再エネ熱補助金って何を支援してくれるの?

佐藤

佐藤

編集長

室谷さん、「再エネ等熱利用設備導入事業」って名前が長くてちょっと難しそうなんですが、ざっくりどんな補助金なんですか?
室谷

室谷

代表取締役

簡単に言うと、再生可能エネルギーの「熱」を使う設備を入れるとき、コストの一部を国が補ってくれる補助金です。太陽熱、地中熱、バイオマス熱、工場廃熱なんかが対象になります。
佐藤

佐藤

編集長

太陽光発電とは違うんですか?
室谷

室谷

代表取締役

そこが大事なポイントで!太陽光の「発電」じゃなくて、熱を直接利用する設備が中心です。ただし、太陽光以外の自家消費型発電設備(風力・水力・バイオマス発電など)は一部含まれます。2025年度まで「再エネ熱利用加速化支援対策費補助金」という名前で続いてきた事業が、令和7年度(補正予算)から名称変更して新展開しています。
佐藤

佐藤

編集長

環境省の補助金なんですね。どんな組織が窓口になるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

環境省が予算を持って、一般社団法人 環境技術普及促進協会(ETA)が補助事業の実施機関になっています。申請先もETAで、jGrantsという電子申請システムを使います。

3つの事業区分・B・Cのどれが自社に当てはまる?

再エネ熱補助金3つの事業区分比較図
再エネ熱補助金3つの事業区分比較図
佐藤

佐藤

編集長

「設備等導入事業A・B・C」という区分があるみたいですが、どう違うんですか?
室谷

室谷

代表取締役

これが本当に大事な部分です!補助率と上限額が区分によって変わるので、まず自分の導入設備がどれに当てはまるか確認しないといけません。
区分対象設備補助率補助上限
事業A太陽熱・バイオマス熱利用設備、自家消費型再エネ発電設備(太陽光除く)1/31億円(2か年合計)
事業B地中熱・温泉熱・河川熱・海水熱・下水熱・雪氷熱利用設備1/21億円(年度ごと)
事業C工場廃熱等利用設備・温泉供給設備更新時の省エネ設備等1/21億円(年度ごと)
佐藤

佐藤

編集長

事業Bと事業Cは補助率が1/2なんですね!事業Aより有利じゃないですか!
室谷

室谷

代表取締役

その通りです!ちなみに地中熱の温泉熱に注目している温泉旅館さんや、工場廃熱を使いたい製造業さんには事業B・Cが選択肢になります。補助率が高い分、コスト要件も厳しくなりますけどね。
佐藤

佐藤

編集長

コスト要件?というのは?
室谷

室谷

代表取締役

CO2削減コスト、つまり「この設備で1トンのCO2を削減するのに何千円かかるか」の上限が決まっているんです。この基準をクリアしないと申請できません。たとえば太陽熱利用設備は73千円/tCO2以下、温泉熱や地中熱(地下水熱利用方式)は240千円/tCO2以下という基準があります。

太陽光発電は対象外です!

この補助金は「熱利用」が中心です。一般的な太陽光発電設備(売電・自家消費問わず)は補助対象外となります。「自家消費型再エネ発電設備」として対象になるのは、風力・小水力・バイオマス・地熱(温泉熱)発電など太陽光以外の発電設備に限られます。FIT制度やFIP制度による売電を行う設備も対象外です。

CO2削減コスト基準:採択されるための数字の壁

佐藤

佐藤

編集長

CO2削減コストの基準がどれだけ厳しいか、もう少し具体的に教えてもらえますか?
室谷

室谷

代表取締役

熱源別にまとめるとこんな感じです。この数値以下なら申請要件を満たします。
熱源種CO2削減コスト基準
太陽熱利用73千円/tCO2以下
バイオマス熱利用(木質系)21千円/tCO2以下
バイオマス熱利用(農作物残渣等)47千円/tCO2以下
バイオマス熱利用(食品廃棄物)290千円/tCO2以下
地中熱(地下水熱利用方式)、温泉熱、河川熱、海水熱、下水熱、雪氷熱240千円/tCO2以下
上記以外の地中熱400千円/tCO2以下
工場廃熱等利用(設備2種類)90千円/tCO2以下
工場廃熱等利用(設備3種類以上)136千円/tCO2以下
温泉供給設備更新時の省エネ設備等57千円/tCO2以下
佐藤

