室谷さん、今回のテーマは「ゼロエミッション船等の建造促進事業」ですよね。まず、これは船をつくる会社のための補助金ですか?
そうですね。正式名称は「脱炭素成長型経済構造移行推進対策費補助金(ゼロエミッション船等の建造促進事業)」です。長い名前ですけど、内容はわりとストレートで、水素、アンモニア、LNG、メタノール、電力(バッテリー)を推進エネルギー源とする船舶を「ゼロエミッション船等」と位置づけています。
つまり、従来の重油ではなくて、次世代の燃料で走る船をつくるための支援なんですね!
その通りです。ただ、今回の二次公募では、補助対象となる推進エネルギー源が水素とアンモニアと**電力(バッテリー)**に絞られています。LNGやメタノールは制度の説明には出てきますが、今回の公募の対象ではありません。
おっと、それは大事なポイントですね。うっかりLNG船向けの設備を申請しようとすると対象外になる可能性がある、と。
だからこそ、最初に「どのエネルギー源向けの設備なのか」を整理しておくのが大事です。この事業は、ゼロエミッション船等の国内生産体制を世界に先駆けて構築し、市場導入を促してCO2の排出削減を進めることを目的にしています。産業競争力の強化や経済成長も狙っています。
支援してくれるのは、船そのものをつくる費用ですか?
じつは、少し違います。対象になるのは、エンジン、燃料タンク、燃料供給システムなどの「関連舶用機器等」の生産設備を整備する事業と、それらの機器を船舶に搭載するための「艤装プラットフォーム等」の整備事業です。
なるほど。船をドーンと一艘つくるというより、船に載せる機器をつくったり、搭載する環境を整えたりする設備投資を支援するんですね。
その理解で合っています。補助対象施設も、日本標準産業分類に掲げる製造業の用に供される施設、つまり工場です。事務所だけの設備投資だと、この事業の趣旨に合うかどうかは要確認ですね。
まさに製造業の工場を持つ事業者向けの補助金というわけですね。
はい。予算規模も大きいので、ちょっとワクワクする制度です(笑)。
この補助金の特徴ゼロエミッション船向けの生産設備
水素・アンモニア・電力(バッテリー)を燃料とする船に必要なエンジンや燃料タンク等の生産設備を対象に支援
艤装プラットフォーム等も対象
関連舶用機器等を船舶に搭載するための設備も支援対象
予算額150億円
初年度は10億円。二次公募で採択を目指す
気になる補助額ですが、上限はどれくらいなんですか?
ここがちょっとクセものでして、jGrantsのページでは**補助上限額が「-」**と表示されています。つまり、一律の上限額がパッと見でわからない形です。まずは補助率を押さえましょう。大企業は1/3以内、中小企業等は1/2以内です。
| 区分 | 補助率 |
|---|
| 大企業 | 1/3以内 |
| 中小企業等 | 1/2以内 |
| 補助上限額 | 未記載(-) |
では、総事業費が大きければ大きいほど、補助額も大きくなる可能性がある、と。
ただし、補助率の「以内」というのがポイントです。審査や予算の範囲内で決まるので、機械的に「経費×補助率」がそのままもらえるとは限りません。上限についても、公募要領に詳しい条件があるかもしれません。
補助上限額が「-」だと、むしろ調べないと不安ですね。
そこはもう、公募要領を確認するしかないですね。それと、補助率を適用する際の「大企業」と「中小企業等」の区分も、公募要領で確認してください。特に資本金や常時使用する従業員数で区分されるケースが多いので、自社がどちらに当たるかを事前に確認しておくとスムーズです。
予算が150億円で初年度10億円というのも、ちょっと不思議な感じがします。
公式の説明では、4月17日に公募締切りした事業の採択後に、二次公募の事業を採択する予定とあります。つまり、すでに一度公募があって、その結果を踏まえての二次公募なんです。
だから競争率も気になりますね……。ただ、そこは公表されていないので、何とも言えませんね。
そうですね。応募を考えるなら、数字の予測に頼るより、まずは公募要領とよくある質問を読んで、対象要件に合うかどうかを確認するのが確実です。
なるほど。じゃあ次は、そもそも誰が申請できるのかを確認しましょう!
