室谷さん、今日は「産学公の森(企業の森・産学の森)推進事業補助金」について教えてもらいたいんですよ。名前からして何か壮大な感じがするんですけど、これって中小企業も使えるんですか?
使えますよ!むしろ中小企業が主役の補助金なんです(笑)。京都府が推進している産業振興策で、「産業界(企業)・学術界(大学等)・公的機関(行政・支援機関)」の3者が連携して、京都の強みを活かした新しいビジネスを生み出すことを支援する制度です。
ほんとに?でも大学と組まないといけないんですよね?ハードル高そう...。
そこが面白いところで、必ずしも大学じゃなくてもいいんですよ。企業同士の「産産連携」でも申請できます。で、今回のⅠコースはさらに敷居が低くて、まだ勉強会・研究会レベルの初期段階から支援してくれる仕組みです。
そうなんです!「まず議論する場を作る」段階を支援してくれるっていう、けっこう珍しい補助金なんですよ。令和8年度から【試行】という形で新設されたコースで、社会課題解決型のビジネスを産学公連携で生み出したい、でもまだ初期段階という企業にとってはまさに使いやすい制度です。
産学公の森3コース比較図
まず基本的な数字を教えてください。いくらもらえるんですか?
Ⅰコース(アーリーステージコース)の補助上限は最大120万円です。ただし、勉強会・研究会等の初期段階の活動は20万円以内という区分になります。補助率は対象経費の1/2以内です。
1/2ということは、120万円もらうには自分たちも240万円かかる事業をやる必要があるってことですね。
そういうことです。つまり総事業費240万円のプロジェクトで最大120万円が補助されるイメージです。勉強会・研究会レベルなら40万円の活動費で20万円の補助という形ですね。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助上限額 | 最大120万円(勉強会・研究会は20万円以内) |
| 補助率 | 補助対象経費の1/2以内 |
| 申請期間 | 2026年4月1日〜2026年5月25日 17時まで |
| 補助期間 | 交付決定日〜2027年1月29日 |
| 採択予定件数 | 13件程度 |
| 事務局 | 公益財団法人京都産業21 |
| 対象地域 | 京都府内(代表企業が拠点を有すること) |
| 申請方法 | 電子申請(Jグランツ)または紙申請 |
採択13件か。けっこう絞られますね。競争率はどんなものなんでしょう?
【試行】コースなので過去のデータがないんですが、ⅡコースやⅢコースも含めた全体での競争率は例年2〜3倍程度と言われています。Ⅰコースはアーリーステージということで比較的申請ハードルが低いので、しっかり準備すれば十分勝算はあります。
Ⅰコース以外にもコースがあるんですよね?全体像を教えてもらえますか?
はい。産学公の森補助金には全部で3つのコースがあります。段階に合わせて申請するイメージです。
| コース | 内容 | 補助上限 | 採択件数 |
|---|
| Ⅰ アーリーステージコース | 勉強会・研究会・初期調査など | 120万円 | 13件 |
| Ⅱ 事業化促進コース | 試作品・テストマーケティング | 2,000万円(下限100万円) | 14件 |
| Ⅲ 本格的事業展開コース | 応用研究・設備投資・量産化 | 5,000万円(下限2,000万円) | 6件 |
なるほど!ステップアップ式になってるんですね。Ⅰコースで実績を積んでからⅡ、Ⅲと進める感じですか?
まさにそのとおりです。令和7年度のⅠコースで補助金交付決定を受けた方でも、コースのステップアップであれば令和8年度に再申請できます。ただし、事業期間の重複はNGなので、前年度の実績報告書の提出が先に必要になります。
長期的な支援の仕組みが整ってるんですね。次は申請できる人の条件を教えてください。
大前提として、京都府内に拠点を有する中小企業が代表企業であることが必須です。主たる事業所でなくても、支店・工場・営業所などの拠点があればOKです。
そうです!中小企業基本法に基づく定義ですね。例えば製造業は資本金3億円以下または従業員300人以下、小売業は資本金5,000万円以下または従業員50人以下という感じです。自社が該当するか確認しておく必要があります。
代表企業だけじゃなくてグループを組む必要があるんですよね?
