室谷さん、「救急搬送患者受入体制強化事業」って、今まで補助金の一覧で何度か目にしてたんですけど、これって具体的に何をする補助金なんですか?
これはですね、東京都が独自に実施している補助金で、救急外来に「救急救命士」を新たに配置するための人件費を補助してくれる制度なんです。病院の救急外来に救急救命士を置いてもらって、医師や看護師の負担を減らしつつ救急搬送の受入件数を増やそう、という施策ですね。
えっ、救急救命士って救急車の中にいる人ですよね?病院の中にも置けるんですか?
そうなんです、これが結構面白いポイントで!法改正によって、医師の指示の下であれば医療機関内でも救急救命処置を行えるようになったんですよ。だから東京都がその制度を活かして、「じゃあ救急外来にも配置しよう」という流れで始まった補助事業なんです。
なるほど!東京都って救急搬送件数が多いイメージありますけど、それが背景にあるんですか?
まさにそうで。東京都は全国でも救急搬送件数がトップクラスで、救急外来の混雑が年々深刻化してるんですよね。医師や看護師だけでは対応しきれない状況が続いていて、受入困難(いわゆる「たらい回し」)の発生も問題になっています。本事業はそれを解消するための具体的な手立てです。
東京都内の「指定二次救急医療機関」が対象です。公的病院は除かれていて、民間の指定二次救急医療機関が主な対象になります。救急告示を受けていても公立だとこの補助は対象外、という点は最初に確認が必要ですね。
東京都救急搬送患者受入体制強化事業の補助金概要
で、実際にいくら出るんですか?「交付要綱等を参照」ってjGrantsには書いてあって、金額がわからなくて……
これは東京都が公開している資料に詳細が載っていて、ざっくり説明すると救急救命士1人あたりの基準額が430万円、補助率が4分の3(75%)なんです。対象は最大2名まで、補助を受けられる期間は最長3年間というのが基本的な枠組みです。
430万円の75%だから、1人あたり最大322万5千円ってことですね?
そうなりますね。2名分だと645万円が上限の目安になります。ただしこれは基準額なので、実際の補助額は申請する経費の実績に基づいて確定します。基準額を超えた部分は自己負担になる、という仕組みです。
3年間っていうのは何でそういう縛りがあるんですか?
これは「体制整備」に対する補助だからなんですよね。最初の立ち上げ期に支援して、3年後には自力でその体制を維持できるようにしてほしい、という東京都の意図があります。補助が終わっても救急救命士の配置を継続できるように、最初から持続可能な計画を立てることが重要になってくるわけです。
| 補助の基本条件 | 内容 |
|---|
| 対象 | 東京都指定二次救急医療機関(公的病院除く) |
| 対象経費 | 救急救命士等の人件費(新規雇用・配置替含む) |
| 基準額 | 1人あたり430万円 |
| 補助率 | 4分の3(75%) |
| 対象人数 | 最大2名まで |
| 補助期間 | 最長3か年 |
| 交付条件 | 休日・夜間帯に月48時間以上従事すること |
月48時間以上従事って、これは何のための条件なんですか?
「救急医療の手薄になる時間帯に配置してほしい」ということなんです。救急搬送が特に集中するのは休日と夜間なので、そこにきちんと人を充ててくれる医療機関を支援する、という趣旨があります。日中だけ置いてハイ終わり、では本来の目的を果たせないですからね。
先ほど出てきた補助金交付条件って他にもありましたよね?「救急搬送人員または応需率が増加すること」みたいな条件が。
そうなんです、これが大事なポイントで!事業開始前の年(基準年)と比べて、救急搬送人員または応需率が増加することが交付条件になっています。つまり「救急救命士を置いたことで実際に受入件数が増えた」という実績が求められるんです。
えっ、それって結構ハードル高くないですか?もし増えなかったら補助金を返還しなきゃいけないんですか?
実績報告の段階で確認される仕組みになっています。増加が確認できなければ補助金額の確定に影響が出る可能性があります。だからこそ、申請前に「うちの救急外来は本当に救急救命士を配置することで受入数を増やせるか」を真剣に検討することが大切なんですよね。
この補助金には「基準年対比で救急搬送人員または応需率の増加」という実績要件があります。単に人を配置するだけでなく、受入体制の実質的な強化につながる計画が必要です。申請前に東京都保健医療局に事前相談をすることを強くおすすめします。
申請資格の話をもう少し詳しく聞かせてもらえますか?どんな医療機関が申請できて、どんな医療機関はできないのか。
申請できる医療機関の要件はこういう条件になっています。
| 要件 | 内容 |
|---|
| 所在地 | 東京都内 |
| 医療機関の種別 | 指定二次救急医療機関 |
| 開設主体 | 民間(公的病院は除外) |
| 配置人材 | 救急救命士等(国家資格保有者) |
| 業務内容 | 医師の指示の下での救急救命処置・調整業務等 |
| 勤務条件 | 休日・夜間帯に月48時間以上従事 |
「救急救命士等」の「等」って、救急救命士以外の人も対象になるんですか?
