室谷さん、「経営革新支援事業費補助金」って聞いたことありますか?倉敷市がやってる制度みたいなんですけど。
ありますよ!倉敷市の中小企業向けの補助金で、新しいことにチャレンジしたい企業を応援してくれる制度ですね。補助率が3分の2と非常に高くて、実質コストを3割台まで抑えられるのが特徴です。
そうなんです。経費の3分の2を市が負担してくれるので、たとえば300万円かかる事業なら、自己負担はざっくり100万円くらいで済む計算です。
なるほど、それはかなり助かりますね。どんな事業を対象にしているんですか?
大きく2つのパターンがあります。1つ目が「新事業活動実施事業」で、新商品開発や新サービス開発、技術に関する研究開発の3類型を実施する取組みが対象です。2つ目が「経営革新計画実施事業」で、都道府県が承認した経営革新計画に基づく取組みが対象になります。
経営革新計画って、中小企業庁のやつですよね。ハードルが高そう(笑)
そう感じる方も多いんですが、実はそこまで難しくないんです。商工会や商工会議所、金融機関が一緒にサポートしてくれる仕組みが整っていますし、今回の倉敷市の補助金もそういった支援機関のサポートが前提になっています。
2事業の補助額・補助率比較図
事業の種類によって違います。テーブルで整理しますね。
| 事業の種類 | 補助上限額 | 補助率 | 対象者 |
|---|
| ア.新事業活動実施事業 | 200万円 | 補助対象経費の3分の2 | 倉敷市内中小企業者(小規模事業者除く) |
| イ.経営革新計画実施事業 | 100万円 | 補助対象経費の3分の2 | 倉敷市内中小企業者 |
そうなんです。新商品開発や研究開発にチャレンジする企業の方が、より大きな補助が受けられる設計になっています。経営革新計画の実施は100万円が上限ですが、計画が承認された実績がある事業者なら確実にもらいやすいのが魅力です。
ざっくり言うと、「これから新しいことを始めたい」なら新事業活動実施事業、「すでに経営革新計画を持っている、またはこれから取得する」なら経営革新計画実施事業を選ぶとよいです。次は、どんな経費が対象になるか見ていきましょう。
補助金がもらえても、使える経費が限られてたら意味がないですよね。どんな経費が対象になるんですか?
- 原材料費: 新製品・新サービス開発のための原材料購入費
- 技術指導受入費: 外部専門家から技術指導を受けるための費用
- 共同研究費: 大学・研究機関との共同研究に係る費用
- 機械装置・システム費: 新事業に必要な機械装置やシステムの購入費
- 知的財産権導入費: 特許・商標などの知的財産権に関わる費用
- 外注費: 事業の一部を外部に委託する費用
- 広告宣伝・販売促進費: 新商品・新サービスの広告・PR費用
- 研修受講費: 新事業に必要なスキルを習得するための研修費
そうなんですよ。新商品を作って終わりじゃなく、それを売り出す広告費まで対象になるのは大きいです。ただし、詳細な経費の定義は手引き書に記載されているので、申請前に必ず確認が必要です。
人件費(自社の従業員に払う給与)や土地・建物の取得費、汎用性の高い備品(パソコンなど汎用機器)は基本的に対象外になることが多いです。あと、補助金交付決定前に発注・購入した経費は絶対にアウトです。この点は要注意です。
補助金の交付決定が下りる前に発注・購入した経費は、一切補助対象になりません。「採択されるだろう」と早合点して先に発注してしまうのは絶対にNGです。必ず採択通知を受け取ってから発注してください。
なるほど、これはよく聞くミスですよね。じゃあ次は、誰が申請できるのかを教えてください。
倉敷市内の中小企業と聞きましたが、もっと詳しく教えてもらえますか?
