室谷さん、今日は「令和8年度リスキリング・キャリアデザイン応援事業-R8」をテーマにお願いします。名前がまた長いですね(笑)
長いですよね(笑)。でも中身は割とシンプルで、従業員のリスキリング=学び直しやキャリアデザイン=キャリア形成の「制度整備」に取り組んだ事業者に、専門家派遣や奨励金を支給する事業です。
えっ、専門家が派遣されるんですか? しかも奨励金ももらえる?
そうです。都内の中小企業等の労働生産性を高めて、持続的な成長を促すのが目的。社員に研修を受けさせるだけではなく、会社として「学び直ししやすい仕組み」をつくるところを後押しする、というイメージですね。
なるほど。単発の研修補助とはちょっと違うんですね。
そこが一番の特徴です。「リスキリングやキャリアデザインの制度整備に取り組んだ場合」が支給の軸になっていますから、社内の制度としてどう整えるかが問われるわけです。
じゃあ、まず「どういう制度なのか」をざっくり掴むために、特徴を整理してもらえますか?
いいですよ。この事業は大きく3つの柱で見ると分かりやすいです。
令和8年度リスキリング・キャリアデザイン応援事業-R8の特徴専門家派遣と奨励金
従業員のリスキリングやキャリアデザインの制度整備に取り組む事業者に、専門家派遣や奨励金を支給します。
都内の中小企業等が対象
都内で事業を営み、常時雇用する労働者が300人以下の事業者が対象です。
1項目20万円・2項目40万円
補助上限額は40万円。1項目20万円、2項目40万円という支給構成になっています。
専門家派遣+奨励金で、上限40万円。しかも1項目20万円、2項目40万円……って、あれ? この「項目」の考え方がちょっと気になりますね。
いいところに目をつけました。次の章で金額の仕組みをしっかり見ていきましょう。
それでは金額の詳細から。公式情報には「補助上限額 400,000円」と「補助率 1項目20万円、2項目40万円」とありました。
そうですね。まず間違いなく押さえたいのは、補助上限額が40万円だということ。そして1項目につき20万円、2項目に取り組むと40万円になる、という構成です。
項目単位で数えるんですね。3項目やったら60万円……にはならない?
残念ながら、上限は40万円です。2項目まで、と理解しておくのがいいですね。実際にjGrantsの公式情報にも「補助上限額 400,000円」「1項目20万円、2項目40万円」と明記されています。
じゃあ、「1項目」のボリューム感が気になるなあ。研修1回分とか、そういうイメージ?
そこは私も勝手に決められないので、募集要項で確認してください。対象になる取組の内容や項目の数え方は、公募要領に詳細が載っているはずです。
| 取組項目数 | 支給額 |
|---|
| 1項目 | 20万円 |
| 2項目 | 40万円(上限) |
表にすると分かりやすいですね! ちなみにこの「40万円」は返済不要の奨励金なんですよね?
この事業は「専門家派遣や奨励金を支給する」とあって、奨励金という形です。借りたお金を返すのとは違いますから、資金繰り的にはありがたいですよね。
基本情報に「複数申請: 可」とありました。これ、何回でも申請していいってことですか?
ここは注意深く読む必要があります。まず「複数申請: 可」という記載はありますが、一方で応募資格のところに「助成内容が同一と認められる奨励金等を利用又は受給したことがないこと」という条件があります。
そうです。同一の助成内容だと判断されれば対象外になりますから、「とにかく複数出せばいい」という話ではないんです。複数申請の範囲や併用が認められるケースは、公募要領か問い合わせ先で確認するのが確実ですよ。
なるほど。気軽に申し込む前に、ちゃんと条件を理解しておかないとですね。
では、応募資格を具体的に教えてください。まず会社の規模から。
大枠は「都内で事業を営んでいる中小企業等」で、常時雇用する労働者数が300人以下であること。この人数は事前エントリー日時点で満たしている必要があります。
300人以下なら、わりと大きな会社でも対象になるんですね。
そうですね。ここで気をつけたいのが「常時雇用する労働者」の定義。期間の定めなく雇用されている人に加えて、過去1年を超えて継続雇用されている有期雇用の人などが含まれます。一方で、登録型派遣労働者はここでは除かれます。
おっと、派遣さんはカウントしないんですね。細かい定義まで確認しないと、あとで「対象外」になりそうです。
それに、事前エントリー日から実績報告日に至るまでの全期間で、ずっと要件を満たしている必要があります。「エントリー時だけクリアしていればいい」わけではないので注意してください。
株式会社じゃないとダメ、みたいな縛りはありますか?