佐藤

編集長

なるほど、バイオマス木質系が21千円と一番厳しいですね!
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。木質バイオマスはコスト競争力が高い分、基準も厳しく設定されています。応募申請書に計算式を書いて証明する必要があるので、事前に試算しておくことが重要ですね。

今年度の制度変更ポイント(令和8年度)

  • 地中熱(土壌埋設方式)のCO2削減コスト基準を引き上げ:採択ハードルが上がりました
  • 工場廃熱・設備2種類のCO2削減コスト基準を引き下げ:申請しやすくなりました
  • 蓄電池システムのIoTセキュリティ対策:一次公募は「原則使用」、二次公募から「必須」に
  • jGrants電子申請に一本化:書面での申請も可能ですが、電子が主流

補助対象設備の具体的な要件

佐藤

佐藤

編集長

実際にどんな設備が対象になるのか、もっと具体的に知りたいです!
室谷

室谷

代表取締役

設備ごとに細かい技術要件があります。主なものを挙げると——太陽熱は集熱器総面積が10平方メートル以上であること。バイオマス熱はバイオマス依存率60%以上が必要です。地中熱設備は熱供給能力10kW以上で、地下水・地盤環境のモニタリング機器を備えていることが求められます。
佐藤

佐藤

編集長

地中熱のモニタリング機器って、けっこうコストかかりそうですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんですよ。でも補助対象経費に含まれるので、地中熱交換器・地中熱ヒートポンプ・モニタリング機器・熱応答試験の費用も補助の対象になります。事業A・Cについては今年度から令和8〜9年度の2か年にわたる事業も補助対象になったので、大規模設備を計画している方にも使いやすくなりました!
佐藤

佐藤

編集長

補助対象にならない設備もあるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

はい。散水方式・地下水還元方式の地中熱は補助対象外です。洋上風力も対象外。また電気事業法に基づく自己託送(自己託送)で電力供給する設備も対象外となります。コスト要件を満たさない設備も当然NG。あとは廃熱利用では2種類以上の設備導入が原則必要で、1種類だけだと申請できません(発電設備単体は除く)。

申請できる主体はどんな団体?

佐藤

佐藤

編集長

どんな組織が申請できるんですか?中小企業でも大丈夫なんですか?
室谷

室谷

代表取締役

規模の制限はないです!民間企業なら大企業でも中小企業でも申請できます。個人事業主は温泉熱や温泉供給設備に限られますが、対象は広いですよ。
申請できる主体備考
民間企業規模制限なし
個人事業主温泉熱・温泉供給設備更新限定
地方公共団体温泉熱・温泉供給設備更新限定(それ以外は需要家として共同申請可)
独立行政法人全区分対象
国立大学法人・学校法人全区分対象
社会福祉法人・医療法人全区分対象
協同組合・一般社団・財団法人等全区分対象
佐藤

佐藤

編集長

大学や病院も申請できるのか。意外と幅広いですね!
室谷

室谷

代表取締役

しかもESCO事業者やPPA事業者が代表事業者になって、サービスを受ける事業者(需要家)と共同申請することも可能です。自社では設備を所有したくない場合でも、ESCO・PPAを通じて補助金の恩恵を受けられる仕組みになっています。ただし直近の決算で債務超過の場合は原則対象外なので注意が必要です。

申請の流れ:jGrantsでの電子申請

再エネ熱補助金申請ステップフロー図
再エネ熱補助金申請ステップフロー図
佐藤

佐藤

編集長

実際の申請手順を教えてもらえますか?
佐藤

佐藤

編集長

GビズIDの取得に2週間かかるのか!公募期間が5月28日までなんで、今から急ぎで動かないとダメですね!
室谷

室谷

代表取締役

締切まで時間がないです。今日(4月29日)から動いても約4週間しかない。GビズIDを持っていない事業者は文字通り今すぐ手続きを始めてください。GビズIDのトップページからオンラインで申請できます。

締切直前は要注意!問い合わせに1週間以上かかる場合があります

ETAへの問い合わせは電話不可、お問い合わせフォームかメール(netsu_shin@eta.or.jp)のみです。回答に1週間以上かかる場合があるとETAが明記しているので、疑問点は早めに解消しておくことが重要です。書面でも申請可能ですが、提出先は大阪市都島区の協会事務局(京橋プラザビル6階)となります。

問い合わせ先(ETA)

