えっ、岩手県の中小企業が外国に特許を出願すると、その費用の半分を出してくれる補助金があるんですか?
あるんですよ。正式には中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)。今回その岩手県分の3次公募が動いています。
半分! しかも3次まであるんですね。1次と2次はどうなったんですか?
岩手県は1次が5月11日から6月19日、2次が7月22日から9月7日で、どちらも終了しています。3次は2026年9月8日から11月13日までです。
2次の終了翌日から3次が始まってる。切れ目がない(笑)。
(笑)。そうなんです。逃した方にとっては、ここが最後の窓になります。
この補助金の3つの特徴外国出願費用の1/2以内を助成
対象は出願手数料・代理人費用・翻訳費用の3つ
1企業300万円・案件ごとにも上限
特許150万円、実用新案・意匠・商標はそれぞれ60万円、抜け駆け対策商標は30万円
日本で出願済みが前提
採択後に優先権主張をして、年度内に外国出願する予定が必要
そもそも外国出願って、何にそんなにお金がかかるんですか?
助成対象の3つを見ると性格が分かります。外国特許庁への出願手数料、それに要する国内代理人・現地代理人費用、そして翻訳費用です。
翻訳まで対象なんですね! 言語が違うだけで、そんなに変わるものなんですか?
出願書類は表現ひとつで権利の範囲が変わりますから、正確な翻訳が要ります。現地の代理人に頼む費用も含めて、この3点セットが対象だと覚えておくと整理しやすいですよ。
なるほど。日本で出願して、海外でも出す。その海外側の費用を助けてくれるイメージですね。
2026年9月8日から2026年11月13日まで。この期間に申請を受け付けます。
で、採択されたら年度内に外国出願。逆算すると、11月13日のあとに残される時間はそんなに多くないですね!
そうなんです。11月13日に出して、そこから出願準備をすることを考えると、いま代理人の当てをつけておくくらいの前倒しが効きます。
締切前に動き出せるかどうかが勝負、と。メモしました!
地理条件は岩手県内に本社または事業所があること。本社でなくても、岩手に事業所があれば要件は満たせます。
東京に本社があって、盛岡に支店がある、みたいなケースはOKと。
そうですね。逆に岩手に拠点がなければ対象外です。ここは最初に確認しましょう。
jGrantsの業種欄には、漁業から建設業、製造業、情報通信業、卸売・小売業、宿泊・飲食サービス業、医療・福祉まで幅広く並んでいます。業種で門前払いされる印象は受けません。
えっ、そんなに広いんですか! 業種を理由に諦めなくていいんですね。
助成率は助成対象経費の1/2以内。1企業に対する助成金の上限額は300万円です。まずはこの2つを押さえてください。
300万円! 太っ腹ですね。でも「1企業に対する」とわざわざ言うのは、他にも上限があるからですよね?
ご名答です。1申請案件あたりの助成上限額が別にあります。特許は150万円、実用新案・意匠・商標はそれぞれ60万円、抜け駆け対策商標は30万円です。
| 項目 | 金額・内容 |
|---|
| 助成率 | 助成対象経費の1/2以内 |
| 1企業に対する助成金の上限額 | 300万円 |
| 1申請案件あたり(特許) | 150万円 |
| 1申請案件あたり(実用新案・意匠・商標) | それぞれ60万円 |
| 1申請案件あたり(抜け駆け対策商標) | 30万円 |
見やすい! で、この2段階の天井がどう効いてくるのかが次の疑問です。
1社で300万円、1案件で150万円。この2つが同時に効くんですか?
はい。1社トータルで見れば300万円が天井。でも1件の出願ごとに見れば、特許なら150万円が天井です。
じゃあ特許を2件出せば、150万円+150万円で300万円まで届く可能性がある、と。
上限の話としてはそうなります。ただ実際の金額は、対象経費の半分という計算が先に来ます。
ああ、経費が小さいと上限まで届かない。天井と実際の金額は別ものなんですね。
特許が150万円で商標が60万円。この差は何なんですか?
出願そのものの費用構造の違いが反映されているのだと思います。特許は明細書も審査も重く、商標は相対的に軽い。だから案件ごとの上限が分かれているわけです。
なるほど。で、さっき出てきた抜け駆け対策商標だけ30万円と、また別枠なんですよね。
そうなんです。抜け駆け商標というのは、日本で既に出願または登録済みの商標が、海外で第三者に無断で出願・登録されてしまうこと。その対策のための出願は30万円の枠になります。
ブランドを守るための出費にも、ちゃんと枠があるんですね。知らなかった!
たとえば対象経費が600万円かかったとします。その1/2で300万円。これは1企業の上限とちょうど同じですね。
600万円かけて300万円。半分とはいえ、これは大きい!
