住居確保給付金とは?家賃を自治体が代わりに払ってくれる制度の使い方

目次

住居確保給付金とは——仕事を失った方の家賃を自治体が直接払ってくれる制度

「仕事を辞めたばかりで、来月の家賃が払えるか不安」「リストラで収入がなくなった。でも生活保護は受けたくない」そんな状況にある方に知ってほしい制度があります。

住居確保給付金は、離職や廃業、収入の急減で住む場所を失いそうな方に対して、自治体が家主へ家賃を直接支払ってくれる制度です。生活困窮者自立支援法に基づく国の制度で、全国の自立相談支援機関で申請できます。

「生活保護は敷居が高い」と感じる方でも、この給付金は「住まいを守りながら再就職に向けて動く」という局面で使えます。支援期間は原則3か月、延長を含めると最大9か月。その間に次の仕事を見つける時間的余裕を確保できます。

あなたがどの状況に当てはまるか、まず確認しましょう。

  • 会社を辞めて2年以内。収入がなく家賃の支払いが心配」 → 対象者の要件をチェック(次のセクション)
  • 今すぐ申請したい。必要書類は何?」 → 申請方法の詳細は住居確保給付金の申請方法と必要書類
  • 自分の市区町村でいくらもらえる?」 → 支給額の計算方法をこのページで解説します

住居確保給付金の対象者——「このケースは使える?」を確認する

基本的な対象要件

住居確保給付金を受け取るには、次の4つの要件を全て満たす必要があります。

要件1: 雇用状況の要件

主たる生計維持者(世帯の中心となって収入を得ている人)が、次のいずれかに当てはまること。

  • 離職・廃業後2年以内である
  • 個人の責任や都合によらず、給与等を得る機会が離職・廃業と同程度まで減少している(いわゆる「実質的な失業状態」)

要件2: 収入要件

直近の月の世帯収入合計額が、次の計算式を超えないこと。

基準額(市町村民税の均等割が非課税となる額の1/12) + 家賃の上限額

基準額の目安は以下の通りです(2026年度。世帯人数によって異なります)。

世帯人数基準額(月額)の目安
1人約8〜9万円
2人約12〜13万円
3人約16〜17万円
4人以上さらに加算

正確な金額はお住まいの市区町村によって異なります。申請先の自立相談支援機関に確認してください。

要件3: 預貯金要件

世帯の預貯金合計額が、基準額の6か月分(ただし100万円を超えない)以下であること。

例: 基準額が月8万円の世帯の場合、48万円以下が基本的な上限になります。

要件4: 求職活動要件

  • ハローワーク等に求職の申込みをし、誠実かつ熱心に求職活動を行うこと
  • 具体的には: 自立相談支援機関の面接(月4回以上)、ハローワークへの求職申込と職業相談(月2回以上)、企業等への応募(週1回以上)

自営業者の場合は、ハローワークへの求職申込に代えて事業再生のための活動が認められる場合もあります。

「自分のケースはどうなる?」具体的なシナリオ

ケース1: 正社員を退職して6か月の方

夫婦2人世帯、月収なし。退職後まだ2年以内なので雇用状況の要件を満たします。収入要件・預貯金要件を確認し、ハローワークで求職申込みを済ませれば申請可能です。

ケース2: フリーランスで仕事が激減した方

「個人の責任・都合によらず」収入が激減しているなら、離職と同程度の減少として認められます。シフト削減や取引先の喪失など、客観的に示せる書類(シフト表、取引先からの連絡など)があると審査がスムーズです。

ケース3: 自営業を廃業した方

廃業届を提出してから2年以内なら対象になります。ハローワークへの求職申込に代えて「事業再生のための活動」が認められる場合もあります。申請窓口で確認してください。

次のセクションでは、実際にいくら支給されるのかを解説します。


住居確保給付金の支給額——いくらもらえる?

