令和8年度 水力発電導入促進支援事業費補助金 事業区分別補助率一覧
室谷さん、「水力発電導入促進支援事業費補助金(既存設備有効活用強化支援事業)」って聞いたことありますか?令和8年度版の公募が始まったそうで。
あー、これは結構大きな補助金ですよ!総予算額が約14億7,435万円っていう規模感で、水力発電所を持っている事業者にとっては見逃せない制度です。
えっ、14億円以上!?それだけあれば相当な数の発電所が恩恵を受けられそうですね。どんな補助金なんですか?
一言でいうと「古くなった水力発電設備をグレードアップするための補助金」です。日本の水力発電所って、高経年化した設備がたくさんあって、発電効率がもったいない状態になっているケースが多いんですよ。そこに国がお金を出して、出力を上げたり、発電量を増やしたりするのを応援する制度です。
なるほど、既存設備の有効活用って書いてありますもんね。新しい発電所を作るんじゃなくて、今あるものを活かす方向なんですね。
そうです!実は水力発電って、CO₂フリーで安定して発電できるという特性から、日本のエネルギー自給率向上に欠かせない電源として改めて注目されているんです。既存設備を有効活用することで、追加投資を最小限に抑えながら発電量を増やせる。これが国が支援したいポイントです。
それに最近は台風とか豪雨とかで水力発電所が被災するケースも増えているって聞きますね。
まさにそこも重要なポイントで。近年の激甚化する自然災害で、想定外の被害を受ける水力発電設備が増えているんです。だからこの補助金には災害で停止してしまった発電所の復旧を支援する枠もあって、電力の安定供給というレジリエンス強化の観点も含まれています。
補助金の中に複数の事業区分があるんですよね?それぞれどう違うんですか?
はい、大きく3つの区分があります。申請する前にまず「自分の発電所はどれに該当するか」を確認するのが大事です。
3つあるとちょっと複雑に聞こえますが、それぞれ教えてもらえますか?
一番シンプルなのが調査事業です。「うちの発電所、もっと出力上げられるんじゃないか」という可能性を調べる段階。流量調査・測量・地質調査、増出力の余力調査、基本設計などが対象になります。補助率は2/3以内と手厚いのが特徴です。
調査段階でも補助が出るんですね!事業化できるか分からない段階から使えるのは嬉しいです。
そして2つ目が工事等事業。調査が終わって「やっぱり増出力できる」となったら、実際に設備を更新・改造する工事に補助が出ます。水車・発電機・主要変圧器といった機械装置や、取水口・導水路などの構築物が対象。補助率は原則1/4以内ですが、発電電力量が5%以上増加する場合は1/3以内まで引き上げられます。
なるほど、増やせる量が多いほど補助率も上がる仕組みになっているんですね。
理にかなっていますよね。そして3つ目が災害復旧等事業。自然災害などで長期間故障停止してしまった発電所の復旧が対象です。補助率は1/2以内で、離島など代替困難な場合は2/3以内まで手厚くなります。
台風や豪雨で被災した発電所がある事業者には、ここが特に重要ですね。ちなみに「長期停止中」ってどのくらいの期間からですか?
公募要領には「原則1年以上」と書かれています。1年以上停止したままの発電所をお持ちの方は、ぜひ確認してみてください。
| 事業区分 | 補助率 | 主な補助対象経費 | 事業期間 |
|---|
| 調査事業 | 2/3以内 | 流量調査・測量・地質調査・余力調査・基本設計等の外注費・委託費 | 原則2年以内 |
| 工事等事業 | 1/4以内(発電電力量5%以上増の場合1/3以内) | 水車・発電機・主要変圧器・構築物等 | 原則2年以内 |
| 災害復旧等事業 | 1/2以内(離島等代替困難な場合2/3以内) | 復旧工事・設備・諸経費(ダム負担金含む) | 原則5年以内 |
工事等事業・災害復旧等事業は、固定価格買取制度(FIT)や市場連動型プレミアム(FIP)を適用している発電所は対象になりません。また、既設発電所を廃止して新規発電所を新設する事業も対象外です。既存設備の「有効活用」が大前提です。
じゃあ、申請できる事業者はどういう条件があるんですか?
まず大前提として「日本国内で水力発電所を保有して、継続して水力発電を行っている民間団体等」が対象です。地方公共団体・発電事業者・PFI事業者も含まれます。合同会社やLLP、SPC(特定目的会社)なども申請可能ですよ。
中小の発電事業者でも申請できそうですね。ただ、何か特別な要件はありますか?
