高等職業訓練促進給付金とは?ひとり親が資格取得中に毎月最大14万円を受け取る方法
目次
この給付金、あなたに当てはまりますか?
看護師になりたい。介護福祉士の資格を取りたい。でも学校に通いながら生活費をどう賄えばいい——。
そんなひとり親の悩みに直接応えてくれるのが、高等職業訓練促進給付金です。養成機関で学ぶ期間中、毎月最大14万円(非課税世帯・最終学年)が支給され、資格取得後には修了支援給付金5万円も受け取れます。
まず、あなたの状況を確認してください。
- 「どんな資格が対象か知りたい」 → 対象資格一覧セクションへ
- 「いくらもらえるか知りたい」 → 受給額セクションへ
- 「働きながら通えるか気になる」 → 働きながら資格取得セクションへ
- 「自分が対象かどうか確認したい」 → 受給要件セクションへ
- 「とにかく申請したい」 → 申請方法セクションへ
高等職業訓練促進給付金とは
ひとり親家庭の親が、就職に有利な資格の取得を目指して養成機関(専門学校・大学など)で修業する期間の生活費を支援する制度です。
所管はこども家庭庁と各都道府県・市区町村。国が制度の枠組みを決め、住んでいる自治体の窓口を通じて申請・受給します。
なぜこの制度が重要か
資格取得には数年かかるものが多い。看護師なら3年、介護福祉士なら2〜3年。その間、学費だけでなく生活費も必要です。ひとり親で子どもを養いながら学校に通うのは、資金面で本当に難しい。
この給付金は「資格を取りたいが生活費が心配」というひとり親の課題を、毎月の給付で直接解決します。返済不要の給付金なので、奨学金ローンのように将来の負担になりません。
受給できる金額はいくら? {#kingaku}
給付額は住民税の課税状況によって異なります。同じ制度でも、世帯の課税状況で月5〜7万円ほど差があります。
高等職業訓練促進給付金(修業中に毎月支給)
| 課税状況 | 通常期(月額) | 最後の12ヶ月(月額) |
|---|---|---|
| 住民税非課税世帯 | 10万円 | 14万円 |
| 住民税課税世帯 | 7万500円 | 11万500円 |
最後の1年間は4万円が増額されます。 たとえば3年制の看護学校に通う場合、3年目の12ヶ月は通常より4万円多く受け取れます。
高等職業訓練修了支援給付金(修了後に一括支給)
| 課税状況 | 支給額 |
|---|---|
| 住民税非課税世帯 | 5万円 |
| 住民税課税世帯 | 2万5,000円 |
修了した翌日以降に申請して受け取ります。修業中の給付金とは別に、修了の「ご褒美」的に一括で支給されます。
具体的にシミュレーションしてみると
例1:看護専門学校(3年制)に通う非課税世帯のひとり親の場合
- 1〜2年目(24ヶ月): 月10万円 × 24 = 240万円
- 3年目(12ヶ月): 月14万円 × 12 = 168万円
- 修了支援給付金: 5万円
- 合計: 413万円
3年間で413万円。月平均約11.5万円の生活支援が受けられる計算になります。
例2:介護福祉士の専門学校(2年制)に通う課税世帯のひとり親の場合
- 1年目(12ヶ月): 月7万500円 × 12 = 84万6,000円
- 2年目(12ヶ月): 月11万500円 × 12 = 132万6,000円
- 修了支援給付金: 2万5,000円
- 合計: 219万7,000円
2年間で約220万円。課税世帯でも、学校に通いながら相当の生活支援が受けられます。
支給期間の上限は 48ヶ月 (4年)です。5年制や4年超の修業期間の場合も、最大48ヶ月まで受給できます。
対象資格一覧 — どの資格が使える? {#taisho-shikaku}
高等職業訓練促進給付金の対象資格は「就職の際に有利となる資格で、養成機関において6ヶ月以上修業するもの」と定められています。
詳細な資格リストと「自分の目指す資格が対象かどうか確認する方法」は、専用の解説ページでまとめています。
→ 高等職業訓練促進給付金の対象資格一覧|確認方法と申請前にすべきこと
主な対象資格(代表例)
医療・福祉系(国家資格)
- 看護師・准看護師
- 介護福祉士
- 保育士
- 理学療法士・作業療法士
- 助産師・保健師
- 歯科衛生士
- 社会福祉士
調理・製菓系(国家資格)
- 調理師
- 製菓衛生師
デジタル・IT系(民間資格)
- シスコシステムズ認定資格
- LPI認定資格
- その他、厚生労働省が指定する「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」の対象講座で取得できる資格
ポイント: 国家資格だけでなく、雇用保険の教育訓練給付対象として指定されているIT・デジタル系の民間資格も対象になります。資格の種類は自治体によって若干異なるため、申請前に必ず窓口に確認してください。
「うちの市は違う資格も対象」ということがある
この制度は国の基準を踏まえつつ、各自治体が「市長・知事が認める資格」を独自に追加できます。大阪市の例では「市長が市の実情に応じて認める資格」という条項があります。
お住まいの市区町村が独自に対象を広げている可能性があるため、公式サイトや窓口での確認が不可欠です。
働きながら資格を取れる? {#hatarakiながら}
「高等職業訓練促進給付金 働きながら」という検索が多い(月720件)のは、それだけ多くのひとり親が「仕事を続けながら学校に通えるのか?」と悩んでいるからです。
原則:「就業と修業の両立が困難」が受給条件
受給要件の一つに「仕事または育児と修業の両立が困難であると認められる方」があります。
つまり「フルタイムで働きながら学校にも通い、給付金も受け取る」というのは、制度の趣旨から外れます。ただし完全に働けないわけではなく、「両立が困難な程度の就労状況」であれば認められる場合があります。
アルバイト・パートはどう扱われる?
