ものづくり補助金の申請条件と対象者|個人事業主・農業・飲食も使える?
目次
ものづくり補助金の対象者
ものづくり補助金を申請できるのは、以下の要件を満たす中小企業者・小規模事業者です。
中小企業者の定義
| 業種 | 資本金 | 従業員数(いずれか一方を満たす) |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
特定非営利活動法人(NPO法人)も一部要件のもとで対象となります。
小規模事業者の定義
| 業種 | 従業員数 |
|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業・その他 | 20人以下 |
| 商業・サービス業 | 5人以下 |
小規模事業者に該当すると補助率が2/3(通常の中小企業は1/2)に引き上げられます。これは大きな差です。例えば1,000万円の設備投資をした場合、1/2なら500万円、2/3なら約667万円の補助になります。
対象とならない事業者
以下の事業者は申請できません:
- 大企業(中小企業者の定義に該当しない事業者)
- みなし大企業(大企業が発行済株式の2分の1以上を所有する中小企業等)
- 確定申告をしていない個人事業主
- 申請者の代表者・役員が反社会的勢力に該当する者
- 過去にものづくり補助金等で不正行為があった事業者
申請条件:基本要件4つ
ものづくり補助金に申請するには、補助事業終了後の3〜5年の事業計画において以下の基本要件をすべて満たす必要があります。
基本要件① 付加価値額の増加
付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率が+3.0%以上増加する計画を策定すること。
「付加価値額」は補助金で普通に使われる言葉ですが、要するに「会社が本業でどれだけ価値を生んだか」を示す指標です。設備投資によって生産量が増え、売上・利益が増加する計画であることを示します。
例えば、現在の付加価値額が5,000万円の会社であれば、5年後に5,000万円×(1+0.03)^5 ≒ 5,797万円以上を目指す計画が必要です。
基本要件② 賃金の増加(第23次から厳格化)
以下のいずれかを満たすこと:
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
- 給与支給総額の年平均成長率が+3.5%以上(※第23次から引き上げ。第22次は+2.0%以上)
第23次での変更点: 第22次まで「給与支給総額+2.0%以上」だったものが、第23次から「+3.5%以上」に引き上げられました。物価高を反映した変更ですが、目標を設定した以上は達成義務があり、未達の場合は補助金の一部返還が求められます。
基本要件③ 事業所内最低賃金
事業所内最低賃金が、事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準であること。
2026年4月時点の地域別最低賃金(例:東京都1,163円)であれば、事業所内最低賃金が1,193円以上必要です。現在の賃金水準を確認し、必要に応じて賃上げ計画を事業計画書に明記します。
基本要件④ 一般事業主行動計画の公表(従業員21名以上のみ)
従業員が21名以上の事業者は、次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定・公表する必要があります。公表には「両立支援のひろば」(厚生労働省)への登録が必要で、1〜2週間かかります。
補助対象となる事業・経費
補助対象事業の要件
ものづくり補助金の対象になるのは、以下のような取り組みです:
- 革新的な新製品・新サービスの開発 — 既存の設備更新や単純なリプレイスは対象外。「革新性」が必要
- 生産プロセスの革新 — 単純な省力化ではなく、新たな生産体制の構築
- 成長分野(DX・GX)への進出 — デジタルトランスフォーメーションやグリーン化に資する取り組み(第23次の成長分野進出類型)
「革新性」とは既存技術との比較で新しいということであり、大企業が当たり前にやっていることを中小企業が初めて導入する場合も革新的と判断されることがあります。
補助対象経費
| 経費区分 | 内容 | 必須/任意 |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | 設備・機械・工具・器具、ソフトウェア開発費等 | 必須(必ず含めること) |
| 技術導入費 | 特許権等の知的財産権の導入に要する経費 | 任意 |
| 専門家経費 | 外部専門家への謝金・旅費等 | 任意 |
| 運搬費 | 設備等の輸送費 | 任意 |
| クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用料 | 任意 |
| 原材料費 | 試作品開発のための原材料購入費 | 任意 |
| 外注費 | 製品開発に要する加工・設計等の外注費 | 任意 |
| 知的財産権等関連経費 | 特許出願・弁理士費用等 | 任意 |
対象外の経費(よくある間違い):
- 土地・建物の購入・賃貸費用
- 汎用性の高いパソコン・タブレット単体
- 補助事業と直接関係ない消耗品
- 販売・マーケティングの費用(グローバル枠の一部を除く)
補助対象経費は必ず機械装置・システム構築費を含む必要があります。専門家経費だけで申請することはできません。
農業・飲食業・サービス業でも申請できる?