ありませんね。企業のほか、一般社団法人、一般財団法人、医療法人、社会福祉法人、学校法人などの公益法人等や、特定非営利活動法人、協同組合等、労働者協同組合も対象になり得ます。
医療法人や学校法人まで入ってるんですね。結構広い。
そして、個人事業主も対象です。ただし、都内税務署へ個人事業主の開業届出書を提出している必要があります。対象業種も、漁業、建設業、製造業、情報通信業、卸売業・小売業、医療・福祉、宿泊業・飲食サービス業など、20の業種カテゴリが並んでいます。
飲食店をやっている知り合いがいるんですが、対象になりますかね?
対象業種リストに「宿泊業、飲食サービス業」がありますから、要件を満たせば検討できるでしょう。自分が該当するかは、公式ページの対象業種リストに照らして確認してみてください。
まず、同窓会や同好会のように構成員の親睦・連絡・意見交換を主目的とする団体は対象外です。特定団体の構成員や特定職域の人だけを対象にした福利厚生・相互救済を目的とするものもダメ。特定個人の精神的・経済的支援を目的とする後援会のようなものも対象外になります。
あとは法人格のない任意団体、運営費の大半を公的機関から得ている法人も対象外です。あわせて、風俗営業などの事業を行っている場合や、暴力団関係者が関わる法人も対象外になります。ここはきっちり要件で除外されていますから、該当しないことを確認してから進みましょう。
大きいのが就業規則です。常時雇用する労働者が10人未満の企業でも、本奨励金では労働基準監督署への届出が必須だと明記されています。
えっ、10人未満の会社って、通常は就業規則の届出義務がなかったはず……。
そうなんですよね。通常の法定要件よりハードルが上がっている、と言えます。しかも、就業規則の作成・施行は事前エントリー日以前に行っている必要があります。支給申請時には、届出印がある就業規則を提出しなければなりません。
うわ、エントリーしてから「就業規則を作ろう」では遅いんですね。これは重要。
重要です。ほかにも、賃金が最低賃金以上であること、36協定の上限を超える時間外労働をさせていないこと、年次有給休暇を年5日取得させる義務に違反していないことなど、労働関係法令の遵守も応募資格に含まれます。あと、都税の未納がないこと、ハラスメント防止のための措置を取っていることも要件です。
地味にたくさんある(笑)。でも、これらは全部「応募資格」なんですね。
そう。しかも「要件を満たしていないことが判明した場合は奨励金の対象外となります」と明記されています。申請前に社内の状態を棚卸ししておくのが近道です。
では、肝心の「どんな取組がお金の対象になるのか」を聞きたいです。例えば、社員に外部研修を受けさせたら対象、みたいなイメージでいいんですか?
この事業の目的文には「従業員のリスキリングやキャリアデザインの制度整備に取り組んだ場合に、専門家派遣や奨励金を支給する」とあります。単発の受講というより、社内の仕組みをどう整えるかが主眼です。
なるほど。だから「キャリアデザイン」なんですね。社員が自分のキャリアを描けて、学び直しができる会社の仕組みづくり。
その理解で正しいと思います。使途としても「人材育成を行いたい」「雇用・職場環境を改善したい」の2つが掲げられています。「研修を何回やったか」ではなく、その先の会社の仕組みや環境が問われているわけです。
じゃあ、具体的な経費、たとえば「テキスト代」「講師謝金」などがどこまで対象になるかは、どこを見ればいいですか?
ここは正直に申し上げて、公募要領で要確認です。jGrantsの公式ページには「R8リスキリング・キャリアデザイン応援奨励金_募集要項.pdf」という形で募集要項が公開されています。経費の範囲や支給要件は、必ずこの要項で確認してください。
そうですね。「専門家派遣や奨励金を支給する」というのが制度の骨格で、人材育成・雇用・職場環境改善が目的。ただ、実際に何が経費として認められるかはケースバイケースなので、私が勝手に「これは対象です」とは言えないんですよ。
そこはちゃんと一次情報を確認しろ、と。でも、ざっくりした制度の「メリットと注意点」は教えてもらえますか?