技術的な要件として重要なのが発電機出力(単機出力)が1,000kW以上であること。これは調査事業・工事等事業・災害復旧等事業すべてに共通する条件です。家庭用の小さな水力発電設備ではなく、ある程度規模のある発電所が対象ですね。
1,000kW以上か。具体的にはどんな規模の発電所ですか?
1,000kW(1MW)というのはざっくり言うと、数百世帯分の電力をまかなえる規模です。山間部のダム式や水路式の発電所に多いイメージですね。それに加えて、発電所が電力系統に接続されて逆潮流があることも条件になります。
あと重要なのが申請者の要件として、電気事業法・河川法・森林法などの許認可を受けているか受ける見込みがあること、地元調整が確実に行われていることも求められます。水力発電って自然環境や地域社会との関係がとても重要なんです。
- 発電機単機出力が1,000kW以上の既存水力発電所を保有していること
- 日本国内に拠点を持つ法人等または日本国民であること
- FIT/FIPを適用していないこと(または今後も適用しない)
- 電力系統に接続されており逆潮流があること
- 電気事業法・河川法等の許認可を受けているか見込みがあること
- 経済産業省からの補助金交付等停止措置を受けていないこと
- 他の補助事業から同目的の補助金を受けていないこと
具体的にどんな費用が補助対象になりますか?機器の費用だけですか?
事業区分によって違いますが、工事等事業・災害復旧等事業では多くの費用が対象になります。構築物(えん堤・取水口・導水路・沈砂池・水槽・水圧管路・放水路)、機械装置(水車・発電機・主要変圧器・配電盤開閉装置・自動制御装置)、耐用年数1年以上で取得価格10万円以上の備品も対象です。
付帯設備も結構含まれるんですね。工事費だけじゃなくて設計費なども入りますか?
工事等事業では「諸経費」として工事施工に不可欠な調査・試験・実施設計等に要する費用も対象です。ただし、送配電設備・系統連系費用・人件費・旅費・消耗品・事務所費用といった総係費は対象外ですのでご注意を。
調査事業の場合は「調査費」「試験費」「設計費」の3カテゴリで、いずれも外注費または委託費のみが対象です。補助事業者と請負者との共同研究は対象外になっているので注意が必要ですね。あと、後工事の発注資料(仕様書・製作工程表)や水車部品等の設計資料は概略設計・基本設計でも対象外です。
「外注費・委託費のみ」というのがポイントですね。自社でやった分は出ないと。
そうなんです。調査は外部の専門業者に依頼して実施するのが基本になります。
| 経費区分 | 対象内容 | 注意点 |
|---|
| 構築物(工事・災害) | えん堤・取水口・導水路・沈砂池・水槽・水圧管路等 | 発電所構内のものが対象 |
| 機械装置(工事・災害) | 水車・発電機・主要変圧器・配電盤・自動制御装置等 | - |
| 備品(工事・災害) | 耐用年数1年以上、取得価格10万円以上の物品 | 計測機器等は含まない |
| 調査費(調査事業) | 流量調査・測量・地質調査・余力調査等の外注費・委託費 | 共同研究は対象外 |
| 設計費(調査事業) | 概略設計・基本設計の外注費・委託費 | 発注資料・水車部品設計は対象外 |
| 対象外(全区分) | 送配電設備・系統連系費用・人件費・旅費・消耗品・事務所費用 | ダム負担金(総係費)は対象 |
申請から補助金受取までの流れ
実際に申請しようと思ったら、どういう手順で進めればいいですか?
まず大事なのが締め切りの確認です。この補助金には3回の締め切りがあって、早めに申請した方が採択の可能性が高まります。
3回あるんですね!それは知らなかった。何が違うんですか?
基本的に申請内容の審査基準は同じですが、各締め切り時点で予算額以上の申請があった場合は、公募期間中でも公募が中止される可能性があります。だから早い締め切りで申請した方がリスクが低いんですよ。
| 締め切り | 日時 | 備考 |
|---|
| 一次締切 | 令和8年5月25日(月)17時00分(財団必着) | 最も早い。予算消化リスク低 |
| 二次締切 | 令和8年7月22日(水)17時00分(財団必着) | 一次後の残予算分 |
| 最終締切 | 令和8年9月29日(火)17時00分(財団必着) | 予算が残っていれば受付 |
財団必着って書いてありますね。郵送で提出するんですか?
