室谷さん、ちょっと聞いてくださいよ。この制度、名称がすごく長いんです。「【愛媛】令和8年度中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)」って(笑)。
めちゃくちゃ長いですよね。でも、中身は「業務改善助成金」です。事業場内で最も低い賃金を50円以上引き上げて、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部が助成される制度です。
なるほど!賃金を上げて、設備も入れて、その設備費用を助成してもらう?
そうです。賃金引上げの計画と、設備投資等の計画をセットで立てて申請します。補助金額は上限600万円、補助率は4/5または3/4。愛媛県の事業場で使える制度です。
マジですか。賃上げしながら設備投資までできるなら、中小企業には大きいですね!
業務改善助成金の3つのポイント上限600万円
設備投資等の費用に助成率4/5または3/4を掛けて助成されます。
事業場内最低賃金を50円以上引き上げ
賃金引上げと生産性向上のための設備投資等をセットで実施します。
愛媛県内の事業場が対象
申請先は愛媛労働局向けのJグランツ申請フォームです。
ええ。この申請フォームは、愛媛労働局への申請フォームです。対象地域は愛媛県ですから、提出先は事業場の所在地を管轄する都道府県労働局になりますね。
誤った提出先に申請すると「棄却」処理され、もう一度、正しい提出先へ申請し直しになります。申請期間内に正しく出し直す必要がありますから、提出先の確認は最初にしっかりやってください。
書類を出す前に、まず全体像をもう少し教えてくださいよ。次は対象者です!
要件に「事業場内最低賃金」という言葉が出てきました。これは何ですか?
事業場の中で最も低い時間給です。時給の従業員も含めて、その職場のいちばん低い賃金を指します。業務改善助成金では、雇入れ後6か月を経過した労働者の事業場内最低賃金を引き上げる必要があります。
地域別最低賃金は都道府県単位で決まる最低賃金です。業務改善助成金で見るのは、あくまで申請する事業場の中での最低賃金。そこの賃金を50円以上引き上げることが要件です。
まず中小企業・小規模事業者であること。大企業と密接な関係を有する企業、いわゆる「みなし大企業」は対象外です。さらに、事業場内最低賃金が令和8年度地域別最低賃金未満であること、解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないことが必要です。
工場Aと事務所Bがあったら、それぞれ別々に申請する形です。申請単位は労働者がいる事業場ごと。だから会社全体で1つの計画にするより、拠点ごとに賃金引上げと設備投資の計画を整理するのが大事です。
Jグランツ上には19の業種が並んでいます。農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売業、小売業、金融業、不動産業、宿泊業、飲食サービス業、医療、福祉などですね。
そうですね。ただ、対象になるかどうかは最終的に交付要綱や公募要領で確認してください。業種名だけでは判断しにくいケースもありますから。
補助率が4/5または3/4とありました。どう分かれるんですか?
申請事業場の事業場内最低賃金が1,050円未満なら助成率4/5、1,050円以上なら3/4とされています。もともとの賃金水準が低い事業場ほど、補助率が高くなるイメージです。
じゃあ、1,050円ちょうどはどっちになるんですか?
資料の表記では「1,050円以上」が3/4ですから、ちょうど1,050円の事業場は3/4側で見るのが妥当でしょう。ただ、助成率の適用は複合的なので、申請前に最新の交付要領で確認してください。
上限600万円って、誰でももらえるわけではないんですよね?
