貨物軽自動車運送事業届出
この届出は、軽トラックや軽バンを使って有償で荷物を運ぶ事業(いわゆる軽貨物)を始めるときに必要な手続です。貨物自動車運送事業法第36条にもとづき、営業所を管轄する運輸支局へ届け出ます。届出手数料は無料ですが、運賃料金の届出、黒ナンバーへの切替、車庫の確保、2025年4月以降は安全管理者の選任など一連の準備が必要です。1台からでも始められますが、届出なしの営業はできません。
原則無料(届出自体)
書類準備から黒ナンバー切替まで数日〜2週間程度が目安
国土交通省
貨物軽自動車運送事業届出とは
軽トラック、軽バン、軽乗用車、二輪車などを使い、他人の需要に応じて有償で貨物を運ぶ事業を始める際に必要な届出です。許可制ではなく届出制ですが、運輸支局への経営届出に加え、車両の事業用手続や、四輪車を使う場合の安全管理者選任など、開始前後に押さえるべき実務があります。
こんな事業者が取得する必要があります
軽自動車や二輪車で宅配、企業配送、スポット便、引越運送などの有償貨物運送を行う個人事業主・法人。2022年10月27日以降は、乗車定員3名以上の軽乗用車も条件付きで使用できます。
以下に当てはまる場合、この届出が必要です
営業所と車庫の場所を決める
営業所住所、車庫住所、使用権原、法令適合を説明できる状態にします。
使用車両の書類をそろえる
車検証関係書類や完成検査終了証の写しを用意し、配置車両数を確定させます。
運賃料金表を作成する
運賃料金設定届出書と整合する料金表を作り、約款の選択も済ませます。
黒ナンバー切替の手順を確認する
運輸支局提出後に検査協会で必要な手続と持参書類を事前に確認します。
四輪なら安全管理者の対応を決める
講習の受講者、選任時期、届出書の提出先をあらかじめ決めておきます。
申請の流れ
貨物軽自動車運送事業届出の申請から取得までの流れです。標準処理期間は書類準備から黒ナンバー切替まで数日〜2週間程度が目安です。
営業所・車庫・車両の条件確認
営業所、車庫、休憩睡眠施設、使用予定車両を整理します。車庫の使用権原、関係法令への適合、軽乗用車を使う場合の積載条件も事前に確認します。
届出書類を作成する
経営届出書、運賃料金設定届出書、運賃料金表、車検証関係書類、必要に応じて安全管理者関係書類を準備します。運送約款は標準約款を使うか、独自約款を添付するかを決めます。
管轄運輸支局の輸送部門へ提出
営業所所在地を管轄する運輸支局等に経営届出書類を提出し、事業用自動車等連絡書の発行を受けます。地域によって窓口や様式案内が異なるため、事前確認が重要です。
軽自動車検査協会等で事業用手続を行う
発行された事業用自動車等連絡書を持って、使用の本拠地を管轄する軽自動車検査協会等で黒ナンバーへの切替手続を行います。
四輪車を使う場合は安全管理者を選任・届出
2025年4月以降、四輪以上の軽自動車を使う事業者は営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任し、講習修了証明書の写しを添えて届け出ます。既存事業者には猶予がありますが、新規届出後は速やかな対応が必要です。
営業開始後の安全記録を継続する
点呼、業務記録、事故記録、初任運転者等への指導、重大事故報告などの安全対策を継続します。変更や廃止、相続・譲渡時は追加の届出が必要です。
必要書類
申請時に提出が必要な書類の一覧です。事前に揃えておくとスムーズに進みます。
貨物軽自動車運送事業経営届出書
様式1。正本・控えの2部提出。宣誓書欄を含みます。
事業者情報、開始予定日、営業所、車両数、車庫、休憩睡眠施設、運送約款など法第36条・施行規則第33条の届出事項を示すため。
各運輸局・運輸支局の公式ページから様式を取得。
運賃料金設定届出書
正本・控えの2部提出。
設定する運賃・料金を届け出て、事業開始時の料金体系を明確にするため。
各運輸支局の貨物軽自動車運送事業案内ページの様式。
運賃料金表
見本を参考に自社で作成。標準約款の使用内容と整合させます。
実際に適用する基本運賃や料金設定を示し、届出内容と営業実態を一致させるため。
運輸支局案内資料の見本を参考に自社作成。
事業用自動車等連絡書
1両につき1枚。正本・控えの2部が必要な運輸支局があります。
運輸支局で届出受理後、軽自動車検査協会等で黒ナンバーへ切り替えるための連絡書。
運輸支局の輸送部門で発行を受けます。
自動車検査証記録事項又は自動車検査証、完成検査終了証の写し
中古車は車検証関係、新車は完成検査終了証の写し。
事業用に供する車両を特定し、車両情報や種別を確認するため。
車両所有者が保有する車検証書類。新車は販売店等から取得。
貨物軽自動車安全管理者選任届
四輪以上の軽自動車を使用する場合に必要。