はい。構成企業または大学等研究機関が1者以上参画する連携グループを形成する必要があります。産産連携(企業×企業)でも産学連携(企業×大学等研究機関)でも大丈夫です。構成企業には大企業も参画可能ですよ。
国公私立大学、高等専門学校(高専)、公設試験研究機関、国立研究開発法人などです。京都には京都大学・立命館大学・同志社大学・龍谷大学・京都工芸繊維大学と研究機関が豊富なので、連携先を探しやすい環境です。
- 代表企業: 京都府内に拠点を有する中小企業(必須)
- 連携パートナー: 構成企業または大学等研究機関が1者以上(必須)
- 連携形態: 産産連携(企業×企業)でも産学連携(企業×大学)でも可
- 構成企業: 京都府外の企業・大企業も参画可
- 事業テーマ: 社会課題解決型ビジネスの創出を目指す活動であること
代表企業以外のパートナーは京都府外でもいいんですか?
公募要領に京都府内限定という制限はないと考えられます。ただし本補助金の目的が「京都府産業の振興」なので、京都府との関連性(府内での事業実施・府内への波及効果)を申請書に明記することが採択可能性を高めます。
幅広い業種が対象です。建設業・製造業・情報通信業・複合サービス事業・サービス業全般・運輸業・卸売業・小売業・学術研究・専門技術サービス業・宿泊業・飲食サービス業などです。かなり網羅的な印象ですよね(笑)。
審査では「社会課題解決型ビジネスの必然性と独自性」が最重視されます。具体的には次のようなテーマが強いです。
- 高齢化・介護人材不足×介護ロボット・アシストテクノロジー
- 農業後継者不足×スマート農業・IoT活用
- 伝統産業衰退×デジタル技術・海外展開
- 観光渋滞・地域交通課題×MaaS・移動サービス
- 脱炭素・エネルギー問題×省エネ・再エネ技術
これらのテーマが京都府の政策方向性と整合しているので評価されやすいです。
そうです。西陣織×デジタルファブリケーション、清水焼×グローバル展開みたいな「京都の強みを活かした社会課題解決」は説得力が高いです。
Ⅰコース(アーリーステージ)では主に以下の経費が対象になります。
| 経費区分 | 具体例 |
|---|
| 会議・勉強会開催費 | 会場費、資料印刷費、Web会議システム利用料 |
| 専門家・講師謝礼 | 外部専門家への謝礼、大学教員の研究協力謝礼 |
| 旅費・交通費 | 連携先との打合せ交通費、現地視察旅費 |
| 調査費 | 文献調査、市場調査委託費、技術調査費 |
| 人件費(補助事業分) | 事業担当者の補助事業に係る労務費(上限あり) |
意外とたくさんの経費に使えますね!逆に使えないのはどんな経費ですか?
使えない経費としては、土地・建物の購入・賃借費、補助事業期間外に支出した経費、飲食・接待費、汎用的な事務用品・消耗品などです。また「補助事業と直接関係のない通常業務の経費」もNGです。
- 土地・建物の取得・長期賃貸費: 不動産購入はNG
- 飲食・接待・慶弔費: 社交費は対象外
- 補助事業期間外の支出: 交付決定前の経費は原則対象外(事前着手申請を除く)
- 汎用的な事務用品: 補助事業専用でないものはNG
- 税金・社会保険料: 公租公課は対象外
交付決定を待たずに、2026年4月1日から先行して事業を開始できる制度です。ただし旅費と直接人件費は事前着手の対象外です。申請時に「事前着手届」を提出する必要があるので、早めに事業を始めたい場合は確認してください。
産学公の森申請フロー図
はい。Ⅰコースは電子申請(Jグランツ)または紙申請の2方法があります。電子申請の方が手続きがシンプルなのでおすすめです。
STEP1
連携グループの形成
代表企業(京都府内中小企業)と参画メンバー(企業または大学等研究機関)の連携体制を確立します。各参画者の役割(テーマ提供・技術支援・資金管理等)を明確にし、連携合意書等を作成しておくと申請書の説得力が増します。
STEP2
社会課題テーマの設定
