室谷さん、今回のテーマは「業務改善助成金」ですよね。名前からして「仕事のやり方を改善したらもらえるお金」ってイメージなんですが、どうして賃金引上げの話が出てくるんですか?
いい質問です!実はこの制度、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を50円以上引き上げることが大前提なんです。そのうえで、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その費用の一部が助成される仕組みになっています。
えっ、つまり「賃上げしつつ、設備も入れられる」ってこと? ひとつの制度で両方やるんですか?
その通りです。「ただ賃金を上げます」ではなくて、「賃金を上げるから、そのぶん生産性も上げてくださいね。設備投資の費用は国が手伝いますよ」という政策のカタチなんです。
なるほど〜。従業員の給料を上げるのに加えて、新しい機械を入れたりPCを導入したりするお金までサポートしてくれるんですね。
はい。正式名称は【香川】令和8年度中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)。申請先は香川労働局になります。令和8年度の申請受付は令和8年9月1日から始まりますよ。
ほかの補助金と違うポイントって、どこなんでしょう?
やはり「賃金引上げ計画」と「設備投資計画」の2本立てで考えるところですね。片方だけでは申請できません。最低50円以上の事業場内最低賃金の引上げが必要です。
50円以上っていうのは、けっこうハードル高くないですか?
地域別最低賃金の改定に合わせて引き上げるケースが多いですが、この制度を使うなら、事業場内最低賃金を50円以上引き上げる計画を立てることが最初の一歩になります。
なるほど。その引き上げたあとの賃金を就業規則に反映したりする手続きも必要なんですよね?
そうなんです。引上げ後の事業場内最低賃金額と同額を就業規則等に定める必要がありますから、ただ口頭で「給料上げるよ」ではダメなんです。
気になるのは金額ですよね。上限はいくらまでいけるんですか?
補助上限額は600万円です。補助率は4/5または3/4に分かれます。ここは事業場内最低賃金の金額によって変わります。
4/5ってことは、かかった費用の8割が戻ってくるってことですよね? それは手厚い!
ただし、上限額との兼ね合いがあります。設備投資等にかかった費用に助成率をかけた金額と、助成上限額を比べて、安い方の金額が支給されます。
コース分けがあるって聞きました。どうなってるんですか?
賃金引上げ額によって「50円コース」「70円コース」「90円コース」に分かれます。さらに、引き上げる労働者数によって上限額が変わります。
補助金額までの考え方- 1
事業場内最低賃金を確認
現在の最低賃金がいくらか把握
- 2
- 3
- 4
- 5
設備投資費用と比較
費用×助成率 vs 上限額の安い方
具体的な数字を教えてください。たとえば50円コースだと何人まで上限が上がっていくんですか?
事業場規模によっても違うんですが、たとえば従業員30人未満の事業者で見てみましょう。1人の場合は40万円、2〜3人なら70万円、4〜5人でも70万円。6〜7人で90万円、8人以上で110万円、10人以上だと130万円になります。
はい。70円コースなら1人が50万円、2〜3人が100万円、4〜5人で130万円、6〜7人で180万円、8人以上が230万円、10人以上だと300万円です。
1人が100万円、2〜3人が240万円、4〜5人で270万円、6〜7人で360万円、8人以上が450万円、10人以上だと600万円が上限ですね。つまり、最大の600万円を受け取るには、90円以上の引上げを10人以上の労働者に対して行う必要があるわけです。
業務改善助成金の基本イメージ賃上げが第一条件
事業場内最低賃金を50円以上引き上げる計画が必要
設備投資とセット
機械設備導入やIT化など生産性向上に使う
香川県内の事業場
管轄は香川労働局。提出先の誤りに注意
事業場内最低賃金が1,050円未満の事業者は助成率4/5、1,050円以上の事業者は助成率3/4になります。
なるほど。もともとの賃金水準が低い事業者ほど手厚くしましょう、という意図なんですね。
その理解で正しいです。たとえば、事業場内最低賃金が1,040円で8人の労働者を1,130円まで引き上げる90円コースを申請した場合、助成率は4/5、上限額は450万円。設備投資等の額が600万円なら、600万円×4/5=480万円ですが、上限額の450万円の方が安いので、支給額は450万円になります。
ああ、だから「費用の8割! やった!」とはならないんですね。計算式がちゃんとあるんだ。
そう。助成上限額がキャップとして効いてくるケースが多いので、まずは自分の事業場がどのコースでどれだけの上限になるかを把握するのが大事です。
どんな会社なら申請できるんですか? 業種の制限はありますか?
