室谷さん、令和8年度の「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」ってどんな補助金なんですか?名前がちょっと難しくて(笑)
名前はインパクトありますよね!(笑)ざっくり言うと、スーパーの冷蔵ショーケースとか冷凍倉庫とかで使われてる業務用の冷凍冷蔵機器を、フロンガスを使わない「自然冷媒機器」に切り替えると、その費用の一部を国が補助してくれる制度です。環境省が予算を出して、一般財団法人日本冷媒・環境保全機構(JRECO)が執行しています。
フロンガスって、よく聞きますよね。なんで問題なんですか?
HFC(ハイドロフルオロカーボン)という種類のフロンが業務用冷機器に多く使われてるんですが、これが二酸化炭素の数百倍から数千倍もの温室効果を持ってるんです。機器が古くなったり廃棄されたりするときに漏れると、地球温暖化に直撃するんですよ。国際的にもモントリオール議定書のキガリ改正でフロン類の段階的削減が決まってて、日本も対応待ったなしの状況です。
なるほど!だから国がお金を出して切り替えを後押ししているんですね。補助額はどれくらいになるんですか?
上限はざっくり5億円規模です。補助率は原則1/3以下なんですが、中小企業のうち「先進的な中小企業」と認定されると最大1/2まで上がります。それが今回の制度の一番の特徴ですね。
補助率比較表
対象の施設ってどこなんですか?うちの会社も該当するかな、って気になってて。
大きく3種類あります。冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、そして食品小売店舗(スーパー、コンビニなど)です。食品流通に関わるコールドチェーン全体をカバーしてるんですよ。
| 対象施設 | 対象機器の例 | 補助率(大企業) | 補助率(中小企業) |
|---|
| 冷凍冷蔵倉庫 | 大型冷凍冷蔵システム | 原則1/3 | 原則1/3(先進的中小は1/2) |
| 食品製造工場 | フリーザー・冷蔵設備 | 原則1/3 | 原則1/3(先進的中小は1/2) |
| 食品小売店舗(CVS以外) | 低温ショーケース | 原則1/3(改装工事費は1/2) | 原則1/3(先進的中小は1/2) |
| コンビニ(CVS) | 低温ショーケース | 機器代のみ補助 | 機器代のみ補助 |
そうなんです。コンビニは改装工事費は対象外で機器代だけ、という点が他の食品小売と異なります。CVS以外のスーパーや食料品店なら改装工事費にも補助率1/2が適用されますよ。
「先進的な中小企業」っていう認定はどうやって決まるんですか?
2つの条件があって、まず大企業に求められるのと同じ「自然冷媒機器への転換目標の公表」という要件をクリアすること。そして採択案件の審査得点が上位20%以内であること。両方揃って初めて先進的中小企業として補助率1/2が適用されます。
以下の2条件を両方満たす中小企業が対象
- 大企業に求められる「自然冷媒機器への転換目標」を設定・公表していること
- 補助対象事業(中小企業限定)の採択案件審査時得点が上位20%以内であること
なお、大企業資本下の中小企業は先進的な中小企業として申請不可
大企業はどんな条件があるんですか?中小企業より厳しそうですね。
大企業は補助を受けるために「転換目標の公表」が必須なんです。2つの目標設定が求められていて、一つ目は新規導入機器について。交付決定した年度以降は、自社の主要冷凍冷蔵機器のうち新設・更新で導入する機器の100%を自然冷媒機器にするという目標です。
100%ですか!(笑)それは思い切った目標ですね。
冷凍冷蔵倉庫・食品製造工場の場合はそうです。食品小売店舗の場合は、新店舗や全面改装店舗のうち少なくとも1台以上の自然冷媒機器を導入する店舗を50%以上にするという目標になります。二つ目は既設機器を含めた転換目標。2030年と2040年にそれぞれ達成目標を設定して公表しなければなりません。
中長期の脱炭素コミットメントを求められるわけですね。申請前に目標を公表する必要があるって、かなりハードルが高いですよね。
そうですね。ただ裏を返せば、目標を公表している大企業は補助金をフル活用できるので、既にSDGs・環境目標を宣言しているような企業には追い風な制度です。
- 自然冷媒機器への転換目標(新規導入100%等)を交付決定前に外部公表済みであること
- 2030年・2040年それぞれの既設機器転換目標も設定・公表済みであること
- この要件を満たさないと採択されないので要注意
そもそも「自然冷媒」って何ですか?名前は聞いたことあるんですが、普通の冷媒と何が違うんですか?