「どの社会課題を・どのような技術・知見で・どう解決するビジネスを目指すか」を整理します。Ⅰコースは初期段階のため、仮説レベルのテーマ設定でも問題ありません。「なぜこの連携グループがこのテーマに取り組む必然性があるのか」を説明できることが重要です。
STEP3
補助対象経費の計画立案
勉強会・研究会等の活動に必要な経費(会議費・専門家謝礼・旅費等)を整理します。勉強会・研究会(上限20万円)か、それ以外の連携活動(上限120万円)のどちらに該当するかを確認し、現実的な経費計画を作成します。
STEP4
GビズIDの取得(電子申請の場合)
JグランツでのGビズIDが必要です。取得に2〜3週間かかることがあるので、申請期限(5月25日)の1ヶ月以上前から手続きを開始してください。GビズIDはGビズIDポータルから申請できます。
STEP5
申請書類の作成・提出
京都産業21が指定する申請様式(事業計画書・経費計画書等)を記載します。申請期間は2026年4月1日〜2026年5月25日17時まで(電子申請はJグランツで送信完了、紙申請は必着)。不明点は京都産業21の担当窓口に相談しながら進めてください。
STEP6
審査・採択通知
書類審査を経て採択通知が届きます。採択後に交付申請→交付決定という流れになります。
STEP7
補助事業の実施・報告
交付決定日から2027年1月29日までの間に補助事業を実施します。完了後に実績報告書(活動内容・成果・経費精算)を提出し、補助金の精算を受けます。
GビズIDの取得が先に必要なんですね!2〜3週間かかるのは知らなかった。
そうなんですよ。5月25日が締切なので、今(2026年5月)から準備するとかなりタイトです。でも、まだ間に合わないわけじゃないので、急いでGビズIDの申請と京都産業21への相談を並行して進めることをおすすめします!
- 社会課題解決の必然性: 「なぜこの連携グループがこのテーマに取り組むのか」を具体的に説明する
- 連携の実質性: 参画する大学・企業の担当者名・専門領域・関与姿勢を具体的に記述する
- 京都府との関連性: 府内での事業実施・地域への波及効果を明示する
一番重要なのは「社会課題との関連性の明確さ」と「産学連携の実質性」です。「京都府内のXX問題に対し、A大学の〇〇技術と当社の△△知見を組み合わせることで、XX年後に〇〇ビジネスとして解決できる」という具体的な構造を示せると強いです。
漠然と「産学連携で新事業を目指す」だけじゃダメってことですね。
そうです。もう一つ重要なのが連携の実質性の証明です。大学教員が参画する場合、担当教員名・専門領域・当該テーマへの関与姿勢を具体的に書くことで「形だけの連携じゃない」とアピールできます。可能なら参画機関からの推薦状や連携意向確認書を添付すると審査上有利です。
京都産業21って申請の相談にも乗ってくれるんですか?
めちゃくちゃ重要なポイントで、京都産業21はコーディネーター機能を持つ支援機関なんです。補助金申請前から相談することで、テーマの磨き込み、連携先大学・研究機関の紹介、申請書作成のアドバイスが受けられます。申請者として相談に行くというより、一緒に事業をつくる支援機関として活用するのが攻略の鍵です!
それは知らなかった!事務局に相談に行くのを躊躇してる人が多そうですね。
この補助金だけじゃなく、他の補助金と組み合わせることはできるんですか?
同一経費への重複補助は禁止ですが、事業フェーズや用途を整理すれば組み合わせは可能です。典型的な段階的活用を紹介すると、まずⅠコース(アーリーステージ)で連携テーマの実現可能性を確認、次にⅡコース(事業化促進)で試作品開発・テストマーケティング、さらにⅢコース(本格事業展開)で量産設備投資という流れが理想的です。
同じ産学公の森補助金をステップアップで使い続けるのが王道なんですね。
なるほど。補助金戦略ってステップアップで考えるのが大切なんですね。
NEDOや文部科学省の科研費との組み合わせも理論上は可能ですが、同一テーマへの二重支援にならないよう申請前に確認が必要です。京都産業21のコーディネーターに他の支援制度との組み合わせも相談してみてください。
具体的にどんな企業がどう使うのか、事例を教えてもらえますか?
