両立支援等助成金とは?6つのコース・金額・申請方法をわかりやすく解説

目次

育児や介護で辞めてほしくない。その気持ちを国が後押しする制度

「男性スタッフが育休を取りたいと言っている。でも業務が回るか心配だ」 「介護で仕事を続けられないかもしれないと、ベテラン社員が悩んでいる」 「不妊治療中の女性社員に、もっと休みやすい環境を作りたい」

そんな経営者・人事担当者の悩みに応えるのが、両立支援等助成金です。

仕事と育児・介護・不妊治療を両立できる職場環境を整備した中小企業事業主に対して、厚生労働省が費用を助成します。1コースあたり最大140万円、複数コースの組み合わせ次第では数百万円規模の受給も可能です。

あなたの状況はどれに当てはまりますか?

  • 男性社員に育休を取らせたい → 出生時両立支援コース(最大80万円)
  • 育休取得・職場復帰を手厚くサポートしたい → 育児休業等支援コース(最大60万円)
  • 育休中・短時間勤務中の業務代替手当を出している → 育休中等業務代替支援コース(最大140万円)
  • 介護離職を防ぎたい → 介護離職防止支援コース(最大40万円)
  • テレワークや時短など柔軟な働き方制度を整備したい → 柔軟な働き方選択制度等支援コース(最大25万円)
  • 不妊治療・月経・更年期で休みやすい環境を作りたい → 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース(各30万円)

どのコースも中小企業のみが対象です。当てはまるコースから読んでみてください。


両立支援等助成金とは:6つのコースと金額の全体像

両立支援等助成金は、厚生労働省が所管する雇用関係助成金のひとつです。仕事と家庭生活の両立を支援する環境整備に取り組む中小企業事業主に対して、取り組みに応じた金額を支給します。

6つのコースの概要と最大支給額をまとめると以下のとおりです。

コース名主な対象最大支給額
出生時両立支援コース男性育休取得80万円(第1・2種合計)
介護離職防止支援コース介護休業・両立支援制度40万円/人
育児休業等支援コース育休復帰支援プラン60万円(取得時30万円+復帰時30万円)
育休中等業務代替支援コース業務代替手当・新規雇用最大140万円
柔軟な働き方選択制度等支援コース育児期の柔軟制度導入25万円/人
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース不妊治療・月経・更年期各30万円(3テーマ合計90万円)

複数コースは原則として組み合わせて申請できます(一部併給不可の組み合わせあり)。たとえば育休中等業務代替支援コースと育児休業等支援コースは同一対象者・同一育児休業では併給不可なので注意が必要です。

中小企業の判定基準

全コース共通で、中小企業のみが対象です。以下のいずれかに該当すれば中小企業と判定されます。

業種資本金・出資額常時雇用労働者数
小売業(飲食業含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他(製造業・建設業等)3億円以下300人以下

ただし育休中等業務代替支援コースの手当支給等については、全産業一律で「常時雇用300人以下」が基準となります。


出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金):男性育休促進で最大80万円 {#course1}

男性社員が育休を取るたびに「また業務を誰かに押しつけることになる……」と頭を抱えていませんか。出生時両立支援コースは、そのジレンマを解消しながら助成金も受け取れる仕組みです。

支給額

第1種 (男性労働者の育児休業取得)

対象人数支給額
1人目20万円(雇用環境整備措置を4つ以上実施した場合30万円)
2人目10万円
3人目10万円

第2種 (男性の育児休業取得率の上昇)

前事業年度の男性育休取得率が、前々事業年度比で30ポイント以上上昇し、かつ50%以上を達成した場合(または2年連続で70%以上)に60万円が支給されます。

受給の主な要件

  • 育児・介護休業法に定める「雇用環境整備の措置」を一定数実施する(1人目は2措置以上)
  • 業務代替に関する規定等を策定し、業務体制の整備をする
  • 対象男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得する
  • 一般事業主行動計画を労働局に届け出ている

具体的な例: 従業員20人の製造業。2026年4月に男性社員が第1子の出生に合わせて7日間育休を取得。会社が育休取得の研修を実施し、相談窓口を設置し(雇用環境整備の措置2つ)、業務引き継ぎルールを規定化していれば、20万円を受給できます。

申請先と申請期限

申請先:本社等所在地を管轄する都道府県労働局 雇用環境・均等部 (室・電子申請も可)

