室谷さん、今日はすごく名前の長い補助金を教えていただけるそうで。「【茨城】令和8年度中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)」…もう、タイトルだけで息継ぎが必要ですよ(笑)。
ほんとに長いですよね。でも、呼び方は「業務改善助成金」です。中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援して、事業場内で最も低い賃金=事業場内最低賃金を50円以上引き上げて、生産性向上に資する設備投資などを行った場合に、その費用の一部を助成してくれる制度です。
要するに、時給を50円以上アップさせて、設備とかITを導入したら、お金がもらえるってこと?
まさにそのイメージでOKです。ただ、ただ設備を買えばいいのではなくて、きちんと賃金を引き上げる計画と、設備投資等の計画をセットで立てて申請する必要があります。
賃上げと生産性向上を同時にやろうっていう、国からの応援歌みたいな制度なんですね。
そうなんです。助成額も最大600万円と大きいですから、しっかり中身を理解したいところです。
まず、タイトルの頭に「【茨城】」って付いていますよね。茨城県だけの制度なんですか?
この申請フォームは、茨城労働局への申請フォームです。事業場の所在地を管轄する都道府県労働局に申請する仕組みなので、茨城県内に事業場がある事業者は、こちらのフォームから申請できます。
なるほど。もし茨城県外の事業所がこのフォームに申請しちゃったらどうなるんですか?
公式の注意事項には、誤った提出先に申請を行った場合は、当該申請先の労働局で「棄却」処理を行うとあります。そして、もう一度、正しい提出先へ申請し直す必要があります。
しかも、申請期間内に正しい提出先へ提出し直さないといけません。提出先のミスは、単なる手戻りでは済まない可能性があるので、本当に気をつけてください。
これは肝に銘じておきます。申請ボタンを押す前に、自分の事業場がどこ管轄かも確認しないとですね。
では、いつまでに申請すればいいんですか? ここが一番、間違えやすいところだと思うので、しっかり教えてください。
まず、申請の受付開始は令和8年9月1日からです。では、締切はというと…「申請事業場の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日」または「令和8年11月30日」のどちらか早い日、とされています。
ん? ちょっと待ってください。単純に「11月30日まで」ではないんですか?
そこが注意ポイントです。地域別最低賃金の発効日が早まれば、その前日が締切になります。「まだ11月だから大丈夫」と思っていたら、もう締切を過ぎていた、という事態もあり得ます。
うわあ、それは怖い。地域別最低賃金の動きをチェックしておかないとですね。
そうなんです。しかも、この制度の基本情報を見ると「2026-08-31〜2028-03-31」という期間も見えますが、これは事業完了期限が「交付決定年度の1月31日」であることと混同しないようにしてください。申請期間そのものは、先ほど言ったとおり、かなり短めです。
なるほど。ここはもう一度、厚生労働省のサイトで交付要綱を確認するのが確実ですね。
業務改善助成金の特徴中小企業・小規模事業者向け
大企業と密接な関係にある「みなし大企業」は対象外
50円以上の賃上げが条件
事業場内最低賃金を50円以上引き上げる計画が必要
設備投資などの費用を助成
生産性向上に資する設備投資等が対象
上限600万円・補助率4/5〜3/4
引き上げる人数や賃金水準によって上限が変動
じゃあ、いよいよ対象者の条件です。私は中小企業の経営者なんで、まずはどこをチェックすればいいですか?
大枠で言うと、4つあります。1つ目は中小企業・小規模事業者であること。2つ目は、大企業と密接な関係を有する「みなし大企業」ではないこと。3つ目は、事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満であること。4つ目は、解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないことです。
4つも条件があるんですね。しかも、みなし大企業って何だ? という感じですよ(笑)。
中小企業を装っていても、実質的に大企業に支配されているような会社は対象にしませんよ、という線引きですね。ここに該当すると、せっかく申請しても対象外になります。
あと、申請の単位も大事ですよね。確か「事業場ごと」って書いてありましたけど。
そのとおりです。工場や事務所など、労働者がいる事業場ごとに申請します。工場Aと事務所Bがあったら、それぞれ別々に申請する形になります。
私は個人事業主なんですけど、申請対象になりますか?
