながらクレジットという資産も獲得できる「二重の恩恵」が最大の魅力です。
Q中小企業でも申請できますか?ハードルは高いですか?
法人格があれば中小企業でも申請可能です。ただし現実的には、①JCMパートナー国での事業展開ネットワーク、②GHG削減量の定量的積算能力、③MRV体制の構築・管理能力、の3点が問われるため、単独での申請は難易度が高いのが実情です。中小企業が採択を目指す場合は、現地に強い商社や国際展開経験のある企業とのコンソーシアム申請、または環境コンサルタントの活用が現実的です。過去の採択案件では、特定技術に強みを持つ中堅メーカーが商社と組んで採択された例が複数あります。まず「自社のどの技術・製品がJCMに活用できるか」を整理することが第一歩です。
Qどのような技術・設備が補助対象になりますか?
主な対象技術は以下の通りです。再生可能エネルギー分野では太陽光・風力・水力・バイオマス発電設備が中心です。省エネ分野では高効率空調・照明・モーター・ボイラー・廃熱回収システム等が対象です。その他にも電動化(電気バス・EVチャージャー等)、冷媒管理システム、メタンガス回収設備なども実績があります。新設・既設問わず適用可能な場合があります。重要なのは技術そのものより「JCM方法論との整合性」であり、既承認方法論に合致する技術であれば審査が大幅に簡略化されます。自社技術の適用可能性については、環境省の事前相談窓口への問い合わせを推奨します。
Qシナジー型JCMとは何が違うのですか?どんな企業向けですか?
従来のJCMは単一技術(例:太陽光発電設備の導入)に対するクレジット認定が基本でした。シナジー型JCMは複数の脱炭素技術を組み合わせた複合型プロジェクト(例:太陽光+蓄電池+EMS、省エネ空調+廃熱回収+再エネ等)の相乗効果を評価・認定する新しいアプローチです。今年度はこのシナジー型に向けたFS調査が補助対象として新設されました。複合技術ソリューションを持つシステムインテグレーター、エンジニアリング会社、総合エネルギーサービス企業(ESCO事業者)に特に適しています。単一技術より大きなGHG削減量が狙えるため、より多くのクレジット取得が期待できます。
Q申請から実際に補助金を受け取るまでどのくらいかかりますか?
標準的なスケジュールは以下の通りです。①公募:2026年1〜2月、②審査・採択発表:2026年3〜4月頃、③交付申請・交付決定:2026年4〜5月頃、④事業実施:交付決定後〜事業期間内(通常1〜3年)、⑤実績報告・精算払:事業完了後。つまり申請から初回補助金受領まで最短でも半年以上かかります。設備費等の立替払いが発生するため、特に中小企業は資金繰り計画を事前に整備することが重要です。前払い制度や概算払いが利用できる場合もありますので、採択後に担当官に確認することを推奨します。
QMRVとは何ですか?体制構築はどうすれば良いですか?
MRVはMeasurement(測定)、Reporting(報告)、Verification(検証)の略で、JCMクレジットを取得するために必須の品質管理プロセスです。具体的には、①プロジェクト実施前後のGHG排出量を定められた方法で測定、②測定データを規定フォーマットで報告書にまとめ、③第三者の独立検証機関がデータの正確性を確認、というプロセスを経てクレジットが認定されます。体制構築には専門的な知識が必要なため、JCM実績のある環境コンサルタントへの委託が一般的です。本補助金ではモニタリング機器の導入費、データ管理システム費、検証機関への委託費が補助対象となるため、費用負担を大幅に軽減できます。
Q他の環境関連補助金と組み合わせて使えますか?
同一経費への二重補助は禁止されていますが、経費が明確に分離されていれば複数の補助金を活用することは可能です。例えばJICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」は開発途上国でのビジネス調査を支援しており、JCMのFS調査と経費を分けながら並行活用できる場合があります。また経済産業省のJCM関連事業(設備補助)と環境省事業の対象経費が異なる場合は、両省への申請が可能なケースもあります。ただし制度は複雑であるため、必ず各省の担当窓口に事前相談し、書面で確認を取ることを強く推奨します。重複受給は後日返還命令の対象となりリスクが非常に高いため、慎重な確認が不可欠です。
Q他の補助金・助成金と併用できますか?