交付要綱には「救急救命士等」とあって、救急搬送患者への対応業務を担える人材が広くカバーされているんです。診療録の代行入力、物品運搬、傷病者のトリアージ補助、転院搬送に向けた連絡準備など、医師・看護師以外でも担える業務をする人材が対象になります。具体的な職種の範囲は東京都に確認するのが確実です。
令和7年度救急搬送患者受入体制強化事業の申請フロー
じゃあ実際に申請するとき、どういう手順で進めればいいんですか?
大きく分けると4つのステップです。まず最初は交付要綱をしっかり読んで、自院の状況を分析することから始まります。
交付決定前に事業開始したらダメってところ、うっかりミスしやすそうですね。
ほんとうに要注意です!補助金ではよくある落とし穴で、「もう採用内定を出してしまった」みたいなケースが危ない。内定は出せても、実際の配置開始(雇用開始)は交付決定後にするのが鉄則です。
補助金が使える経費って、具体的に何ですか?人件費だけですか?
主要なのは人件費ですが、それ以外もカバーされています。
| 経費区分 | 具体的な内容 |
|---|
| 人件費 | 給与・賃金、法定福利費(社会保険料等)、通勤手当 |
| 研修費 | 院内外のスキルアップ研修費、資格維持に関連する費用 |
| 設備整備費 | 救急外来での処置に必要な医療機器等の整備費 |
ただし、あくまで「救急外来配置の救急救命士が使う」機器が対象で、病院全体の医療機器整備には使えません。あと、以下に挙げるものは明確に対象外なので要注意です。
以下の経費は補助の対象になりません。事業計画に含めないよう注意してください。
- 医療機関の通常運営に係る一般管理費
- 既に配置済みの既存職員の人件費(新規配置分のみが対象)
- 建物の新築・大規模改修費
- 救急外来以外の部門に配置する職員の経費
- 他の補助金で充当されている経費(二重補助禁止)
「既存職員の人件費は対象外」っていうのが重要ですね。以前から救急救命士がいる病院は……?
既存の救急救命士を救急外来に「配置替え」した場合は対象になる可能性があります。ただし「配置替等を含む」という表現がありますが、あくまで新たな配置が要件なので、詳細は東京都に確認が必要です。既存配置でそのまま「ハイ申請」とはいきません。
申請に通るためにどうすればいいですか?成功のコツを教えてください。
一言で言うと「数字で語れるかどうか」です。審査する側は「この病院に補助金を出したら本当に救急受入が改善されるか」を見ています。だから感覚論じゃなく、実績データに基づいた計画が必要です。
採択に向けて以下の3点を必ず盛り込んでください。
1. 現状データによる問題提示
直近3年間の救急搬送受入件数・応需率・救急車の現場到着から病院到着までの時間データを示し、「この病院には救急受入体制の強化が必要」という現状を客観的に説明します。
2. 配置計画の具体性
「何人を」「何曜日の何時台に」「どの業務を担当させるか」を明確に示します。「夜間と休日の全時間帯をカバーする」「月48時間以上を2名体制で担保する」など、交付条件を満たす計画であることを示してください。
3. 効果目標の定量化
「1年目:応需率を現状83%から88%に改善」「救急搬送受入件数を月5件増加」など、具体的な数値目標を設定します。定量目標があることで審査者が事業の有効性を判断しやすくなります。
現状データが大事なんですね。準備する書類の中に、現状の救急搬送データも入れるべきですか?
絶対入れるべきです!救急搬送に関する月別の受入件数・応需率・救急車平均到着時間などを過去2〜3年分まとめて添付できると、「この病院は本当に課題を抱えていて、改善の余地がある」ということが伝わります。データがない病院より、データで語れる病院の方が明らかに有利です。
逆に、こういうことをしちゃうと落ちやすいってパターンはありますか?
「とにかく経費を積み上げただけの計画書」は弱いですね。なぜその人数が必要か、なぜそのシフト帯に配置するか、という理由が薄い申請は審査通過が難しい。あと、「補助が終わったら配置をやめます」みたいな計画はNG中のNGです。3年後以降も継続できる財務的な裏付けを示せると強い申請になります。
この補助金は最長3年間の時限支援です。審査では「補助終了後も体制を維持できるか」という持続可能性も重要視されます。3年後の自己負担額(人件費)を試算し、それが経営的に見合うという根拠(救急受入増加による収益増加見込みなど)を示すことが採択への近道です。
似たような補助金って他にもあるんですか?東京都の医療系でいうと。
いくつかありますね。医療機関が組み合わせて使えそうなものを紹介すると、まず
災害時看護体制整備事業があります。これは東京都が災害支援ナースの所属先医療機関に協力金を払う制度で、看護師が災害派遣に参加した際の人員不足補填に使えます。救急医療機関にとっては関連性が高い補助です。
東京都生産性向上・職場環境整備等支援事業というのもあって、これは医療・福祉分野向けに最大5,000万円(補助率10/10)という非常に手厚い補助です。ICT導入や業務効率化の設備投資に使えるので、救急外来のシステム整備を本補助金と並行して進めることで、デジタルと人材配置の両面から救急体制を強化できます。
補助率10/10はすごいですね!あと、災害対策という観点ではどうですか?