はい。まず共通の条件として、倉敷市内に住所と事業所を持つ中小企業者であることが必要です。個人事業主の場合は市内に住所と事業所の両方が必要で、法人の場合は市内に主たる事業所(本社機能がある事業所、または登記上の住所地で事業実態がある事業所)を持つことが条件です。
登記上の住所地だけど実態は別の場所ってパターンはアウト、ってことですね。
そうです。実態があることが重要です。もう1点、新事業活動実施事業の方には追加条件があって、常時使用する従業員数が20人(商業またはサービス業は5人)を超える中小企業者が対象です。つまり、いわゆる「小規模事業者」は対象外になります。
| 事業の種類 | 対象者(倉敷市内の方のみ) | 従業員規模 |
|---|
| ア.新事業活動実施事業 | 個人事業主・会社 | 常時使用従業員21人以上(商業・サービス業は6人以上) |
| イ.経営革新計画実施事業 | 個人事業主・会社 | 制限なし(中小企業者であれば可) |
あれ、商業とサービス業は5人超となってますが、宿泊業と娯楽業は除くって書いてありましたよね?
鋭いですね!正確には「商業またはサービス業(宿泊業および娯楽業を除く)は5人」という規定です。宿泊業や娯楽業は製造業などと同じく20人の基準が適用されます。これは中小企業基本法の定義に沿ったものです。次は経営革新計画について少し詳しく説明しますね。
経営革新計画実施事業の「経営革新計画」って、結局どういう書類なんですか?
経営革新計画は、中小企業が新たな事業活動を行うことで経営の向上を図るために都道府県知事等に承認を申請する計画書です。計画期間は3〜5年で、付加価値額の伸び率などの目標を設定します。
最初は少し手間がかかりますが、商工会・商工会議所の職員さんが一緒に作成サポートしてくれます。中小企業庁のHPには「経営革新計画 進め方ガイドブック」も公開されていますよ。
なるほど。で、この補助金ではどんな条件がありますか?
大事な条件が1つあって、経営革新計画の計画期間が補助金申請年度を含むものに限られます。つまり、令和8年度(2026年度)に申請するなら、経営革新計画の期間が令和8年度を含んでいることが必要です。すでに計画が終了した古いものは使えません。
- 経営革新計画の承認には通常2〜3ヶ月かかります
- 補助金申請期限(令和8年6月6日)から逆算して、早めに計画作成に着手してください
- 支援機関(商工会・商工会議所)に相談するのがベストです
じゃあ今から計画を作り始めても、6月の申請に間に合うか際どいですね。
そうですね。今から動くなら正直、新事業活動実施事業の方が現実的かもしれません。まだ経営革新計画を持っていない場合は、今期は新事業活動で申請して、来年度に向けて経営革新計画を申請しておく、という使い方も賢いです。
申請フロー図
実際に申請するとき、どんな手順を踏めばいいんですか?
この補助金、特徴的なのが「事前相談」が必須なんです。いきなり書類を出しても受け付けてもらえないので、手順をしっかり押さえましょう。
事前相談の締切が5月29日で、申請書の締切が6月6日なんですね。逆に言うと、5月30日以降に相談に行っても間に合わないってこと?
そういうことです!ほんとに!ここ、誤解する方が多いんですよ。6月6日まで大丈夫だろうと思ってたら、事前相談期限が5月29日で「もう終わってますよ」ってなる。今年申請したい方は、5月中旬には支援機関への相談を始めてほしいですね。
支援機関はどこに相談すればいいんですか?たくさんありますよね。
| カテゴリ | 機関名 |
|---|
| 商工会議所 | 倉敷商工会議所・児島商工会議所・玉島商工会議所 |
| 商工会 | つくぼ商工会・真備船穂商工会 |
| 金融機関(制度融資取扱) | 中国銀行・広島銀行・百十四銀行・トマト銀行・山陰合同銀行・もみじ銀行・香川銀行・伊予銀行・水島信用金庫・玉島信用金庫・吉備信用金庫・おかやま信用金庫・笠岡信用組合 |
金融機関はものすごく多い!市外の支店でも大丈夫なんですか?
