室谷さん、今日は香川県の医療機関向けの給付金を取り上げたいんですけど、これってクリニックや訪問看護ステーションがもらえるやつですよね?
そうなんです!正式名称が長いんですけど、「香川県医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援給付金」っていう制度で、令和7年度の厚生労働省の補正予算を使って香川県が実施したものなんですよ。
補正予算関連ってことは、けっこう大きな国の動きの一環なんですか?
そうですね。物価高と賃上げの波って、医療機関にもかなりきてるんですよ。診療報酬って基本的に国が決めるので、お店みたいに値段を上げて吸収できないんですよね。だから国と県がセットで「処遇改善を支援しますよ」っていう給付金を出した、という流れです。
なるほど、価格転嫁ができない業界だからこそ支援が必要ってことか。
まさにそれです。しかもこの給付金、「賃上げ支援事業」と「物価支援事業」の2本立てになってるのがポイントなんですよ。
大丈夫です、ひとつずつ整理していきましょう。先に言っておくと、対象は香川県内の診療所(医科・歯科)と訪問看護ステーションで、病院は対象外なんです。そこだけ最初に押さえておいてください。
病院はダメなんですね。じゃあ「うちは対象なのかな?」っていうクリニックの先生に向けて、対象者からじっくり聞いていきます。
ざっくり言うと香川県内の診療所と訪問看護ステーションです。ただ、2つの事業で対象がちょっと違うので、そこを分けて説明しますね。
まず「賃上げ支援事業」のほうは条件が2つあって、ひとつめが令和8年(2026年)3月1日時点で、四国厚生支局にベースアップ評価料を届け出ていること。ふたつめが、給付金を使って令和8年3月までに所定の賃上げに着手することです。
ベースアップ評価料って、何ですか?聞き慣れない言葉で。
いい質問ですね。これは2024年度の診療報酬改定で新しくできた仕組みで、職員のベースアップ(基本給の引き上げ)をやる医療機関が算定できる加算なんですよ。簡単に言うと「うちは職員の給料を上げますよ」っていう届出を厚生支局に出してる施設、ということです。
なるほど、つまり賃上げ支援事業は「すでに賃上げの仕組みを使ってる施設向け」ってことですね。
そのとおりです。一方の「物価支援事業」は、もっと対象が広くて、ベースアップ評価料を届け出ていない医療機関も対象になるんですよ。
そうなんです。物価支援は「診療経費の物価高への支援」なので、賃上げをやってるかどうかは関係ないんですね。有床診療所と無床診療所が対象です。
ありますあります。両方に共通して保険医療機関コードが発行されていることと、令和7年(2025年)4月1日から申請時点までに診療報酬請求の実績があることが必要です。要は「ちゃんと保険診療をやっている現役の施設」が条件、ということですね。
- 賃上げ支援事業: 令和8年3月1日時点でベースアップ評価料を届出ている県内の診療所(医科・歯科)と訪問看護ステーション
- 物価支援事業: 県内の有床診療所・無床診療所(医科・歯科)。ベースアップ評価料の届出は不要
- 両事業共通: 保険医療機関コードが発行済みで、令和7年4月1日以降に診療報酬請求の実績があること
ありますね。病院は対象外で、あくまで診療所と訪問看護ステーションだけです。あとは令和8年1月1日時点で廃院・廃止している施設や、申請時点で休止届を出している施設も対象外になります。
動いてない施設はダメ、ということですね。対象がわかったところで、肝心の「いくらもらえるのか」を聞きたいです!
賃上げ支援事業と物価支援事業の金額早見表
では金額です。まず賃上げ支援事業からいくらもらえるんですか?
賃上げ支援事業は施設の区分ごとに定額で支給されます。具体的にはこんな感じですね。
| 施設区分(賃上げ支援事業) | 給付金額 |
|---|
| 有床診療所(3床以上) | 72,000円 × 許可病床数 |
| 有床診療所(2床以下) | 150,000円 × 1施設 |
| 無床診療所 | 150,000円 × 1施設 |
| 訪問看護ステーション | 228,000円 × 1施設 |
おっ、有床診療所で3床以上だと病床の数だけ金額が増えるんですね。たとえば10床あったら72,000円×10で72万円?
