室谷さん、今回はNEDOが公募している「水循環(水資源有効利用)に係る俯瞰調査」という案件について教えていただけますか?ちょっと聞き慣れない言葉が多くて……
ほんとですね!(笑)。まず「NEDO」というのは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のことで、経済産業省所管の最大の公的研究機関です。補助金や委託事業を通じて日本の技術開発を牽引している組織ですよ。
特定の技術を開発するのではなく、水資源有効利用に関する国内外の政策・市場・技術動向を「鳥の目」で全体像を把握する調査です。NEDOが今後どの分野に研究開発投資をするべきかを決めるための基礎情報を作る、非常に重要な役割を担います。
なるほど、NEDOの羅針盤を作るようなお仕事なんですね!
まさにそういう表現がピッタリです!(笑)。調査成果は「Innovation Outlook」と呼ばれるNEDOの公式レポートにも反映される可能性があって、日本の水資源技術政策に直接影響を与える仕事なんです。
ちょっと待って、それってすごくないですか?一民間機関が政策形成に関わるということ?
すごいでしょう!(笑)。だからこそ、採択される機関には相当高い専門性と調査能力が求められます。次のセクションで詳しく見ていきましょう。
水循環俯瞰調査の流れ
仕様書を読むと、5つの大きな調査項目があります。①政策動向調査、②新たに取り組むべき領域の候補選定、③各領域の市場・技術動向調査、④日本が取り組むべき技術開発の方向性の特定、⑤導入促進に向けた広報コンテンツの作成です。
そうなんです!しかも英語版の事例集も作成する必要があります。技術調査だけでなく、その成果を社会に届ける発信力まで求められる総合的な仕事です。
仕様書を見ると、かなり幅広いです。水処理・水再利用の古典的な領域に加えて、グリーン水素製造における水の活用、半導体製造での超純水技術、宇宙活動・陸上養殖での新たな水循環システムまで含まれます。
ですよね(笑)。脱炭素のためのグリーン水素生産にも水が大量に必要ですし、半導体工場では超純水が製造の鍵を握っています。2050年には世界の水需要が55%増加するという試算もあるほど、水資源は戦略物資になっていますよ。
OECD(経済協力開発機構)の報告書「Environmental Outlook to 2050」に記載されている数字です。製造業、火力発電、生活用水の需要増が主な要因とされています。日本も水循環分野での技術優位性を確立する必要があるということで、NEDOが本腰を入れているわけです。
最終的には「日本が取り組むべき技術開発の方向性」を明らかにします。その際、「将来性(成長性・社会課題)」「技術・アイディアの革新性」「日本の優位性」「民間のみで取り組む困難性」「重要経済安保技術」という5つの観点から評価するよう仕様書で指定されています。
経済安保まで入っているんですね。水が国家安全保障に直結するということか……。では次に、誰が応募できるのか確認させてください。
応募資格チェックリスト
公募要領によると、対象は「企業(団体等を含む)、大学等」とあります。ただし実質的には、水循環・水資源分野の調査実績を持つシンクタンク、コンサルティング会社、大学研究室、専門調査機関が主な対象になりますね。
資格要件としては「当該技術又は関連技術の調査実績を有し、かつ調査目標達成及び調査計画遂行に必要となる組織・人員等を有していること」と定められています。水関連機器のメーカーでも、調査能力と体制があれば応募できますよ。
できます!複数の機関で受託を希望する場合も応募可能です。ただし国立研究開発法人が応募する場合、民間企業への再委託は原則認められないという制限があります。大学や企業のジョイントチームなら問題なく共同提案できますよ。
Jグランツでの申請にはGビズIDの「プライムアカウント」または「メンバーアカウント」が必要です。GビズIDの取得には2週間以上かかる場合があるため、まだ取得していない組織は今すぐ手続きを開始してください。
その通りです。取得に2週間以上かかることもあるので、応募を検討している機関は今すぐGビズIDの登録手続きを開始してください。締め切りは2026年5月11日正午ですから、本当に時間がありません。
公募要領に明記されていて、予算規模は2,000万円以内です。
そうです。調査費用、旅費、報告書作成費、有識者委員会の開催費など、総合的な調査活動をカバーできる金額設定になっています。委託期間は2026年度内(NEDOが指定する日から2027年3月31日まで)なので、約1年間で2,000万円以内というイメージです。
人件費(調査研究員、プロジェクトマネージャー)、調査費(文献・データベース購入、有識者ヒアリング費、海外調査費)、旅費(国内・海外出張)、報告書作成費(印刷、図表作成)などが含まれます。逆に提案書作成費や既存設備の維持管理費などは対象外です。
| 対象経費 | 主な内容 |
|---|
| 人件費 | 調査研究員、プロジェクトマネージャーの報酬 |
| 調査費 | 文献購入、データベース利用料、有識者ヒアリング費、海外調査費 |
| 旅費 | 国内・海外出張旅費(学会・展示会参加含む) |
| 報告書作成費 | 印刷・製本費、データ可視化・図表作成費 |
| 有識者委員会費 | 会合開催費、専門家謝金 |
仕様書では「本調査を効率的に進めるため、領域の検討や技術動向の整理に資することを目的に有識者委員会(仮称)を開催すること」と明記されています。専門家を招集して自由闊達な意見交換を行う場で、必要な費用はきちんと計上できますよ。
知見の集め方も含めて、かなり包括的な設計になっているんですね。応募から採択までの流れを教えてもらえますか?