対象業種はかなり幅広いです。農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売業・小売業、金融業・保険業、不動産業、学術研究・専門技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業、教育・学習支援業、医療・福祉など、ほぼ主要な業種がカバーされています。
ほとんど全部、って感じですね。飲食店でも美容室でも対象になりそう。
はい。香川県内に事業場があって、そこで働く労働者がいることが前提です。工場や事務所などの労働者がいる事業所ごとに申請します。
この制度、法人じゃないとダメですか? 個人事業主でもいけるんでしょうか。
対象になりますよ。中小企業・小規模事業者であれば、個人事業主でも申請は可能です。大事なのは法人か個人かというより、**「大企業と密接な関係を有する企業(みなし大企業)でないこと」**という点です。
みなし大企業、か。親会社が大企業だったりすると対象外になり得るってことですよね。
その通り。あとは、事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金未満であることが必要です。地域別最低賃金は毎年10月頃に改定される都道府県単位の最低賃金のことですが、その額よりも自社の事業場内最低賃金が低い事業者が対象になります。
うちはもう十分高い給料を払ってます、っていう会社は対象外なんだ。
そうです。この制度は「最低賃金を引き上げたいけれど、設備投資まで手が回らない」という中小企業を支援するものですから、すでに地域別最低賃金以上になっている事業場は、そもそもの対象外になります。
従業員数で審査が変わったりしますか? 「うちは5人しかいないけど大丈夫?」とか聞かれそうですが。
Jグランツ上の基本情報では「従業員数の制約なし」とされています。ただし、助成上限額の表を見ると、事業場規模30人未満の事業者と「右記以外の事業者」で金額が異なる区分があります。
ああ、さっきの上限額の表でありましたね。30人未満の方が1人あたりの上限が高く設定されているケースがある。
そう。たとえば50円コースの1人だと、30人未満は40万円、右記以外は30万円。70円コースの1人なら30人未満が50万円、右記以外が40万円というふうに、小規模事業者ほど手厚くなっています。
従業員数をどう数えるかも重要なポイントになりそうです。パートやアルバイトも含まれるんですか?
引き上げる対象労働者は、週所定労働時間が20時間以上の雇用保険加入者が対象になります。ここはしっかり確認しておかないと、あとで「思っていたより人数が少なかった」ということになりかねません。
ところどころで「特例事業者」という言葉が出てきますよね。あれは何ですか?
主に2つの要件があります。1つは「賃金要件」、もう1つが「物価高騰等要件」です。このどちらかに該当すると、助成上限額の拡大などが受けられます。
はい。賃金要件と物価高騰等要件それぞれに条件がありますが、詳しくは交付要綱で確認する必要があります。ただし、物価高騰等要件に該当する場合は、通常は助成対象外となるパソコン等の新規導入も対象になる、という特例があります。
パソコンが対象になるかどうかは大きいですね。IT化したい会社にとっては朗報では?
ただし、この特例が使えるのは物価高騰等要件のうち②に該当する事業者だけです。原材料費の高騰などによって、申請前6か月間平均の利益率が前年度と比べて3%ポイント以上低下しているようなケースですね。
利益率が下がってしまっている会社ほど、IT導入の恩恵を受けられる可能性がある、と。
その代わり、パソコン等を導入する場合は、就業規則等に事業場内最低賃金が1,100円である旨を定める必要があるなど、要件もセットでついてきます。
いよいよ経費の話です。どんなものに使えるんですか?
