今日は「再就職手当」について教えてもらいたいんですが、名前は聞いたことあるんですけど、これって失業保険とは別物なんですか?
別物ですよ! 失業保険(基本手当)は失業中の生活を支えるためのお金で、再就職手当は早く仕事を見つけた人へのご褒美みたいな給付です。「早く再就職したほうが受け取るお金が増える」という仕組みになっていて、厚生労働省が雇用保険制度の一環として運営しています。
ご褒美!おもしろい制度ですね。どれくらいもらえるんですか?
それは残っている失業保険の日数によって変わります。「所定給付日数の3分の2以上残して再就職した場合は基本手当日額×残日数×70%」「3分の1以上残して再就職した場合は60%」という計算になります。
ということは、早ければ早いほど70%がもらえるから多くなる、ということですか?
その通りです! たとえば基本手当日額が6,000円で、所定給付日数が150日の人が早期に再就職して100日残していたとします。100日 ÷ 150日 = 66.7%で3分の2以上なので、6,000円 × 100日 × 70% = 42万円もらえる計算です。
ざっくりそのくらいです。もちろん基本手当日額には上限がありますし、実際の金額はハローワークで確認が必要ですが、しっかり計算すれば数十万円になることも珍しくありません。
再就職手当 給付率フロー図
給付率の違いをもう少し詳しく教えてもらえますか? 3分の2以上というのはどういう状態ですか?
たとえば所定給付日数が90日の人なら、60日以上残しているとき(90日 × 2/3 = 60日)が70%の給付率です。30日以上残しているとき(90日 × 1/3 = 30日)が60%の給付率になります。
残念ながら対象外です。所定給付日数の3分の1未満しか残っていない状態で再就職しても再就職手当は受け取れません。だからこそ、早めの再就職を目指すことが大事なんです。
| 支給残日数の状態 | 給付率 |
|---|
| 所定給付日数の3分の2以上 | 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上3分の2未満 | 60% |
| 所定給付日数の3分の1未満 | 支給対象外 |
テーブルで見るとわかりやすいですね。なるほど、早く決まれば決まるほど有利なんだ。
それが国の狙いでもあります。失業期間が長引くと生活も不安定になるし、スキルも落ちてしまう。だから早期再就職にインセンティブをつけているわけです。
でも誰でももらえるわけではないですよね? 条件が厳しいんじゃないかと思って。
全部で8つの要件があります。一つひとつは難しくないですが、全部クリアしないといけません。まず大前提として「雇用保険の基本手当の受給資格があること」が必要です。
そうです。受給手続きをしていない場合も対象外ですよ。厚生労働省の公式Q&Aにも「受給手続を行っていない場合、再就職手当は受給できない」と明記されています。
- 就職日前日までの失業認定を受け、所定給付日数の3分の1以上の支給残日数があること
- 1年を超えての勤務期間が予定されていること(雇用継続の見込み)
- 7日間の待期期間を満了した後の就職であること
- 自己都合退職などで給付制限がある場合、待期期間満了後の最初の1カ月間はハローワーク等の紹介で採用されたこと
- 離職した前の事業主に再び就職したものでないこと
- 就職日前の3年以内に再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 受給資格決定(求職申し込み)前から採用が決まっていないこと
- 原則として雇用保険の被保険者資格を取得する要件を満たす条件での雇用であること
8つか。「1年を超えての勤務が予定されていること」というのは、短期契約だとダメということですか?
そうです。派遣社員で3カ月の短期契約、みたいな場合は対象外になります。ただし、契約更新によって1年を超えることが確実であれば対象になることもあります。ハローワークで確認しましょう。
「給付制限期間がある場合」というのは、自己都合で辞めた人のことですか?