1NEDO公式サイトで公募要領・仕様書を確認する — 公募ページから公募要領(PDF)・仕様書・提案書様式などをダウンロードする。提案書(別添1)、提案者情報(別添2)、情報管理体制確認票(別添3)、提出書類チェックリストを取得する。
2GビズIDの取得(未取得の場合) — Jグランツでの申請にはGビズIDプライムアカウントまたはメンバーアカウントが必要。取得に2週間以上かかるため、早急に手続きする。
3提案書の作成 — 調査の実施計画、調査手法(文献調査・ヒアリング・学会参加等)、実施体制、スケジュール、経費見積もりを記載。水循環分野の過去の調査実績を具体的に示すことが重要。
4Jグランツで電子申請する — Jグランツ申請ページから必要情報の入力と提出書類のアップロードを行う。提出期限は2026年5月11日(月)正午まで厳守。
5NEDOによる審査 — 採択・不採択の結果もJグランツ上で通知される。
6採択後の委託契約締結・調査開始 — 委託契約を締結し、2026年度内に調査を実施。報告書の提出期限は2027年3月31日。
原則として受け付けないと明記されています。ただし、GビズIDが組織形態上取得できない場合や、Jグランツのシステム障害が発生した場合は、提出期限前にNEDO担当者に必ず連絡するよう求められています。事後連絡は受け付けてもらえません。
公募説明会は2026年4月16日にオンラインで実施済みです。ただし、NEDO担当者(イノベーション戦略センター 環境・化学ユニット 松田、田口、飯塚)へのメール問い合わせは可能です。アドレスは
tsc-envchem-u@ml.nedo.go.jp です(「[*]」を「@」に変換してください)。
何がポイントになりますか?審査基準はあるんですか?
公募要領には審査基準が設けられています。主なポイントは3つに絞られます。
ポイント1: 水循環分野の専門性の証明
過去の調査実績・学術論文・政策提言レポートなど、客観的な実績を明示しましょう。「関連調査を過去にやったことがある」という事実が採択の大前提です。
ポイント2: 調査手法の具体性と網羅性
文献調査・有識者ヒアリング・海外事例調査・特許論文検索など、どのような手法で俯瞰調査を実施するかを具体的に記載してください。仕様書では「可能な限り5つ以上の領域を選定すること」と数値目標まで示されています。
ポイント3: NEDOの研究開発戦略への貢献の明示
調査成果がNEDOの「Innovation Outlook」など研究開発方針にどう貢献するかを示すことで、提案の価値が大きく上がります。単なるデータ収集ではなく「戦略的示唆を含む提言」を提供できることをアピールしてください。
仕様書を見ると、「客観性や網羅性を担保するため、国内外の企業、大学・研究機関、業界団体、NPO等、影響力が大きいと考えられる主体等の専門家に対し個別ヒアリングを実施する」ことが求められています。国内の研究機関と海外調査に強いコンサルが組む、といった体制が評価されやすいですよ。
仕様書に「学会や展示会、国際会議にも積極的に参加し活用すること」と明記されていて、そのための旅費も経費計上できます。国際的な情報収集ルートを持っているチームは大きなアドバンテージになります。
TRL(技術成熟度レベル)という言葉も仕様書にありましたが、これは何ですか?
Technology Readiness Levelの略で、技術の開発段階を1〜9の段階で表す指標です。JAXAの定義などに基づいてNEDOが作成したものを使うよう指定されていて、TRL1(基本原理の確認)からTRL9(商品化・大量生産)まであります。本調査では各技術をTRL2〜3に分類して整理するよう求められていますよ。
なるほど。かなり詳細な技術評価の枠組みを使うんですね。では比較として、他のNEDO関連の案件も見てみましょう。
今回の俯瞰調査と、他のNEDO案件との違いはどこですか?
