【JETRO】令和4年度 中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金(中小企業等海外侵害対策支援事業)【防衛型侵害対策支援】
基本情報
この補助金のまとめ
この補助金の特徴
補助率2/3・上限500万円の手厚い支援
海外での知的財産権侵害対策は、現地弁護士費用や調査費用など多額のコストがかかります。本制度では対象経費の2/3を補助し、上限500万円まで支援を受けられるため、中小企業でも本格的な権利行使に踏み切ることが可能です。特に訴訟対応では数百万円規模の費用が発生するため、この補助は非常に大きな後押しとなります。
幅広い侵害対策手段をカバー
模倣品業者への警告書送付という初期段階から、行政摘発の申請、税関での水際差止請求、そして最終手段としての訴訟提起まで、段階に応じた多様な対策手段の費用が補助対象です。状況に応じて最適な対策を選択しながら、費用面を気にせず権利行使を進められます。
JETROの専門ネットワークを活用
窓口となるJETRO知的財産課は、世界各国に拠点を持ち、知財分野の専門家ネットワークを有しています。単なる資金補助にとどまらず、各国の知財制度や実務に精通した専門家の知見を活かした効果的な侵害対策が期待できます。
「防衛型」として権利保全に特化
本事業は「防衛型侵害対策支援」と位置づけられ、既に発生している侵害に対する防衛的な権利行使を支援します。攻めの海外展開を支える出願支援とは異なり、すでに海外で知財を取得済みの企業が侵害被害から事業を守るための制度です。
ポイント
対象者・申請資格
企業規模要件
- 中小企業基本法に定める中小企業者であること
- 製造業:資本金3億円以下または従業員300人以下
- 卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
- 小売業:資本金5千万円以下または従業員50人以下
- サービス業:資本金5千万円以下または従業員100人以下
知的財産権の保有要件
- 海外で有効に取得・登録された知的財産権を保有していること
- 対象となる権利は特許権、実用新案権、商標権、意匠権等
- 権利の有効期限内であること
侵害の発生要件
- 海外において自社の知的財産権が侵害されている事実があること
- 模倣品の製造・販売、商標の無断使用等の具体的な侵害行為が確認されていること
- 侵害の証拠や状況を説明できる資料があること
ポイント
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申請ガイド
ステップ1:侵害状況の整理と証拠収集
まず、海外での知的財産権侵害の状況を整理します。侵害品の写真・購入記録、侵害者の特定情報、自社権利の登録証明書等を準備してください。現地代理人や調査会社を通じた事前調査も有効です。
ステップ2:JETRO知的財産課への相談
JETRO知的財産課に連絡し、補助金の申請要件や手続きについて事前相談を行います。侵害状況や希望する対策手段(警告・摘発・差止・訴訟等)を伝え、適切な対応方針についてアドバイスを受けましょう。
ステップ3:対策計画の策定と見積取得
具体的な侵害対策の計画を策定し、現地弁護士や調査会社等からの費用見積りを取得します。警告書送付、行政摘発、税関差止、訴訟のいずれの手段を取るか、費用対効果を考慮して決定します。
ステップ4:申請書類の作成・提出
所定の申請様式に必要事項を記入し、添付書類(侵害証拠、権利証明、費用見積り、事業計画等)を揃えてJETROに提出します。申請内容の正確性と整合性を十分に確認してください。
ステップ5:採択後の事業実施と実績報告
採択通知を受けた後、計画に沿って侵害対策を実施します。事業完了後は実績報告書を作成し、支出証拠書類とともに提出して補助金の交付を受けます。
ポイント
審査と成功のコツ
侵害証拠の充実度が採択を左右する
対策手段の選択と費用対効果の明示
現地の知財制度への理解と専門家の活用
事業への影響と対策の必要性を具体的に説明
ポイント
対象経費
対象となる経費
弁護士・弁理士費用(4件)
- 現地弁護士への相談・委任費用
- 弁理士への手続代理費用
- 法的意見書の作成費用
- 訴訟代理費用
調査費用(4件)
- 模倣品の市場調査費用
- 侵害者の特定調査費用
- 証拠収集のための調査費用
- テストパーチェス(試買)費用
行政手続費用(3件)
- 行政摘発の申請費用
- 税関差止申請費用
- 現地行政機関への手続費用
訴訟関連費用(4件)
- 訴訟提起に係る裁判所費用
- 訴訟に必要な鑑定費用
- 証拠保全手続費用
- 仲裁・調停手続費用
その他対策費用(3件)
- 警告書の作成・送付費用
- 翻訳費用
- 現地渡航にかかる旅費(規定の範囲内)
対象外の経費
対象外の経費一覧(8件)
- 日本国内での知的財産権の出願・登録にかかる費用
- 海外での新規出願・権利取得にかかる費用(出願支援事業の対象)
- 自社の人件費・社内管理費
- 侵害対策と直接関係のない一般的な法律相談費用
- 補助事業の申請前に発生した費用
- 事業期間外に発生した費用
- 消費税・関税等の公租公課
- 他の補助金・助成金で補填される費用
よくある質問
Q海外でまだ知的財産権を取得していませんが、この補助金を利用できますか?