なりますよ。中小企業・小規模事業者であれば、法人か個人事業主かは問われません。ただし、事業場内最低賃金を引き上げる計画が必要ですから、従業員を雇用していて、賃金をきちんと管理できているかがポイントになります。
ええ。ただ、会社の規模については気をつける点があって、助成上限額の計算時に「事業場規模30人未満」かどうかで金額が変わってきます。
人によっては有利に見えるケースもありますね。ただし、後で説明するように、引き上げる労働者数が少ないと、そもそも上限額が低くなります。単純に「うちは人数が少ないからたくさんもらえる」とはならないので、そこは表で確認してください。
対象業種はどうなってるんですか? 飲食店とか、介護施設も対象になります?
なりますよ。対象業種を並べると、農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉…と本当にたくさん並んでいます。
しかも「サービス業(他に分類されないもの)」や「分類不能の産業」まで対象になっています。まずは自分の業種があるかどうかを、jGrantsの一覧で確認するのが早いです。
これだけ並ぶと、逆に「対象外になる業種って何?」と思っちゃいますね。
そこは公募要領で確認するのが確実ですが、少なくとも飲食も介護も建設も対象になる、というのは押さえておいてください。
何度も出てくる「事業場内最低賃金」が、いまいちピンときてないんですけど…。
簡単に言うと、その事業場で最も低い時間給のことです。ただし、この助成金では「雇入れ後6か月を経過した労働者」の事業場内最低賃金を引き上げる必要があります。
雇ってすぐの人じゃなくて、半年以上働いている人の中で一番時給が安い人を上げる、というイメージですかね?
そうです。計算方法は、地域別最低賃金と同じように、最低賃金法の規定に基づいて算定されます。あやふやなまま申請すると、あとで「やっぱり対象外でした」となりかねないので、ここはしっかり確認したいところです。
あと、賃金を上げる対象の労働者にも条件があるって書いてありましたよね。
そうですね。週所定労働時間が20時間以上の雇用保険加入者が対象です。パートやアルバイトでも、この条件を満たしていれば対象になります。
では、待ちに待った金額の話です。上限600万円というのは、誰でももらえるわけじゃないんですよね?
そのとおりです。助成上限額は、「50円コース」「70円コース」「90円コース」のどれを選ぶか、そして「引き上げる労働者が何人か」で変わってきます。さらに、事業場規模が30人未満かどうかでも金額が変わるんです。
コースっていうのは、賃金をいくら引き上げるかってことですよね。50円以上上げれば50円コースに申し込めるって理解で合ってますか?
合ってます。50円コースは50円以上、70円コースは70円以上、90円コースは90円以上の賃金引き上げが必要です。たとえば80円引き上げる計画なら、70円コースで申請することになります。
なるほど。それで、もっと上げる計画のほうが上限額が高い、と。
数字で見ないと分からないので、表にしてもらえますか?
もちろんです。こちらが公式の資料に基づく助成上限額の表です。ちょっと大きいですが、じっくり見てください。
| コース | 引き上げる労働者数 | 事業場規模30人未満 | 右記以外 |
|---|
| 50円コース | 1人 | 40万円 | 30万円 |
| 2〜3人 | 70万円 | 40万円 |
| 4〜5人 | 70万円 | 70万円 |
| 6〜7人 | 90万円 | 90万円 |
| 8人以上 | 110万円 | 110万円 |
| 10人以上※ | 130万円 | 130万円 |
| 70円コース | 1人 | 50万円 | 40万円 |
| 2〜3人 | 100万円 | 50万円 |
| 4〜5人 | 130万円 | 130万円 |
| 6〜7人 | 180万円 | 180万円 |
| 8人以上 | 230万円 | 230万円 |
| 10人以上※ | 300万円 | 300万円 |
| 90円コース | 1人 | 100万円 | 90万円 |
| 2〜3人 | 240万円 | 150万円 |
| 4〜5人 | 270万円 | 270万円 |
| 6〜7人 | 360万円 | 360万円 |
| 8人以上 | 450万円 | 450万円 |
| 10人以上※ | 600万円 | 600万円 |
※10人以上の上限額区分は、特例事業者が、10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合に対象になります。
おお、ずらっと並びましたね。「右記以外」というのは、事業場規模30人以上ってことですよね?