いくつか典型的なシナリオを紹介します。まず製造業の場合、精密部品メーカー×京都工芸繊維大学×熟練技術のデジタル化テーマという組み合わせです。高齢化による熟練技術者の離職が課題の中小製造業が、大学の機械工学研究室と産学連携グループを結成し、技術動作の可視化をテーマに勉強会を開催する。費用は会議費・外部専門家謝礼・資料作成費で、補助金は20万円コースで十分です。
ITスタートアップなら交通系スタートアップ×立命館大学都市計画研究室×京都観光MaaSという組み合わせが強いです。観光渋滞という社会課題に対し、交通データの収集・分析手法について共同で勉強会を開催。ⅠコースでMaaS事業化の可能性を探り、成果が出たらⅡコースで実証実験へ移行するロードマップです。
西陣織メーカーが京都大学デザイン学領域×伝統繊維技術×デジタルモノづくりというテーマで申請するのも面白いです。伝統産業衰退という社会課題に対し、医療・スポーツ分野への素材応用可能性を研究会形式で探る。「京都らしい社会課題」として審査員の評価も高くなります。
- 住所: 〒600-8813 京都市下京区中堂寺南町134
- 担当: 企画総務部 事業成長支援担当
- 電話: 075-315-9425(平日 8時30分〜17時15分)
- FAX: 075-315-8926
- Email: sangaku@ki21.jp
- 公式ページ: 産学公の森推進事業
申請に必要な書類はどこからダウンロードできますか?
Jグランツで電子申請する場合は別で手続きが必要ですか?
電子申請の場合は
Jグランツポータルから申請します。GビズIDが必要なので事前に取得しておいてください。電子申請マニュアルも公式ページからPDF形式でダウンロードできます。
2026年5月25日の締切まで残り少ないですが、今回間に合わない場合はどうすればいいですか?
今回の申請が難しい場合でも、今からできる準備を進めることが重要です。まずGビズIDを取得しておく。次に連携パートナー候補の大学・企業に声をかけ始める。そして京都産業21のコーディネーターに連絡して、産学連携のテーマ相談をしておくことです。
来年度も同じ補助金が公募される可能性は高いですか?
産学公の森補助金は令和7年度にも実施されていた継続制度なので、令和9年度も公募される可能性は高いです。Ⅰコース【試行】の結果次第でコース設計が変わる可能性はありますが、今年度積極的に申請することで、京都産業21との関係構築にもつながります。
- 電子申請(Jグランツ): 2026年5月25日17時までに送信完了が必要
- 紙申請: 2026年5月25日17時必着(郵送または持参)
- GビズIDの取得には2〜3週間かかるので今すぐ申請を!
- 申請前に必ず京都産業21(075-315-9425)に相談することを推奨
最後に、これから申請を検討する企業に向けてアドバイスをもらえますか?
一番大事なのは「まず動く」ことです!京都産業21のコーディネーターに連絡するだけでも、テーマのアドバイスや連携先の紹介をしてもらえます。この補助金の最大のメリットは「勉強会レベルから支援してくれる」ことなので、完璧な事業計画がなくても申請できます。京都府内の中小企業で、大学や他の企業と何か面白いことをしてみたいという気持ちがあるなら、ぜひ一歩踏み出してみてください!
最後に読者からよくある質問をまとめて聞かせてください。勉強会と研究会の違いって何ですか?
補助金の文脈では明確な定義はありませんが、「勉強会」は情報共有・課題認識の場、「研究会」はより具体的な課題解決の検討の場というイメージです。いずれも上限20万円の区分に含まれます。自社の活動がどちらに該当するかは京都産業21の担当窓口に確認することをおすすめします。
Ⅰコースは小規模活動が対象のため、他の大型補助金と比べると報告書類は比較的少ないと思われます。ただし補助金適正化法に基づく義務(会計書類の保管等)は通常通り適用されます。領収書や請求書などの経費書類は補助事業実施中から丁寧に管理してください。
大学教員を参画メンバーにする場合、大学側への手続きはどうすればいいですか?
大学の産学連携規程に基づく所属機関の承認が必要になることがほとんどです。特に補助金の受給主体が民間企業の場合、「共同研究契約」「受託研究契約」等の形式での参画を求めることがあります。こうした手続きには数週間〜1ヶ月程度かかるため、申請前から連携予定の教員・研究者と大学産学連携部門に相談を開始してください。
最後に、なぜ今この補助金を使うべきなのか教えてください。
Ⅰコース【試行】は今年度初めて設けられた新しいコースです。京都産業21側も制度を試験運用中のため、採択された企業のフィードバックが次年度の制度改善に活かされます。初期ユーザーとして申請することで、支援機関との強い関係が構築できます。産学連携に興味があるけど「まだ準備ができていない」と思っている企業こそ、このアーリーステージコースを使う絶好のチャンスです!