本事業は海外で既に取得・登録済みの知的財産権が侵害された場合の対策費用を支援するものです。海外での知的財産権の未取得の場合は対象外となります。ただし、同じJETROが実施する「中小企業等海外出願支援事業」では、海外での特許・商標・意匠等の出願費用を補助していますので、まずはそちらの制度を活用して権利を取得し、その後侵害が発生した場合に本事業を利用するという段階的な活用をお勧めします。JETROの知的財産課に相談すれば、両制度の活用方法について総合的なアドバイスを受けられます。
Q模倣品を発見しましたが、どの対策手段を選べばよいですか?
最適な対策手段は、侵害の規模・態様、発生国の法制度・執行環境、費用対効果などによって異なります。一般的には、まず警告書の送付から始めることをお勧めします。警告書で侵害者が対応する場合は最も低コストで解決できます。警告に応じない場合は、行政摘発や税関差止請求に進み、最終手段として訴訟を検討します。国によって行政摘発の実効性や訴訟制度が大きく異なるため、現地の知財事情に詳しい弁護士やJETROの専門家に相談し、最適な戦略を立てることが重要です。本補助金ではいずれの手段も費用補助の対象となります。
Q補助金の申請から交付までどのくらいの期間がかかりますか?
申請受付から採択決定までは通常1〜2ヶ月程度です。採択後に事業を実施し、事業完了後に実績報告書を提出してから補助金が交付されるまで、さらに1〜2ヶ月程度かかります。ただし、海外での侵害対策は相手方の対応や各国の制度によってスケジュールが変動しやすいため、余裕を持った計画を立てることが重要です。また、補助金は精算払いが原則ですので、事業実施中は自己資金での立替が必要となる点にご注意ください。具体的なスケジュールについてはJETRO知的財産課に事前にご確認ください。
Q訴訟が長期化して事業期間内に終わらない場合はどうなりますか?
海外での知財訴訟は長期化することも珍しくありません。事業期間内に訴訟が完結しない場合の取扱いについては、申請前にJETRO知的財産課と十分に協議しておくことが重要です。一般的に、事業期間内に実施した部分の費用については補助対象となりますが、事業期間を超えて発生する費用は原則として対象外です。訴訟の見通しが不透明な場合は、まず警告書送付や行政摘発など、比較的短期間で完了する対策から着手し、段階的に進めることも有効な戦略です。翌年度に改めて申請することも検討できます。
Q複数の国で同時に侵害が発生していますが、一度の申請で対応できますか?
複数国での侵害対策を一つの申請にまとめられるかどうかは、JETROの募集要項の規定によります。一般的には、一案件として申請できる場合もありますが、国ごとに侵害状況や対策手段が異なるため、別々の案件として申請したほうが審査上有利な場合もあります。いずれにしても、補助上限額は500万円ですので、複数国の対策費用合計がこの上限を超える場合は、優先順位をつけて対応する必要があります。具体的な申請方法については、JETRO知的財産課に事前相談の上、最適な申請戦略を決定することをお勧めします。
Q他の補助金・助成金と併用できますか?