まず、対象地域は全国の事業者です。業種としては製造業が対象で、補助対象施設は「日本標準産業分類に掲げる製造業の用に供される施設」、つまり工場です。
やはり工場設備の投資がメインだから、製造業なんですね。
この補助金は、ゼロエミッション船等の建造に必要となる関連舶用機器等の生産設備の整備と、艤装プラットフォーム等の整備を行う事業が対象です。ですから、機械メーカーや舶用機器メーカーなど、製造業として工場を持つ事業者が想定されます。
公式情報では「全国の事業者」とされていて、法人か個人事業主かの区切りは明記されていません。ただ、補助対象施設が工場であることが条件です。個人事業主であっても、日本標準産業分類の製造業に該当する工場を持っていれば、可能性はあるでしょう。
そのとおりです。該当するかどうか迷う場合は、事務局に問い合わせるのが安全です。
jGrantsの登録情報には**「従業員数の制約なし」**とあります。従業員数での足切りは明示されていません。
よかった。じゃあ、中小企業等の区分はどこで判断するんですか?
そこが注意点で、中小企業等の定義は公募要領で確認する必要があります。補助率が1/2になるのか、1/3になるのかに関わりますから、応募前に必ず確認してください。
大企業と中小企業等の扱い比較| 項目 | 大企業 | 中小企業等 |
|---|
| 補助率 | 1/3以内 | 1/2以内 |
| 対象地域 | 全国 | 全国 |
| 従業員数 | 制約なし | 制約なし |
| 対象施設 | 製造業の工場 | 製造業の工場 |
| エネルギー源 | 水素・アンモニア・電力(バッテリー) | 水素・アンモニア・電力(バッテリー) |
ゼロエミッション船等の建造で、水素、アンモニア、電力(バッテリー)を推進エネルギー源にするために必要な関連舶用機器等。たとえばエンジン、燃料タンク、燃料供給システムなどの生産設備が挙げられています。
それに加えて、これらの関連舶用機器等を船舶に搭載、つまり艤装するための設備、「艤装プラットフォーム等」の整備事業も対象です。
jGrantsのページには「設備整備・IT導入をしたい」とありましたが、IT系の設備も対象になるんですか?
利用目的の分類としては「設備整備・IT導入をしたい」とされています。ただ、公募要領の対象を見ると、メインは生産設備と艤装設備です。IT導入がどこまで認められるかは、公募要領と交付要綱で確認してください。
制度の目的の説明には、水素、アンモニア、LNG、メタノール、電力(バッテリー)が並んでいます。ですが、**今回の公募の補助対象となる推進エネルギー源は、水素、アンモニア及び電力(バッテリー)**です。
つまり、LNGやメタノール向けの設備をつくっても、この回の補助金では対象外になる可能性が高い、と。
そうです。対象経費がどこまで認められるかは、公募要領と交付要綱、申請様式をセットで見て確認してください。ここを読み飛ばすと、あとで「対象外だった」となりかねません。
対象になりやすい設備と注意点- 水素・アンモニア・電力(バッテリー)を推進エネルギー源とするためのエンジン生産設備
- 燃料タンクや燃料供給システム等の生産設備
- 関連舶用機器等を船舶に搭載するための艤装プラットフォーム等の整備
- 製造業の工場で行われる設備整備
×デメリット
- 今回の公募ではLNG・メタノール向け設備は対象外の可能性
- 補助上限額がjGrants上では「-」表示のため要確認
- 設備ごとの対象範囲の線引きは公募要領で要確認
では、実際の申請手順を教えてください。どこから始めればいいですか?
