キャリアアップ計画書の書き方と提出方法|提出前日までに届け出が必要
目次
キャリアアップ計画書とは?書き方と提出方法を解説
キャリアアップ助成金を受け取るための、最初にして最重要の手続きが「キャリアアップ計画書」の提出です。
正社員化や賃金改善などの取組みを実施する前日までに、この計画書を管轄の都道府県労働局に届け出なければなりません。これを忘れると、どれだけしっかり正社員化を行っても助成金は一切もらえません。
この記事では、キャリアアップ計画書の内容・書き方・提出方法を具体的に解説します。
キャリアアップ計画書とは
キャリアアップ計画書は、自社の非正規雇用労働者(パート・アルバイト・派遣社員など)のキャリアアップに向けた取組みを事業主が計画した文書です。
キャリアアップ助成金を利用するすべての事業者が作成・提出しなければなりません。
2025年度から簡素化されました
従来は計画書を提出した後に「労働局長の認定」を受ける必要がありましたが、2025年度から「届け出のみ」でOKになりました。認定を待つ手間がなくなり、届け出れば取組みに進める流れになっています。
ただし、取組み実施前日までの提出は引き続き必須です。届け出が取組みの実施後になった場合は助成対象外となります。
計画書に記載する内容
キャリアアップ計画書(様式1号)には、主に以下の内容を記載します。
基本情報
- 事業所名・所在地・電話番号
- 事業主名(法人の場合は代表者名)
- 雇用保険適用事業所番号
- キャリアアップ管理者の氏名・役職
キャリアアップ計画の期間
計画の実施期間を記載します。期間は 3年以上5年以内 で設定します。
例: 令和8年4月1日〜令和12年3月31日(4年間)
対象となる労働者
計画の対象となる非正規雇用労働者の概要を記載します。
- 労働者の種別(有期雇用・短時間・派遣など)
- 人数の概算
- 現在の雇用状況(勤続年数・労働時間・賃金等の概要)
全員の名前や個人情報を記載する必要はなく、「パートタイム労働者 約10名」のような概括的な記載でOKです。
目標・取組内容
計画期間中に実施するキャリアアップの取組み内容を記載します。
- 取組みの種類: 正社員化・賃金規程の改定・賞与制度の導入など(申請するコースに対応させる)
- 目標: 「正社員化コース:3年以内に有期雇用労働者2名を正社員化する」
- 実施時期の目安: 「令和8年10月に正社員化を実施予定」
具体的な数字を入れると、計画としての説得力が増します。「できるだけ多く正社員化する」のような曖昧な記載は避けましょう。
キャリアアップ管理者の署名・押印
計画書の末尾にキャリアアップ管理者が署名・押印します(法人の場合は代表者も)。
書き方のポイント
実施予定のコースに合わせて書く
計画書は、後に申請するコースと整合している必要があります。正社員化コースを申請するなら、計画書にも「正社員化を行う」旨を明記してください。
「とりあえず全コースを書いておく」のもOKです。実際に申請するコースだけ実施すれば、記載したコースを全部実施する義務はありません。
取組み開始日より前に提出する
計画書の提出期限は「各コースの取組みを実施する日の前日まで」です。
例えば、令和8年10月1日に正社員化を行う場合、令和8年9月30日(前日)までに計画書が労働局に届いていなければなりません。余裕を持って1〜2週間前には提出を完了させましょう。
計画期間中に取組みを完結させる
助成金の対象となる取組みは、計画期間内(3〜5年)に実施したものだけです。計画期間外の取組みは助成対象になりません。
提出方法
提出先
管轄の都道府県労働局(雇用環境・均等部(室))に提出します。
都道府県ごとの提出先は厚生労働省の公式サイト(各都道府県労働局一覧)で確認できます。
提出方法
以下の3つの方法から選べます。
1. 郵送 計画書を印刷して、必要事項を記入・押印の上、郵送します。写しを手元に保管しておきましょう。
2. 窓口持参 労働局の窓口に直接持参します。担当者がその場で確認してくれる場合もあります。
3. 電子申請 厚生労働省の電子申請システム(e-Gov)を利用して提出することもできます。
様式のダウンロード
計画書の様式(様式1号)は、厚生労働省の公式サイト「申請様式ダウンロード」ページから取得できます。令和8年度版の様式(令和8年4月1日以降の取組みに係る様式)を使用してください。
計画書提出後の流れ
計画書を提出したら、届け出の受領確認が行われます(2025年度以降は認定は不要です)。
その後、計画書に記載した取組み(正社員化など)を実施し、一定期間(6ヶ月・12ヶ月)経過後に支給申請を行います。
提出から支給申請までの全体の流れ
- キャリアアップ管理者の選任
- 計画書を作成・提出 (取組みの前日まで)
- 就業規則を整備(転換規定の追加など)
- 取組みの実施(正社員化など)
- 6ヶ月後に第1期の支給申請
- 12ヶ月後に第2期の支給申請(重点支援対象者の場合のみ)
よくある質問
Q. 計画書を提出した後に内容を変更できますか?
A. 計画内容の変更(対象者の追加・取組み内容の変更など)は、変更届を提出することで対応できます。変更届も変更後の取組み実施前に提出が必要です。
Q. 計画期間は必ず3〜5年にしなければなりませんか?
A. 3年以上5年以内の範囲で設定する必要があります。短すぎると計画期間内に取組みを完結させにくくなるため、4〜5年で設定するケースが多いです。
Q. キャリアアップ管理者はどんな資格が必要ですか?
A. 特別な資格は不要です。事業主や人事担当者など、社内の従業員が担当できます。ただし、事業所ごとに1人を選任する必要があります。
Q. 複数のコースを計画書に記載してもいいですか?
A. OKです。「正社員化コースと賃金規定等改定コースを実施する」のように複数のコースを記載できます。実際に申請するのは条件を満たしたコースだけで構いません。
Q. 労働組合の意見聴取は必要ですか?
A. キャリアアップ計画の作成にあたっては、労働組合等の意見を聴いて作成することとされています(厚生労働省の案内より)。労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者の意見を聴いてください。
申請書類と支給申請
計画書提出後の申請書類・電子申請の詳細は キャリアアップ助成金の申請方法と必要書類 をご覧ください。
キャリアアップ助成金の全体像は キャリアアップ助成金ガイド をご参照ください。
まとめ
キャリアアップ計画書は、キャリアアップ助成金の「入り口」です。この計画書を取組み前日までに提出しておかないと、どれだけ丁寧に正社員化を行っても助成金はもらえません。
逆に言えば、計画書さえしっかり出しておけば、あとは取組みと書類準備を進めるだけです。
準備のポイントをまとめます。
- 様式は厚生労働省の公式サイトから令和8年度版をダウンロードする
- 計画期間は3〜5年で設定する
- 取組みの実施予定と整合した内容を書く
- 取組み実施の前日までに管轄の都道府県労働局に届け出る
社会保険労務士に依頼すると、計画書の作成から支給申請まで一括してサポートを受けられます。初めて申請する場合は専門家の力を借りることも検討してみてください。