両立支援等助成金の申請方法と必要書類 コース別の手順と期限を解説
目次
どのコースも申請先は同じ。でも「いつ」「何を」出すかがコースごとに違う
「助成金に興味はあるけど、申請が面倒そうで踏み出せない」という声をよく聞きます。両立支援等助成金は確かに書類が多いですが、流れを把握すれば迷わずに進められます。
このページでは、6つのコースに共通する申請の基本的な流れと、コース別の申請タイミング・必要書類を解説します。
申請前に確認:自社が対象かどうか
両立支援等助成金は中小企業のみが対象です。以下のいずれかに該当すれば対象です。
| 業種 | 資本金・出資額 | 常時雇用労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食業含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他(製造業・建設業等) | 3億円以下 | 300人以下 |
育休中等業務代替支援コース(手当支給等)のみ、全産業一律で「常時雇用300人以下」が基準です。
共通の申請ステップ
Step 1:就業規則の整備(取り組みの前日まで)
すべてのコースで、育児休業・介護休業などの制度を就業規則または労働協約に明文化する必要があります。常時10人未満の事業所で就業規則の作成・届出が不要な場合でも、制度を文書化して労働者に周知していることが必要です。
整備が必要な主な規定:
- 育児・介護休業法に基づく育児休業規定
- 育児のための短時間勤務制度
- コースごとに必要な追加規定(手当制度、プラン策定規定など)
Step 2:一般事業主行動計画の策定・届出(出生時両立支援等の要件)
出生時両立支援コースをはじめ多くのコースで、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局に届け出ていることが必要です。
プラチナくるみん認定を受けている事業主は、この届出が不要です。
Step 3:支援プランの作成と面談(コースごとに必要)
育児休業等支援コース・介護離職防止支援コース・柔軟な働き方選択制度等支援コースでは、事前に支援プラン (育休復帰支援プラン・介護支援プラン・柔軟な働き方支援プランなど)を作成し、対象労働者と面談することが必要です。
プランの様式は厚生労働省のウェブサイトから入手できます。「仕事と家庭の両立支援プランナー」が無料でプラン策定を支援しており、初めての申請の場合は活用を検討してみてください。
Step 4:取り組みの実施(コースごとに条件が異なる)
各コースで定める取り組みを実施します。
- 出生時両立支援コース:雇用環境整備措置の実施、男性労働者が育児休業を取得
- 育児休業等支援コース:育休復帰支援プランに基づき育休を取得し、職場復帰
- 育休中等業務代替支援コース:業務代替者への手当支給または代替要員の確保
- 介護離職防止支援コース:介護支援プランに基づき介護休業を取得または支援制度を利用
- 柔軟な働き方選択制度等支援コース:対象労働者が柔軟制度を6か月間一定基準以上利用
- 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース:対象労働者が各制度を5日(回)利用
Step 5:支給申請書の提出(申請期限内に必着)
取り組み完了後、申請期限内に必要書類を提出します。申請先は本社等所在地を管轄する都道府県労働局 雇用環境・均等部 (室)です。
電子申請は雇用関係助成金ポータルから可能です(2023年6月から対象)。
郵送の場合は簡易書留などの配達記録が残る方法で送付してください。消印日ではなく労働局への到達日が期限内であることが必要です。
コース別:申請期限と必要書類の概要
出生時両立支援コース(第1種)
申請期限: 育児休業終了日の翌日から2か月以内
主な必要書類:
- 支給申請書一式(様式第1〜4号)
- 雇用環境整備措置の実施を証明する書類(研修記録、規定など)
- 業務体制整備に関する規定
- 育児休業取得を証明する書類(賃金台帳、タイムカードなど)
- 一般事業主行動計画の届出受理通知書
育児休業等支援コース
申請期限:
- 育休取得時:産後休業開始日から3か月経過後2か月以内
- 職場復帰時:復帰した日から2か月以内
主な必要書類:
- 支給申請書一式(様式第1〜5号)
- 育休復帰支援プラン(面談シート含む)
- 育児休業取得・復帰を証明する書類
育休中等業務代替支援コース
申請期限:
- 手当支給等:育児休業終了日から2か月以内(先行支給分は開始後1〜3か月以内)
- 新規雇用:育児休業終了日の翌日から3か月以内
主な必要書類:
- 支給申請書一式(様式第1〜6号)
- 業務の見直し・効率化に関する規定
- 業務代替者への手当支給記録(賃金台帳等)または代替要員の雇用を証明する書類
介護離職防止支援コース
申請期限: 介護休業開始から5日経過後2か月以内(または支援制度利用完了後2か月以内)
主な必要書類:
- 支給申請書一式(様式第1〜6号)
- 介護支援プラン(面談シート含む)
- 介護休業取得・支援制度利用を証明する書類
柔軟な働き方選択制度等支援コース
申請期限: 6か月間の制度利用期間終了から2か月以内
主な必要書類:
- 支給申請書一式(様式第1〜5号)
- 柔軟な働き方支援プラン(面談シート含む)
- 制度利用実績を証明する書類
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
申請期限: 5日(回)の制度利用完了後から一定期間内(各テーマで確認)
主な必要書類:
- 支給申請書一式(様式第1号①②③)
- 就業規則(制度規定の条文)
- 制度利用実績を証明する書類(取得記録など)
申請書類の入手方法
最新の様式はすべて厚生労働省のウェブサイト「両立支援等助成金のご案内」からダウンロードできます。様式は毎年度変更されるため、申請年度の正しい様式を使用してください。
「支給申請の手引き(2026(令和8)年度版)」には各コースの詳細な要件と記載例が掲載されています。初回申請の方は手引きとあわせて参照することをお勧めします。
申請でよくある失敗と対策
失敗1:就業規則の規定が不足していた 「規定はあるが法律への委任規定のみ」「施行日が育休開始日の前日に間に合わなかった」などで不支給になるケースがあります。取り組み開始前に就業規則の規定内容を都道府県労働局に確認しておくと安心です。
失敗2:申請期限を過ぎた 申請期限は取り組み完了から「2か月以内」が多いです。取り組みが完了した時点でカレンダーに期限を記録し、書類の準備を早めに始めましょう。
失敗3:同一対象者で併給不可のコースを申請した 出生時両立支援コース(第1種)と育児休業等支援コースは、同一対象者の同一育児休業では併給できません。申請前に都道府県労働局に相談して、どちらのコースが有利かを確認しましょう。
失敗4:電子申請の添付書類が不足していた 電子申請の場合でも、各コースで定める添付書類は必要です。申請画面で求められる書類をすべてアップロードしているか、送信前に確認してください。
相談・問い合わせ先
申請内容や要件について不明点がある場合の相談先は以下のとおりです。
都道府県労働局 雇用環境・均等部 (室) 本社等所在地を管轄する都道府県労働局が申請窓口兼相談窓口です。
仕事と家庭の両立支援プランナー (無料) 支援プランの策定を無料でサポートする専門家が中小企業を訪問してくれます。育休復帰支援プランや介護支援プランの作成に不安がある場合は活用してみてください。
まとめ:まず就業規則の確認から始めよう
両立支援等助成金の申請で最初にやることは、就業規則に必要な制度が規定されているかの確認です。規定が不足していれば、育休開始日の前日までに整備する必要があります。
次に申請したいコースを1つ決め、そのコースの「支給申請の手引き」を読み、必要な措置のチェックリストを確認しましょう。
複数コースを狙っている場合でも、まず1コースを完了させてから次に進む方が混乱しにくいです。
両立支援等助成金の全体像については両立支援等助成金ガイドを、育休中の給付金については育児休業給付金ガイドもご確認ください。