金融機関については、「金融機関が対応できる場合は、市外の支店による支援となっても可」とされています。つまり、メインバンクが倉敷市外の支店でも相談できるケースがあるんです。
それはありがたいですね。自社のメインバンクが一番話を聞いてくれそうですし。
まさに。すでに融資などでお付き合いがある金融機関なら、自社の財務状況も理解してもらえているので、事業計画書のフィードバックも具体的にもらいやすいです。
過去にどんな企業が採択されているか気になります!事例を教えてもらえますか?
令和7年度(2025年度)の採択実績を見ると、面白い事業が並んでいますよ。経営革新計画実施事業では7社が採択されています。
| 事業者名 | 計画・事業内容 | 支援機関 |
|---|
| GRAPE SHIP株式会社 | 葡萄の澱(おり)を活用したクラフトビールの開発 | 真備船穂商工会 |
| にしだ建築工房合同会社 | 建築費用変動のリスクヘッジと情報コミュニケーションを通じた顧客の安心向上 | つくぼ商工会 |
| テンマップス株式会社 | 高齢者支援からスタートする終活の総合ワンストップサービス | 真備船穂商工会 |
| 株式会社バウンスバック | 地域資源(竹)の新たな活用方法の確立による販路開拓 | 真備船穂商工会 |
| 有限会社ビューティーファクトリー | メイドイン倉敷の安心安全なペット向けおやつの開発 | つくぼ商工会 |
| 岡山ロボケアセンター株式会社 | HAL小児プログラムによるインバウンド需要の開拓 | 百十四銀行(総社支店) |
| バースコミュニティ合同会社 | 自社開発システム「LIVRE」の外販によるシステム事業の確立 | 倉敷商工会議所 |
え、クラフトビールとかペットのおやつとか、かなり幅広い業種が入ってますね!
そうなんです。製造業・建設業・農業系・介護福祉・ITサービスと、業種を問わず採択されています。新事業活動実施事業でも7社が採択されていて、AI活用の特許事業(株式会社協同)や、ジーンズ加工技術の多分野展開(株式会社WHOVAL)など、倉敷の地場産業を活かした取組みが目立ちます。
毎年14社くらい採択されてるんですね。競争率ってどのくらいなんですか?
公式な採択率のデータは公開されていないんですが、倉敷市内の中小企業数から考えると、申請する企業はそれほど多くないと思われます。商工会や商工会議所のサポートをしっかり受けて、きちんとした計画書を作れば、採択の可能性は十分高いです。
審査で見られるポイントって何ですか?どうすれば採択されやすいんでしょう?
- 革新性を明確に: 既存事業との違いを具体的に書く。「新しい商品」「他社との差別化」を数値や具体例で説明する
- 市場ニーズの根拠: 開発・販売する商品・サービスへの需要が実在することを示す。顧客からのヒアリング結果や市場調査データを活用する
- 実現可能な計画: 予算・スケジュール・実施体制が具体的で現実的であること
- 地域への貢献: 倉敷市内での雇用創出や地域資源の活用など、地域貢献の視点を盛り込む
- 支援機関との連携: 申請前から支援機関と密に連携し、計画書のフィードバックを十分に受ける
なるほど。「なんとなく新しいことをやりたい」じゃなくて、ちゃんと根拠があることが重要なんですね。
まさに。採択された事例を見ると、地域の資源(倉敷ジーンズ、岡山の果物など)を活かした計画や、既存の課題を明確に解決する計画が多いです。倉敷市には製造業や繊維産業の集積があるので、そういった強みを活かした新事業が審査員に響きやすいと思います。
よくあるのが、「新しいことをやる」と書いてあるのに、実は既存の事業の延長線上にすぎない計画です。「同じ商品をターゲット変えて売る」だけでは革新性が認められにくい。本当に新しい商品・サービス・技術開発かどうかが問われます。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 倉敷市経営革新支援事業費補助金 |