ゼロエミッション船等の建造促進事業事務局が使っているクラウドストレージの名前です。書類をアップロードするのに使います。
なるほど。メールで来たBOXに書類を入れる流れなんですね。
jGrantsの公募ページ下にある「申請する」ボタンを押して、公募申請フォームに移ります。フォームに必要事項を入力し、公募申請書類をアップロードして、最後に「公募申請する」ボタンを押せば申請完了です。
最後の確定ボタンを押すまでが申請なんですね。うっかり途中で閉じてしまうと申請にならない、と。
そういうことです。公募要領や申請様式もあらかじめダウンロードしておきましょう。公募要領のファイル名はR7-04_koubo.pdf、交付要綱はR7-03_koufu.pdf、申請様式はR7-03_koubo_fmt.zipとして掲載されています。
書類は、その場で全部用意できるものではないですからね。事前準備が勝負です。
公募申請の流れ- 1
GビズID等の申請環境を準備
jGrantsで電子申請をするための準備をする
- 2
申請者登録
申請者登録ページから登録し、ID番号・メールアドレス・BOX URLを受け取る
- 3
事前着手届
必要な場合は事前着手届ページから提出する
- 4
公募申請フォームへ入力
公募ページの「申請する」ボタンからフォームへ進む
- 5
書類をアップロードして確定
公募申請書類をアップし、「公募申請する」ボタンで確定
公式の審査基準がすべて公開されているわけではないので、あくまで制度の目的から考えます。この補助金は、ゼロエミッション船等の国内生産体制を世界に先駆けて構築し、市場導入促進によるCO2排出削減と産業競争力強化を図ることが狙いです。
つまり、設備投資の計画が、その目的にどれだけ合っているかが見られるわけですね。
はい。単に「設備を買いたい」ではなく、ゼロエミッション船等の建造に必要な生産設備や艤装設備として、どう位置づくのかを明確に説明できるかが大事になってきます。
環境省と国土交通省の発表では、先の公募で4件を採択し、我が国造船・舶用工業界において総額約2,050億円を超える生産設備投資が行われるとされています。
そんなに大きな規模なんですね! だから、二次公募にも注目が集まるわけだ。
ただ、採択された事業の中身までは、この記事では詳しく扱えません。事業者リストは公式ページで確認できます。
書類で応募する前に、やっておいたほうがいいことはありますか?
やっぱり、わからないまま申請すると後で痛い目を見ますからね。
それと、個別の事情があるなら、問い合わせはメールでするのがいいと思います。電話よりもメールが推奨されていますから、記録も残って安心です。
二次公募の募集期間は2026年8月21日から2026年10月9日です。申請はこの期間内に確定させる必要があります。
けっこう期間がありますね。でも、設備投資の計画づくりを考えると、ギリギリより早めに動きたいです。
そうですね。採択後の事業期間は、交付決定日から令和12年3月までです。設備の整備完了までを見据えた計画が必要です。
申請者登録が終わって、IDやBOX URLがメールで届いてから、本申請のフォームに入る流れです。その間に事前着手届が必要かどうかも確認します。締切直前に登録すると、手続きが重なる可能性があるので、できるだけ早めに登録しておくのがおすすめです。
なるほど。では、スケジュールを図にしてもらえますか?
二次公募のスケジュール2026年8月21日
二次公募開始
公募要領や申請様式を確認する
2026年10月9日
応募締切
公募申請フォームの入力と書類アップロードを完了させる
採択後
採択決定
一次公募の採択後に二次公募の採択が行われる予定
交付決定日〜令和12年3月
事業期間
交付決定日から事業完了まで設備整備を進める
申請の流れに「事前着手届」というのが出てきました。これは何ですか?
交付決定前に事業に着手する場合に必要な手続きです。事前着手届ページの指示に従って行います。ただし、すべての事業者が必ず出さなければいけないわけではなく、必要かどうかは公募要領で確認するように書かれています。
なるほど。事業のタイミングによって、先に手続きが必要になるわけですね。
そうです。設備投資のスケジュールによっては、この届出が要るかどうかを早い段階で確認しておいたほうがいいですね。
この制度の公式情報には併給のルールが明記されていません。申請を検討する場合は、同じ事業や経費に対してほかの補助金を受けていないかなど、公募要領やFAQで確認してください。
この手の設備補助金は、経費の重複がないように書類を整えるのが基本ですが、あえて断言はしません。必ず要領を確認してください。
実施事務局は一般財団法人日本船舶技術研究協会 ゼロエミッション船等の建造促進事業事務局です。メールアドレスはinfo(at)pczes.jstra.jpで、(at)を@に変えて送ります。
電話は03-5114-8942と03-5575-6430です。受付時間は午前9時から正午、午後1時から午後4時30分で、土日祝日と年末年始は休みです。メールでの問い合わせが推奨されています。
もちろんです。ここだけ押さえておけば、申し込みを検討するときの出発点になりますよ!
ありがとうございます! これで全体像がつかめました。
補助金は「もらえるかどうか」よりも、まず「対象になるかどうか」を正確に判断するのが第一歩です。この記事をきっかけに、公募要領とFAQをしっかり読んでみてくださいね。