個人事業主でも業務改善助成金は使える?条件と注意点

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個人事業主でも業務改善助成金は使える?条件と注意点

「個人事業主だから助成金は使えないのでは?」と思って調べるのをやめてしまう方が多いのですが、業務改善助成金は個人事業主も申請できます。ただし、重要な条件が1つあります。


結論:個人事業主でも申請できる

業務改善助成金は、法人・個人事業主を問わず申請できます。ただし 雇用している従業員がいること が必要です(事業場内の最低賃金を引き上げる制度であるため)。

業務改善助成金は「事業場内の最低賃金を引き上げる」ことが前提の制度です。従業員がいない個人事業主(いわゆる一人親方、ソロ経営者)は、引き上げる「事業場内最低賃金」が存在しないため、対象外となります。

個人事業主の状況申請可否
従業員を1人でも雇用している申請できる
従業員がいない(一人親方)申請できない
家族のみを雇用している状況による(要確認)

家族を雇用しているケースは、その家族が労働基準法上の「労働者」に該当するかどうかで判断が変わります。詳しくは管轄の労働局に確認してください。


個人事業主が申請する際の対象事業者要件

中小企業・小規模事業者の要件は、個人事業主でも法人と同様に業種ごとの資本金または労働者数で判定されます。個人事業主の場合は資本金がないため、実質的に「常時使用する労働者数」で判定されます。

業種常時使用労働者数の上限
小売業50人以下
サービス業100人以下
卸売業100人以下
製造業・その他300人以下

個人事業主のほとんどは従業員数が少なく、この要件を満たしていることが多いです。


事業場内最低賃金の確認方法

個人事業主が申請するにあたり、まず確認すべきことは「自分の事業場内最低賃金がいくらか」です。

事業場内最低賃金の計算ステップ

  1. 雇用している従業員全員の時間給を確認する(日給・月給の場合は時間給に換算)
  2. その中で最も低い時間給を確認する
  3. ただし「雇入れ後6か月を経過していない従業員」は除いて計算する

例えば、飲食店を営む個人事業主Aさんが3人のアルバイトを雇っている場合:

  • アルバイトB: 時給1,050円(雇用1年)
  • アルバイトC: 時給1,000円(雇用8か月)
  • アルバイトD: 時給950円(雇用3か月)← 6か月未経過のため除外

この場合の事業場内最低賃金はアルバイトCの1,000円です。地域別最低賃金が980円であれば差額20円。業務改善助成金の要件(差額50円以内)を満たしています。


個人事業主に向いているコース

個人事業主の事業場は従業員数が少ないことが多いため、少人数向けのコースでも十分な助成が受けられます。

少人数(1〜2人)でも受けられる上限額

コース1〜2人の上限額
30円コース60万円
45円コース80万円
60円コース110万円
90円コース170万円

事業場規模が30人未満(個人事業主の多くが該当)の場合は、さらに上限額が拡大されます。

個人事業主の活用事例

事例: 美容室 (個人事業主、スタッフ2人)

アシスタント2人の時給を60円引き上げて(60円コース)、シャンプー台(80万円)と頭皮ケア機器(40万円)を購入。合計120万円の設備投資に対して、事業場内最低賃金920円(助成率9/10)で計算すると108万円。60円コース・1〜2人の上限額110万円を下回るため、108万円が全額助成されました。


個人事業主の申請で注意すべきポイント

就業規則の提出

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・届出が義務です。10人未満の個人事業主は就業規則がないケースもありますが、申請時に賃金引き上げを就業規則や労働条件通知書等で明確にしておく必要があります。

確定申告書の準備

個人事業主は法人の登記簿謄本の代わりに、確定申告書(青色申告書等)のコピーを提出します。事業規模や業種の確認に使われます。

家族従業員の扱い

配偶者や親族を雇用している場合、その家族が「労働者」として認められるかどうかによって、事業場内最低賃金の計算に含まれるかが変わります。家族従業員については、実態として労働者性があるかどうかを労働局に事前確認することをおすすめします。


申請の相談窓口

個人事業主の場合、申請に慣れていないことが多いため、最初から窓口に相談することをおすすめします。

相談先

  • 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室): 申請に関する個別相談
  • 労働基準監督署: 最低賃金や就業規則に関する相談
  • 商工会・商工会議所: 申請書類の作成サポートを行っている場合がある

申請書の記入が難しいと感じたら、社会保険労務士に相談する方法もあります。申請代行を依頼した場合の費用は、助成金の対象経費にはなりませんが、確実に手続きを進めるための選択肢として検討できます。


よくある質問

Q. 週3日のパートを1人だけ雇っています。申請できますか?

週3日のパートであっても、「雇用契約書を締結して賃金を支払っている労働者」であれば申請の対象です。ただし、雇入れ後6か月を経過していることが必要です。

Q. 開業したばかりで従業員を雇って3か月です。申請できますか?

雇入れ後6か月未経過の従業員のみの場合、現時点では事業場内最低賃金の引き上げ対象となる労働者がいないため、申請が困難です。6か月経過後に改めて検討してください。

Q. 個人事業主でも電子申請(jGrants)を使えますか?

はい。jGrantsは法人・個人を問わず利用できます。ただし、利用にはGビズIDプライムの取得が必要です。GビズIDの申請は個人事業主も可能です。


個人事業主の申請ステップまとめ

初めて申請する個人事業主向けに、全体の流れを改めて整理します。

Step 1: 要件確認 (申請前)

  • 自社の事業場内最低賃金を計算する(雇入れ6か月以上の従業員の最低時間給)
  • 地域別最低賃金との差額が50円以内であることを確認する
  • 解雇や賃金引き下げなど不交付事由がないことを確認する

Step 2: 設備投資の計画を立てる

  • 導入したい設備・システムを選ぶ
  • 複数の業者から見積書を取得する
  • 「どのように生産性向上に役立つか」を言語化しておく

Step 3: 賃上げコースを決める

  • 引き上げる賃金額(30円・45円・60円・90円)と従業員数から助成上限額を確認する
  • 設備投資費用と助成率を掛け合わせた金額と比較して、最も有利なコースを選ぶ

Step 4: 交付申請書を提出する

  • 厚生労働省公式サイトから最新の申請様式をダウンロード
  • 記入例を参考にしながら申請書を作成
  • 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に郵送または持参、またはjGrantsで電子申請

Step 5: 交付決定後に実施する

  • 交付決定通知書が届いてから設備を発注・購入する(決定前の購入は対象外)
  • 就業規則または労働条件通知書を改定して賃金引き上げを実施
  • 事業完了期限(原則1月31日)までに全て完了させる

Step 6: 事業実績報告・支給申請

  • 実績報告書・領収書・就業規則改定版・賃金台帳等を労働局に提出
  • 審査完了後に指定口座に助成金が振り込まれる

個人事業主の場合、一人でこの手順を進めるのが負担に感じることがあります。商工会や商工会議所の経営指導員に相談すると、書類作成のサポートを受けられる場合があります。


従業員を1人でも雇っている個人事業主であれば、業務改善助成金を活用できる可能性は十分あります。まずは自分の事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額を確認して、要件を満たしているかチェックするところから始めましょう。

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