制度のメリットと注意点- 返済不要の奨励金が受けられる(上限40万円)
- 専門家派遣を活用しながら社内の仕組みを整備できる
- 複数申請が可能とされている
×デメリット
- 事前エントリー日から実績報告日まで全期間で応募要件を満たす必要がある
- 就業規則の労働基準監督署への届出が必須(従業員10人未満でも)
- 助成内容が同一と認められる奨励金等を利用・受給していると対象外
いい整理ですね! 「返済不要」は大きいし、逆に「10人未満でも就業規則の届出が必須」なのは落とし穴だなあ。
募集期間は2026年5月20日から2026年9月30日までです。ここはしっかり押さえてください。
2026年9月30日までに、取組も終わらせて申請も済ませる、というイメージですか?
待ってください、そこが落とし穴です。この募集期間は「申請受付」の期間という見方が自然です。取組の実施や実績報告までがすべて9月30日までかどうかは、募集要項で確認しないと断言できません。
あ、確かに。申し込み締切と、事業実施・実績報告の締切は別物ですもんね。
そうです。「9月30日までに全部終わらせればいいんでしょ?」と早合点するのが一番危ない。事前エントリーのタイミングも含めて、公募要項のスケジュール表を必ず確認してください。
応募資格の説明に「事前エントリー日」「支給申請日」「実績報告日」という言葉が出てきます。申請様式も、支給申請書、取組計画書、実績報告書などが用意されています。流れを図にするとこんな感じです。
申請の流れ(詳細は公募要領で確認)- 1
募集要項を入手
jGrantsの公式ページで募集要項・申請様式を確認します
- 2
事前エントリー
エントリー日時点で従業員300人以下などの応募資格を満たすことが必要です
- 3
取組を実施
専門家派遣等を活用し、従業員のリスキリングやキャリアデザインの制度整備に取り組みます
- 4
支給申請
様式第1号の支給申請書や様式第2号の取組計画書などを提出します
- 5
実績報告
取組完了後に様式第9号の実績報告書などを提出します
エントリーがあって、取組をやって、支給申請して、最後に実績報告。思ったより段階が多いんですね。
そうですね。ただし、正確な順序や各手続きの期日は募集要項で確認してください。公式ページに載っている申請様式に、支給申請書や取組計画書、実績報告書、それに各種チェックリストがありますから、先に中身を見ておくとイメージが掴めますよ。
申請はどうやって出すんですか? 紙ですか? それとも電子申請?
公式ページは、国が運営する補助金のポータルサイト「jGrants」上にあります。基本情報にも「申請受付: 有」とあり、ポータル上に募集要項や申請様式のPDF・Excelが公開されています。
ここも私が「絶対に電子申請です」と断定するのは危ないので、じっくり確認してください。実際に必要なアカウントの有無や、提出方法、操作手順はjGrantsの案内または公募要領に沿うのが確実です。あと公式ページには「当サイトの代理申請 可」との記載もあるので、手続きが不安な会社は代理申請の活用も検討できますね。
なるほど。私が「GビズIDが絶対必要です」なんて適当なことを言うと、読者の方が間違えますからね(笑)。
その心がけ、大事です(笑)。必ず最新の公式情報で手順を確かめてください。
とにかく最初の一歩は、2026年5月20日の募集開始ですね。
そうです。そこから準備を始めると、就業規則の整備や届出などが間に合うかどうかは会社次第。できることは募集開始前から始められますから、余裕をもって動きたいですね。
公募スケジュール2026年5月20日
募集開始
公式ページで募集要項・申請様式を確認して準備を開始します
2026年9月30日
募集締切
申請受付はこの日まで。事前エントリーや支給申請のタイミングは要項で確認が必要です
2026年5月20日スタートで9月30日締切。約4か月強ですね。
そう。ただ、エントリーが枠の先着順なのか、期間内募集なのかも公募要領で確認してください。ここを読み飛ばすと、思わぬタイミングで締切を迎えることになりかねません。
採択されるためのポイント、みたいなものはありますか?