そうです。たとえば、50円コースで1人引き上げる場合、30人未満だと40万円、30人以上だと30万円です。人数が多い事業者のほうが、上限が低く設定されているケースもあるんですね。
ただ、ここはあくまで上限額。実際にもらえる金額は、設備投資等にかかった費用に助成率をかけた金額と、この上限額を比べて、安いほうになります。
たとえば、90円コースで8人以上、設備投資に500万円かけたら…450万円上限だから、450万円もらえるっていう計算ですか?
その計算でOKです。ただし、助成率をかけた金額が450万円以上になることが前提です。もし設備投資が200万円しかなかったら、200万円に助成率をかけた金額が支給されますからね。
助成率は「3/4〜4/5」と書いてありますけど、これはどうやって決まるんですか?
事業場内最低賃金の水準で決まります。事業場内最低賃金が1,050円未満の事業者は4/5、1,050円以上の事業者は3/4です。
つまり、時給が低い事業者ほど、高い補助率が適用されるってことですね。
そうです。最低賃金に近い事業者を手厚く支援しよう、という意図が感じられます。ちなみに、この「事業場内最低賃金が1,050円未満」という条件は、特例事業者の「賃金要件」にもつながってきます。
ちょっと待って、特例事業者って言葉が出ましたけど、何ですか?
特例事業者には2つのパターンがあります。1つは「賃金要件」といって、事業場内最低賃金が1,050円未満である事業者。もう1つは「物価高騰等要件」といって、申請前6か月間平均の利益率が前年度と比べて3%ポイント以上低下しているなどの事業者です。
助成上限額の拡大や、助成対象経費の拡大が受けられます。さっきの表の「10人以上※」の欄は、特例事業者が10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合に適用される区分です。
なるほど。だから「10人以上」と「8人以上」の欄が両方あるんですね。
そういうことです。特例事業者に該当しない事業者は、この※の区分が使えるかどうか、交付要綱をしっかり確認する必要があります。「8人以上だから上限450万円」と早合点しないようにしてください。
公式のリーフレットに載っている例を紹介しますね。事業場内最低賃金が1,040円の事業場で、8人の労働者を90円引き上げて1,130円にしたとします。この場合、助成率は4/5です。
そして、設備投資などの額が600万円だった場合。600万円×4/5=480万円ですね。ところが、90円コースで8人以上の場合の上限額は450万円です。480万円と450万円を比べて、安いほうの450万円が支給されます。
あー、なるほど。設備投資が大きくても、コースの上限を超えたぶんはもらえないんだ。
そうなんです。「上限いっぱいまで使える」と思って設備投資の計画を組むと、あとで「あれ? 思ったより少ない」となるので、先にこの計算をしてみるのがおすすめです。
じゃあ、設備投資の具体例を教えてください。何に使えるのか、イメージがまだ湧いてなくて。
公式の資料で挙げられているのは、POSレジシステム導入による在庫管理の短縮、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮などですね。あとは、国家資格者による顧客回転率の向上を目的とした業務フロー見直しの経営コンサルティングや、顧客管理情報のシステム化なども対象になり得ます。
なるほど。なんとなく「業務の効率が上がるもの」ってイメージですね。
そう。「生産性向上に資する」というのが大事なキーワードです。何となく新しい機械が欲しい、ではなくて、これを導入することで業務がどう改善されるのかを説明できる内容である必要があります。
よくありがちなのが「パソコンを新調したい」というケースだと思うんですけど、対象になりますか?