基本は「生産性向上に資する設備投資等」です。たとえば、POSレジシステムの導入による在庫管理の短縮や、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮などが例として挙げられています。
なるほど。設備だけじゃなくて、システムや車両も含まれるんですね。
経費区分としては、機器・設備の導入、経営コンサルティング、顧客管理情報のシステム化といったものがあります。国家資格者による業務フローの見直しなんかも対象になり得ます。
助成対象経費の考え方- POSレジシステム導入
- リフト付き特殊車両導入
- 経営コンサルティング
- 顧客管理システム化
×デメリット
- PC・スマホ等の端末(原則対象外)
- 特例事業者以外のパソコン導入
- 交付決定前の設備導入
パソコンはどうなんですか? オフィスのPCを新しくしたいな、と思っても助成対象外って聞くとちょっと残念ですが。
一般の事業者は、パソコン、スマホ、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入は原則として対象外です。ただし、先ほど話した特例事業者のうち、物価高騰等要件に該当する場合は対象になります。新規導入に限りますが。
じゃあ「今あるPCが古いから買い替えたい」という一般事業者は、そのPC代金は対象外ってことですか?
そうなります。ですから、設備投資の計画を立てるときは、対象になる経費なのかどうかを事前にしっかり確認することが重要です。交付決定前に導入した設備は対象外になる点も要注意。あとから「これも対象でしょ?」と思っても、原則ダメです。
申請前に買っちゃった、はNGなんですね。順番が大事だ。
コンサルティング費用って、どんな場面で使う人が多いんでしょう?
たとえば、顧客回転率の向上を目的とした業務フローの見直しを、国家資格を持つ専門家に依頼するケースが挙げられています。いわゆる「高いコンサルを呼んで、儲かる仕組みを作る」というのは、生産性向上の計画とセットなら対象になり得るわけです。
専門家の知恵を借りながら賃上げの原資を作る、と。それはいいサイクルですね。
ただし、助成金の計算は、設備投資等にかかった費用 × 助成率と助成上限額を比べて安い方です。コンサル費用だけで上限額いっぱいまで使えるわけではなく、あくまで計画全体とのバランスになります。
申請の流れを教えてください。まず何から始めればいいですか?
最初にやるべきなのは、厚生労働省のWebサイトで交付要綱・交付要領、申請マニュアルを確認することです。令和8年度申請分の書類が公開されていますから、熟読してください。
書類を読むのが大変そうですが、それが最短ルートなんですね。
はい。そのうえで、電子申請の場合はJグランツから行います。GビズIDの取得が必要ですから、まだお持ちでない方は事前に準備しておきましょう。
GビズIDって、よく聞くけど実際どうやって作るんですか?
GビズIDは、国が提供する法人・個人事業主向けのIDです。行政サービスをオンラインで受けるときに使います。申請自体はWeb上でできますが、本人確認書類などが必要になりますから、余裕をもって早めに取得しておくのが安心です。
うちの会社はまだ持ってないかも、という人はどうしたら?
電子申請の前にGビズIDのアカウントを用意してください。取得には数日かかるケースも想定されます。ギリギリになって「IDがない!」とならないよう、募集開始前からの準備がおすすめです。
電子申請のステップ- 1
GビズIDを取得
電子申請に必要なID。事前に発行しておく
- 2
公募要領・申請マニュアルを熟読
厚労省サイトで対象要件・経費を確認
- 3
交付申請書を作成
様式に沿って事業計画や添付書類を準備
- 4
Jグランツで電子申請
香川労働局宛てにフォーム入力・書類をアップロード
- 5
- 6
事業完了後に支給申請
事業完了報告をして助成金を受け取る
申請期間は令和8年9月1日から、申請事業場の都道府県において適用される地域別最低賃金の発効日の前日、または同年11月30日のいずれか早い日までです。
つまり、10月に最低賃金が改定されるなら、その前日までに申請しないといけない可能性がある、と。
そういうことです。カレンダー上は11月30日までに見えますが、地域別最低賃金の発効日によってはそれより前に締切が来ることを想定してください。香川県も令和8年度の改定スケジュールを確認しておきましょう。
ここは「まだ大丈夫だろう」と思っていたら締切が終わってた、という落とし穴がありそうですね。
ええ。しかも、予算の範囲内で交付するため、申請期間内でも募集を終了する場合があります。ですから「終わってから慌てる」のではなく、募集開始と同時に動き出すのがベストです。
申請したあとに事業を完了させる期限も決まってるんですよね?