そうなんです、ざっくり72万円ですね。ベッド数が多い施設ほど職員も多いので、賃上げの原資も多く必要になるという考え方です。訪問看護ステーションは1施設あたり228,000円と、定額の中では手厚めになってます。
物価支援事業もやっぱり施設区分ごとの定額です。こちらの早見表も見てください。
| 施設区分(物価支援事業) | 給付金額 |
|---|
| 有床診療所(14床以上) | 13,000円 × 許可病床数 |
| 有床診療所(13床以下) | 170,000円 × 1施設 |
| 無床診療所 | 170,000円 × 1施設 |
あれ、物価支援だと14床以上で区切りが変わるんですね。賃上げ支援は3床で区切ってたのに。
そこ、けっこう間違えやすいポイントなんですよ。賃上げ支援は「3床」、物価支援は「14床」で区分が変わるんです。同じ施設でも事業によって当てはまる区分が違うので、両方申請する場合は表をよく見比べてくださいね。
ですよね(笑)。でも安心してください。後で説明しますが、申請の様式自体は1つにまとまっているので、施設区分さえ正しく選べば金額は自動的に決まる仕組みです。
ちなみに、物価支援事業のお金って使い道は決まってるんですか?
いい質問!物価支援事業は使途の制限がなくて、受給後の報告も必要ありません。光熱費でも医療材料費でも、診療所の運営に自由に使えるんです。
それは助かりますね。賃上げ支援事業のほうはどうなんですか?
賃上げ支援事業は名前のとおり職員の賃上げに使うのが前提です。ここはあとで注意点として詳しく話しますね。金額がわかったところで、次は実際の申請方法を見ていきましょう。
申請から受給までの流れ
大きく分けると、要件を確認して、申請して、県が審査・交付決定して、給付金が振り込まれる、という流れです。上の図にまとめたとおりですね。
WEB申請と郵送申請の2つから選べます。香川県としてはWEB申請を推奨していますね。
1給付対象の要件を確認する(賃上げ支援事業・物価支援事業それぞれの条件をチェック)
2WEB申請か郵送申請かを選ぶ(WEB申請が推奨)
3施設区分に対応した専用フォームまたは様式で申請する
4香川県が申請内容を審査し、交付決定と金額の確定を行う
WEB申請って、施設区分ごとにフォームが分かれてるんですか?
そうなんです。香川県電子申請届出システムにアクセスして、自分の施設区分に合ったフォームを選びます。具体的には「有床診療所(14床以上)」「有床診療所(3~13床)」「有床診療所(2床以下)・無床診療所」「訪問看護ステーション」の4つに分かれていました。
なるほど、さっきの金額の区分とリンクしてるんですね。郵送申請だと何が必要なんですか?
郵送の場合は、施設区分に対応した申請書(エクセル様式)に必要事項を書いて、振込先口座の通帳の見開きページを添えて送ります。ここ、ひとつ注意があって、通帳の「表紙」じゃなくて「見開きページ」なんですよ。
ダメなんです。表紙だと口座番号や名義がわからないので、見開きの最初のページ(支店名・口座番号・名義が載っているところ)が必要なんですね。ここを間違えると差し戻しになっちゃうので気をつけてください。
- WEB申請の場合: 施設区分に応じた電子申請フォームから入力(推奨)
- 郵送申請の場合: 施設区分に対応した申請書(エクセル様式)+振込先口座の通帳の見開きページ
- ベースアップ評価料の届出は申請書での申告でOK(証明書類の添付は原則不要)
賃上げ支援と物価支援、両方もらいたい場合は2回申請するんですか?
いえ、ここが親切なところで、賃上げ支援事業と物価支援事業は1つの申請様式でまとめて申請できるんです。別々に出す必要はありません。
おお、それは楽でいいですね。書類が確認できたところで、気になるスケジュールも聞いておきたいです。
この給付金、いつまでに申請すればよかったんですか?
申請受付期間は令和8年(2026年)2月20日から3月19日まででした。WEB申請は3月19日の17時まで、郵送申請は3月19日当日消印有効、というルールでしたね。
そうなんです。2026年5月時点で、この給付金の申請受付はすでに終了しています。香川県の公式ページでも「申請受付期間終了」と表示されています。
この給付金の申請受付は令和8年(2026年)3月19日で終了しました。2026年5月時点で新規の申請はできません。同種の医療機関向け支援が今後も実施される可能性はあるので、最新情報は香川県医療政策課の公式ページで確認してください。
なるほど、これから申請したい人は間に合わないってことですね。じゃあこの記事は「どんな制度だったか」を知る記録として読んでもらう感じか。
そうですね。令和7年度の補正予算事業なので、年度内の単発実施でした。ただ、賃上げや物価高への支援はトレンドとして続いているので、こういう制度の中身を知っておくと、次に似た支援が出たときにスムーズに動けますよ。
確かに。次に備える意味でも仕組みを知っておくのは大事ですね。スケジュールといえば、賃上げ支援事業には受給後にやることがあるって言ってましたよね?
そうなんです。そこが賃上げ支援事業の一番の注意点なので、次でしっかり説明しますね。
賃上げ支援事業をもらった後にやることって、何ですか?