この手の事業で一番怖いのは「申し込みはしたけど、実は要件を満たしていなかった」というケースです。募集要項には応募資格が16項目ほど列挙されていて、どれか一つでも欠けると奨励金の対象外になり得ます。
ですから、まずは「いかに早く正確に資格を満たすか」が最大のポイントです。採択云々の前に、足切りされない状態をつくる。ここを攻略しないと何も始まりませんよ。
なるほど。じゃあ、募集要項を読む前に、この辺を先に確認しておけ、というものがあれば教えてください。
ええ。事前エントリー日以前に作成・施行していないといけないので、「エントリーしてから作ろう」では手遅れです。従業員が10人未満の会社は、そもそも就業規則を作っていないケースも多いので、ここが最初の山場になるでしょう。
あります。過去5年間に、国・都道府県・区市町村などの助成事業で不正受給による不支給決定や取消しを受けていないこと。あと刑事罰や営業停止処分、労働基準監督署による検察官への送致、消費者庁の措置命令など重大な法令違反がないことも要件です。
身に覚えがなければ大丈夫、とはいえ、確認しておくに越したことはないですね。
そうですね。特に、令和7年度の「リスキリング・キャリアデザイン応援奨励金」に当選している場合は対象外です。ただし、エントリー後に落選していた場合は申請可能です。前年度のことが関係するのは、この事業ならではの注意点でしょう。
要件が多くて「これって自社は該当する?」と迷う場面もありそうです。
迷ったら問い合わせるのが一番です。公式情報に問い合わせ先が載っていますから、ここは臆さず使っていいと思います。
制度の解説記事を読むだけでは読み取れない、自社だけの事情もありますもんね。
特に「同一の助成内容」に当たるかどうかは、自社の状況によって判断が分かれます。コールセンターで確認した方が、あとで「対象外でした」となるリスクを減らせますよ。
ここからは、申請を迷っている事業者が気にする疑問をいくつか解消していきます。まず個人事業主です。
個人事業主も対象です。ただし、都内税務署へ個人事業主の開業届出書を提出している必要があります。あと、都内に本社や主たる事業所があること、都内に勤務する常時雇用する労働者を1人以上、6か月以上継続して雇用していることなども要件です。
1人でも社員を6か月以上雇っていれば、個人事業主でも検討できるわけですね。
はい。しかも、その従業員は雇用保険被保険者であることが条件です。休業中の従業員も含むと明記されています。
従業員300人以下といっても、パートやアルバイトはどう数えるんですか?
ここは「常時雇用する労働者」の定義を正確に見る必要があります。期間の定めなく雇用されている人はもちろん、有期雇用でも過去1年を超えて継続雇用されている人、または採用時から1年を超えて継続雇用されると見込まれる人は含まれます。
ああ、だから「見込まれる」の判断が大事なんですね。
そう。「見込まれる」とは、労働契約書などで1年を超える期間まで継続雇用契約が締結されていることを指します。日々雇用で更新されている人でも、同じように過去1年を超えて雇われていれば含まれます。逆に、登録型派遣労働者は除かれます。
これは自社の雇用形態を棚卸ししないと、正しく数えられないですね。
「令和7年度の事業に応募したけどダメだった」という会社は、今回はどうなりますか?
申請可能です。応募資格には「令和7年度『リスキリング・キャリアデザイン応援奨励金』に当選していないこと」とあり、さらに「エントリー後、落選された場合は申請可能です」という注記があります。
お、落選なら再チャレンジできるんですね。じゃあ「当選したけど辞退した」場合は?
それも「当選していないこと」には該当しない可能性が高いので、まずは問い合わせで確認するのがいいでしょう。私の方から「大丈夫です」と断言はできませんから、正確な判断は事務局に聞いてください。
リスキリング・キャリアデザイン応援奨励金事務局コールセンターが案内されています。電話番号は03-4572-0451、受付時間は平日の9時から17時までです。ただし、12時から13時と土日祝日・年末年始は休みです。
平日のお昼休みを挟む時間帯は避けた方がいいですね。
最後に、制度の基本情報を整理しておきたいです。表でまとめてもらえますか?
もちろんです。申請を検討するときの「最初に戻って確認する画面」として使ってください。
コンパクトにまとまって助かります! 特に「1項目20万円、2項目40万円」という独特の表記は、頭に刻んでおかないとですね。
そうですね。ここを読み間違えると「3項目申し込めば60万円」と勘違いしてしまう。まずは上限40万円、そして2項目まで、という土台を忘れないでください。
では最後に、記事全体のポイントを室谷さんの言葉で締めくくってください。
この制度は「社員の学び直しを会社の仕組みで支えたい」という都内の中小企業等を応援する事業です。返済不要の奨励金が上限40万円、1項目20万円・2項目40万円という構成で、専門家派遣もセットになっています。
応募のハードルとしては、就業規則まわりが特に要注意でしたね。
就業規則の作成・施行は事前エントリー日以前、労働基準監督署への届出は支給申請日以前。従業員10人未満でも届出が必須です。この点をクリアできるかどうかが、実務上の最初の関門になるでしょう。
申請を検討している方は、まず募集要項を読むところから始めましょう!
ありがとうございました! 申請を考えている方は、まずは公式ページの募集要項をチェックしてみてくださいね。
はい。分からないことはコールセンターに聞けば大丈夫。皆さんの会社に合った形で、この制度を上手に活用してください!