  • メールアドレス: netsu_shin@eta.or.jp(回答に1週間以上かかる場合あり)
  • フォーム: ETAお問い合わせフォーム
  • 電話: 不可(フォーム・メールのみ)
  • 書面提出先: 大阪市都島区(京橋プラザビル6階)ETA事務局

審査のポイント:採択されるために必要なこと

佐藤

佐藤

編集長

書類を出せば通るわけじゃないんですよね。どうすれば採択されやすいんですか?
室谷

室谷

代表取締役

まず絶対に外せない前提が、コスト要件をクリアしていることです。CO2削減コストが基準を超えているとそもそも審査の俎上に上がりません。その上で、事業の継続性・財務基盤の健全さ、具体的なCO2削減量が審査されます。
佐藤

佐藤

編集長

事業の継続性というのはどう証明するんですか?
室谷

室谷

代表取締役

直近の決算書の提出が必要で、債務超過の場合は原則対象外になります。また複数事業者の共同申請の場合は協定書や覚書の締結が求められます。採択後に代表事業者や共同事業者を変更することは原則できないので、申請段階で事業体制を固めておくことが大切です。

採択率を上げる実践ポイント

  • CO2削減量の算出精度を上げる:応募申請書B-8(施設での発電・発熱量とCO2削減量算出表)の計算を丁寧に行い、根拠資料を充実させる
  • 設備仕様書・カタログを揃える:CO2削減コストの計算根拠となる設備スペックを明確に示す
  • 原位置試験(地中熱の場合):地中熱設備は応募前に熱応答試験等を実施しておくか、近傍の実績値等の根拠資料を準備する
  • FIT・FIPに紐づかないことを確認:再エネ発電設備は売電しない自家消費型であることを書面で確認する
  • 環境価値の帰属を整理:需要家への環境価値(RE100等への活用可能性)の帰属を明確にする
佐藤

佐藤

編集長

事業報告も必要なんですよね。採択された後も継続的な義務があるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

そうです。設備導入後も毎年CO2削減効果の報告書(第16条報告)を提出する義務があります。特にバイオマス熱では燃料のバイオマス依存率60%以上を維持していることを毎年報告しなければなりません。財産処分制限期間(耐用年数に基づく)が過ぎるまでは補助設備を適切に稼働させ続ける義務もあります。これを怠ると補助金の返還を求められることもあるので要注意です!

補助対象経費と使えるお金の範囲

佐藤

佐藤

編集長

補助金で何の費用まで賄えるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

補助対象経費の範囲は、設備等の導入に必要な工事費(本工事費・付帯工事費・機械器具費・測量及試験費)・設備費・業務費・事務費です。具体的には機材の購入費用、配管工事費、設置工事費、熱応答試験費用(地中熱の場合)なども含まれます。
佐藤

佐藤

編集長

事務費まで対象になるんですね。
室谷

室谷

代表取締役

はい、ただし事務費は工事費・設備費・業務費の合計に対して一定率が上限になっています。5,000万円以下の部分は6.5%、5,000万円超〜1億円の部分は5.5%、1億円超の部分は4.5%という率が設定されています。補助対象外になるのは残土処理費・消耗品・既存設備撤去費用(単体での撤去)などです。
佐藤

佐藤

編集長

補助金をもらった後に設備を売ったり廃棄したりするのは?
室谷

室谷

代表取締役

処分制限期間が経過するまでは事前にETAの承認が必要で、承認を得ても補助金の一部または全部の返還が条件になる場合があります。事業撤退や会社の売却・合併なども大きな注意点です。

公募スケジュールと基本情報まとめ

佐藤

佐藤

編集長

基本情報を整理してもらえますか?
室谷

室谷

代表取締役

はい、一覧にまとめます。
項目内容
正式名称令和7年度(補正予算)/令和8年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 再エネ等熱利用設備導入事業
一次公募期間令和8年4月23日(木)〜令和8年5月28日(木)正午
二次公募一次公募の応募状況により後日公表(実施しない場合あり)
補助率事業A:1/3 / 事業B・C:1/2
補助上限額1億円(事業Aは2か年合計、事業B・Cは年度ごと)
補助事業期間各区分2か年以内
対象地域全国
実施機関一般社団法人 環境技術普及促進協会(ETA)
申請方法jGrants(電子申請)または書面
お問い合わせETAお問い合わせフォーム
メールnetsu_shin@eta.or.jp
公式ページETA再エネ熱事業
jGrantsページ申請ページ
佐藤

佐藤

編集長

二次公募があるかもしれないけど、確実ではないんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。一次公募で採択枠が埋まれば二次公募なしの可能性もあります。確実に申請したいなら一次公募の5月28日正午までに出すのが鉄則です!