NEDOにはいくつかのカテゴリの公募がありますよ。比較してみましょう。
なるほど、水循環俯瞰調査は「研究開発」ではなく「調査・分析」が主体なんですね。
そうです!ここが一般的な研究補助金との大きな違いです。自分たちで新技術を作るのではなく、世界中の技術動向を調べて整理し、NEDOに戦略的な情報を提供するという役割です。成果物は実験データではなく、政策提言レポートと広報コンテンツです。
俯瞰調査(本案件)
- 自分で技術開発はしない
- 国内外の動向を調査・分析する
- 成果物: 報告書+広報コンテンツ(英語版含む)
- 予算規模: 2,000万円以内
研究開発プログラム
- 自分たちで技術を開発する
- 実験・検証が中心
- 成果物: 論文・試作品・特許
- 予算規模: 案件によりさまざま
全く性格が違うんですね。では、次に公募を受けるために今から何を準備すればいいか教えてください。
応募締め切りが2026年5月11日正午ということで、もう時間がないですよね?
公募期間は2026年4月13日から2026年5月11日正午までです。期間はざっくり1ヶ月弱しかありません。やることを順番に整理しましょう。
2026年5月11日(月)正午が最終提出期限です。Jグランツは提出期限を厳守。GビズIDを持っていない場合は今すぐ取得手続きを開始してください。余裕を持った提出を心がけてください。
準備の順序としては、まずGビズIDの確認。持っていなければ今日中に申請手続き開始。次にNEDOの公募要領と仕様書を熟読して調査範囲を把握する。そして自社・研究室の過去の水循環関連調査実績を洗い出し、チーム体制を組む。最後に提案書の作成です。
3つのポイントがあります。まず過去の水循環関連調査実績を具体的な数字・成果物で示すこと。次に調査手法を文献・ヒアリング・学会等に分けて具体的に計画立案すること。そしてNEDOの「Innovation Outlook」のフォーマットや過去の俯瞰調査を研究して、NEDOが求める報告書のスタイルに合わせることです。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 事業名 | 戦略策定調査事業(水循環(水資源有効利用)に係る俯瞰調査) |
| 実施機関 | 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) |
| プロジェクトコード | P99029 |
| 予算規模 | 2,000万円以内 |
| 対象者 | 企業(団体等を含む)、大学等 |
| 公募期間 | 2026年4月13日〜2026年5月11日正午まで |
| 事業期間 | NEDOが指定する日〜2027年3月31日 |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請のみ) |
| 対象産業 | 学術研究、専門・技術サービス業 |
| 目的区分 | 研究開発・実証事業 |
| 問い合わせ | NEDOイノベーション戦略センター 環境・化学ユニット |
| 公式URL | NEDO公募ページ |
Jグランツのページは公式サイトとは別にあるんですか?
別にあります。Jグランツの申請URLは https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDYDmMAP?wfid=a0XJ2000006k57sMAA です。公募要領からも直接リンクされていますよ。
採択結果もJグランツ上で通知され、その後NEDO と調査委託契約を締結します。事業運営においては、NEDOが提示する事務処理マニュアルに従う必要があります。成果報告書の提出期限は2027年3月31日で、NEDOプロジェクトマネジメントシステムを通じて電子提出します。
本調査で得た知見を活かして、別途JSTやAMED等の研究助成金に応募することは可能です。ただし同一業務に対する他の国費との重複受給は認められませんので、その点だけ注意が必要です。
もちろんです!水循環俯瞰調査に関してよく聞かれることをまとめますね。
応募資格のある法人は「企業(団体等を含む)・大学等」と定められているため、一般企業も応募できます。ただし、実質的には「水循環・水資源に関する調査実績を有し、調査目標達成に必要な組織・人員を有すること」という条件が求められるので、技術・市場・政策動向の調査実績がないと採択は難しいです。
公募要領に予算規模2,000万円以内と明記されています。提案額はこの上限内で設定する必要があります。
含まれます。仕様書では「国内外の政策・市場・技術動向」を対象とし、「国内外の企業、大学・研究機関、業界団体への個別ヒアリング」も求められています。海外出張旅費も経費として計上できますよ。
可能です。「単独又は複数で受託を希望する企業・大学等」と応募要件に記載されています。ただし国立研究開発法人が応募する場合は、民間企業への再委託が原則認められないという制限があります。
「NEDOが指定する日から2027年3月31日まで」です。採択・契約締結後から年度末まで、実質的には8〜10ヶ月程度の調査期間になります。
今日は水循環俯瞰調査について詳しく教えていただいてありがとうございました!シンクタンクや大学の水関連研究室の方々には非常に魅力的な案件ですね。
そうですね!NEDOとの関係構築にもなりますし、受託できれば今後の研究開発プロジェクトへの参画機会も期待できます。ぜひ積極的に応募を検討してみてください!