本補助金は知的財産権の侵害対策(防衛型)に特化した制度であり、同じJETROが実施する「海外出願支援事業」とは目的が異なるため、別々の案件であれば両方を活用することが可能です。出願支援事業で海外での権利取得費用を補助してもらい、取得後に侵害が発生した場合は本事業で対策費用の支援を受けるという段階的な活用が効果的です。ただし、同一の経費に対して二重に補助を受けることはできません。また、中小企業庁の「ものづくり補助金」や各自治体の知財関連助成金との併用も検討できますが、同一経費への重複補助は不可です。なお、特許庁の「中小企業等海外出願支援事業」は出願段階の支援であり、本事業の侵害対策支援とは対象フェーズが異なるため、両方の活用を視野に入れた知財戦略の構築をお勧めします。申請時には他の補助金の受給状況を正確に申告する必要があります。
詳細説明
事業の背景と目的
グローバル化の進展に伴い、日本の中小企業が海外市場に進出する機会が増加しています。一方で、海外における模倣品・海賊版の横行は深刻な問題となっており、中小企業の海外事業展開を脅かしています。特にアジア地域を中心に、特許権・商標権・意匠権等の知的財産権が侵害されるケースが後を絶ちません。
しかし、海外での知的財産権の権利行使には、現地の法制度への対応、現地弁護士の起用、証拠収集のための調査など、多額の費用と専門的なノウハウが必要です。資金力やリソースに限りのある中小企業にとって、これは大きな障壁となっています。
本事業は、こうした中小企業の海外知財侵害対策を資金面から支援し、日本企業の正当な知的財産権を守ることを目的としています。
支援の概要
本事業は「防衛型侵害対策支援」として、海外で取得済みの知的財産権が侵害された場合の権利行使費用を補助します。
- 補助率:対象経費の2/3以内
- 補助上限額:500万円
- 対象者:中小企業基本法に定める中小企業者
- 実施機関:JETRO(日本貿易振興機構)知的財産課
対象となる侵害対策の種類
本事業では、以下の多様な侵害対策手段にかかる費用を補助対象としています。
- 警告書の送付:模倣品の製造者・販売者に対し、知的財産権の侵害行為の中止を求める警告書を送付する対策
- 行政摘発:侵害が発生している国・地域の行政機関に対し、模倣品の摘発を申請する対策
- 税関差止請求:模倣品の輸出入を水際で阻止するため、税関当局に差止請求を行う対策
- 訴訟提起:侵害者に対し、差止請求や損害賠償請求等の訴訟を提起する対策
申請から交付までの流れ
申請にあたっては、まずJETRO知的財産課に事前相談を行い、補助対象となるかの確認を受けることが推奨されます。
- 事前相談:JETRO知的財産課に侵害状況を説明し、対応方針について助言を受ける
- 申請書類準備:所定の申請様式に加え、侵害証拠、権利証明書、費用見積書等を準備
- 申請・審査:JETROに申請書類を提出し、外部有識者を含む審査委員会による審査を受ける
- 採択・事業実施:採択後、計画に沿って侵害対策を実施
- 実績報告・交付:事業完了後、実績報告書と支出証拠書類を提出し、確定検査を経て補助金が交付される
活用のポイント
本事業を効果的に活用するためには、以下の点に留意してください。
- 早期の証拠収集が重要です。侵害を発見したら、速やかに模倣品の写真撮影、販売サイトの保存、テストパーチェスなどを行い、証拠を確保しましょう。
- 段階的なアプローチを検討してください。まず警告書を送付し、相手の対応を見てから摘発や訴訟に進むことで、費用対効果の高い対策が可能です。
- JETROの相談窓口を積極的に活用しましょう。各国の知財制度に精通した専門家から、最適な対策手段についてアドバイスを受けられます。
- 現地の信頼できる弁護士・代理人の選定が成功の鍵です。JETRO海外事務所のネットワークも活用できます。
注意事項
本事業は海外で既に取得済みの知的財産権の侵害対策を支援するものです。海外での新規出願・権利取得を支援する「海外出願支援事業」とは別の制度ですのでご注意ください。また、補助金は後払い(精算払い)が原則であり、事業実施時には一旦自己資金での立替が必要となります。事業期間内に完了しない対策(長期訴訟等)については、事前にJETROと相談の上、対応方針を確認してください。