業務改善助成金の申請方法と手順|必要書類・記入例・提出先

目次

業務改善助成金の申請方法と手順

業務改善助成金を受け取るには、設備を購入する前に交付申請をする必要があります。「良い機械を見つけて買った後で申請しよう」では遅い——これが一番よくある失敗です。

申請から支給までの全体像と、各ステップで何をするかを順番に解説します。


申請の全体フロー

業務改善助成金の申請は「事前申請→設備導入→事後報告」の順番で進みます。

Step 1: 事業計画を立てる

  • 引き上げる賃金額(コース)を決める
  • 導入する設備・システムを選ぶ
  • 費用の見積書を取得する

Step 2: 交付申請書を提出する

  • 申請書(様式第1号)に必要事項を記入
  • 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に提出
  • またはjGrants(電子申請システム)から提出

Step 3: 交付決定を受ける

  • 労働局が申請内容を審査
  • 交付決定通知書が届く
  • 交付決定後に設備の購入・契約をすること (決定前の購入は対象外)

Step 4: 計画どおりに事業を実施する

  • 設備投資を実施する
  • 就業規則を改定して最低賃金を引き上げる
  • 事業完了期限(原則として交付決定の属する年度の1月31日)までに完了する

Step 5: 事業実績報告書を提出する

  • 様式第9号「事業実績報告書」を記入
  • 領収書・就業規則の写し等を添付
  • 管轄の労働局に提出

Step 6: 支給申請書を提出する

  • 様式第10号「支給申請書」を提出
  • 審査を経て助成金が銀行口座に振り込まれる

必要書類のチェックリスト

交付申請時の必要書類

書類内容
交付申請書(様式第1号)氏名・事業場情報・事業計画を記入
事業場内最低賃金の確認書類賃金台帳・タイムカード等のコピー
設備・システムの見積書導入予定の設備の費用が確認できるもの
会社の規模確認書類登記簿謄本または確定申告書のコピー
就業規則の写し現行の就業規則(雇用する労働者が10名以上の場合)

事業実績報告時の追加書類

書類内容
事業実績報告書(様式第9号)設備投資と賃上げの実績を記入
設備・システムの領収書・請求書実際に支払った費用の証明
就業規則の改定版(写し)賃金引き上げを反映した就業規則
引き上げ後の賃金台帳新しい賃金での支払いが確認できる書類
出勤簿・タイムカード該当期間のもの

特例事業者(物価高騰等要件)の申請には、「物価高騰等要件に係る事業活動の状況に関する申出書」の追加提出が必要です。


申請書の書き方と記入例

様式第1号「交付申請書」の主な記入項目

事業場情報

  • 事業場の名称・所在地・電話番号
  • 業種・常時使用労働者数

賃金引き上げ計画

  • 申請するコース(30円・45円・60円・90円のいずれか)
  • 引き上げ前の事業場内最低賃金
  • 引き上げ後の事業場内最低賃金
  • 引き上げる労働者数

設備投資計画

  • 導入する設備・システムの名称
  • 導入の目的(どのような生産性向上につながるか)
  • 費用の見積金額
  • 導入予定時期

記入のポイント

設備投資の「目的」欄は、「生産性向上・労働能率の増進にどう資するか」を具体的に書くことが重要です。

  • NG: 「業務効率化のため」(抽象的)
  • OK: 「受発注業務のデジタル化により、受注処理時間を1件あたり15分から3分に短縮し、同じ人員でより多くの受注に対応できるようにする」(具体的)

厚生労働省の公式サイトには「申請書等の記入例」が公開されています。記入例を参考にしながら、自社の状況に合わせて記入してください。


jGrantsを使った電子申請の流れ

jGrantsを使った電子申請も可能です。紙の申請と同じ内容を入力する形式で、郵送の手間が省けます。

jGrants申請に必要なもの

  • GビズIDプライム (必須)— 取得には数週間かかるため早めに準備を
  • jGrantsのアカウント(GビズIDでログイン)

注意点

jGrantsからの通知メールが届かない不具合が報告されています(厚生労働省公式アナウンス)。jGrantsで申請した後は、マイページにある「交付決定通知書」の確認画面を直接チェックしてください。


申請期限と事業完了期限

交付申請の締め切り

業務改善助成金は毎年度、受付期間が設定されます。令和7年度(2025年度)の申請受付は2026年3月31日に終了しました。令和8年度(2026年度)の受付開始は厚生労働省の公式サイトでお知らせされます。

事業完了期限

設備の導入・支払い・賃金引き上げの全てを「交付決定の属する年度の1月31日」までに完了させる必要があります。

具体的には、以下の3つが全て1月31日以内に済んでいること。

  • 設備・機械等の納品完了
  • 設備・機械等の支払い完了(銀行振込の場合は振込日、クレジットカードは口座引き落とし日)
  • 就業規則の改定(賃金引き上げの実施)

やむを得ない理由(半導体不足による納品遅延等)がある場合は、事前に理由書を提出することで3月31日まで延長できます。期限を過ぎると交付が取り消される可能性があるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。


申請が通らない(不交付になる)よくある理由

申請書を出せば必ず支給されるわけではありません。不交付になる主な原因を確認しておきましょう。

不交付の理由対策
事業場内最低賃金が対象外申請前に地域別最低賃金との差額を確認
設備が生産性向上に繋がらないと判断された申請書で具体的な生産性向上の根拠を記載
交付決定前に設備を購入した必ず交付決定後に発注・購入する
事業完了期限を過ぎた余裕を持ったスケジュールで進める
解雇や賃金引き下げがあった申請期間中は不交付事由に注意
書類の不備・記入漏れチェックリストで確認後に提出

Q&A — 申請でよくある疑問

Q. 見積もりは何社分必要ですか?

公式には複数の見積もり取得が義務付けられているわけではありませんが、高額な設備の場合は複数社の見積もりを取得し、価格の妥当性を示す準備をしておくと安心です。

Q. 申請書の様式はどこで入手できますか?

厚生労働省の公式サイト(業務改善助成金のページ)から無料でダウンロードできます。毎年度更新されるため、必ず最新の様式を使用してください。

Q. 事業場が複数ある場合、まとめて申請できますか?

事業場ごとに申請が必要です。1つの事業場につき1回の申請となります。複数の事業場で申請する場合は、それぞれの事業場で別々に申請手続きを行ってください。

Q. 設備投資の一部を割賦払い(ローン)で支払う場合は対象になりますか?

原則として、助成対象となるのは事業完了期限(1月31日)までに支払いが完了した分のみです。割賦払いは完済前の段階では支払い完了と見なされないため、注意が必要です。詳しくは管轄の労働局にご確認ください。


申請の第一歩は、管轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)への相談です。「こういう設備を導入したいのですが申請できますか?」と事前に確認してから書類を準備すると、手戻りが少なくなります。

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