もちろんです。賃金引上げ額が「50円以上」「70円以上」「90円以上」のコースに分かれていて、引き上げる労働者数や事業場規模によって助成上限額が変わります。整理するとこうです。
| 引上げ額コース | 事業場規模 | 1人 | 2〜3人 | 4〜5人 | 6〜7人 | 8人以上 | 10人以上※ |
|---|
| 50円以上 | 30人未満 | 40万円 | 70万円 | 70万円 | 90万円 | 110万円 | 130万円 |
| 50円以上 | 右記以外 | 30万円 | 40万円 | 70万円 | 90万円 | 110万円 | 130万円 |
| 70円以上 | 30人未満 | 50万円 | 100万円 | 130万円 | 180万円 | 230万円 | 300万円 |
| 70円以上 | 右記以外 | 40万円 | 50万円 | 130万円 | 180万円 | 230万円 | 300万円 |
| 90円以上 | 30人未満 | 100万円 | 240万円 | 270万円 | 360万円 | 450万円 | 600万円 |
| 90円以上 | 右記以外 | 90万円 | 150万円 | 270万円 | 360万円 | 450万円 | 600万円 |
上段は事業場規模30人未満の事業者、下段は右記以外の事業者です。ただ、10人以上の欄は特例事業者が10人以上の労働者の賃金を引き上げる場合に対象になるという注記がありました。ここは必ず公式の交付要領で最終確認してください。
「対象経費×助成率」と「助成上限額」を比べて、安いほうが支給されます。公式リーフレットにあった例では、事業場内最低賃金1,040円の場合、助成率は4/5です。
8人の労働者を1,130円まで引き上げるなら、90円コースの助成上限額は450万円。仮に設備投資等の費用が600万円なら、600万円×4/5=480万円。でも上限額の450万円のほうが安いので、支給額は450万円になります。
なるほど!設備投資をがんばったら単純に全額もらえるわけじゃなく、上限との比較なんですね。
基本情報の使途にもある「設備整備・IT導入」が柱ですね。生産性向上に資する設備投資等が対象です。例としてはPOSレジシステム導入による在庫管理の短縮、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮などが挙げられます。
顧客管理情報のシステム化も対象経費の例として挙げられています。それから国家資格者による経営コンサルティングを使い、顧客回転率向上を目的に業務フローを見直すといった取り組みも対象になり得ます。
パソコンやスマホ、タブレット等の端末は、特例事業者のうち物価高騰等要件に該当する場合を除き、通常は助成対象外とされています。特例に該当しても新規導入に限られるという注意がありました。
対象になるかどうかは設備の内容と特例の該当状況で変わります。あと、交付決定前に設備を導入した場合は対象外です。絶対に「交付決定後に着手」という順番を守ってください。
対象になるもの・気をつけたいもの- 機械設備の導入による業務短縮
- POSレジや顧客管理システムなどIT導入
- コンサルティングを活用した業務フロー見直し
×デメリット
- パソコン等は特例に該当しないと原則対象外
- 交付決定前に設備を導入しても対象外
- 賃金引上げと設備投資等をセットで計画する必要がある
申請の流れを教えてください。まず会社で何を用意すればいいんですか?
電子申請をするなら、Jグランツを使います。先にGビズIDを取得しておきましょう。それから厚生労働省のウェブサイトに掲載されている交付要綱・交付要領や申請マニュアルを読んで、申請書類を作ります。
Jグランツの愛媛労働局向け申請フォームに必要事項を記入し、作成した交付申請書・添付書類をアップロードします。その後、労働局の審査を経て交付決定。そこから事業を実施し、完了後に事業実績報告と助成金支給申請を行います。
公式ページでも注意喚起されていますが、添付漏れや記載ミスがかなり多いそうです。申請ボタンをクリックする前に、書類の一覧と記載内容を必ず確認しましょう。
交付申請後に書類の修正や添付漏れが分かった場合は、申請を行った都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ連絡すると案内されています。まずはあわてずに問い合わせるのがいいですね。
申請から支給までの流れ- 1
GビズIDを準備
電子申請に使うIDをあらかじめ取得します。
- 2
交付要綱・要領を確認
最新の要件、対象経費、様式を確認します。
- 3
交付申請書を作成
必要事項を記入し、添付書類をそろえます。
- 4
Jグランツで申請
愛媛労働局向けフォームに必要書類をアップロードします。
- 5
審査・交付決定
労働局の審査を経て交付決定が通知されます。
- 6