営業所ごとの貨物軽自動車安全管理者の選任を国土交通大臣へ届け出るため。
国土交通省または各運輸支局の安全対策案内ページの様式例。
貨物軽自動車安全管理者講習修了証明書等の写し
四輪以上の軽自動車を使用する場合に必要。
選任する安全管理者が法第36条の2の講習要件を満たすことを確認するため。
登録講習機関で講習受講後に交付。
費用・手数料
申請手数料(公式)
原則無料(届出自体)
運輸支局への経営届出自体に法定手数料はなく、黒ナンバーへの変更やナンバープレート交付等の実費は別途発生します。
自分で申請 vs 行政書士に依頼
| 自分で申請 | 行政書士に依頼 | |
|---|---|---|
| 費用 | 届出手数料は原則無料です。黒ナンバー切替や書類取得の実費が中心です。 | 行政書士等への報酬が別途かかります。届出と車両手続をセットで依頼するケースが一般的です。 |
| 期間 | 書類準備から車両手続まで数日〜2週間程度が目安です。 | 書類作成の負担を減らしつつ、提出先との調整も含めて進めやすくなります。 |
行政書士に依頼するメリット
車庫資料の整理、運賃料金表の確認、複数台の記載整理、安全管理者届出までまとめて任せられます。
おすすめ
車両1台・自宅営業所のシンプルなケースなら自力対応も可能です。法人開業、複数台、車庫要件や安全管理者の対応に不安がある場合は専門家への依頼を検討してください。
よくある失敗と対策
申請時によくあるミスと、その防ぎ方をまとめました。
車庫の使用権原や適法性を確認しないまま届出書を書き始めた
結果: 内容の裏付けができず、補正や準備のやり直しが必要になります。
対策: 賃貸借契約、使用承諾、所在地、都市計画法との関係を先に確認してから書類作成に入ります。
運賃料金設定届出書は出したが、料金表の中身が整っていなかった
結果: 料金体系の説明ができず、届出後の運用で混乱が生じます。
対策: 届出書と同時に料金表を作成し、約款との整合も確認します。
車検証関係書類を車両ごとにそろえず、連絡書の手続だけ先に進めようとした
結果: 車両を特定できず、黒ナンバー切替までスムーズに進みません。
対策: 中古車は車検証、新車は完成検査終了証の写しを車両単位で整理しておきます。
運輸支局への届出だけで営業できると思い、検査協会の手続を後回しにした
結果: 黒ナンバーへの切替が完了せず、実運行の開始が遅れます。
対策: 連絡書の受領後に行く検査協会の場所と必要書類を事前に調べておきます。
四輪で始めるのに安全管理者の講習受講と選任届を後回しにした
結果: 2025年4月以降の安全対策義務に対応できず、法令違反のリスクが生じます。
対策: 開業準備と並行して講習の受講日程と選任届出のスケジュールを組みます。
無許可営業の罰則
無届で貨物軽自動車運送事業を経営した場合は貨物自動車運送事業法第75条第11号により100万円以下の罰金。四輪以上の軽自動車を使う事業者が貨物軽自動車安全管理者を選任しない場合は同条第6号、選任届をしない又は虚偽届出をした場合は同条第7号により、いずれも100万円以下の罰金。事業廃止・譲渡・相続等の届出違反は同法第81条第6号により50万円以下の過料。
罰則を受けると、今後の許認可取得にも影響が出る場合があります。必ず事前に申請を行いましょう。
よくある質問
Q軽バン1台だけでも始められますか?
はい。1台から届出できます。ただし経営届出、運賃料金の届出、黒ナンバーへの切替、安全対策の実施は車両1台でも必要です。
Q軽乗用車(5ナンバー)でも使えますか?
はい。2022年10月27日以降は乗車定員3名以上の軽乗用車も使えます。ただし旅客運送はできず、積載重量に制限があります。
Q運輸支局に届出したらすぐ営業できますか?
すぐには始められません。連絡書の発行を受けたあと、軽自動車検査協会等で黒ナンバーへの切替手続が必要です。四輪なら安全管理者の選任・届出もお忘れなく。
Q届出の更新手続きはありますか?
ありません。ただし営業所、車両、事業内容の変更や廃止時には別の届出が必要です。
Q2025年以降に何が変わりましたか?
四輪以上の事業者に安全管理者の選任・届出、初任運転者への指導、業務記録・事故記録の保存などが義務化されました。
基本情報
関連法令
根拠法は貨物自動車運送事業法第36条で、届出義務を定めています。2025年4月以降の安全管理者の選任・届出は同法第36条の2が根拠です。届出事項や添付書類は施行規則第33条に規定されています。営業開始後の安全対策は輸送安全規則が実務上の基準です。車両の事業用手続は道路運送車両法、積載や安全運転は道路交通法の規制も受けます。
最終更新: 2026年3月20日
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