令和5年度「質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(我が国企業によるインフラの海外展開促進調査事業)」
基本情報
この補助金のまとめ
この補助金の特徴
定額補助でFS調査コストを全額カバー
本補助金は補助率が「定額」であり、承認された事業実施可能性調査の費用が全額補助される仕組みです。海外インフラ事業の初期調査段階は収益が見込めないため、この定額補助により企業のリスクを大幅に低減し、積極的な海外展開の検討を後押しします。通常のFS調査は数千万円規模になることもあり、この補助により参入障壁が大きく下がります。
エネルギーインフラ全般が対象の幅広いスコープ
対象となるエネルギーインフラ分野は、火力発電、再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱)、送配電網、石油・天然ガスの上流開発から下流の精製・流通まで幅広くカバーしています。近年注目される水素・アンモニアなどの次世代エネルギーインフラも対象となり得るため、最先端技術を持つ企業にとっても活用の余地があります。
SDGs貢献と日本の国際競争力強化の二重効果
単なる企業支援にとどまらず、相手国のエネルギーアクセス改善やCO2排出削減といったSDGs目標達成にも貢献する事業が優先採択されます。企業にとっては、ESG経営の観点からも対外的にアピールできる事業実績を積むことができ、ビジネスと社会貢献の両立が可能です。
政府間連携による事業推進の後押し
経済産業省が所管する本事業は、相手国政府との政策対話や二国間協力の枠組みと連動しています。FS調査の成果は日本政府の外交的支援とも結びつくため、民間企業単独では難しい大型案件の事業化に向けた強力なバックアップが期待できます。
ポイント
対象者・申請資格
法人格・事業実績
- 日本国内に本社を置く法人であること
- エネルギーインフラ関連の事業実績または技術力を有すること
- 過去に海外事業の実績があることが望ましい(必須ではない場合あり)
対象分野・事業内容
- エネルギーインフラ(発電、送配電、石油・ガス、再生可能エネルギー等)の海外展開に係るFS調査であること
- 新興国・途上国を中心とした対象国での事業実施可能性を調査する内容であること
- 日本の技術・ノウハウを活用した事業計画であること
執行団体要件
- 本事業は執行団体の公募を通じて実施されるため、執行団体として応募する場合は事業管理能力・実績が求められる
- 個別企業が直接応募する場合は、執行団体を通じた申請となる可能性がある
財務・体制要件
- 事業を遂行するための十分な経営基盤を有すること
- 調査に必要な人員体制を確保できること
- 適切な経理処理体制を整備していること
ポイント
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申請ガイド
ステップ1:公募情報の確認と事前準備
経済産業省のウェブサイトやe-Govで公募要領を入手し、対象分野・申請要件・スケジュールを確認します。対象国の市場環境やエネルギー政策の基礎調査を行い、FS調査の方向性を固めます。過去の採択事例を参考に、自社の強みと対象国のニーズの合致点を整理しましょう。
ステップ2:事業計画書の策定
FS調査の目的、対象国、調査項目、実施体制、スケジュール、所要経費を具体的に記載した事業計画書を作成します。SDGsへの貢献や相手国の開発計画との整合性を明確に示すことが重要です。経費の積算根拠を詳細に準備し、定額補助に見合う調査内容であることを説得力をもって示します。
ステップ3:申請書類の作成・提出
公募要領に指定された様式に従い、申請書類一式を作成します。法人の登記簿謄本、直近の財務諸表、事業実績を証明する資料などの添付書類を揃えます。電子申請システム(jGrants等)または指定の方法で期限内に提出します。
ステップ4:審査対応と採択後の手続き
書面審査に加え、プレゼンテーション審査が実施される場合があります。採択通知後、交付申請書を提出し、交付決定を受けてから事業を開始します。事業期間中は計画に沿った進捗管理と適正な経費執行を行い、完了後に実績報告書を提出します。
ポイント
審査と成功のコツ
対象国の政策ニーズとの整合性を明示する
日本技術の優位性と差別化を具体的に示す
SDGs・環境貢献を定量的に示す
実施体制と事業化ロードマップの説得力
ポイント
対象経費
対象となる経費
人件費(4件)
- 調査担当者の人件費
- 現地コーディネーターの報酬
- 専門家・技術者への謝金
- 通訳・翻訳者への報酬
旅費・交通費(5件)
- 海外渡航費(航空運賃)
- 現地移動費
- 宿泊費
- 国内出張旅費
- 日当
外注・委託費(4件)
- 現地調査の外注費
- 市場調査・データ分析の委託費
- 法務・会計コンサルティング費
- 環境アセスメント調査費
資料・情報収集費(3件)
- 技術資料の購入費
- データベースアクセス費
- 文献・統計資料の取得費
会議・報告書作成費(4件)
- 会議室借料
- 報告書の印刷・製本費
- 資料作成費
- 通信費
対象外の経費
対象外の経費一覧(8件)
- 本調査と直接関係のない一般管理費・間接経費
- 補助事業の交付決定日より前に発生した経費
- 設備投資・建設工事など資本的支出に該当する経費
- 飲食費・交際費・接待費
- 不動産の取得・賃借に係る経費(調査用の一時的な事務所賃借を除く)
- 他の国庫補助金等と重複して補助を受ける経費
- 消費税及び地方消費税相当額
- 事業完了後の維持管理・運営に係る経費
よくある質問
Qこの補助金の「定額」補助とは具体的にどういう意味ですか?