支給額は住んでいる市区町村と世帯人数によって異なります。上限は生活保護制度の住宅扶助額が基準です。

支給額の計算式

世帯収入額が基準額以下の場合 → 実際の家賃額を支給(ただし住宅扶助額が上限)

世帯収入額が基準額を超える場合 → 基準額+家賃額-世帯収入額 を支給

具体例: 東京都23区内の単身世帯(月収なし)の場合

東京23区の生活保護住宅扶助額(単身)は5万3,700円。月収がゼロなら実際の家賃額(最大5万3,700円)が自治体から家主へ直接支払われます。手元現金は不要です。

具体例: 大阪市の2人世帯(月収4万円)の場合

大阪市の住宅扶助額(2人)は約6万4,000円。基準額が仮に月12万円なら、収入要件を満たせば家賃額が支給されます。

重要なのは、給付金は家主へ直接支払われるという点です。手元にお金が来るわけではなく、家賃の支払いが自動的に保証される仕組みです。


住居確保給付金の申請方法と流れ

申請の基本的な流れを解説します。詳しい必要書類・記入手順は住居確保給付金の申請方法と必要書類で解説しています。

Step 1: 最寄りの自立相談支援機関に相談・申請

全国906か所(令和7年4月時点:1,372箇所)の福祉事務所設置自治体に設置されています。市区町村の窓口や社会福祉協議会に問い合わせると場所を教えてもらえます。

Step 2: 審査・認定

提出した書類をもとに収入・預貯金・雇用状況が審査されます。

Step 3: 家主・不動産業者への直接支払い

認定されると、家賃が自治体から家主や不動産仲介業者へ直接支払われます。申請者本人が立て替える必要はありません。

Step 4: 給付期間中の活動義務

支給期間中は求職活動(ハローワーク相談、企業応募)を継続する義務があります。月の面接・応募件数を記録しておきましょう。

支給期間と延長

  • 原則: 3か月間
  • 延長: 2回まで(最大9か月)

延長には改めて認定審査があります。収入・預貯金の状況と求職活動の実績が確認されます。


よくある質問

Q: 生活保護を受けていても申請できますか?

住居確保給付金は生活保護の住宅扶助とは別の制度ですが、両方を同時に受給することは基本的にできません。生活保護を受給している場合は担当のケースワーカーに相談してください。

Q: 敷金・礼金・共益費は支給対象になりますか?

原則として家賃のみが対象です。敷金・礼金・共益費・駐車場代は支給対象外です。ただし、別制度(転居費用補助)として支援している自治体もあります(住居確保給付金(転居費用補助)を参照)。

Q: 外国籍の方でも申請できますか?

在留資格があり、日本に住所を有する場合は申請できます。申請窓口で確認してください。

Q: 自営業者・フリーランスでも対象になりますか?

対象になります。「個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が減少している」場合は、雇用された方と同様に申請できます。廃業した場合は廃業届等の書類が必要です。

Q: 大阪市・名古屋市など大都市ではどこで申請できますか?

各市区町村の自立相談支援機関で受け付けています。大阪市・名古屋市など大都市では区ごとに窓口が設置されていることが多いです。お住まいの区の役所や社会福祉協議会に問い合わせてください。各自治体の詳細は各ページをご覧ください(住居確保給付金(大阪市)住居確保給付金(神戸市)など)。


住居確保給付金が受け取れない場合に知っておきたい支援制度

住居確保給付金の要件に当てはまらない場合や、それだけでは不足する場合に活用できる制度も紹介します。

  • 生活困窮者自立支援制度の就労支援: 住居確保給付金の申請窓口(自立相談支援機関)で同時に相談できます
  • 緊急小口資金・総合支援資金: 社会福祉協議会が窓口の生活資金貸付制度
  • 育児休業給付金: 育休中の収入補填(子育て中の方向け)

まず「自立相談支援機関」に電話することから始めましょう

住居確保給付金は「持続化補助金」や「IT導入補助金」のように複雑な申請書類を自分で用意する制度ではありません。窓口のスタッフが一緒に書類を確認してくれます。

まず、お住まいの市区町村の「生活困窮者自立相談支援機関」に電話してみてください。多くの場合、役所の「生活福祉課」「生活支援課」などが窓口です。

詳しい必要書類と申請手順は住居確保給付金の申請方法と必要書類で解説しています。

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