申請期限:第1種は対象育児休業の終了日の翌日から2か月以内


介護離職防止支援コース:介護休業・両立支援制度で最大40万円/人 {#course2}

40代〜50代のベテラン社員が突然「親の介護で仕事を続けられないかもしれない」と相談してくる。そのとき何もサポートできなければ、貴重な人材を失うことになります。

介護離職防止支援コースは、介護支援プランを作成して介護休業取得や両立支援制度の利用を支援した事業主に助成します。

支給額(1人当たり)

種別内容支給額
①介護休業対象労働者が介護休業を取得し職場復帰40万円
②介護両立支援制度A制度を1つ導入し対象者が利用20万円
②介護両立支援制度B制度を2つ以上導入し対象者が1つ以上利用25万円
③業務代替支援(新規雇用)代替要員を新規雇用または派遣受入20万円
③業務代替支援(手当支給等)A介護休業取得者の代替者に手当支給5万円
③業務代替支援(手当支給等)B介護短時間勤務者の代替者に手当支給3万円

①②③はそれぞれ1事業主あたり5人まで受給できます(①②は無期・有期それぞれ1人ずつ計2人まで)。

受給の主な要件

  • 介護休業の取得・職場復帰支援に関する方針を社内周知する
  • 労働者と面談を実施し、介護支援プランを作成・実施する
  • 対象労働者が連続5日以上の介護休業を取得し、復帰後も継続雇用される

育児休業等支援コース:育休復帰支援プランで取得時・復帰時それぞれ30万円 {#course3}

育休を取る社員と会社の両方が不安を抱えたままでは、復帰後もギクシャクします。育児休業等支援コースは、育休復帰支援プランの作成を通じて円滑な取得・復帰をサポートした会社に助成します。

支給額

種別支給額
①育休取得時30万円
②職場復帰時30万円

1人の社員について最大60万円(取得時と復帰時で2回申請)を受給できます。

受給の主な要件

  • 育児休業の取得・職場復帰支援に関する方針を社内周知する
  • 労働者と面談し、育休復帰支援プランを作成・実施する
  • 対象労働者が連続3か月以上の育児休業を取得する
  • 育児休業中に職務・業務情報を提供する
  • 育児休業終了前に面談を実施し記録する
  • 原職等に復帰させ、申請日まで6か月以上継続雇用する(職場復帰時申請の場合)

なお、出生時両立支援コースと同一対象者の同一育児休業では併給不可です。どちらを申請するか、事前に確認しましょう。

育児休業後の給付金制度については、育児休業給付金ガイドもあわせて参照してください。


育休中等業務代替支援コース:代替手当に最大140万円 {#course4}

「育休中の社員の代わりに仕事をしている人に、きちんと手当を出したい。でも全額自己負担では厳しい」という会社のために作られたコースです。

業務代替者への手当を支給するか、新規雇用・派遣受入で代替要員を確保した場合に、費用の一部を助成します。

支給額

種別最大支給額
①手当支給等(育児休業)最大140万円(業務体制整備費最大20万円+業務代替手当の3/4、最大120万円)
②手当支給等(短時間勤務)最大128万円(業務体制整備費最大20万円+業務代替手当の3/4、最大108万円)
③新規雇用(育児休業)7日以上14日未満:9万円〜6か月以上:67.5万円

①②について、最大30万円(育休)・最大23万円(短時間勤務)を先行支給する仕組みもあります。

なお、①②③合わせて1事業主1年度10人まで、初回受給から5年間支給されます。

具体的な例

従業員15人の小売業。育休中の女性社員(産前から通算7か月)の業務を同僚2人でカバーし、合計48万円の手当を支給した。この場合、業務代替手当の3/4にあたる36万円+業務体制整備費の実費(上限20万円)が支給対象になります。

受給の主な要件

  • 業務代替の見直し・効率化の取り組みを実施する
  • 業務代替者への手当制度等を就業規則に規定する
  • 対象労働者が7日以上の育児休業を取得し(①)、または1か月以上の短時間勤務を利用し(②)、復帰後も継続雇用される

柔軟な働き方選択制度等支援コース:育児期の柔軟制度導入で最大25万円/人 {#course5}

育児中の社員が働き続けられるよう、テレワークや時差出勤などの柔軟な制度を導入した会社に助成します。

支給額

導入制度数支給額(1人あたり)
2つ導入し対象者が利用20万円
3つ以上導入し対象者が利用25万円

1年度5人まで受給できます。

対象となる「柔軟な働き方選択制度」は以下の5種類です:

  1. フレックスタイム制度・時差出勤制度
  2. テレワーク等
  3. 短時間勤務制度
  4. 保育サービスの手配・費用補助制度
  5. 子の養育を容易にするための休暇制度・法を上回る子の看護等休暇制度