「定額」補助とは、承認されたFS調査事業の費用に対して、一定の上限額の範囲内で全額が補助される方式です。一般的な補助金では「補助率1/2」「補助率2/3」のように自己負担が発生しますが、定額補助の場合は交付決定された金額がそのまま支給されます。ただし、実際の支出が交付決定額を下回った場合は、実支出額が補助金額となります。また、対象経費として認められる範囲は公募要領で定められているため、すべての費用が無条件に補助されるわけではない点にご注意ください。
Q中小企業でも応募できますか?大企業でないと難しいのでしょうか?
中小企業でも応募は可能です。ただし、海外でのエネルギーインフラ事業は大規模になることが多いため、実態として大企業やプラントエンジニアリング会社が主な申請者となる傾向があります。中小企業の場合は、独自の技術力を持つ分野(例:特殊な再エネ技術、省エネ機器等)でのニッチ展開や、大企業とのコンソーシアム参画という形での活用が現実的です。技術力と事業管理能力が評価の鍵となります。
Q対象国に制限はありますか?どの国でのFS調査でも申請できますか?
公募要領で対象国・地域が指定される場合があります。一般的には新興国・途上国が主な対象で、ASEAN諸国、南アジア、中東、アフリカなどが中心です。OECD加盟の先進国は通常対象外となります。年度や公募回次によって重点対象地域が異なる場合があるため、必ず最新の公募要領で対象国を確認してください。また、外務省の海外安全情報で渡航中止勧告が出ている地域は実質的に調査が困難な場合があります。
QFS調査の期間はどれくらいですか?複数年度にわたることは可能ですか?
FS調査の実施期間は通常、交付決定日から当該年度末(3月末)までです。年度内に完了することが原則ですが、調査内容や規模によっては複数年度にわたる場合もあり、その場合は各年度ごとに交付申請・実績報告が必要です。調査期間が短い場合は、事前準備をしっかり行い、現地調査のスケジュールを効率的に組むことが重要です。渡航先のビザ取得や現地機関とのアポイント調整に時間がかかることも考慮して計画を立てましょう。
Q過去に不採択になった場合、再申請は可能ですか?
再申請は可能です。不採択の理由を踏まえて提案内容を改善し、次の公募期間に再度申請することができます。不採択の場合は、事務局に問い合わせることで審査結果のフィードバックを得られる場合があります。再申請の際は、対象国の政策変化や新たな現地パートナーの確保など、前回からの進展をアピールすることが効果的です。また、調査対象国や技術分野を見直すことで採択可能性が高まる場合もあります。
Q補助金で得たFS調査の成果は公開されますか?知的財産はどうなりますか?
FS調査の成果については、概要レベルでの公表が求められる場合がありますが、企業の競争上の機密に関わる詳細な技術情報や事業戦略は保護されます。知的財産権については、原則として補助事業者に帰属しますが、公募要領や交付規程で個別の規定が設けられている場合があります。国の補助金で実施した成果であるため、成果の社会還元や情報共有への協力が求められることがあり、この点は申請前に公募要領で確認しておくことをお勧めします。
Q執行団体の公募と個別企業の応募はどう違いますか?
本事業は二段階の構造になっています。まず経済産業省が「執行団体」を公募・選定します。執行団体とは、補助金の交付事務や個別案件の審査・管理を担う組織です。選定された執行団体が、次に個別のFS調査案件を公募し、日本企業からの提案を審査・採択します。企業が直接応募する場合は、執行団体が実施する二次公募に申請することになります。執行団体としての応募は、事業管理の実績や体制が求められるため、業界団体やシンクタンク、コンサルティング会社などが想定されます。
Q他の補助金・助成金と併用できますか?
