室谷さん、「既存住宅流通活性化緊急促進事業」って名前を聞いたんですけど、これって宅建業者向けの補助金なんですか?
そうなんです!国土交通省が令和8年度に新設した補助金で、大都市圏にある空き家や遊休住宅の流通を促進するのが目的です。宅地建物取引業の免許を持っている事業者なら申請できる制度で、補助上限額がなんと1億5,800万円という大型支援なんですよ。
えっ、1億5,800万円!?住宅系の補助金でそんな大きい金額は聞いたことないです。
ざっくり言うと、複数の空き家をまとめてプロジェクト型で申請できる設計になっているんですよね。なので規模が大きくなる。個々の物件では「1戸あたり最大23万円」の補助なんですが、まとめて何十棟・何百棟と申請することで全体が億単位になる仕組みです!
なるほど!1戸単位じゃなくてプロジェクトで申請するんですね。
そうです。この事業がめずらしいのは、インスペクション(建物状況調査)・リフォーム設計・補修工事の三つを一体的に補助対象にしている点です。通常の補助金って「工事費だけ」とか「設計費だけ」と縦割りになりがちなんですが、ここは売買前の状態把握から改修完了まで全部カバーしてます。
それは空き家を商品化したい宅建業者にとってはかなり使いやすそうですね。ではどのくらいの金額が具体的にもらえるんでしょう?
補助額の内訳(1戸あたり)
1戸あたりの補助は3つのメニューになっています。まず全申請で必須になる①インスペクション(既存住宅状況調査)が5万円。次に宅建業者が受け取れる②リフォーム設計・提案が3万円。そして③補修工事が箇所ごとに5万円で上限15万円です。
| 補助メニュー | 補助額 | 補助金の受取先 | 必須 |
|---|
| ①既存住宅状況調査(インスペクション) | 5万円/戸 | 住宅所有者 | 必須 |
| ②リフォーム設計・提案 | 3万円/戸 | 宅建業者 | 任意 |
| ③補修工事(構造・設備等) | 5万円/箇所・上限15万円/戸 | 住宅所有者 | 任意 |
| 合計最大 | 23万円/戸 | — | — |
あれ、①と③は住宅所有者に補助が行くんですね。宅建業者が申請するのに。
そうなんです!これがちょっと特殊な点で。②リフォーム設計の3万円は宅建業者が直接もらえる。でも①インスペクションと③補修工事の費用は住宅所有者(個人または買取再販業者)に補助が入る仕組みなんですよ。宅建業者が買取再販で事業を手がける場合は、買取後に自社で①③の補助を受ける形になります。
なるほど、買取再販業者も住宅所有者として認められるんですね!それは大事なポイントですね。
そこが肝で、買取再販型のビジネスモデルをやっている宅建業者は実質的に①②③の全部を活用できる。1戸で最大23万円です。それを100戸・200戸規模でまとめれば全体補助額がすごい数字になる。もちろん補助上限の1億5,800万円の範囲内ですが、規模感が伝わりますよね。
これが全国どこでも、というわけじゃないんです。大都市圏に限定されていて、「地価上昇が確認できる市区町村」という条件があります。具体的には首都圏・近畿圏・中部圏のほか、札幌・仙台・広島・福岡の各都市圏とその周辺が対象です。
| 対象都市圏 | 対象都道府県 |
|---|
| 首都圏 | 茨城県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県 |
| 近畿圏 | 滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県 |
| 中部圏 | 愛知県 |
| 札幌都市圏・周辺 | 北海道 |
| 仙台都市圏・周辺 | 宮城県 |
| 広島都市圏・周辺 | 広島県 |
| 福岡都市圏・周辺 | 福岡県・佐賀県 |
補助金の目的が「若年・子育て世帯向けのアフォーダブルな住宅供給」なんですよ。地価が上昇している大都市圏ほど新築住宅は若者に手が届かなくなってる。だから空き家をリノベして流通させることへの社会的ニーズが特に高い地域に支援を集中させる、という政策設計なんですね。
社会的に意味のある補助金なんですね。「住宅需要が高いエリアだから、空き家を直して売っても売れる」という出口戦略が立てやすいメリットもありそうです!