受給の主な要件

  • 上記制度を2つ以上導入する
  • 制度利用に関する方針を社内周知する
  • 労働者と面談し、柔軟な働き方支援プランを作成・実施する
  • 制度利用開始から6か月間に、対象労働者が制度を一定基準以上利用する

不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース:各テーマ30万円 {#course6}

不妊治療、月経(PMS含む)、更年期の3テーマそれぞれについて、対応した両立支援制度を整備し、対象労働者が利用した場合に各30万円(計最大90万円)が支給されます。

支給額

テーマ支給要件支給額
A:不妊治療不妊治療のための両立支援制度を5日(回)利用30万円
B:月経(PMS含む)月経に起因する症状への対応制度を5日(回)利用30万円
C:更年期更年期に起因する症状への対応制度を5日(回)利用30万円

各テーマとも1事業主1回限りです。

受給の主な要件

  • A〜Cそれぞれの両立支援制度(休暇・時短・フレックス等)を就業規則に規定する
  • 労働者からの相談に対応する両立支援担当者を選任する
  • 対象労働者が各制度を合計5日(回)以上利用する

申請の共通手順と提出先

どのコースも申請の流れは大きく4ステップです。

Step 1:就業規則・制度の整備 育児・介護休業規定、各コースで必要な制度(支援プラン、手当規定等)を就業規則に明文化します。

Step 2:一般事業主行動計画の策定・届出 次世代育成支援対策推進法に基づき、行動計画を策定して都道府県労働局に届け出ます(出生時両立支援コースほかで必須)。

Step 3:対象労働者の取り組み実施 育児休業取得、介護支援プランの実施、制度利用など、各コースで定める取り組みを実施します。

Step 4:支給申請書の提出 取り組み完了後、申請期限内に都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)に申請書類を提出します。

電子申請は雇用関係助成金ポータルから可能です(2023年6月から対応)。郵送の場合は期限内必着で簡易書留などを使います。

申請先

本社等所在地を管轄する都道府県労働局 雇用環境・均等部 (室)

「本社等」とは、人事労務管理の機能を有する部署が属する事業所を指します。登記上の本店とは異なる場合があります。

他の雇用関係助成金との関係

両立支援等助成金は、キャリアアップ助成金人材開発支援助成金と同じ都道府県労働局が窓口です。賃上げ・処遇改善を目的とした業務改善助成金とも組み合わせる会社が多くいます。

雇用・職場改善を目的とした助成金の全体像は雇用・職場改善タグでも探せます。


よくある質問

Q. 大企業でも申請できますか?

A. できません。両立支援等助成金は全コースで中小企業事業主のみが対象です。業種ごとの資本金・従業員数の基準を確認してください。

Q. 「両立支援等助成金 手引き」はどこで入手できますか?

A. 厚生労働省のウェブサイト「両立支援等助成金のご案内」ページに、最新年度版のパンフレット(支給申請の手引き)が掲載されています。2026(令和8)年度版は2026年4月時点で公開されています。

Q. 複数のコースを同時に申請できますか?

A. 原則として可能です。ただし、出生時両立支援コース(第1種)と育児休業等支援コース(育休取得時・職場復帰時)は同一対象者の同一育児休業については併給不可です。受給前に都道府県労働局へ確認することをお勧めします。

Q. 個人事業主でも申請できますか?

A. 個人事業主であっても、雇用保険の適用事業所として労働者を雇用していれば申請できます。ただし「業種・規模の中小企業基準」を満たす必要があります。

Q. いつまでに申請すれば良いですか?

A. コースによって申請期限が異なります。たとえば出生時両立支援コース第1種は「育児休業終了日の翌日から2か月以内」です。期限を過ぎると受け付けられないため、取り組みが完了したら早めに書類を準備しましょう。詳細は両立支援等助成金の申請方法と必要書類をご覧ください。


関連する助成金・給付金

両立支援等助成金と合わせて検討したい制度をまとめました。

  • 育児休業給付金ガイド:育休中の従業員本人が受け取る給付金。会社側の助成金との関係を理解しておくと説明がしやすくなります。
  • キャリアアップ助成金ガイド:非正規労働者の正社員化や処遇改善に取り組む会社向け。両立支援と組み合わせて職場環境整備を一括で進めることができます。
  • 人材開発支援助成金ガイド:従業員の職業訓練・スキルアップに対する助成金。育休後の復帰訓練にも活用できます。
  • 業務改善助成金ガイド:最低賃金引き上げと設備投資を組み合わせた助成金。両立支援との同時申請で職場全体の底上げを図れます。

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