本補助金はFS(事業実施可能性)調査段階に特化した支援制度のため、調査結果を踏まえた次のステップでは別の支援制度との組み合わせが効果的です。JICA(国際協力機構)の海外投融資やJBIC(国際協力銀行)のファイナンス支援は、FS調査後の事業化段階で活用できる有力な選択肢です。また、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の国際実証事業は、本FS調査で得られた技術的知見を実証段階に移行させる際に活用できます。JETRO(日本貿易振興機構)の海外展開支援事業と組み合わせることで、現地のビジネスマッチングや法規制情報の収集を効率的に進めることも可能です。ただし、同一経費に対する二重受給は認められないため、各制度の対象経費を明確に区分する必要があります。なお、本補助金は定額補助であるため、自己負担なく調査を実施した上で、事業化判断後に民間資金やODA関連融資を組み合わせるという段階的な資金計画が推奨されます。
詳細説明
補助金の概要と背景
「質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(我が国企業によるインフラの海外展開促進調査事業)」は、経済産業省が所管するエネルギーインフラ海外展開支援策の一つです。アジア・アフリカを中心とする新興国では、経済成長に伴いエネルギーインフラの需要が急速に拡大しています。こうした需要に対し、日本が世界に誇る質の高いエネルギー技術・ノウハウを活用し、SDGsの観点から相手国の社会経済発展に貢献するとともに、日本企業の海外ビジネス拡大を後押しすることが本事業の目的です。
支援内容とFS調査の範囲
本補助金は、海外でのエネルギーインフラ整備に向けたFS(Feasibility Study:事業実施可能性調査)の費用を定額で補助します。FS調査とは、事業の技術的実現可能性、経済性、環境・社会影響、法規制適合性などを総合的に検討する調査です。
- 技術的調査:現地の地理的条件、気候条件、既存インフラ状況の把握と最適技術の選定
- 経済性調査:事業コストの試算、収益性分析、資金調達スキームの検討
- 環境・社会影響調査:環境アセスメント、地域住民への影響評価
- 法規制調査:対象国の投資関連法規、エネルギー政策、許認可手続きの調査
- 市場調査:電力需要予測、競合状況、パートナー候補の調査
対象となるエネルギー分野
本事業が対象とするエネルギーインフラ分野は多岐にわたります。
- 火力発電(石炭、天然ガス、LNG)※高効率技術に限る
- 再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、バイオマス、小水力)
- 送配電・変電設備
- 石油・天然ガスの開発・精製・流通
- 水素・アンモニア等の次世代エネルギー
- 省エネルギー・エネルギーマネジメントシステム
- スマートグリッド・蓄電システム
申請から採択までの流れ
本事業は、まず執行団体の公募が行われ、選定された執行団体を通じて個別のFS調査案件が採択されるスキームが一般的です。申請にあたっては以下の準備が重要です。
- 対象国のエネルギー政策・開発計画との整合性を示す資料
- 日本技術の優位性を具体的に示す技術提案書
- 調査実施体制(チーム構成、現地パートナー)の計画
- 詳細な経費見積もりと積算根拠
- FS調査後の事業化に向けたロードマップ
「質の高いインフラ」の考え方
本事業名にある「質の高いインフラ」とは、2016年のG7伊勢志摩サミットで打ち出された概念で、以下の要素を重視しています。
- ライフサイクルコストを考慮した経済性(初期コストだけでなく運用・保守コストも含めたトータルコスト)
- 環境・社会への配慮(環境アセスメントの実施、地域社会との共生)
- 安全性・耐災害性の確保
- 技術移転・人材育成による相手国の自立的発展への貢献
- 開放性・透明性のある調達プロセス
これらの要素を満たすFS調査が高く評価されるため、提案書作成時にはこの観点を意識的に盛り込むことが採択率向上につながります。
活用のポイントと注意事項
本補助金を最大限活用するためのポイントは以下の通りです。
- 早期の情報収集:公募は年度ごとに実施されるため、経済産業省の資源エネルギー庁の情報を定期的にチェックしましょう
- 現地ネットワークの構築:FS調査の質を高めるため、対象国の政府機関・電力会社・開発機関とのコネクション構築を事前に進めておくことが重要です
- コンソーシアム形成:複数企業やJICA・JETRO等との連携体制を構築することで、調査の網羅性と事業化の実現性を高められます
- 経費管理の徹底:定額補助であっても、適正な経費執行と証拠書類の保存は必須です。補助金適正化法に基づく経理処理を徹底してください