仙台市や大阪市など多くの自治体では、修業と並行した軽微なアルバイトは禁止していません。ただし「就業と修業の両立が困難か」の判断は窓口での審査によります。
実際の判断基準(自治体の窓口確認事項)
- 就労時間が週何時間か
- 修業(授業・実習)との時間的な両立ができているか
- 収入が児童扶養手当の所得要件を超えないか
働きながら通うことを検討している場合は、事前相談で具体的な状況を伝えることが重要です。 「○曜日は○時まで授業がある」「週○時間のアルバイトをしている」という具体的な情報を持参してください。
通信制・夜間コースは使える?
養成機関が通信制・夜間課程の場合でも、6ヶ月以上のカリキュラムで対象資格の取得が見込まれれば対象になり得ます。ただし「就業と修業の両立が困難」の要件を満たすかどうかが審査されます。
通信制の保育士養成課程、夜間の看護学校など、日中働きながら通える学校を選ぶ場合は、事前に窓口に相談して受給可能かを確認してください。
受給要件(自分が対象かチェック) {#yoken}
以下の3つの要件をすべて満たすひとり親が対象です。
要件1:ひとり親で20歳未満の子を養育している
「ひとり親」の範囲は:
- 離婚して現に婚姻していない方
- 配偶者の生死が明らかでない方
- 配偶者から遺棄されている方
- 配偶者が精神・身体の障害により長期にわたって労働能力を失っている方
- 未婚の母・父
シングルマザーだけでなく、シングルファザーも対象です。男性のひとり親も申請できます。
要件2:所得が児童扶養手当と同等の水準にある
児童扶養手当を受給している方、または同等の所得水準の方が対象です。
所得の目安(子ども1人の場合):年間収入が385万円未満。
ただし、受給中に所得がこの水準を超えた場合でも、1年間は引き続き受給できます。収入増加を理由にすぐ打ち切られるわけではありません。
要件3:養成機関で6ヶ月以上修業する
対象資格を取得するために、6ヶ月以上のカリキュラムを修業する養成機関に在籍していることが必要です。
短期の資格取得講座(3ヶ月など)は対象外です。看護師(3年)、介護福祉士(2年)、保育士(2〜3年)など、年単位で通う養成機関が対象の中心となります。
注意:過去に受給歴がある場合
過去にこの給付金(旧制度名「母子家庭高等技能訓練促進費」「ひとり親家庭高等技能訓練促進費」を含む)を受給した経験がある場合、原則として再受給はできません。
申請方法と手順 {#apply}
ステップ1:事前相談(必須)
申請には事前相談が必ず必要です。窓口に予約なしで行っても申請できない場合があるため、まず電話で事前相談の予約をしてください。
相談先: お住まいの市区町村の子育て支援課・こども家庭センター・福祉事務所など(窓口名は自治体によって異なります)
事前相談では以下を確認されます:
- 資格取得への意欲・計画
- 入学予定の養成機関と資格名
- 現在の収入・就業状況
- 子どもの状況
相談の結果、「受給の必要性あり」と認められて初めて申請に進めます。
ステップ2:必要書類の準備
主な必要書類(自治体によって異なる場合があります):
- 高等職業訓練促進給付金支給申請書
- 児童扶養手当証書の写し(または所得証明書・戸籍謄本・住民票)
- 養成機関が発行する在籍証明書
- 単位取得証明書・年間カリキュラムの分かる書類
- マイナンバーカードまたは番号確認書類
- 本人確認書類(運転免許証等)
ステップ3:窓口で申請
書類が揃ったら、お住まいの市区町村の窓口で申請します。受講開始前の申請が基本ですが、在学中でも申請できる場合があります(ただし在学月から遡っての支給はできないため、早めの申請が重要)。
