室谷さん、今日は富山県の補助金について教えてください。タイトルがすごく長いんですが……。
そうですね。正式名称は「【富山】令和8年度中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)」です。長いので、ここでは「業務改善助成金」と呼びましょう。
助かります(笑)。で、これはどういう制度なんですか?
簡単に言うと、中小企業や小規模事業者が、働く人の最低賃金を50円以上引き上げて、生産性向上につながる設備投資などをしたときに、その費用の一部を助成してくれる制度です。
賃上げと設備投資がセットなんですね。どっちかだけじゃダメ?
そうです。事業場内で最も低い賃金を引き上げる計画と、設備投資等の計画を両方立てて申請するのがポイント。最大600万円の助成を受けられます。
そこで出てくる「事業場内最低賃金」って、何ですか?
事業場で一番低い時間給のことです。ただ、この助成金では雇入れ後6か月を経過した人の事業場内最低賃金を引き上げる必要があります。
雇ってすぐの人ではなく、ある程度働いている人の最低賃金を上げるってことですね。
はい。ここを50円以上引き上げて、しかも設備投資等を行うことが前提になります。
50円以上、か。結構大きいですね。それだけ賃上げしないと対象外?
そうなんです。この制度は「最低50円の賃上げ」が一つの基準になります。具体的なコースは50円、70円、90円とありますが、詳しくは後で見ましょう。
意外と広いですよ。農業、林業、漁業、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、宿泊・飲食サービス、医療・福祉まであります。
入ってます。ほかにも金融・保険、不動産、教育・学習支援など、かなりたくさん。Jグランツの情報では、従業員数の制約なしです。
それは助かる!じゃあどの事業者でもいけそうですね。
ただし、中小企業・小規模事業者であることや、大企業と密接な関係がある「みなし大企業」でないことなど、別の条件はあります。あとでしっかり確認しましょう。
業務改善助成金の押さえるべき特徴賃上げ50円以上が条件
事業場内最低賃金を50円以上引き上げる計画が必要
設備投資等とセット
POSレジや特殊車両などの設備導入、コンサルティングも対象
対象の業種が多い
農業から医療・福祉まで多岐にわたる
3/4〜4/5です。事業場内最低賃金が1,050円未満なら4/5、1,050円以上なら3/4になります。
1,050円が境目なんですね。低い賃金の事業所ほど手厚い。
そう。しかも助成上限額も、引き上げる労働者数とコースによって違います。
令和8年度のリーフレットに載っている内容をまとめると、こうなります。
| コース | 引き上げる労働者数 | 事業場規模30人未満 | 右記以外 |
|---|
| 50円以上 | 1人 | 40万円 | 30万円 |
| 50円以上 | 2〜3人 | 70万円 | 40万円 |
| 50円以上 | 4〜5人 | 70万円 | 70万円 |
| 50円以上 | 6〜7人 | 90万円 | 90万円 |
| 50円以上 | 8人以上 | 110万円 | 110万円 |
| 50円以上 | 10人以上※ | 130万円 | 130万円 |
| 70円以上 | 1人 | 50万円 | 40万円 |
| 70円以上 | 2〜3人 | 100万円 | 50万円 |
| 70円以上 | 4〜5人 | 130万円 | 130万円 |
| 70円以上 | 6〜7人 | 180万円 | 180万円 |
| 70円以上 | 8人以上 | 230万円 | 230万円 |
| 70円以上 | 10人以上※ | 300万円 | 300万円 |
| 90円以上 | 1人 | 100万円 | 90万円 |
| 90円以上 | 2〜3人 | 240万円 | 150万円 |
| 90円以上 | 4〜5人 | 270万円 | 270万円 |
| 90円以上 | 6〜7人 | 360万円 | 360万円 |
| 90円以上 | 8人以上 | 450万円 | 450万円 |
| 90円以上 | 10人以上※ | 600万円 | 600万円 |
※10人以上の上限額区分は、特例事業者が10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合に対象になります。
最大600万円は、90円コースの10人以上ってことですね。
そうです。ただ、この※の注意書きが大事。該当するかどうかは公募要領で確認してください。
公式リーフレットに例があります。事業場内最低賃金が1,040円の事業場で、8人の労働者を1,130円まで引き上げる90円コースの場合、助成率は4/5、助成上限額は450万円です。
設備投資額が600万円なら、600万×4/5=480万。でも上限450万なので、もらえるのは450万円?