冷媒というのは冷凍機の中で熱を運ぶための媒体なんですが、従来は人工的なHFCというフロン系の冷媒が主流でした。自然冷媒はアンモニア、CO2(二酸化炭素)、空気、水など自然界に存在する物質を使います。
| 項目 | HFC(従来冷媒) | 自然冷媒(CO2、アンモニア等) |
|---|
| 温室効果 | CO2の数百〜数千倍 | CO2は温暖化係数1、アンモニアは0 |
| 省エネ性能 | 標準的 | 高水準の省エネ性能 |
| 漏洩リスク | 地球温暖化への大きな影響 | 環境負荷が極めて低い |
| 将来規制 | 段階的削減(モントリオール議定書) | 規制なし |
| 設備コスト | 比較的安価 | 高め(→だから補助金で支援) |
なるほど!省エネになる上に環境負荷も低い。でも機器が高いから補助金が必要なんですね。
まさに。脱炭素型自然冷媒機器は「高水準の省エネ性能を備えている自然冷媒機器」と定義されていて、導入後はランニングコストも下がりますよ。初期投資が高くても中長期では元が取れる計算になるケースが多いです。
- 省エネ効果によるランニングコスト削減(電気代が下がる)
- 将来のHFCフロン規制強化による二重投資リスクを回避
- SDGs・カーボンニュートラル目標の達成に直結
- 補助金により初期投資を最大1/3〜1/2削減
申請期間はいつまでなんですか?急がないといけないですか?
令和8年度の春公募は令和8年4月24日(金)から令和8年5月25日(月)17時必着です。締切は2026年5月25日ですね。補助事業の実施期間は、原則として交付決定日以降から令和9年2月26日まで(単年度事業)となっています。
ちょうど公募始まったばかりなんですね!(笑)でも単年度だと時間がタイトじゃないですか?
おっしゃる通りで、それを解消するために複数年度事業という選択肢も用意されています。国庫債務負担行為の事業に該当する場合は、初年度の交付決定日以降から令和10年2月29日まで、つまり2箇年度にわたって実施できます。工期が長くなる大型設備でも活用しやすいですよ。
| 事業区分 | 実施期間 |
|---|
| 単年度事業 | 交付決定日以降〜令和9年2月26日 |
| 複数年度事業(2箇年度) | 交付決定日以降〜令和10年2月29日 |
国庫債務負担行為の対象事業、つまり1年度の予算では執行完了が難しい規模の工事や設備導入が対象です。詳細は公募要領で確認が必要ですが、大型の冷凍冷蔵倉庫向けの設備工事なんかは該当しやすいですね。
はい、複数の会場で説明会が開催されています。東京では2回、大阪でも1回ありますよ。
| 会場 | 日時 | 場所 |
|---|
| 東京会場① | 令和8年4月28日(火)14時〜16時 | 機械振興会館(B2F)ホール、東京都港区芝公園3-5-8 |
| 東京会場② | 令和8年5月12日(火)14時〜16時 | 機械振興会館(B2F)ホール、東京都港区芝公園3-5-8 |
| 大阪会場 | 令和8年5月14日(木)14時〜16時 | CIVI研修センター新大阪東(5F)E5Hall、大阪府大阪市東淀川区東中島1-19-4 |
令和8年4月末から令和8年5月25日まで、説明会の動画配信も予定されています。遠方の方や日程が合わない方でもキャッチアップできますよ。説明会への参加は応募の必須条件ではないですが、初めて申請する方には強くおすすめします。
申請フロー
ステップを整理しますね。まず公募要領を確認して、次に申請書類の準備です。
交付決定前に着工したらダメなんですね!それは絶対に気をつけないと。
本当に重要なポイントです。「機器を先に発注してから補助金を申請する」という順番を間違えると全額が補助対象外になりますから。まず申請して交付決定を待ってから動くのが鉄則です。
補助対象経費は交付決定日以降に発生した費用のみが対象。
事前に機器を発注・購入・工事を開始した場合は補助対象外になります。
「採択されそうだから先に動く」は厳禁!
補助金で何の費用がカバーされるんですか?設備だけですか?
主な対象経費は設備購入費と工事費です。補助金ポータルなどの情報によると、専門家謝金、旅費、委託費、借料、保険料等、人件費も対象になる場合があります。ただし、公募要領で最終確認が必要ですね。
| 費用区分 | 補助対象 | 備考 |
|---|
| 脱炭素型自然冷媒機器の設備費 | ○ | 主な補助対象 |
| 機器設置工事費 | ○(CVSは対象外) | CVS以外は食品小売も対象 |
| 改装工事費 | ○(CVS以外) | CVS以外の食品小売は1/2 |
| 設計費・委託費 | 条件次第 | 公募要領で確認要 |
| 既設機器の撤去費 | 要確認 | 公募要領で確認要 |
| 建物本体工事費 | ✕ | 冷凍設備に直接関係しない部分 |
コンビニだけ工事費が対象外なんですね。これは知らなかったです!