ステップ4:受給開始・定期報告
審査が通ると、申請月から給付が始まります。受給中は定期的に在籍状況の報告(出席状況証明書の提出など)が求められます。自治体の指示に従って適切に報告してください。
ステップ5:修了後に修了支援給付金を申請
養成機関の課程を修了したら、修了日の翌日以降に高等職業訓練修了支援給付金を別途申請します。修了時の証書・成績証明書が必要です。
よくある質問
Q. 看護学校に通いながらこの給付金はもらえますか?
A. 対象です。看護師・准看護師は代表的な対象資格です。ただし「就業または育児と修業の両立が困難」という要件の審査があります。事前に窓口に相談してください。
Q. 保育士の養成校に通う場合も対象ですか?
A. 保育士も代表的な対象資格の一つです。2〜3年制の保育士養成校が対象の典型例です。
Q. 社会福祉士の養成校も対象になりますか?
A. 多くの自治体で対象に含まれています。ただし大阪市のように「専門実践教育訓練給付に指定されている資格」の枠で対象とするケースもあります。お住まいの自治体に確認してください。
Q. 支給日(振込日)はいつですか?
A. 自治体によって異なります。多くの場合、四半期ごとに在籍証明書等を提出し、確認後に翌月支払いというパターンが多いですが、毎月払いの自治体もあります。具体的な支給日は申請先の窓口に確認してください。
Q. アルバイトをしながら受給できますか?
A. 「就業と修業の両立が困難」という要件があるため、フルタイム就業との兼用は難しいですが、軽微なアルバイトなら認められる場合があります。具体的な就労時間・収入状況を事前相談で伝えて確認してください。
Q. 生活保護を受給中でも使えますか?
A. 生活保護受給中の場合は、担当のケースワーカーとの相談が必要です。申請書類に「ひとり親家庭自立支援給付金利用連絡票」がケースワーカーの署名付きで必要な自治体もあります。
Q. 通信制の学校でも対象になりますか?
A. 通信制の養成機関も対象になり得ます。ただし6ヶ月以上の修業と「就業との両立が困難」の判断が必要なため、事前相談で確認が必須です。
Q. 非課税世帯かどうかはどうやって確認しますか?
A. 住民税の課税状況は、前年の所得に基づいて決まります。「住民税非課税世帯」かどうかは市区町村の税務課で確認できます。給付金申請時に、自治体が職権で確認するケースもあります。
Q. シングルマザーではなくシングルファザーでも使えますか?
A. 使えます。「ひとり親家庭の母または父」が対象のため、父子家庭の父も申請できます。
関連する給付金・支援制度
高等職業訓練促進給付金と組み合わせて活用できる制度があります。
高等職業訓練促進資金貸付
高等職業訓練促進給付金を活用して養成機関に在学するひとり親向けに、入学準備金(最大50万円)を貸し付ける制度です。資格を活かして5年間就労継続すると償還免除になります。給付金と合わせて申請を検討してください。
専門実践教育訓練給付金
雇用保険の被保険者(または離職後1年以内)であれば、訓練費用の最大70%が支給されます。高等職業訓練促進給付金は「生活費支援」、専門実践教育訓練給付金は「学費支援」として、両方を組み合わせて使える場合があります。
住居確保給付金
失業や収入減少で家賃が払えなくなったひとり親家庭向けに、最大9ヶ月間の家賃を支援する制度です。学校に通いながら就業が困難な期間の住居費の安定に役立てられる場合があります。
子育て支援の給付金を探す
お住まいの地域の子育て支援給付金を一覧で確認できます。
まず最初の一歩を踏み出すために
制度の全体像はわかった。次は具体的に動くことが大事です。
今すぐできること:
- 目指す資格が対象かを確認する → 対象資格一覧ページで確認
- 住んでいる市区町村の窓口に電話して、事前相談の予約を入れる
- 入学予定の養成機関のパンフレット・カリキュラム表を準備する
資格取得という大きな目標に向けて、生活費の不安を軽減する制度がある。「どうせ使えないだろう」と思わずに、まず窓口に電話してみてください。事前相談は無料で、申請の義務も生じません。
一歩踏み出す勇気を、この制度はサポートしてくれます。