その通りです。計算した金額と助成上限額を比べて、安い方が支給額になります。
まず中小企業・小規模事業者であること。大企業と密接な関係を有する「みなし大企業」は対象外です。
加えて、事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満であること。さらに解雇や賃金引き下げなど不交付事由がないことも必要です。
Jグランツ上は従業員数の制約なしと表示されています。ただ、助成上限額の表では「事業場規模30人未満」か「右記以外」かで額が変わります。
なるほど。人数で申請できないわけじゃないけど、もらえる額の計算に関係してくるんですね。
そういう理解でOKです。あと対象は工場や事務所など労働者がいる事業場ごと。同じ会社でも工場Aと事務所Bは別々に申請します。
2つの要件があります。1つは「賃金要件」で、申請事業場の事業場内最低賃金が1,050円未満である事業者。
「物価高騰等要件」です。原材料費の高騰など外的要因により、申請前6か月間平均の利益率が前年度比で3%ポイント以上低下した事業者が該当します。
物価高騰で利益が減った事業者への配慮、ということですね。
特に物価高騰等要件に該当する場合は助成対象経費が拡充されて、パソコンなどの新規導入が認められる場合があります。
まず「機器・設備の導入」。公式の例では、POSレジシステム導入による在庫管理の短縮や、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮が挙げられています。
あとは経営コンサルティング。国家資格者による、顧客回転率の向上を目的とした業務フロー見直しなども対象です。
顧客管理情報のシステム化なども「その他」として対象になり得ます。ただし、詳細は必ず要領で確認してください。
一般事業者だと対象外になる場合があります。でも特例事業者のうち物価高騰等要件に該当する場合は、パソコン、スマホ、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入が対象になります。
しかも、就業規則等に事業場内最低賃金が1,100円である旨を定める必要があります。ここも併せて確認してください。
対象経費で押さえたいポイント- POSレジ・特殊車両など機器・設備の導入
- 国家資格者による経営コンサルティング
- 特例事業者で物価高騰等要件ならPC等の新規導入も対象
×デメリット
- 交付決定前に設備を導入すると対象外
- 複数回に分けての賃上げは認められない
- 対象外経費の線引きは交付要綱で要確認
これは「できること/注意すること」でまとめると分かりやすいですね。
はい。この中でも特に注意したいのは「交付決定前に設備を導入したら対象外」という点です。
ダメです。交付決定前に助成対象設備の導入を行った場合は、助成の対象になりません。設備を急いで発注したくなりますが、グッと我慢して決定を待ってください。
複数回に分けて事業場内最低賃金を引き上げるのも認められません。一発で計画どおりに上げる必要があります。
令和8年9月1日から、申請事業場の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または同年11月30日のいずれか早い日までです。
つまり11月30日より前に地域別最低賃金が発効したら、その前日まで?
そうです。Jグランツの募集期間欄には2026年8月31日〜2028年3月31日と出ていますが、実際の申請は公式の注意を優先してください。
うわ、うっかりすると締切勘違いしそう。カレンダーに「地域別最低賃金の発効日」も入れとかないと。
あと、予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集を終了する場合があります。早めの準備が大事です。
Jグランツからの電子申請です。この申請フォームは富山労働局への申請フォームなので、提出先を間違えないようにしてください。
富山県の事業場なら、富山労働局で合ってるんですね。
提出先を誤ると、その労働局で「棄却」処理され、再度正しい提出先へ申請し直しになります。しかも申請期間内に間に合わせる必要があります。怖いですね。
それは冷や汗ものだな……。流れを図で見せてもらえますか?