事業完了期限は交付決定年度の1月31日とされています。賃金引上げ期間も決められていますから、いつまでに賃金を引き上げて、いつまでに設備投資を終えるのか、逆算して計画しましょう。
ということは、9月に申請が通ってから、年明け1月31日までに設備を入れて、賃金も上げて、報告する、という流れですか。
大枠はそんなイメージです。交付決定後に計画どおりに事業を進め、事業の結果を報告いただくことにより、設備投資等にかかった費用の一部が助成金として支給されます。
この申請フォームは香川労働局への申請フォームです。ほかの都道府県の事業場なのに香川へ出してしまうと、誤った提出先の労働局で「棄却」処理がされ、再度正しい提出先へ申請し直しになります。
えっ! それ、申請期間内に正しい提出先へやり直せばいいんですか?
はい。ただし、申請期間内に正しい提出先へ申請する必要があります。もし期間を過ぎてしまったらアウトです。「香川県内の事業場だから」「本社が香川だから」ではなく、事業場の所在地を管轄する労働局に出すのが原則です。
提出先の誤りは、思わぬ致命傷になり得るんですね。申請ボタンを押す前の最終確認が大事だ。
あとは、書類の添付漏れや記載ミスもよくあるそうです。申請後、それに気づいたら、香川労働局の雇用環境・均等部(室)に連絡すれば対応してもらえます。
せっかく出しても通らなかったら悲しいですよね。審査ではどんな観点で見られるんでしょうか。
まず大前提の要件チェックです。中小企業・小規模事業者であること、みなし大企業でないこと、事業場内最低賃金が地域別最低賃金未満であること、解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないこと。これらを満たしているかが厳密に確認されます。
賃金の引き上げ方にもルールがあるそうですね。複数回に分けて徐々に上げる、はNGだと聞きました。
その通りです。複数回に分けての事業場内最低賃金の引上げは認められません。また、地域別最低賃金の発効に対応して引き上げる場合、発効日の前日までに引き上げておく必要があります。
例えば、10月1日に新しい地域別最低賃金が発効されるなら、9月30日までに事業場内最低賃金の引上げを完了しておかないといけない、と。
はい。発効日の当日に引き上げたのでは対象になりません。この「前日までに完了」というのは、意外と見落としがちなポイントです。就業規則への反映もセットで考えておきましょう。
「引き上げる労働者数」の数え方も、ちょっと複雑そうですね。
基本は、事業場内最低賃金である労働者の賃金を引き上げることで、その労働者を「引き上げる労働者」に算入できます。さらに、その引上げによって賃金額が追い抜かれる労働者も、一定の要件を満たせば算入できます。
たとえば、事業場内最低賃金が1,050円の事業場で、70円コースを申請するとします。最賃労働者Aさんを1,120円に引き上げたら、もともと1,100円だったBさんは、Aさんに追い抜かれますよね。このBさんも、申請コース以上の引上げをしていれば「引き上げる労働者」に数えられるんです。
なるほど、賃金の逆転現象を防ぐために、追い抜かれる人の賃金も上げないといけないから、その人も対象にカウントできる、と。
その理解でバッチリです。ただし、すでに引上げ後の事業場内最低賃金以上の人や、申請コース以上に上げていない人は算入できません。この辺りの線引きは、申請書類の作成時によくつまずくところですから、マニュアルをよく確認してください。
提出書類で、特に間違いやすいポイントを教えてください。
まず、交付申請書・添付書類をJグランツの申請フォームの「申請書類」欄にアップロードするわけですが、ここで添付漏れが非常に多いそうです。
就業規則や賃金規程の写し、労働者の人数が分かる書類、設備投資の見積書などが必要になるケースが多いです。ただ、具体的に何が必須かは申請時のコースや事業場の状況によって変わります。厚生労働省のサイトにある交付要領、申請マニュアル、Q&A、お役立ちツールを活用して、ひとつずつ確認していくのが確実です。
やっぱり、ぶっつけ本番で書類を作るより、事前の準備がモノを言うんですね。
この「業務改善助成金」、似たような名前の補助金もありそうですが、何が特徴的なんですか?