一般の事業者の場合、パソコンやスマホ、タブレットなどは助成対象外です。
えっ、そうなんですか! けっこう痛いですね。IT導入って言っても、まずパソコンじゃないですか。
ところが、特例事業者のうち「物価高騰等要件」に該当する場合は、パソコン、スマホ、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入に限って、助成対象になります。
あ、特例事業者のなかでも、物価高騰のほうに該当すればパソコンも買えるんですね。
はい。ただし、この特例は条件が細かくて、たとえば就業規則等に事業場内最低賃金が1,100円である旨を定める必要がある、という条件もセットで書かれています。
1,100円って、さっきの1,050円とまた違う金額が出てきましたね。
そうなんです。特例の内容は複雑なので、申請前に必ず最新の交付要綱を確認してください。ここで「話が違う!」とならないようにしたいですね。
助成対象になる経費・ならない経費- POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
- リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
- 国家資格者による経営コンサルティング
- 顧客管理情報のシステム化
- 物価高騰等要件に該当する場合のパソコン等の新規導入
×デメリット
- 一般事業者によるパソコンやスマホ等の導入
- 交付決定前に導入した設備・機器
- 生産性向上に資さない設備投資
あと「これは対象外だから気をつけて」というパターンも教えてください。
最も気をつけたいのが、交付決定前に助成対象設備の導入を行った場合は対象外という点です。
ん? どういうことですか? 先に設備を買っちゃダメってこと?
そうです。「とりあえず設備を入れてから、あとで助成金を申請しよう」と考えていると、その設備投資は一切、助成の対象になりません。
申請して、交付決定を受けてから、はじめて設備を発注する。これが鉄則です。ここを間違えると、「設備を買ったのに、補助金はゼロ」という悲しい結末になりますから、絶対に守ってください。
申請の流れを教えてください。最近の補助金は電子申請が主流だと思うんですけど、この制度もそうですか?
この申請フォームは、Jグランツ上にあります。GビズIDを使ってログインし、申請書類をアップロードする流れです。
GビズIDって、もう持ってますけど、あれでいいんですね。
はい。ただ、最初にやるべきことはGビズIDの確認じゃなくて、厚生労働省のウェブサイトに掲載されている交付要綱・交付要領・申請マニュアルを読むことです。公式も「熟読のうえ申請してください」と注意喚起していますから、ここは絶対に飛ばさないでください。
やっぱり、まずはルールブックを読めと。それが一番の近道なんですね。
申請のステップを整理すると、どういう順番になりますか?
ざっくり言うと、GビズIDを取得して、交付要綱を確認して、交付申請書と添付書類を作成して、Jグランツの申請フォームに必要事項を記入して、書類をアップロードして、申請ボタンを押す、という流れです。
申請書類の作成が、いちばんの山場になりそうですね。
そうですね。事業場内最低賃金の引き上げ計画と設備投資等の計画を立てて、申請書に落とし込んでいく作業が必要です。ここを丁寧にやるかどうかで、後々のスケジュールがだいぶ変わります。
業務改善助成金の申請の流れ- 1
GビズIDを取得
電子申請に必要なアカウントを準備します
- 2
交付要綱・申請マニュアルを確認
対象要件や経費の範囲を把握します
- 3
交付申請書と添付書類を作成
賃金引上げ計画と設備投資等の計画を策定します
- 4
Jグランツで申請
茨城労働局宛のフォームに必要事項を記入し書類をアップロードします
- 5
審査・交付決定
労働局の審査を受け、交付決定後に事業を開始します
- 6
設備投資等と賃金引上げを実施
計画どおりに事業を進め、賃金を引き上げます
- 7
申請書類の作成で、特に気をつけるポイントはありますか?