ただ、これが特許1件だけなら、案件の上限150万円が先に効きます。対象経費が600万円でも、1件なら150万円です。
あー、そうか。案件の上限のほうが先に来る場合があるんですね。
そこを取り違えると「話が違う」となりがちです。必ず2段階で見てください。
助成対象の3つの経費と注意点- 外国特許庁への出願手数料
- それに要する国内代理人・現地代理人費用
- それに要する翻訳費用
×デメリット
- 応募時に日本国特許庁へ出願済みであることが前提
- 採択後に年度内へ外国出願する予定が必要
- jGrantsへの入力だけでは申請受付にならない
助成対象は3つ。外国特許庁への出願手数料、それに要する国内代理人・現地代理人費用、出願に要する翻訳費用です。ここに無いものは対象外と考えて、個別に公募要領で確認してください。
そう、出願にまつわる費用に限られます。販路開拓の商談費用や展示会費用は、この制度の守備範囲ではありません。
さっきから「年度内」という言葉が気になっています。
要件(1)で、採択後にその出願を基礎にして優先権主張をして、外国出願を年度内に行う予定であることが求められます。スケジュールが固まっていないと応募しづらいんです。
締切が11月13日で、そこから年度内。うわ、タイトですね。
ですから、応募の時点で「どの国に、いつ、どの代理人で出すか」まで詰めておくのが安全です。
申請書を書くというより、出願計画を作る作業に近いんですね。
商標出願については、優先権がない外国出願も可とされています。
特許などは日本の出願を基礎に優先権を主張して外国に出すのが基本ですが、商標は優先権なしの出願も認められる、ということです。あと、日本の特許出願を優先権主張の基礎にしないPCT出願(ダイレクトPCT出願を含む)は、日本への国内移行予定のものに限る、という条件もあります。
優先権がないハーグ出願については、出願時に日本国を指定締約国に含むものに限る、という条件も付いています。このあたりは自分の出願形態が当てはまるか、公募要領で必ず確認してください。
あなたは対象になる?岩手県内に本社または事業所がある?
はいみなし大企業に該当しないか確認する
日本国特許庁へ出願済みか確認する
いわて産業振興センターへ相談する
東北経済産業局の公募案内では、中小企業者には法人資格を有しない個人で事業を営んでいる方、つまり個人事業主を含む、とされています。
ただし、中小企業者または中小企業者で構成されるグループで、構成員のうち中小企業者が2/3以上を占めることが必要です。グループでの応募はこの比率を確認してください。
グループで出すなら構成比を見る、と。覚えておきます。
5つのパターンがあります。まず(ア)発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している。(イ)3分の2以上を複数の大企業が所有している。(ウ)大企業の役員または職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている。
(エ)資本金または出資の総額が5億円以上の法人に、直接または間接に100%の株式を保有される。(オ)間接補助金申請時において、確定している直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える。これで5つです。
(オ)は特に見落としそうですね。売上が小さくても、所得が大きいと外れる可能性があるんですか?
そうなんです。親会社や役員構成、所得の状況は、申請前に一度チェックしておくことをおすすめします。
地域団体商標の外国出願については、商工会議所、商工会、NPO法人等が対象になります。
地域ブランドを海外で守る、という使い方ですね。そういう枠があるの、面白い!
ただ、それ以外の細かい要件は公募要領で要確認ください。ここでは「そういう枠がある」とだけ覚えておきましょう。
4つの要件があると聞きました。1つめからお願いします。
応募時に既に日本国特許庁に対して特許、実用新案、意匠または商標を出願済みで、採択後にその出願を基礎に優先権主張をして、外国出願を年度内に行う予定であること、です。
日本で先に出願しておく。順番を逆にすると使えない、と。
そういうことです。商標は優先権なしも可、PCTやハーグには条件がある、という先ほどの話も、この要件の中身なんですよ。
なるほど。ひとつの要件の中に、細かい分岐が詰まっているんですね。
先行技術調査などの結果から見て、外国での権利取得の可能性が明らかに否定されないこと、です。
「明らかに否定されない」という書き方、絶妙ですね。取れる保証までは要らない、と。
そう読めます。ただ、同じ技術がすでに海外で知られていれば厳しいわけですから、先行技術調査は早めに動いたほうがいいです。
調査は代理人に相談しながら進めることになりそうですね。
外国で権利が成立した場合などにおいて、その権利を活用した事業展開を計画していること。または商標出願に関しては、外国における抜け駆け商標出願対策の意思を有していること、です。
「権利を取って終わり」じゃなくて、それを事業に使う計画が要るんですね。
まさにそこがこの制度の肝です。出願は目的ではなく手段。取った権利でどう稼ぐか、あるいはどう守るかを説明できるようにしておきましょう。
事業計画と出願をセットで考えろ、というメッセージですね。
外国出願に必要な資金能力および資金計画を有していること、です。実績報告書の提出が前提の仕組みですから、まず自分で立て替えられる体制が問われる、ということですね。
えっ、そこも見られるんですか! 資金計画書のようなものを用意するイメージでしょうか?