何より大きいのは、賃金引上げを伴うことです。単なる設備投資の補助ではなく、「賃上げを伴う生産性向上」に絞って支援する制度ですから、目的がシャープなんですよね。
一般的な補助金なら「新しい機械を入れます」だけで通るところを、こちらは「給料も上げます」というコミットメントが求められる。
そう。その代わり、補助率が最大4/5と高いですし、上限も600万円まであります。ほかの補助金と比べて、自社の賃金制度をしっかり見直すきっかけになるという意味では、単なるお金の話じゃないんです。
こんな事業者が向いている| 観点 | 本制度が向く人 | 本制度が向かない人 |
|---|
| 賃金水準 | 事業場内最低賃金が地域別最低賃金未満 | すでに高い賃金を支給している |
| 目的 | 賃上げと設備投資を同時にやりたい | 設備だけ入れたい |
| 物件 | 生産性向上につながる設備投資 | 純粋なPC買い替え(原則対象外) |
| 人員 | 引上げ対象の労働者が複数いる | 対象者が少なく上限が小さい |
ちなみに、今回の記事では関連する助成金のリストが空なんですよね。比較対象になる制度は載せないほうがいいと。
おっしゃるとおり。今回は関連補助金のリストがないので、あえて他制度の名前を出すのは避けます。それよりも、この業務改善助成金が「いつ」「どんな目的で」「いくらもらえるのか」を正確に理解してもらうのが先決です。
確かに、名前ばかりたくさん出てきても混乱しますからね。じゃあ、この記事では業務改善助成金そのものに集中しましょう。
実際に申請するところまで、どんなスケジュールで動けばいいですか?
令和8年度の受付開始は令和8年9月1日です。ただし、交付要綱・要領は令和8年4月22日に公開されていますから、そこから準備を始められます。
令和8年度のスケジュール目安2026年4月
要綱・要領の公開
交付要綱・要領が公表され、コールセンターも開設
2026年9月
申請受付開始
令和8年9月1日から電子申請を受け付け
2026年10月〜11月
申請締切
地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日の早い方
2027年1月
事業完了期限
交付決定年度の1月31日までに事業完了
4月に要綱が出て、9月に受付開始。準備期間は約5ヶ月ある、と見るべきですね。
でも、だからこそ油断しがちです。「まだ9月まで時間があるから」とほったらかしにして、締切直前にあわてて書類を作ると、添付漏れや記載ミスが発生します。いまから中長期の計画を立てておくのがいちばんの近道です。
分からないことがあったとき、どこに聞けばいいですか?
業務改善助成金コールセンターに電話するのが早いです。番号は0120-366-440。受付時間は平日の9時から17時までです。
フリーダイヤルなのが助かりますね。Jグランツの「この補助金に問い合わせる」機能は使えないんですか?