類似補助金との比較

佐藤

佐藤

編集長

他の環境・省エネ系の補助金と比べてどう選べばいいんですか?
室谷

室谷

代表取締役

同じ「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」の枠組みの中でも、用途によって別の事業があります。駐車場に太陽光パネルを設置したい場合は駐車場型太陽光発電設備導入事業(カーポート)が別にあります。冷凍冷蔵機器の更新で脱炭素に取り組みたい場合はコールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業も令和8年度に公募中です。
佐藤

佐藤

編集長

蓄電池の導入なら別の補助金もあるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

はい。再生可能エネルギーと組み合わせた蓄電システムなら、大規模業務産業用蓄電システム等導入支援事業(令和7年度補正)も選択肢になります。ただし今回の再エネ熱補助金でも、再エネ発電設備に付随する蓄電池システムは補助対象経費に含まれる場合があります。自社の計画に最もフィットする補助金を選ぶのが重要です。
補助金名主な対象補助率
再エネ熱(本補助金)太陽熱・地中熱・バイオマス熱・工場廃熱等の設備1/3〜1/2
カーポート型太陽光駐車場上部への太陽光発電設備公募要領参照
脱フロン・脱炭素化(冷凍)冷凍冷蔵機器の更新・脱フロン化公募要領参照
大規模蓄電システム再エネ電源併設の大規模蓄電システム公募要領参照
佐藤

佐藤

編集長

自分のケースにどれが当てはまるかは、公募要領を読み込まないとわからないですね。
室谷

室谷

代表取締役

複数の補助金を組み合わせることは基本的に難しいですが、設備の種類ごとに申請を分けることは可能な場合があります。まず自社の設備計画を確定させ、公募要領を読んで対象経費の範囲を確認するのが先決ですね。

よくある疑問

佐藤

佐藤

編集長

申請を考えている人がよくつまずくポイントって何ですか?
室谷

室谷

代表取締役

まず「GビズIDを持っていなかった」という問題が一番多いですね!交付決定前に発注してしまう「フライング発注」も大きな落とし穴で、これをやると補助対象外になります。CO2削減コストの計算を間違えるケースも多いです。
佐藤

佐藤

編集長

フライング発注って具体的にどういうことですか?
室谷

室谷

代表取締役

採択→交付申請→交付決定という流れで、交付決定の通知が来てから初めて設備の発注や工事を始めないといけないんです。採択されたからといって採択通知の時点で発注してしまうと補助金の対象外になります。交付規程に例外規定もありますが、原則として交付決定後です。
佐藤

佐藤

編集長

2か年事業にした方が補助上限額が増えるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

事業Aでは2か年合計の上限が1億円なので、1年でやっても2年に分けても上限は変わりません。でも事業B・Cは年度ごとに1億円なので、2か年実施すれば最大2億円の補助を受けられる可能性があります!大規模な設備投資を計画している場合は2か年事業も検討する価値がありますよ。

申請前チェックリスト

  • GビズIDプライム(またはメンバー)アカウントを持っているか?:なければ今すぐ申請(2週間かかる)
  • 自社の設備は事業A・B・Cのどれに当たるか確認した?
  • CO2削減コスト(補助対象経費÷耐用年数期間のCO2削減量)が基準を下回るか試算したか?
  • FIT制度・FIP制度による売電を行わないか確認したか?(再エネ発電設備の場合)
  • 共同事業がある場合、需要家との協定書・覚書の締結体制を確認したか?
  • 直近決算が債務超過でないことを確認したか?
  • 交付決定前に発注・工事を開始しないことを関係者全員で確認したか?
佐藤

佐藤

編集長

盛りだくさんでしたが、やっぱりまずはGビズIDを急いで取得することが最優先ですね!
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。4月29日から動けば、5月13日頃にはGビズIDが取得できます。それから2週間弱で書類を整えて5月28日の締切に間に合う計算です。ギリギリですが、しっかり準備すれば十分間に合います!全国どこの事業者でも申請できますし、大企業・中小企業の規模制限もないので、再エネ熱設備への投資を検討している企業にはぜひチャレンジしてほしい補助金です。
室谷

室谷

代表取締役

地域別の補助金情報は東京都の補助金一覧大阪府の補助金一覧でも確認できます。