賃金引上げと設備投資等を実施
交付決定後に計画どおり事業を進めます。
- 7
事業実績報告と支給申請
実績報告書と助成金支給申請書を提出します。
- 8
「事業場内最低賃金を実際に50円以上引き上げる計画か」「設備投資等が生産性向上に資するか」を見られるはずです。賃金だけ上げて設備投資はやらない、設備投資だけして賃金は上げない、という計画では成立しません。
ですから申請前に、賃金引上げの対象者数と設備投資の内容を具体的に詰めてください。あわせて、引き上げる対象労働者は週所定労働時間20時間以上の雇用保険加入者が対象という点も確認しておきたいですね。
偽りや不正な申請をすると、不正受給額の返還に加え、加算金を支払う義務を負う場合や、刑事事件として告発される場合があります。故意に事実と異なる記載をしないことは絶対条件です。
交付決定後に計画を変えたい場合や、取得した財産を処分する場合は、事前承認手続きが必要なケースがあります。一部の手続きは電子申請に対応していないため、都道府県労働局に直接行うとされています。
Jグランツの基本情報には募集期間が令和8年8月31日から令和10年3月31日までと表示されています。ただし、公式の制度詳細を見ると、申請受付の開始は令和8年9月1日とされています。
しかも申請期間は、申請事業場の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日か、令和8年11月30日のどちらか早い日までです。つまり、Jグランツ上の掲載期間いっぱいまで申請できるわけではないので、注意してください。
申請して終わりではなく、事業を完了させる期限もあるんですよね?
事業完了期限は「交付決定年度の1月31日」とされています。賃金引上げについては、地域別最低賃金の発効に対応して事業場内最低賃金を引き上げる場合、発効日の前日までに引き上げておく必要があります。
ということは、交付決定を待ってから動き始めると時間がないかもしれない?
だから申請する前に、事業完了までの工程表を作っておくのがおすすめです。交付決定前に設備を導入すると対象外になりますから、順番を間違えないようにしながら、準備できる書類は先にそろえておきましょう。
申請スケジュールのイメージ令和8年8月31日
Jグランツ上で掲載開始
基本情報では募集期間が2026-08-31〜2028-03-31と表示されています。
令和8年9月1日
申請受付開始
令和8年度の交付申請受付が始まります。
令和8年11月30日以前
申請受付終了
愛媛で適用される地域別最低賃金の発効日前日か11月30日の早い方までです。
交付決定後
事業を実施
賃金引上げと設備投資等を計画どおり進めます。
交付決定年度の1月31日
事業完了期限
この日までに事業を完了し、実績報告につなげます。
はい。申請を検討するときは、まずこの表で全体像を確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 【愛媛】令和8年度中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金) |
| 実施機関/事業名 | 業務改善助成金 |
| 補助金額 | 上限600万円 |
| 補助率 | 4/5または3/4 |
| 募集期間 | Jグランツ掲載:2026-08-31〜2028-03-31 |
| 申請受付開始 | 令和8年9月1日 |
| 申請受付終了 | 愛媛で適用される地域別最低賃金の発効日前日または令和8年11月30日のいずれか早い日 |
| 対象地域 | 愛媛県 |
| 対象経費 | 設備整備・IT導入など生産性向上に資する設備投資等 |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDe6TMAT |
| 問い合わせ先 | 業務改善助成金コールセンター 0120-366-440(平日9:00〜17:00) |
最後の問い合わせ先、助成金なのにJグランツの「この補助金に問い合わせる」機能には対応していないんですよね?
よくご存じで。公式には、業務改善助成金はJグランツの「この補助金に問い合わせる」機能には対応していないと書かれています。相談はコールセンターか、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が窓口になります。
まずは愛媛県内の自社事業場の「事業場内最低賃金」を調べてください。それが現在の地域別最低賃金を下回っていて、50円以上引き上げる計画を立てられるなら、この助成金の検討対象になり得ます。
いえ、事業場内最低賃金の引上げ計画と設備投資等の計画はセットで申請します。賃金を上げるだけ、設備を入れるだけでは成立しません。まずは両方の計画を大まかに作ってから、最新の交付要綱・要領を確認してみてください。