| 実施機関 | 倉敷市 文化産業局 商工労働部 商工課 |
| 対象地域 | 岡山県倉敷市 |
| 事業計画書受付期間 | 令和8年4月1日(水曜日)〜令和8年6月6日(金曜日) |
| 事前相談期限 | 令和8年5月29日(金曜日)まで(要電話予約) |
| 補助上限額 | ア. 新事業活動実施事業: 200万円 / イ. 経営革新計画実施事業: 100万円 |
| 補助率 | 補助対象経費の3分の2(両事業共通) |
| 問い合わせ先 | 086-426-3405(倉敷市商工課) |
| 公式サイト | 倉敷市HP 経営革新支援事業費補助金 |
ありがとうございます。この補助金、倉敷市内の中堅規模の中小企業にはかなり使いやすそうですね。
そうですね。補助率3分の2というのは国の補助金と同水準以上で、地域密着型の補助金としてはかなり手厚い内容です。次回公募に備えるためにも、今から支援機関に相談しておくと良いですよ。
倉敷市では経営革新支援事業費補助金のほかに、
倉敷市 金融機関連携型中小企業支援事業費補助金もあります。こちらは補助上限額100万円・補助率3分の2で、金融機関が連携して支援する形の補助金です。資金調達と経営支援を組み合わせて活用している企業も多いですよ。
制度上の併用可否については個別に確認が必要ですが、それぞれ目的が異なる場合は活用できる可能性があります。倉敷市商工課に相談すると、自社の状況に合った最適な組み合わせを教えてもらえます。
都道府県・市区町村によって補助率や上限額が異なるので、自社が申請できる制度を複数チェックしておくことが大切ですね。特に地方の中小企業は国の補助金と市区町村の補助金の両方を視野に入れると選択肢が広がります。
- まず地元(倉敷市)の補助金を確認
- 次に岡山県の補助金をチェック
- さらに国(中小企業庁)の補助金も確認
- 同一事業に対する重複申請は禁止だが、別事業・別目的なら複数の補助金を組み合わせることが可能
申請しようと思っている方が気になりそうな質問をいくつか聞いてもいいですか?
まず、「小規模事業者でも申請できる事業はありますか?」
経営革新計画実施事業(イ)については、小規模事業者に対する従業員数の制限がありません。ただし「中小企業者」の範囲内であることは必要です。新事業活動実施事業(ア)は20人超(商業・サービス業は5人超)という条件があり、これ未満の小規模事業者は対象外となります。
「Jグランツで申請できますか?」という質問も多そうです。
これは要注意ポイントです!Jグランツでは本補助金の申請受付を行っていません。倉敷市のホームページから手引きや様式をダウンロードして、商工課に直接申請する流れになります。
「事業計画書は自分で書けますか?支援機関への相談は必須ですか?」
形式上、支援機関への相談は必須要件として明示されていませんが、申請前に市への事前相談は必須で、その際に「支援機関との相談実績」が前提になります。また支援機関から「支援表明書」を提出してもらう必要があるため、実質的に支援機関のサポートは必須といえます。
変更する場合は「変更承認申請書」を市に提出して承認を得る必要があります。勝手に変更してしまうと補助金の返還を求められる場合があるので、変更が生じたら必ず事前に市に相談してください。
最後に、「資金が足りなくて事業が途中でできなくなった場合は?」
事業の中止や廃止が必要になった場合は「中止承認申請書」を提出します。補助金はあくまで後払いの精算払い(補助金受取より先に自社で費用を立替える必要がある)なので、資金繰りには十分注意してください。運転資金や立替金の確保も含めて、メインバンクにしっかり相談しておくことをおすすめします。
補助金の支払いは事業完了後の精算払いです。補助対象経費は一旦自社で全額立替える必要があります。補助上限額200万円の場合でも、事業経費300万円(うち200万円が補助)を自社で先に支出し、後から200万円を受け取る仕組みです。資金繰りに無理がないか、金融機関とも相談しながら申請してください。