「ものづくり」という名前から誤解されがちですが、製造業以外の業種でも広く申請できます。
農業: スマート農業設備(ドローン・センサー・農業AIシステム等)の導入で採択実績あり。ただし「革新的な農業生産の実現」が必要で、単なる農機具の更新は対象外。
飲食業: 新しい調理システム・自動化設備の導入や、新商品開発のための製造ライン整備が対象。「どんな革新的なサービスを提供するか」を明確にすることが重要。
サービス業・IT業: 独自ソフトウェアの開発、AI・IoTシステムの構築など。技術的な裏付けが求められます。
小売・卸売: 新しい商品の製造・加工ラインの整備、独自の在庫管理システム開発等。
個人事業主の申請条件
個人事業主は申請できますが、法人との比較で注意が必要な点があります:
確認事項:
- 青色申告または白色申告で確定申告をしていること
- GビズIDプライムの取得(個人事業主も取得可能)
- 事業計画の実現可能性の証明(個人事業主は担保や実績の証明が難しい場合があるため、事業計画書の完成度が特に重要)
小規模事業者の判断: 個人事業主は多くの場合、小規模事業者(商業・サービス業は5人以下)に該当し、補助率2/3が適用されます。
申請前のセルフチェックリスト
以下を全て確認してから申請準備に進みましょう:
- 中小企業者または小規模事業者の定義に当てはまるか
- 革新的な新製品・新サービスの開発・生産プロセス改善に取り組む計画があるか
- 補助対象経費に「機械装置・システム構築費」が含まれるか
- 3〜5年の事業計画で付加価値額+3.0%以上の成長を見込めるか
- 給与支給総額の年平均成長率+3.5%以上の賃上げ計画が立てられるか(第23次)
- 事業所内最低賃金が地域最低賃金+30円以上か
- GビズIDプライムを取得済みか(未取得なら今すぐ申請を)
- 従業員21名以上の場合、一般事業主行動計画の公表準備ができているか
よくある質問
Q. 同じ設備を別の補助金でも申請できますか?
原則として、他の補助金と同一の設備・システムを重複して申請することはできません。ただし、補助対象経費が重複しない範囲であれば、別の補助金との組み合わせが可能な場合もあります。詳しくは公募要領を確認してください。
Q. 設立まもない会社でも申請できますか?
申請自体は可能ですが、事業計画の実現可能性や財務状況を審査されます。設立1年未満で決算書がない場合は、代わりに開業初年度の試算表等が必要になることがあります。
Q. 補助金の対象期間中に事業を廃止した場合はどうなりますか?
補助事業の実施期間内に廃業・清算した場合は、交付を受けた補助金の返還を求められます。
Q. グループ企業が複数社で申請できますか?
個々の中小企業が個別に申請する必要があります。グループ全体として1件の申請はできません。ただし、複数の中小企業が「連携体」として共同申請できる枠(事業者単独型以外)がある場合もあるため、公募要領を確認してください。
次のステップ
対象者・条件を確認できたら、次は申請の具体的な手順を確認しましょう。
- 申請方法と必要書類 — JGrantsでの申請手順と必要書類一覧
- 採択されるためのポイント — 事業計画書の書き方・審査ポイント
- スケジュールと締切 — 次の公募に向けたタイムライン
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