公式が「交付申請の際に書類の添付漏れや記載ミス等が多く見受けられます」と注意喚起しています。申請ボタンをクリックする前に、今一度確認してください、とまで書かれていますから、本当に多いんでしょうね。
あるあるなんだろうなあ…。締切間際にバタバタやると、やっぱりミスするんでしょうね。
もし申請後に書類の修正や添付漏れがわかった場合は、申請を行った都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に連絡することになります。
あと、申請期間が限られているから、書類を直している時間もあまりない、と。
そうなんです。だからこそ、申請書類の作成は早めに始めて、締切前に余裕を持って提出できるのが理想です。
もう一度、スケジュールを整理したいんですけど。申請期間は令和8年9月1日からで、締切が…。
申請事業場の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または令和8年11月30日のどちらか早い日です。そして、賃金引上げ期間は令和8年9月1日から、同じく地域別最低賃金の発効日の前日までです。
ん? 賃金引上げ期間も9月1日から始まるんですね。
そうです。たとえば地域別最低賃金が10月1日に発効するなら、9月30日までに事業場内最低賃金の引き上げを完了させなければなりません。10月1日に引き上げたのでは、対象外になるケースがあります。
じゃあ、申請してから賃金を上げるまで、あんまり時間がないってことじゃないですか?
そういうケースもあり得ます。さらに、事業完了期限は交付決定年度の1月31日です。設備の導入と賃金引き上げ、その後の報告までを考えると、スケジュールはかなりタイトです。
うわ、これは本当に早めに動かないと間に合わないパターンですね。
申請〜完了までのスケジュール(目安)令和8年4月22日
交付要綱・要領を公開
コールセンターも開設されます
令和8年9月1日
申請受付開始
この日から交付申請が可能です
発効日の前日 or 11月30日
申請締切
いずれか早い日までに申請が必要です
交付決定年度の1月31日
事業完了期限
設備投資等と賃金引上げを完了させます
せっかく申請するなら、ちゃんと通したいですよね。審査では、どんなところを見られるんですか?
まずは、申請者が中小企業等の対象要件を満たしているか。それから、事業場内最低賃金を50円以上引き上げる計画になっているか。そして、設備投資等が生産性向上に資する内容か。ここら辺が基本的なチェックポイントです。
つまり、「計画が本物かどうか」を見られるわけですね。
そうです。あともう1つ大事なのが、不正を防ぐ視点です。申請書に故意に事実と異なる記載をした場合や、添付書類の偽造などがあった場合は、不正受給として返還や加算金の支払い義務が生じるだけでなく、刑事事件として告発される可能性もあります。
そこまで厳しいんですね…。ちゃんと正直に、正確に申請するのが一番ですね。
そもそも、解雇や賃金引き下げなどがあると不交付事由になりますから、日頃の労務管理もきちんとしているかどうかが問われます。
審査で落ちるケースで、多いのはどんなパターンなんですか?
公式が注意喚起しているのは、やはり書類の添付漏れと記載ミスです。あとは、さっきも言った申請先の誤りですね。茨城労働局宛てのフォームに、管轄外の事業所が申請してしまうと、その申請先の労働局で「棄却」処理になります。
書類の内容以前に、提出先のミスで終わってしまうのはもったいなさすぎますね。
本当にそう思います。ただ、裏を返せば、提出先を間違えず、書類をきちんと揃えて、記載内容を正確にすれば、大きな減点要素はなくなるということです。
計画の立て方で、こうすると採択されやすい、みたいなコツはありますか?
私から言えるのは「公式サイトの情報を全部使い切る」に尽きますね。交付要綱・交付要領、申請マニュアル、Q&A、申請書の作成に便利なお役立ちツールまで、すべて公式サイトにそろっています。
残念ながら、裏技より地道な確認が勝る世界です。しかも、この助成金は「予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集を終了する場合があります」と明記されています。
えっ、予算が尽きたら、期間中でも終わっちゃうってことですか?
そうです。だからこそ、書類の準備は早ければ早いほどいい。申請期間の終盤に焦って出すのではなく、できるだけ早いタイミングで提出するのが、結果的に一番の近道だと思いますよ。
ここまででだいぶ分かってきましたが、最後に注意点をまとめてもらえますか?