まさに。補助を受けた物件が確実に実需要者に届く市場に絞ることで、事業効果が高まる。宅建業者にとっても「補助を受けたのに売れ残り」というリスクが低い設計です。具体的にどの市区町村が対象かは、公募要領に掲載されている対象市区町村リストで確認が必要です。R5→R6またはR6→R7の地価公示・地価調査で一定の上昇が確認された市区町村が対象です。
申請者の条件はシンプルで、国土交通大臣免許または都道府県知事免許の宅建業免許を持っていること、それだけです。法人でも個人事業主でも申請できます。大手不動産会社から地域密着の1人宅建業者まで、あらゆる規模の事業者が申請できます。
対象物件は「空き家」または「所有者の高齢化や相続等により今後遊休化することが見込まれる住宅」です。戸建住宅でも共同住宅でも対象になります。今まさに使われていない空き家だけじゃなくて、高齢のオーナーが所有していて将来遊休化しそうな物件も含まれるのが広めの設計ですね。
以下に該当すると申請できません。
- 税金(国税・地方税)の未払いがある
- 反社会的勢力との関係がある
- 宅建業法違反等の法令違反がある
- 破産手続き開始決定を受け復権していない
宅建業免許の有効期間内であることも必ず確認してください。
申請の流れ(Jグランツ電子申請)
この補助金はJグランツ(電子申請システム)で申請します。ポイントはJグランツを使うためにGビズIDプライムが必要なこと。これを持っていない場合、取得に最大2週間ほどかかるので今すぐ準備を始めた方がいいです!
1GビズIDプライムを取得する(未取得の場合、最大2週間かかる。GビズIDサイトから申請)
2公募要領・交付申請マニュアルで対象市区町村と補助対象経費の詳細を確認する
3対象物件を選定し、インスペクション業者・施工業者と連携して費用見積もりを取得する
4事業計画書・経費見積書・共同事業実施規約(様式1)等の申請書類を準備する
5Jグランツから交付申請を提出する(令和8年11月30日17時が締切)
6審査・交付決定を待つ(交付決定前に着手した工事・調査は補助対象外!)
7交付決定後に事業を実施し、完了後に実績報告書・写真等(様式2・様式3)を提出する
8審査完了後に補助金が交付される(令和8年12月25日17時が最終締切)
ステップ6の「交付決定前着手は対象外」って、うっかりやってしまいそうで怖いですね。
これが一番ありがちなミスで!工期が迫っているからといって先に工事を始めてしまうと、その分の費用は一切補助対象にならないんです。交付決定通知書が届いてから工事・調査を開始する、という順番は絶対に守ってください。
主な提出書類はまず「共同事業実施規約及び誓約書(様式1)」、これは宅建業者と住宅所有者が共同で申請する際の規約書ですね。それから「対象住宅の補修前後の全景写真(様式2)」「補修箇所の補修前後の写真(様式3)」が必要です。あとは宅建業免許証の写し、事業計画書、経費の見積書などが必要になります。様式はすべて
公式サイトからダウンロードできます!
審査官が特に重視する観点を4つ紹介します。
-
物件選定の合理性: なぜこの物件が遊休住宅流通促進に資するか、地価上昇データ(公示地価・路線価)と物件の遊休状況(空き家年数・現況)を具体的な数字で示す
-
事業の実現可能性: 連携するインスペクション業者・施工業者の社名と実績を明記し、工期・費用の見通しを根拠とともに示す
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補助対象経費の明確な区分: 対象外経費(物件取得費・土地代等)と対象経費を明確に分離した積算書を作成する
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アフォーダブル住宅としての流通計画: 補助後の販売価格帯と想定購入者属性(若年・子育て世帯)、周辺相場との比較を事業計画に記載する
4番の「アフォーダブル住宅としての流通計画」ってどういうことですか?
この補助金の政策目的が「若年・子育て世帯が購入できる手頃な住宅の供給」なんですよ。なので審査員も「補助を受けた物件が本当に若者に届くのか」を確認したいわけです。単に「空き家を直します」だけじゃなく、「〇〇円台で販売予定で、周辺新築より△△万円安い」みたいな具体的な販売戦略を示せると採択率が上がります!
なるほど!補助金の政策目的と自分の事業計画の方向性を揃えることが大事なんですね。
そういうことです!審査員が「この事業者が採択されれば政策目標が達成される」と思えるような計画書を書くのが鉄則です。次は対象経費について詳しく見ていきましょう。
補助対象は大きく3カテゴリです。リフォーム設計費、インスペクション費用、補修工事費です。
| 経費カテゴリ | 具体的な対象費用 | 補助対象 |
|---|
| リフォーム設計費 | 設計業務費・設計図書作成費・工事監理費 | ○ |
| インスペクション費用 | 建物状況調査委託費・既存住宅状況調査技術者費用・調査報告書作成費 | ○ |
| 補修工事費(構造) | 構造耐力上主要な部分の補修・補強工事費(基礎・柱・梁等) | ○ |
| 補修工事費(設備) | 台所・便所・洗面・浴室等の補修(構造補修のために撤去が必要なものに限る) | ○ |
| 物件・土地取得費 | 不動産購入費・土地代 | ✕ |
| 間接経費 | 事務所家賃・光熱費・一般管理費 | ✕ |
| 販促費 | 広告宣伝費・チラシ制作費 | ✕ |
| 交付決定前着手分 | 交付決定前に着手・完了した工事・調査費用 | ✕ |
補修工事の「構造補修のために撤去が必要なもの」というのが少しわかりにくいですね。
例えば、床を構造補修するために台所や浴室の床材を一度撤去する必要がある場合、その撤去・復旧費用も補助対象に含まれるということです。逆に「見た目をきれいにしたい」だけの純粋な内装リフォームは対象外なので注意が必要です!構造的な問題への対処に付随する部分のみが対象です。
以下の費用は補助対象外です。申請書類に含めると審査で指摘されます。
- 物件購入費・土地取得費(買取再販の仕入れコスト)
- 構造補修と関係のない内装のみのリノベーション費用
- 交付決定日より前に着手・完了した工事費
- 消費税(課税事業者の場合)
- 事務局への交通費・宿泊費等の間接費
申請締切が令和8年11月30日なので、今から準備しても十分間に合いますね。
そうですね!ただGビズIDプライムを持っていない場合は取得に2週間かかるので、まず最初にGビズIDの取得手続きを始めることをおすすめします。公式マニュアルも実施支援室のサイトからダウンロードできますよ。
似たような補助金と比べてどういう特徴がありますか?
