室谷さん、最近「セキュリティトークン」って言葉をよく聞くんですけど、これって補助金の対象になるんですか?
なりますよ!東京都が「デジタル証券(セキュリティトークン)市場拡大促進事業補助金」を令和8年度も公募中で、補助率は最大2/3、上限は最大1,000万円という結構大きい支援なんです。
えっ、最大1,000万円!それはかなり大きいですね。そもそも「セキュリティトークン」って何なんでしょう?
簡単に言うと、有価証券や不動産などを裏付けに、ブロックチェーン技術を使ってデジタル化した証券のことです。「デジタル証券」とも呼ばれます。従来の有価証券と違って、小口での発行が可能になったり、発行体と投資家が直接つながれたりするんです。
ほんとに?つまり株や不動産をトークン化するってこと?
そうです!たとえばこれまで億円単位でしか取引できなかった不動産や、特定の事業の収益権などを、数万円から投資できる小さい単位に分割して発行できるようになるんです。「貯蓄から投資への流れを加速する」ということで、東京都も国策として力を入れている分野です。
なるほど!金融のDXみたいな感じですね。これを東京都が補助金で後押ししているんだ。
まさにそうです。東京を「国際金融都市」として世界に発信する取り組みの一環で、令和5年度からすでに複数の企業が採択され、ソニー銀行さんや東京海上アセットマネジメントさんも活用実績があるんですよ。
デジタル証券補助金の補助率と上限額まとめ
補助率とか上限額って、申請者によって違うんですか?
そうなんです。実はかなり細かく設定されているんです。まず通常の事業者なら補助率1/2、上限750万円。でもスタートアップ企業の場合は補助率が2/3に上がります。
そうです。さらに「重点分野」と呼ばれる条件に該当すると、上限が1,000万円に引き上げられます。
大きく2つあって、1つ目は「これまでセキュリティトークン化が進んでいなかった新しいアセットを対象にしたり、先進的なスキームで個人に新たな投資機会を提供する取り組み」、2つ目は「デジタル技術を駆使して個人に新たな投資体験を提供する取り組み」です。要は、新しいユースケースを作る先進的な事業が重点分野として優遇されます。
ということは最大1,000万円もらえる可能性があるんですね!でも、過去に採択された企業はどうなんですか?
それは注意点で、過年度に補助金交付を受けたことがある企業が再応募した場合は、重点分野かどうかに関わらず上限が300万円になります。制度を使い続けるなら、この点は必ず把握しておいてください。
| 申請者の区分 | 補助率 | 上限額 |
|---|
| 通常の事業者 | 1/2 | 750万円 |
| スタートアップ企業 | 2/3 | 750万円 |
| 重点分野に該当する事業者 | 1/2 または 2/3 | 1,000万円 |
| 過年度採択者 | 1/2 または 2/3 | 300万円 |
なるほど、全体像がよく分かりました。次は、誰が申請できるのかを教えてください。
実際に申請するためには、どんな条件を満たさないといけないんですか?
主に3つの条件があります。まず1つ目、セキュリティトークンを発行する事業者であること。当たり前といえばそうですが、発行に際して金融商品取引業や不動産特定共同事業法などの免許・許可・登録が必要な場合は、それらを取得済みであることが前提です。
結構大変です(笑)。ただ、すでに金融業を営んでいる会社や、適切に登録を済ませたスタートアップなら問題ありません。2つ目の条件は、東京都内に登記簿上の本店または支店があること。本店が都外でも、都内に支店があれば申請できます。
それは地方企業でも都内に拠点を置いていれば使えるってことですね!