そうですね。会社都合(リストラ・倒産など)で辞めた場合は給付制限がないのですが、自己都合で辞めると最初の1カ月は給付制限期間になります。この1カ月間に就職した場合は、ハローワークか許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介で採用された場合のみ対象になります。自分でウェブ応募して採用された場合は対象外です。
え、自分で応募したら対象外なんですか! それは知らなかった。
令和7年4月1日以降の退職の場合、給付制限期間は原則1カ月になりました(以前は2カ月だったのが短くなりました)。ただし過去5年間に2回以上自己都合退職した場合は3カ月のままです。
再就職手当 申請フロー
流れさえ把握しておけば難しくないですよ。まず再就職先から採用証明書をもらって、それをハローワークに提出するところから始まります。
再就職先から「採用証明書」を受け取る(就職後にすぐ依頼しましょう)
採用証明書をハローワーク窓口に提出する(就職の届出)
ハローワーク窓口で「再就職手当支給申請書」を受け取る
申請書を再就職先(新しい会社)に提出して、事業主欄に記入してもらう
記入済みの申請書と雇用保険受給資格者証をハローワークに提出する
再就職した日の翌日から1カ月以内が申請期限です。これを過ぎると申請できなくなるので要注意です! 再就職が決まったらすぐにハローワークへ連絡しましょう。
1カ月以内! それは早めに動かないといけないですね。
申請してから実際に口座に振り込まれるまでは、ハローワークで審査が行われるため一定の時間がかかります。数週間から1カ月程度を見ておいてください。審査状況の確認は電話では応じてもらえないので、本人確認書類を持参してハローワーク窓口で直接確認してください。
採用証明書、再就職手当支給申請書(事業主記入済み)、雇用保険受給資格者証の3点が主なものです。申請先は住所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)になります。
- 申請窓口: 住所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)
- 受付方法: 窓口持参(申請書類一式をご持参ください)
- 確認方法: 審査状況は電話では対応不可。本人確認書類持参の上、窓口で確認
- 公式サイト: 厚生労働省 就職促進給付について
わかりました。具体的なシミュレーションをいくつか見てみましょう。
| ケース | 基本手当日額 | 所定給付日数 | 支給残日数 | 残日数比率 | 給付率 | 支給額の目安 |
|---|
| ケースA | 5,000円 | 90日 | 65日 | 72% (2/3以上) | 70% | 約22.75万円 |
| ケースB | 5,000円 | 180日 | 120日 | 67% (2/3以上) | 70% | 約42万円 |
| ケースC | 6,000円 | 270日 | 100日 | 37% (1/3以上) | 60% | 約36万円 |
| ケースD | 4,000円 | 90日 | 29日 | 32% (1/3未満) | 対象外 | 0円 |
ケースBとCの差がすごいですね。同じ100日残していても給付率が違う。
2/3以上残して再就職できると、70%と60%で10%分違いますよね。ケースBで見ると120日×5,000円で10%差は6万円です。焦って決めるというより、良い就職先を早く見つけるのが最善策ですよ。
基本手当日額に上限があると言ってましたが、それはどのくらいですか?
基本手当日額の上限は毎年8月1日に「毎月勤労統計」の平均定期給与額をもとに改定されます。最新の上限額はハローワークで確認してください。雇用保険受給資格者証にも記載されています。
再就職手当の計算に使う基本手当日額には上限があります。実際の日給が高くても、上限を超えた分は計算に反映されません。正確な金額はハローワーク窓口か雇用保険受給資格者証でご確認ください。
これ、落とし穴みたいなのはありますか? 「もらえると思ったらもらえなかった」みたいな。
いくつかあります! まず「前の会社に再就職した場合」は対象外です。これは単に同じ会社に戻るケースだけでなく、資本・資金・人事・取引等で前の会社と密接な関係がある会社への就職も含みます。グループ会社への転籍なども場合によっては対象外になります。
判断が難しい場合はハローワークに事前確認することをおすすめします。あと「受給手続き前から採用が決まっていた場合」も対象外です。たとえば退職前からすでに転職先が決まっていた、という状況です。
そうなんです。だから「転職先が決まった後にハローワークで受給手続きをした」場合は要注意です。受給資格決定より前に採用が内定していた場合は対象外になります。
「過去3年以内に再就職手当を受けたことがある場合」も対象外です。3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受けていると、もう一度は受けられません。
- 所定給付日数の3分の1未満しか残っていないとき
- 7日間の待期期間を満了していない就職
- 前の会社またはグループ会社への再就職
- 1年以下の短期雇用(契約更新見込みがない場合)
- 過去3年以内に再就職手当・常用就職支度手当の受給歴がある
- 受給資格決定前から採用が内定していた
- 自己都合退職の給付制限1カ月内に、ハローワーク等以外(直接応募など)で採用された
これだけ条件があると、申請前にしっかり確認しないといけないですね。
そうです。迷ったらハローワークの窓口に聞くのが一番です。事前に相談することも大切で、特に「自己都合退職直後で給付制限中に就職先が決まった」という場合は、応募方法によって受給可否が変わるので必ず確認してください。
ちょっと気になったんですが、再就職手当を受けた後にすぐ辞めてしまったらどうなりますか?