空き家・住宅流通系で比べると、環境省の
空き家省CO2改修支援事業があります。こちらは省エネ改修に特化した補助金で、補助上限は1,000万円です。既存住宅流通活性化緊急促進事業との違いは「流通促進全般vs省エネ特化」という点です。
| 比較項目 | 既存住宅流通活性化緊急促進事業 | 空き家省CO2改修支援事業 |
|---|
| 補助上限 | 1億5,800万円 | 最大1,000万円 |
| 対象業種 | 宅建業者限定 | 幅広(個人・法人) |
| 補助の特徴 | インスペクション・設計・補修を一体支援 | 省エネ改修に特化 |
| 対象エリア | 大都市圏(地価上昇市区町村) | 全国 |
| 申請方法 | Jグランツ | 事業者登録→申請 |
性格が全然違う補助金なんですね。コンビできますか?
同一経費への二重補助はNGです。ただし補助対象経費が重複しない範囲で並行して活用することは可能な場合があります。例えば「インスペクション・補修は既存住宅流通活性化で、省エネ機器の導入は空き家省CO2改修支援で」みたいな切り分けができれば、理論的には併用検討の余地があります。ただし実際の可否は必ず事務局に確認してください!
事業再構築補助金は業種横断で使える補助金で、最大5億円の規模感もあります。ただし「新規事業への転換・再構築」が条件で、既存の不動産流通事業を継続する文脈だと採択ハードルが高い。既存住宅流通活性化は「今やっている空き家再生・流通事業をそのまま補助してもらえる」性質なので、不動産業者にとっては圧倒的に使いやすいです!
宅建業免許は申請の必要条件であって採択の保証ではないです!事業計画の合理性・実現可能性・補助対象経費の明確な区分・アフォーダブル住宅としての流通計画、この四つが審査で評価されます。免許は入場券で、採択を決めるのは中身の計画書です。
プロジェクト型の申請が可能と考えられています!補助上限が1億5,800万円という規模感からも、複数物件を束ねた事業計画での申請を想定した設計です。具体的な申請単位の詳細は公募要領・交付申請マニュアルで確認してください。
定額補助は補助率という概念が少し違いまして、「補助対象経費に対して一定の補助率を乗じる」のではなく「メニューごとに定まった金額を補助する」方式です。インスペクションなら戸あたり5万円、リフォーム設計なら戸あたり3万円という形です。補助対象経費の全額ではない点に注意が必要です。
佐賀県の一部は「福岡都市圏およびその周辺」として対象エリアに含まれています!福岡市を中心とする福岡都市圏は佐賀県の鳥栖市や基山町とも生活圏・経済圏でつながっています。地価上昇が確認できる市区町村が対象なので、具体的にどの市町が含まれるかは公募要領のリストで確認してください。
ありがとうございました!大都市圏で空き家再生事業をやっている宅建業者には相当魅力的な補助金ですね。
まず今日やることとしては、GビズIDプライムを持っていない方は
GビズIDサイトからアカウント作成を始めること。持っている方は
公式サイトのマニュアルをダウンロードして、対象市区町村リストと補助対象経費の詳細を確認することをおすすめします!
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アクション1: GビズIDサイトでプライムアカウントの取得状況を確認する(未取得なら即申請。最大2週間かかります)
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アクション2: 公式サイトから交付申請等マニュアルをダウンロードし、対象市区町村リストで自社の事業エリアを確認する
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アクション3: 連携できるインスペクション業者(既存住宅状況調査技術者)と施工業者に声をかけ、対象候補物件の概算見積もりを取り始める
令和8年度に大都市圏で空き家ビジネスを手がける宅建業者には必見の補助金ですね!
住宅価格高騰が続く大都市圏で若者が家を買えない問題に、空き家再生で貢献しながら自社の事業コストも削減できる。そういう一石二鳥の事業機会です。ぜひ活用してください!