令和7年度東京都医療施設浸水対策計画策定支援事業があります。これは病院の浸水対策計画を立てるためのコンサルタント費(最大448万円)を東京都が補助する制度で、水害時に救急機能を止めないための計画づくりに活用できます。救急医療機関が災害に強くなるという観点で、今回の補助金と組み合わせると総合的な救急体制強化になります。
| 補助金名 | 補助上限 | 補助率 | 用途 | リンク |
|---|
| 救急搬送患者受入体制強化事業(本制度) | 最大約645万円 | 3/4 | 救急救命士等の人件費 | /subsidy/156 |
| 東京都生産性向上・職場環境整備等支援事業 | 5,000万円 | 10/10 | ICT・設備投資 | 詳細 |
| 災害時看護体制整備事業 | 協力金制度 | 定額 | 看護師の災害派遣協力 | 詳細 |
| 医療施設浸水対策計画策定支援事業 | 448万円 | 記載なし | 浸水対策計画策定費 | 詳細 |
複数の補助金を組み合わせる際に気をつけることはありますか?
同一の経費に対して複数の補助金を重複して使う「二重補助」は絶対NGです。例えば救急救命士の人件費に本補助金を使いながら、同じ人件費に別の補助金も充てる、ということはできません。各補助金で対象経費をきっちり区分することが大前提です。
申請する前に確認しておくべき基本情報をまとめてもらえますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和7年度救急搬送患者受入体制強化事業 |
| 実施主体 | 東京都保健医療局 |
| 根拠法令 | 救急搬送患者受入体制強化事業補助金交付要綱(令和4年8月31日付4福保医救第45号) |
| 対象地域 | 東京都 |
| 対象業種 | 医療、福祉 |
| 募集期間 | 2023年11月15日〜2030年5月30日 |
| 補助上限額 | 基準額430万円/人(最大2名・最長3年) |
| 補助率 | 4分の3(75%) |
| jGrants ID | a0WJ2000000pejTMAQ |
| 公式ページ | jGrants補助金ポータル |
東京都保健医療局医療政策部救急災害医療課 救急医療担当
電話: 03-5320-4427
受付時間は東京都の窓口開庁時間に準じます。事前相談は必須です。申請書類の準備前に、まず電話で「指定二次救急医療機関であるか」「配置予定の人材要件」「現時点の公募状況」を確認してください。
そうです。jGrantsで「a0WJ2000000pejTMAQ」を検索するか、直接東京都保健医療局に問い合わせると最新の交付要綱を入手できます。募集期間が2030年5月30日まで設定されているので、令和7年度中はいつでも申請の相談ができる状態です。
準備目安が「約30日」ってサイトに出てましたけど、30日でどういうことをするんですか?
大まかにはこんなスケジュール感です。最初の1週間で交付要綱の読み込みと現状データの収集、2週目で事前相談・配置計画の策定、3週目で申請書類の作成、4週目で最終確認と提出、という流れですね。
現状データの収集って、普段から集めてないとすぐ出てこなかったりしますよね。
そうなんですよ。救急搬送受入件数、応需率、救急車の待機時間など、月次でデータを管理している病院であればすぐ出せますが、そうでない場合は遡って集計する作業が意外と時間かかります。「申請しよう」と決めたらまずデータ収集から始めることをおすすめします。
この補助金、ゼロから始めるにはどのくらい事前準備が大変ですか?
難易度としては「やや簡単」な部類です。GビズIDなどのシステム申請ではなく、東京都への直接申請なので、窓口への相談がしやすいです。ただし実績要件(応需率・受入件数の増加)があるので、単純に書類を揃えれば通るというわけでもありません。配置計画の質が問われます。
最後に、よくある質問をいくつか教えてください。特に「え、そうなの?」ってなりやすいやつ。
一番多い「えっ」ポイントは、公立病院は対象外という点です。「東京都立病院や国立病院は?」という質問をよく受けるんですが、この補助は民間の指定二次救急医療機関が対象で、公的病院は除外されています。
あと、「救急救命士の国家資格がないと雇えませんか?」という質問も多いです。正直なところ、交付要綱の「救急救命士等」という表記には幅があるので、東京都に個別確認するのが一番確実です。「等」の範囲をどう解釈するかで申請対象が変わってくる可能性があります。
診療録の代行入力や物品運搬など、医師・看護師の業務負担を軽減できる人材であれば「等」に含まれる可能性はあります。ただし「救急救命士」という名称が前面に出ている事業名なので、純粋な事務職員だと認められにくいかもしれません。これも東京都への事前確認が鉄則です。
今から申請を検討している病院に、一言アドバイスをするとしたら?
まず東京都保健医療局の救急災害医療課に電話してみることです!「申請できる医療機関かどうかわからない」「どんな書類が必要か」という段階から相談できますよ!補助金は申請してみないとわからない部分も多いので、まずは一本電話する行動力が大事です。救急搬送の受入体制に課題を感じている指定二次救急医療機関なら、ぜひ積極的に活用してほしい制度です!東京都が医療機関を全力でバックアップしてくれる、本当にありがたい事業だと思います!