JCM促進事業は環境省所管の国際協力型補助金であり、国内向け補助金との重複制限は基本的に少ないものの、以下の点に注意が必要です。\n\n【原則禁止:同一経費への二重補助】\n同一の設備・費用項目に対して、他の国・地方の補助金を同時に受給することは原則禁止です。例えばNEDOの再エネ実証事業やJICAの技術協力事業と同一経費での重複申請はできません。ただし、補助対象経費が明確に分離されている場合は並行取得が可能な場合があります。\n\n【活用推奨:相補的な活用】\n・JICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」(FS調査)との組み合わせ:JICAは開発途上国でのビジネス可能性調査を支援しており、JCMのFS調査と組み合わせてデュアルベネフィットを狙える場合があります(経費の重複に注意)。\n・経済産業省のJCM設備補助:環境省と経産省のJCM補助は対象経費・申請枠が異なるため、プロジェクト規模が大きい場合は両省への分割申請が可能なケースがあります。事前に両省の担当部署に相談することを推奨します。\n・J-クレジット制度との関係:JCMクレジットと国内J-クレジットは性質が異なり、JCMプロジェクトで得た削減量をJ-クレジットとして二重計上することはできません。
詳細説明
JCM促進事業の全体像と戦略的活用法
二国間クレジット制度(JCM: Joint Crediting Mechanism)は、日本が世界25カ国以上のパートナー国と協力して温室効果ガス削減プロジェクトを実施し、その削減量を日本の国際公約(NDC)に算入できる画期的な枠組みです。環境省が推進するこの補助事業は、JCMを通じた日本企業の海外脱炭素ビジネス展開を包括的に支援します。
令和8年度の主要変更点
今年度の特筆すべき変更点は「シナジー型JCMプロジェクト」に向けた実現可能性調査(FS)の新規追加です。従来の単一技術(例:太陽光発電設備の導入)だけでなく、複数の脱炭素技術を組み合わせた複合型プロジェクト(例:太陽光+蓄電池+エネルギー管理システムの統合導入)のFS調査が補助対象となりました。これにより、より大規模・高度な脱炭素プロジェクトへの挑戦が補助金サポート付きで可能になりました。
支援メニューの詳細
1. 設備導入支援(実証・本格導入)
JCMパートナー国での再生可能エネルギー設備(太陽光、風力、水力、バイオマス等)や省エネ設備の導入に対して、設備費・技術導入費・施工費等を補助します。MRV体制の構築費用も含まれるため、クレジット認定に必要なインフラを一括して整備できます。補助率は案件タイプにより異なりますが、設備費の50%〜最大2/3程度が補助される場合があります(要領確認要)。
2. 実現可能性調査(FS)支援
本格的なJCMプロジェクト実施前のフィジビリティスタディを支援します。現地調査、技術的検討、環境社会配慮調査、事業性分析、JCM方法論の適用可能性検討等が対象です。特に「シナジー型」FS調査では、複数技術の組み合わせ効果の検証・最適化設計も補助対象に含まれます。FS段階からJCMの枠組みに乗ることで、本格事業化時のスムーズな申請につながります。
3. MRV体制整備
JCMクレジット取得の要であるMRV(Measurement: 測定、Reporting: 報告、Verification: 検証)体制の整備を専門的にサポートします。モニタリング設備の設置から第三者検証機関との契約まで、クレジット認定プロセス全体を見据えた体制構築費用が補助対象です。
JCMクレジットの価値と活用戦略
JCMクレジット(削減量の証書)は以下の用途に活用できます:
- 国際約束(NDC)への算入:日本政府の2030年46%削減目標に貢献。政府方針への協力実績として対外アピールに活用可能
- 企業のカーボンオフセット:Scope 1/2/3排出量のオフセット、サプライチェーン全体の脱炭素化に活用
- 将来的な炭素市場での売買:国際的な炭素クレジット市場の整備が進む中、資産価値を持つ可能性
- ESG・サステナビリティレポートへの記載:機関投資家・格付機関・取引先へのアピール材料
対象国・地域
現在JCMパートナー国は25カ国以上に及びます(モンゴル、バングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシア、コスタリカ、パラオ、カンボジア、メキシコ、サウジアラビア、チリ、ミャンマー、タイ、フィリピン、セネガル、チュニジア、アラブ首長国連邦、パプアニューギニア、アルゼンチン、ジョージア、スリランカ、モロッコ等)。各国のエネルギー事情・規制環境に応じた戦略立案が重要です。
競合他社・先行事例の分析
過去のJCM採択案件(環境省公開)を見ると、製造業大手・エネルギー関連企業・商社が中心ですが、近年は中堅・中小企業の採択事例も増加しています。特に特定の省エネ技術(高効率空調、LED照明、廃熱回収等)に強みを持つ専門メーカーがニッチな市場で実績を上げています。自社技術の「差別化ポイント」をJCMの文脈で位置づけることが申請書の説得力を高めるコツです。
スケジュール感
申請期間:2026年1月13日〜2月5日(約3週間)。採択発表は例年3〜4月頃。交付決定後に事業着手が可能で、事業実施期間は通常1〜3年程度です。FS調査案件は比較的短期(1年以内)で完了し、結果を踏まえて次年度の設備導入補助に繋げるという「二段階戦略」が効果的です。