そうです。3つ目が、同一年度内に国や他の自治体(東京都の他部署を含む)から委託や助成を受けていないことです。これは重複受給の防止ですね。ただし、セキュリティトークン発行以外の別事業について他の補助金を受けている場合は、対象経費が重複しない範囲なら問題ないケースもあります。
なるほど。金融免許を持っていて、都内に拠点があって、同年度の重複受給がなければOKということですね。それじゃあ対象経費についても教えてください。
補助金で何が買えるのか、何に使えるのかが気になります。
補助対象経費は3種類に分かれています。1つ目は「プラットフォーム利用料」で、セキュリティトークンの発行プラットフォームや、ブロックチェーン基盤、トークン管理システムの利用料が含まれます。
正確に言うとそうです。2つ目は「専門家等への相談経費」。弁護士への法務相談費、公認会計士・税理士への会計相談費、規制対応の専門家への相談費などが該当します。セキュリティトークンって金融規制が複雑なので、専門家に相談しながら進めることが多くて、この費用が大きくなるケースが結構あります。
そして3つ目が「システム開発経費」で、スマートコントラクト開発費、投資家向けポータルサイトの開発費、KYC/AMLシステムとの連携開発費など、発行に関連するシステム開発全般が対象です。
| 経費の種類 | 具体的な内容 |
|---|
| プラットフォーム利用料 | 発行PF利用料、ブロックチェーン基盤利用料、トークン管理システム |
| 専門家等への相談経費 | 弁護士、公認会計士、税理士、規制対応の専門家への相談費 |
| システム開発経費 | スマートコントラクト開発、投資家ポータル、KYC/AML連携開発 |
セキュリティトークンの裏付け資産(不動産本体など)の取得費は対象外です。あと営業・マーケティング費用、社内人件費、交通費や通信費などの一般管理費も対象外。要は「発行そのものに必要な経費」に限られます。消費税も対象外なので、見積もりを取るときは税抜き金額で計算してください。
なるほど。じゃあ実際の申請の流れを教えてください!
デジタル証券補助金の申請ステップ
まず自社の要件を確認するところから始めましょう。具体的な手順を説明しますね。
金融免許・許可・登録の確認
セキュリティトークン発行に必要な金融商品取引業等の免許・許可・登録を保有しているか確認する。取得中の場合は、採択後の交付決定までに完了している必要がある場合があります。
東京都内の拠点確認
登記簿上の本店または支店が都内にあることを確認する。支店があれば本店所在地は問わない。
事業計画の策定
発行するセキュリティトークンの事業計画を策定。発行体・投資家双方にとっての付加価値(小口化、流動性向上等)を具体的に示す。重点分野への該当も検討する。
補助対象経費の見積取得
プラットフォーム利用料、専門家相談経費、システム開発経費の見積もりを取得する。
申請書類の作成・提出
交付要綱・募集要領・各種申請書類を確認して書類を作成。Jグランツによる電子申請または郵送・持込で提出する。令和8年4月10日から令和9年1月29日の期間中、随時受け付け。
審査会による採択決定
採択は概ね1〜2か月ごとに開催される審査会で決定される。採択後、令和8年3月31日までに払込完了を目指して事業を実施する。
電子申請と郵送・持込の両方があるんですね。Jグランツって何ですか?
Jグランツ(jgrants-portal.go.jp)は経済産業省が運営する補助金の電子申請システムです。利用にはGビズIDが必要なので、まだ取得していない場合は早めに申請してください。GビズIDの取得自体に2〜3週間かかる場合があります。
郵送でも持込でもOKなんですね。送付先を教えてください。
郵送先は「〒163-8001 東京都新宿区西新宿二丁目8番1号 東京都庁第一本庁舎20階 東京都産業労働局 総務部 国際金融都市推進課 国際金融都市推進担当 宛」です。持込も同じ場所です。
ありがとうございます。審査って年1回じゃないんですね。
そうです!概ね1〜2か月ごとに審査会が開催されるので、早めに申請すれば早めに結果が出ます。ただし予算上限に達したら受付終了になるので、準備ができたら早めに出すのがおすすめです。
- 付加価値の具体性: 発行体・投資家双方にとっての高い付加価値(小口化、流動性向上等)を数値で具体的に示す
- 法令遵守体制: 金融商品取引法等の法令遵守体制を明確に説明する(どんな免許・許可を取得済みか)
- 先進性・新規性: セキュリティトークンのユースケースとしての先進性をアピール。過去にない事例は強い
- 実現可能なスケジュール: 令和8年3月31日(払込完了期限)に向けた、具体的で実現可能なスケジュールを提示
- 東京への貢献: 国際金融市場としての東京の魅力向上への貢献を具体的に説明する
このポイントを見ると、「東京への貢献」って項目がありますね。都の補助金だからそこも見られるんですか?
見られます!この補助金の根本的な目的が「国際金融市場としての東京の魅力向上」なので、「うちの事業が東京の金融市場にどう貢献するか」を明確に書くことが大切です。単に「自社のビジネスをやりたい」だけじゃなく、東京の市場全体にとってのメリットを示すんです。
なるほど!自社の利益じゃなくて、東京の金融市場への貢献を前面に出すんですね。
その通りです。過去の採択事例を見ると、ソニー銀行さんは令和5年度、東京海上アセットマネジメントさんや株式会社ディーカレットDCPさんは令和7年度に採択されています。すでに複数年の実績があるプログラムなので、公式サイトで採択企業のインタビューも参考になりますよ。
採択例がたくさんあるのは安心感があります。募集要領などの書類はどこで確認できますか?