まず、交付決定前に設備を導入したら対象外という点。次に、賃金の引き上げは複数回に分けて行うのはNGという点。そして、地域別最低賃金の発効に対応して引き上げる場合は、発効日の前日までに引き上げておかないと対象外になる、という点です。
ちょっと待ってください。「複数回に分けての引き上げはNG」っていうのは、どういう意味ですか?
たとえば、10月に30円上げて、12月にさらに30円上げて、合計60円…というやり方は認められません。引き上げる計画を立てたら、その額を一括で引き上げる必要があります。
なるほど。計画した額を、ちゃんと一度に上げないといけないんですね。
あと、引き上げた後には、就業規則等に「事業場内最低賃金が○円である」という旨を定める必要もあります。口頭で「時給上げたよ」では済まないので、そこもセットで考えておいてください。
過去にこの助成金を使ったことがあるんですけど、また申請できますか?
大丈夫です。公式にも「過去に業務改善助成金を活用した事業者も助成対象となります」と明記されています。
ただし、同一事業所の申請は年度内1回までです。すでに今年度申請している場合は、次の年度まで待つ必要があります。ここは勘違いしやすいので気をつけてください。
助成金って返済不要なのが魅力ですけど、この制度もそうなんですか?
基本的には返済不要です。ただし、偽りその他不正の行為で助成金を受け取った場合は、返還に加えて加算金を支払う義務が生じます。
正しく申請すれば、返済不要で設備投資の一部を持ってもらえる、と。ありがたいですね。
分からないことがあれば、業務改善助成金コールセンターに問い合わせてください。
Jグランツの「この補助金に問い合わせる」機能は使えないって書いてありましたけど、やっぱり電話が早いですか?
この助成金は、Jグランツの問い合わせ機能には対応していません。なので、電話が基本ですね。申請先は各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)ですから、そちらに聞くのも確実です。
では、最後に基本情報をまとめて確認したいんですけど、表にしてもらえますか?
もちろんです。申請を検討するときのメモ代わりに使ってください。
あれ? この表の「対象業種」、さっきの話だとまだまだありましたよね?
良いツッコミです。表に書ききれなかっただけで、実際には鉱業、金融業、保険業、不動産業、教育、学習支援業なども対象です。必ずjGrantsの一覧で自分の業種を確認してくださいね。
最後に、これから申請しようかなと考えている人に向けて、最初の一歩を教えてください。
まずは公式ページを開いて、交付要綱と申請マニュアルに目を通すこと。そして、自社の事業場内最低賃金が今いくらなのかを調べて、誰を何人、何円引き上げるのか。その賃金引上げ計画と、設備投資の内容がセットで描けるかどうかを確認してみてください。
書類の作成は後からでもできますけど、そもそも計画が固まっていないと始まらない、と。
そうですね。あと、この助成金は申請期間が始まる前から準備できることはたくさんあります。特にGビズIDの取得や、事業場内最低賃金の計算方法の確認は、今からでもできますからね。
ちなみに、事業場内最低賃金の計算が難しい場合は、どこに聞けばいいですか?
管轄の労働局の雇用環境・均等部(室)または賃金課(室)に聞くのが確実です。公式資料にも「ご不明点があれば、管轄の労働局までお尋ねください」とあります。自己判断で進めて、あとで要件を満たしていなかった、とならないようにしたいですね。
今日はありがとうございました! この制度、中小企業にとってはかなり心強い味方になりそうですね。
ぜひ、正しい手続きで活用してください。特に、申請期間は「地域別最低賃金の発効日の前日」か「11月30日」のどちらか早い日まで。この締切を逃さないように、早めに動き出すのが成功のカギですよ。
これで「いつまでに、何をすればいいか」がだいぶクリアになりました! あとはもう、室谷さんに言われたとおり、まず公式サイトを読むところから始めます。
それが一番です。申請はお早めに。応援していますよ!