再就職手当自体を返還する必要はありません。ただし、再就職手当をもらった会社を6カ月未満で辞めた場合は、「就業促進定着手当」という次の手当は受けられなくなります。
はい。再就職手当を受けて、再就職先に6カ月以上勤めて、しかも前職より賃金が下がった場合に支給される手当です。いわば「再就職手当の後のセーフティネット」ですね。
三段構えになってるんですね! じゃあ再就職手当で就職して、6カ月は頑張って勤めないと次の手当ももらえないと。
まさにそういうことです。制度全体が「早く、かつ長く安定して働く」ことを後押しする設計になっています。
| 制度 | タイミング | 目的 |
|---|
| 基本手当(失業保険) | 失業中 | 求職中の生活費補助 |
| 再就職手当 | 早期再就職時 | 早期再就職のインセンティブ |
| 就業促進定着手当 | 再就職先に6カ月勤務後 | 賃金低下分の補填(最大6カ月分) |
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 再就職手当(就職促進給付の一つ) |
| 対象者 | 雇用保険の基本手当受給資格者で、所定給付日数の3分の1以上を残して再就職した方 |
| 支給額 | 基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率(60%または70%) |
| 給付率 | 残日数2/3以上で70%、残日数1/3以上2/3未満で60% |
| 申請期限 | 再就職した日の翌日から1カ月以内 |
| 申請先 | 住所を管轄するハローワーク(公共職業安定所) |
| 受取方法 | 銀行口座への振込 |
| 公式情報 | 厚生労働省 就職促進給付について |
そうですね。再就職が決まった瞬間から時計が動き始めます。再就職先から採用証明書をもらったら、できるだけ早くハローワークに行ってください。
再就職手当や雇用保険に関して「お金を振り込めば手当が増える」「ATMで手続きが必要」といった連絡が来た場合は詐欺です。ハローワークがATMの操作を求めることは絶対にありません。電話やSMSで個人情報・金融機関情報を求めてくることもありません。不審な連絡は最寄りのハローワークや警察に相談してください。
まず「パートやアルバイトへの就職でもOKですか?」という質問はどうですか?
原則として「1年を超えて雇用される見込みがあること」と「雇用保険の被保険者資格を取得すること(週20時間以上の勤務)」が条件です。つまり、週20時間以上で1年超の見込みがあるパート・アルバイトなら対象になります。
自営業・事業開業の場合も一定の要件を満たせば対象です。ただし通常の雇用と要件が異なる部分があるので、ハローワークで事前確認が必要です。
失業保険を全部もらってから就職した方が得じゃないかと思う人もいそうですが。
計算してみると、実は早期に再就職した方がトータルで受け取れる金額が多くなるケースがほとんどです。たとえば残100日を全部失業保険でもらうと100日 × 日額ですが、再就職手当は70%なら70日分相当で、さらに再就職先の給与も入ります。長い目で見て早期再就職の方が有利です。
なるほど! 経済的にも早く動いた方が良いわけですね。これで大体わかりました、ありがとうございました!
雇用保険の制度は複雑に見えますが、ハローワークのスタッフが親切に教えてくれます。就職が決まったらすぐにハローワークに連絡することだけ忘れないでください!
再就職手当と一緒に知っておきたい制度はありますか?
雇用保険を受けられない方や、住まいの支援が必要な方向けの制度もあります。合わせて確認しておくとよいでしょう。
| 制度名 | 対象 | リンク |
|---|
| 求職者支援制度(職業訓練受講給付金) | 雇用保険を受けられない方の職業訓練中の給付 | 詳細 |
| 住居確保給付金(奈良市・家賃補助) | 離職などで家賃が払えない方への支援 | 詳細 |
都道府県別の給付金一覧は
全国の給付金・助成金一覧からも確認できます。お住まいの地域の制度もぜひチェックしてみてください。