東京都産業労働局の公式ページに、①交付要綱、②募集要領、③提出様式のPDF・Wordがまとめて掲載されています。必ず最新版を確認してから申請してください。
東京都のフィンテック関連の補助金だと、いくつかあります。例えば
フィンテック産業における協業基盤整備支援事業補助金は補助率1/2で上限1,000万円ですが、こちらはフィンテック企業同士の協業基盤を整備するための補助金で、セキュリティトークン専用ではありません。
そうなんです。セキュリティトークンを実際に発行しようとすると、システム開発や法務コストで数百万円から1,000万円規模の投資が必要になることも珍しくないので、この上限設定は現実的だと思います。
同一年度内に国や他の自治体(東京都の他部署を含む)からの委託や助成を受けている場合は、この補助金に申請できません。対象経費が重複しない別事業への補助金受給については、事前に東京都産業労働局に確認してください。
この補助金の基本的なデータを整理してもらえますか?
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助金名 | デジタル証券(セキュリティトークン)市場拡大促進事業補助金 |
| 実施機関 | 東京都産業労働局 総務部 国際金融都市推進課 |
| 補助率 | 1/2(スタートアップは2/3) |
| 補助上限額 | 750万円(重点分野は1,000万円、過年度採択者は300万円) |
| 募集期間 | 令和8年4月10日(金)〜令和9年1月29日(金)※予算上限に達し次第終了 |
| 払込完了期限 | 令和8年3月31日 |
| 申請方法 | Jグランツによる電子申請、または郵送・持込 |
| 問い合わせ先 | 東京都産業労働局 国際金融都市推進担当 TEL 03-5320-6274 |
| 公式ページ | sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp |
| Jグランツ | jgrants-portal.go.jp |
審査が随時なのは助かりますね。早めに出せば早く結果が出る!
まさにその通りです。ただ予算が尽きたら終わりなので、「来月でもいいや」と先延ばしにしない方がいいです。申請受付期間は令和9年1月29日までですが、予算次第で早期終了することもあります。
- 金融免許の確認: セキュリティトークン発行に必要な免許・許可・登録を取得済みか
- 都内拠点の確認: 登記簿上の本店または支店が東京都内にあるか
- GビズIDの取得: Jグランツで申請する場合、GビズIDを事前に取得しておく(2〜3週間かかる場合あり)
- 重複受給の確認: 同一年度に国・他自治体から委託や助成を受けていないか
- 払込完了の見込み: 令和8年3月31日までに払込完了できるスケジュールか
まず「セキュリティトークンとは何ですか?」という基本的なところから。
セキュリティトークンとは、企業等が資金調達等を目的として、有価証券や不動産等を裏付けに、ブロックチェーン(分散型台帳技術)を活用して発行する有価証券等のことです。デジタル証券とも呼ばれ、小口化・流動性向上・スマートコントラクトによる自動化などの特徴があります。
「本店が東京都外でも申請できますか?」という質問はどうでしょう。
申請できます!東京都内に登記簿上の支店があれば、本店所在地は問いません。関西や名古屋に本社を置く金融機関でも、東京支店があれば対象になります。
「スタートアップの定義を教えてください」という声もありそうです。
スタートアップの定義については募集要領に詳細が記載されています。一般的には「設立から一定年数以内の成長段階にある企業」を指しますが、具体的な基準は最新の募集要領で確認してください。
公式ページから募集要領PDFをダウンロードできます。
「重点分野に該当するか分からない」という相談も多そうですね。
これは実際に多い悩みです。重点分野の判断は申請時の審査で行われますが、事前に問い合わせることも可能です。東京都産業労働局 国際金融都市推進担当(TEL 03-5320-6274)に事前相談することをおすすめします。担当者が丁寧に相談に乗ってくれますよ。
事前相談できるのは心強い!最後に「令和8年3月31日の払込完了ってどういう意味ですか?」という質問を。
セキュリティトークンを発行する際、投資家から資金を集める「払込」という手続きがあります。この払込が令和8年3月31日までに完了している必要があるということです。申請した後、補助事業の実施から払込完了まで、全て令和8年3月31日以内のスケジュールで組む必要があるんです。現在(令和8年)からの期間を考えると、実はそれほど猶予があるわけではないので、申請後はスピード感を持って動く必要があります。
しっかり計画を立てて申請しないといけないですね!セキュリティトークンに挑戦したい事業者さんは、まず東京都産業労働局に問い合わせてみましょう!