この業務改善助成金は、Jグランツの問い合わせ機能に対応していません。ですから、基本的な疑問はコールセンター、個別の案件については**香川労働局の雇用環境・均等部(室)**に聞くのが確実です。
申請フォームに必要事項を記入し、作成した交付申請書と添付書類をアップロードします。申請ボタンをクリックする前にもう一度、すべての項目と添付ファイルを確認してください。ここで確認を怠ると、あとで修正対応に追われます。
デジタルだからといって、入力がラクというわけではないんですね。
あと、取得財産の処分に係る事前承認手続きなど、一部の手続きは電子申請に対応していません。そういった手続きは都道府県労働局に直接行うことになっています。「電子申請だから全部オンラインで完結する」と思い込むのは禁物です。
ここまでで、おおまかな全体像はつかめました。最後に、申請を考える事業者がよく引っかかるポイントを教えてください。
まず、**「過去に業務改善助成金を使ったから、もう申請できないんでしょ?」**という質問をよく聞きますが、過去に活用した事業者も助成対象になります。
えっ、そうなんですか? 一度使ったらダメだと思ってました。
私も最初は驚きました。ただし、同一事業所の申請は年度内1回までという制限があります。年度をまたげば、また申請のチャンスはあるわけです。
二度目、三度目の活用も見据えて、設備投資の計画を数年単位で考えられるといいですね。
補助金の申請で怖いのが、うっかり不正受給になってしまうケースです。どういう点に気をつければいいですか?
故意に事実と異なる記載をした場合や、添付書類を偽造した場合は、不正受給額の返還に加えて加算金を支払う義務が生じます。さらに、刑事事件として告発される可能性もあります。
そこまで深刻な話になるんですね。書類のミスはうっかりで済むかもしれないけど、故意の偽装は絶対ダメだと。
はい。あと、厚生労働省から委託を受けたと装って助成金の活用を勧誘する事業者がいるという注意喚起も出ています。行政が特定の事業者に助成金の勧誘を委託することはありませんから、もし「手数料を払えば確実に通します」みたいな話が来たら、それは疑ってかかったほうがいいです。
最後に、この制度の基本情報を表でまとめてもらえますか?
もちろんです。申込先まで含めて、ざっくりまとめますね。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 【香川】令和8年度中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金) |
| 実施機関 | 業務改善助成金(香川労働局) |
| 補助上限額 | 600万円 |
| 補助率 | 4/5(事業場内最低賃金1,050円未満)/3/4(同1,050円以上) |
| 対象地域 | 香川県 |
| 対象業種 | 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉 ほか |
| 対象者 | 中小企業・小規模事業者(みなし大企業は除く) |
| 利用目的 | 設備整備・IT導入 |
| 電子申請 | Jグランツ(要GビズID) |
| 公式URL | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDe6SMAT |
| お問い合わせ | 業務改善助成金コールセンター 0120-366-440(平日9:00〜17:00) |
これ1枚あれば、申請を検討するときに迷わずに済みそうですね。
ただ、ここに載っているのはあくまで基本情報です。実際の申請では、厚生労働省が公開している交付要綱・交付要領、申請マニュアル、Q&Aを必ず確認してください。この記事の情報だけで完結させずに、公式サイトで最新の詳細をチェックする癖をつけましょう。
特に、賃金引上げの要件や特例事業者の扱いは、自分の会社が当てはまるかどうかで結果が大きく変わりますからね。
そう。あと、この制度は申請期間内であっても予算の範囲内で募集を終了する場合があります。「まだ締切まで時間があるから」とのんびりしていると、受け付けてもらえない可能性もあるんです。
えっ、それは早めに動かないとですね! 補助金は「思い立ったら即行動」が基本だと改めて思いました。
ぜひ、9月の受付開始に向けて、まずは自社の事業場内最低賃金がいくらかを調べるところから始めてみてください。50円以上引き上げる計画が立てられるか、設備投資の内容は対象になるか。ひとつずつ確認していけば、申請書のゴールは見えてきます。
ありがとうございました! 香川県の事業者のみなさんも、この対談を参考に、まずは一歩を踏み出してみてくださいね。
ええ、私も皆さんのチャレンジを応援しています。疑問があれば、ぜひコールセンターにも気軽に相談してみてください!