コンビニチェーンが申請する場合は、機器本体の代金のみが補助対象になります。店舗改装の工事費は含まれないので、予算計画のときにしっかり把握しておいてください。
審査では省エネ効果とCO2削減量が重視されます。単純に高スペックな機器を入れればいいわけじゃなくて、既存機器からの改善効果を数値で示せるかがポイントです。
- 省エネ・CO2削減効果を定量的に記載する: 現行機器との消費電力比較、年間CO2削減量の試算を添付する
- 自然冷媒転換目標を明確に設定・公表する: 大企業は必須、中小企業も先進的認定を狙うなら必要
- 事業実施スケジュールを具体的に示す: 交付決定後〜令和9年2月26日の期間内に完了できるか確認する
中小企業が先進的認定を目指すなら、目標公表が重要なんですね。
そうです。採択得点の上位20%に入るためには、省エネ効果の質・量と転換コミットメントの両方が問われます。「とりあえず補助金もらいたい」ではなく「自社の脱炭素戦略の一環として申請する」というストーリーを作れると採択率が格段に上がりますよ。
なるほど!脱炭素への本気度を審査官に見せる必要があるんですね。では費用対効果の試算はどうやってやればいいですか?
機器メーカーや設備会社に相談するのが一番早いです。主要な自然冷媒機器メーカーは省エネ試算シミュレーターを持っているところが多いですし、JRECOのサイトにも参考資料があります。申請前に必ず公募説明会に参加して、JRECOの担当者に直接相談するのが確実ですね。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度 コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業 |
| 補助上限額 | 5億円 |
| 補助率 | 原則1/3以下(先進的中小企業は最大1/2) |
| 応募受付期間 | 令和8年4月24日(金)〜令和8年5月25日(月)17時必着 |
| 補助事業期間 | 交付決定日〜令和9年2月26日(単年度)/ 令和10年2月29日(複数年度) |
| 対象地域 | 全国 |
| 実施機関 | 一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構(JRECO) |
| 上位省庁 | 環境省(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金) |
| 問い合わせ先 | TEL 03-5733-4964 / E-mail kankyo-hojokin@jreco.or.jp |
| 公式ページ | JRECO補助金事業ページ |
| 環境省プレスリリース | 環境省報道発表 |
よくある疑問をQ&A形式でまとめていただけますか?
Q. 食品製造工場を持つ中小企業が申請できますか?
申請できます。食品製造工場は対象施設の一つです。中小企業の場合は原則1/3の補助率で、転換目標の公表と審査得点上位20%を達成すれば最大1/2の補助率「先進的な中小企業」として認定される可能性があります。
Q. 既に機器を発注してしまっているのですが申請できますか?
残念ながら、交付決定前に発注・購入・着工した費用は補助対象外です。交付決定を待ってから機器を動かすのが鉄則です。既に発注済みの場合は対象外になりますので、次回公募に備えて準備しておくことをおすすめします。
Q. 申請は電子申請ですか?郵送でも大丈夫ですか?
郵送等による申請も可能です。ただし、まずJRECOのウェブサイトから指定の様式(様式1・別紙1・別紙2)をダウンロードして使用することが必須です。独自様式での申請は受け付けられません。
資本や議決権の大部分を大企業が保有する中小企業のことです。このような企業は、先進的な中小企業としての申請ができません。補助率は原則1/3になります。詳細な定義は公募要領で確認してください。
基本的には可能ですが、補助金の予算の範囲内で補助事業が選定されるため、省エネ・CO2削減効果が大きい案件が採択されやすい傾向があります。1台のみの申請より、複数台や大規模更新の方が採択率は上がりやすいですね。申請前にJRECOに相談してみることをおすすめします。
申請の準備は今から始めておくべきですね。次のセクションでは関連する補助金も紹介してもらえますか?
もちろんです。脱炭素関連でセットで使える補助金があるので紹介しますね。
同じ環境省系の補助金で他に使えるものはありますか?
- 同一設備に複数の補助金の重複申請はできないので注意
- 異なる設備・異なる経費に対しては別々に申請可能
- 中小企業の場合は「省力化補助金」「ものづくり補助金」との連携も検討する価値あり
今日はすごく詳しく教えてもらいました!まとめると、締切が2026年5月25日なので今すぐ公募要領を確認すべき、ってことですね?
そうです!5月25日17時必着なので、今から動いても時間はたっぷりあります。まずは
JRECOの公式サイトで公募要領をダウンロードして、自社の機器が対象になるか確認することから始めてみてください。説明会(東京・大阪)も積極的に活用してくださいね。