受給した医療機関は、後日「賃金改善報告書」を香川県に提出する必要があるんです。提出時期は令和8年(2026年)夏頃を予定していました。
報告書を出すんですね。これって何を報告するんですか?
実際にどれくらい賃上げをやったか、という実績ですね。賃上げの中身としては、対象職員に対して令和7年12月から令和8年5月までの6ヶ月間、毎月、令和7年11月時点より高い賃金水準のベースアップを実施することが求められていました。
11月時点と比べて上がってればOK、ってことですか?
そうです。しかも令和8年6月以降も、そのベースアップの水準を維持するか、さらに拡大することが条件なんですよ。一時的に上げて戻す、というのはダメなんです。
なるほど、継続的な賃上げが前提なんですね。ちなみに対象職員って誰でも含まれるんですか?
医療機関と労働契約を結んでいる人が対象で、非常勤職員も含まれます。ただし管理者や法人の理事長、個人事業主本人は対象外です。あくまで雇われている職員の処遇改善が目的、ということですね。
ここが大事なポイントで、もし実際の賃上げ総額が給付金の支給額より少なかった場合は、差額を返還することになるんです。
そうなんです。賃上げ支援事業はあくまで「賃上げの原資」なので、もらった分はちゃんと賃上げに使ってくださいね、ということです。使い切れずに余ったら返してもらいますよ、という仕組みなんですね。
賃上げ支援事業の給付金は、実際に実施したベースアップの総額が給付金額に満たない場合、賃金改善報告書の提出後に残額を返還する必要があります。物価支援事業のように使途自由ではないので、受給する場合は給付額に見合った賃上げを計画的に行うことが重要です。
物価支援事業は返還なし、賃上げ支援事業は使い残すと返還あり。この違いは押さえておかないといけませんね。
まさにそこが両事業の一番の違いです。物価支援は使途自由・報告不要、賃上げ支援は使途が決まっていて報告と返還の可能性あり、と覚えておけば大丈夫ですよ。
整理できました。お金が絡む制度といえば、最近は給付金をかたった詐欺も多いって聞きますが……。
医療機関向けの給付金でも、詐欺って気をつけたほうがいいんですか?
もちろんです。給付金がニュースになると、それに便乗した詐欺が必ず出てくるんですよ。事業者向けでも油断は禁物です。
香川県や厚生労働省の職員を名乗って、ATMの操作を求めたり、口座の暗証番号やキャッシュカードを聞き出そうとする手口にご注意ください。行政が給付金の手続きでATMの操作を求めることは絶対にありません。また、申請に「手数料」を求めることもありません。不審な電話やメール、SMSが届いた場合は、対応せず香川県の公式窓口に直接確認してください。
ATMで給付金の手続き、っていうのは100パーセント詐欺ってことですね。
そのとおりです。給付金は申請して交付決定された後、指定した口座に振り込まれる仕組みなので、こちらからATMを操作する場面はありません。「ATMで手続き」「手数料を払って」「暗証番号を教えて」はすべて詐欺のサインだと覚えておいてください。
公式の連絡先がわかっていれば、迷ったときに確認できますよね。最後に基本情報をまとめてもらえますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 香川県医療機関等における賃上げ・物価上昇に対する支援給付金 |
| 実施主体 | 香川県(令和7年度厚生労働省補正予算関連) |
| 対象 | 香川県内の診療所(医科・歯科)、訪問看護ステーション(病院は対象外) |
| 給付額(賃上げ支援) | 有床診療所3床以上72,000円×病床数、2床以下・無床150,000円、訪問看護228,000円 |
| 給付額(物価支援) | 有床診療所14床以上13,000円×病床数、13床以下・無床170,000円 |
| 申請期間 | 令和8年2月20日〜3月19日(受付終了) |
| 申請方法 | WEB申請(推奨)または郵送申請 |
| 公式ページ | 香川県医療政策課 公式ページ |
- 担当: 香川県 健康福祉部 医療政策課 医療人材Gr 賃上げ・物価支援給付金 担当
- 郵送先住所: 〒760-8570 香川県高松市番町四丁目1番10号
- 公式情報: 香川県医療政策課の公式ページで最新情報を確認
香川県内には、他にも事業者が使える支援ってあるんですか?
賃上げと投資、両方の支援を組み合わせれば経営の幅が広がりそうですね。今日はありがとうございました!
こちらこそ。この給付金自体は受付終了していますが、医療機関向けの処遇改善支援は今後も続く見込みなので、仕組みを知っておいて損はないですよ。最新情報はぜひ香川県の公式ページでチェックしてくださいね。