業務改善助成金の申請の流れ- 1
申請要件を確認
厚生労働省サイトの交付要領・申請マニュアルを熟読
- 2
賃上げと設備投資の計画を策定
事業場内最低賃金を50円以上引き上げる計画を立てる
- 3
交付申請書を作成
申請フォームに必要事項を記入し、申請書類をアップロード
- 4
富山労働局に電子申請
提出先を誤ると棄却されるため要確認
- 5
交付決定後に設備投資を実施
交付決定前の導入は対象外
- 6
実績報告をして助成金を受領
事業完了期限までに賃上げと設備投資を完了
交付申請書と添付書類を、申請フォームの「申請書類」欄にアップします。交付申請の際、添付漏れや記載ミスが多く見られるそうです。
申請ボタンをクリックする前にもう一度確認してください。交付申請後に漏れが分かったら、富山労働局の雇用環境・均等部(室)へ連絡します。
ただし、故意に事実と異なる記載や添付書類の偽造をした場合は、不正受給として返還や加算金の支払い、刑事事件として告発される場合もあります。絶対にやめましょう。
まず審査以前の「書類の正確さ」です。添付漏れ・記載ミスが多いので、ここをなくすだけで一歩前進。
提出先が富山労働局かどうかも確認してください。誤った提出先に提出すると棄却され、やり直しになります。
地域別最低賃金の発効に対応して事業場内最低賃金を引き上げる場合、発効日の前日までに引き上げを完了させる必要があります。発効日の当日に上げても対象外になるケースがあります。
例えば10月1日に新しい地域別最低賃金が発効されるなら、9月30日までに引上げ完了が必要という考え方です。就業規則等にも引上げ後の金額を定めましょう。
引き上げる対象労働者は、週所定労働時間が20時間以上で雇用保険に加入している人が対象です。このあたりも申請前に確認してください。
業務改善助成金コールセンターです。0120-366-440、受付時間は平日9時〜17時。Jグランツの「この補助金に問い合わせる」機能には対応していないので、電話が基本です。
平日9時から17時ですね。コールセンターは強い味方。
厚生労働省のサイトに交付要領、申請マニュアル、Q&A、お役立ちツールも載っています。申請前に必ず目を通してください。
以前、業務改善助成金を使ったことがあります。また申請できますか?
公式のリーフレットには「過去に業務改善助成金を活用した事業者も助成対象となります」とあります。ただし、同一事業所の申請は年度内1回までです。
ただ、毎回要件を満たしているかは、最新の交付要綱・要領で確認してくださいね。
予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集を終了する場合があります。
そういう意味では、早めに計画を固めて申請するのがおすすめです。あと事業完了期限は交付決定年度の1月31日。そこから逆算して設備投資や賃上げを進めてください。
厚生労働省のページには「紙媒体による申請を希望される場合」の窓口案内があり、都道府県労働局雇用環境・均等部室で受け付けています。詳しくは厚生労働省サイトを確認してください。
電子申請がメインだけど、紙も選べる可能性があるんですね。
ただし、一部の手続きは電子申請ができません。取得財産の処分に係る事前承認手続きなどは都道府県労働局に直接行うことになります。
まず、事業場内最低賃金を50円以上引き上げること。そして生産性向上に資する設備投資等を行うこと。助成上限は最大600万円、補助率は3/4〜4/5です。
そう。申請フォームを間違えると棄却されます。申請期間も地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日の早い方までと、少し変則的です。
こうなります。申請前の最終チェックに使ってください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 【富山】令和8年度中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金) |
| 実施機関 | 業務改善助成金/富山労働局宛て申請 |
| 補助金額 | 上限600万円 |
| 補助率 | 3/4〜4/5 |
| 募集期間 | 2026年8月31日〜2028年3月31日(実際の申請は地域別最低賃金の発効日の前日または令和8年11月30日のいずれか早い日まで) |
| 対象地域 | 富山県 |
| 対象業種 | 農業、林業、漁業、鉱業・採石業・砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)、分類不能の産業 |
| 従業員数 | 制約なし |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDdurMAD |
| 問い合わせ先 | 業務改善助成金コールセンター 0120-366-440(平日9時〜17時) |
業務改善助成金コールセンター、0120-366-440、平日9時〜17時です。あとは厚生労働省の交付要綱・申請マニュアル、Q&Aを確認。
よし、まずは相談窓口に電話して、自分の事業場が対象になるか聞いてみます。
それがいいですね。申請ボタンを押す前に、書類の添付漏れがないか必ずチェックしてくださいね。