そうですね。加えて、経済産業省におけるEBPMに関する取り組みに協力すること、も応募資格に含まれています。証拠に基づく政策立案のための取り組みです。
統計の分析に協力する、と。なるほど、そういう協力まで含めて応募資格なんですね。
申請までの流れ- 1
募集期間と要件を確認
2026年9月8日から11月13日まで。公募要領で対象経費と要件をチェック
- 2
いわて産業振興センターへ相談
出願形態やスケジュールの当てはまりを確認する
- 3
出願計画を固める
どの国へ、いつ、どの代理人で出すかを詰める
- 4
jGrants上で入力
ただし入力だけでは申請受付にならない
- 5
交付申請書と添付書類を整える
作成の代理は行政書士等に限られる点に注意
- 6
メールまたは郵送で提出
必ず期間内に提出し、控えを残す
募集期間を確認し、いわて産業振興センターに相談して出願計画を固める。次にjGrants上で入力し、交付申請書と添付書類を整えて、メールまたは郵送で提出する。これが大きな流れです。
ちょっと待ってください。jGrantsに入力するだけじゃダメなんですか?
そこが最重要ポイントです。jGrants上に入力しただけでは、申請受付とはなりません。交付申請書および添付書類を、必ずメールまたは郵送にて提出する必要があります。
ええっ、それは危ない! 入力して満足してしまう人が出そうです。
まさにそこが落とし穴です。しかも、書類の作成を行政書士または行政書士法人以外の者が、他人の依頼を受けて報酬を得て代理することは、行政書士法第19条によりできません。
そこは代行サービスに丸投げ、ができない部分なんですね。
交付申請書および添付書類を、必ずメールまたは郵送にて提出してください、という案内です。どちらの方法を選ぶにしても、jGrantsの入力だけで終わらせないことが大事です。
そう思います。送信控えや郵送の控えを残し、添付書類の漏れがないかも確認しましょう。詳しい提出先や様式は公募要領で確認してください。
まず、4つの要件をすべて満たしていることを、書類の上で分かるように示すことです。日本で出願済みであること、年度内に出願する計画、権利を活用した事業展開の計画、資金計画。この4点が読み取れるかどうかが勝負です。
逆に言うと、どれか1つでも抜けていると厳しい、と。
そう考えておいたほうが安全です。あと、採択された場合は企業名・所在地等が公表され、事業完了後5年間の状況調査(フォローアップ調査、ヒアリング等)が行われます。ここも承知のうえで応募してください。
5年間の追跡! そのぶん、本気の海外展開計画が求められるわけですね。
岩手県 海外出願支援事業の流れ2026年5月11日〜6月19日
1次公募
受付は終了
2026年7月22日〜9月7日
2次公募
受付は終了
2026年9月8日〜11月13日
3次公募
今回の受付期間
採択後・年度内
外国出願の実行
優先権主張をして外国出願を行う
岩手県分は1次が5月11日から6月19日、2次が7月22日から9月7日。どちらも終了していて、3次が2026年9月8日から11月13日。採択されたら年度内に外国出願を行う、という流れです。
1次と2次が終わった直後に3次、というのが分かると、どれだけタイトか伝わりますね。
そうなんです。11月13日の締切から、年度内の出願完了までの期間が短い。ここを甘く見ると、採択されても動けなくなります。
先に代理人を決めておく、という話が効いてくるわけだ。
企業名・所在地等が公表されます。それから事業完了後5年間の状況調査、フォローアップ調査やヒアリングが行われます。
なるほど。報告の手間はかかるけど、そこは仕方ないですね。
あと、事業の詳細については公益財団法人いわて産業振興センターのホームページも確認してください。制度の細部はそちらが一次情報です。
分からないことがあったら、どこに聞けばいいですか?
そう思います。要件の確認は早めに。特にみなし大企業の判定や出願形態の当てはまりは時間がかかるので、余裕を持って動いてください。
助成率は対象経費の1/2以内、1企業の上限は300万円。案件ごとに特許150万円、実用新案・意匠・商標はそれぞれ60万円、抜け駆け対策商標は30万円。募集は2026年9月8日から11月13日で、岩手県内に本社または事業所がある中小企業者等が対象です。
で、日本で出願済みであること、年度内に外国出願する計画、事業展開の計画、資金計画。この4つを押さえる、と。
そうです。そしてjGrantsの入力だけで終わらせず、書類をメールか郵送で出す。ここだけは絶対に忘れないでください。