原則はJグランツ(デジタル庁の電子申請システム)で申請します。Jグランツで様式第1と様式第2本文まで申請して、様式第2別紙1以降は別途メールや電子媒体(CD-R等)で提出という形です。注意点として、Jグランツのファイル容量制限が1ファイル16MBなので、複数PDFはZIPにまとめて登録してください。
そうです!Jグランツを使うためにはGビズID(プライム)が必要です。GビズIDの取得には時間がかかる場合があるので、申請を検討しているなら今すぐ準備を始めることをおすすめします。GビズIDのサイトでオンライン申請できます。
公募説明会があるって聞いたんですが、参加した方がいいですか?
強くおすすめします!特に初めて申請する方や、申請書類の書き方に不安がある方には必須レベルです。令和8年5月8日と5月12日の計4回、オンラインで開催されます。
第1回・第3回がGoogle Meet、第2回・第4回がMicrosoft Teamsで開催されます。会議ツールの使いやすさで選んでOKですよ。参加申込は各回の前日(営業日)の正午までに、新エネルギー財団の問い合わせメールアドレスに送ってください。
申込に必要な情報は「参加する回(第○回)、所属組織・部署名、担当者名・役職、電話番号、メールアドレス」の5点です。これを前日正午までに財団のメールアドレスに送るだけです。
| 回 | 日時 | ツール | 申込締切 |
|---|
| 第1回 | 令和8年5月8日(金)10時00分〜12時00分 | Google Meet | 5月7日(木)正午 |
| 第2回 | 令和8年5月8日(金)13時30分〜15時30分 | Microsoft Teams | 5月7日(木)正午 |
| 第3回 | 令和8年5月12日(火)10時00分〜12時00分 | Google Meet | 5月9日(金)正午 |
| 第4回 | 令和8年5月12日(火)13時30分〜15時30分 | Microsoft Teams | 5月9日(金)正午 |
審査は外部有識者による採択審査委員会で行われます。重要なのは「計画の実現可能性」と「成果目標の明確さ」ですね。
まず技術的な観点として、増出力・増電力量の可能性が数値で示されているかが大切です。「なんとなく出力が上がりそう」ではなく、余力調査の結果やシミュレーション結果などで根拠を示す必要があります。
そして資金計画の妥当性も重要です。補助対象経費の積算根拠(建設単価算出根拠)を詳しく示すことが求められます。「大体このくらい」では通りにくいので、見積書などエビデンスをしっかり準備しましょう。
大きく関係します。電気事業法・河川法などの許認可について「取得済み」か「取得の見込みがある」状態であることが交付要件になっています。許認可の取得状況や見通しを申請書に明記してください。
- 増出力量の定量的根拠: 余力調査結果・シミュレーション等で発電電力量が5%以上増加することを示せると補助率が1/4→1/3に上がる
- 緻密な積算根拠: 補助対象経費の内訳を「建設単価算出根拠(様式別紙7)」で詳細に示す。根拠のない金額は査定で減額される
- 許認可・地元調整の先行確認: 河川法・電気事業法の許認可見通しと地元調整の状況を申請前に整理しておく
複数年度にまたがる事業でも申請できるんでしょうか?
できます!ただし複数年度事業の場合は注意点があって、各年度の交付決定は当該年度の事業に対するもので、翌年度以降の補助金交付は保証されません。また「補助金額が0円という年度」がある申請は認められないので、毎年度費用が発生する計画を組む必要があります。
この補助金、令和12年までに目標があるって聞いたんですけど、どんな目標なんですか?
国の成果目標として「令和12年(2030年)までに、出力向上の目途が立った既存発電所の発電電力量を2億kWh増加させる」というのが掲げられています。これは2030年の温室効果ガス削減目標(46%削減)と連動しているんです。
ざっくり言うと約6万世帯1年分の電力消費量に相当します。小さい数字じゃないですよね。日本の水力発電の現状として、高経年化した設備が多く、その多くがリプレースや改良によってまだ出力増強の余地があると言われています。
そもそも日本の水力発電って今どんな状況なんですか?
日本の水力発電のポテンシャルはまだ相当残っていて、国全体のエネルギー政策でも重要視されています。水力は太陽光や風力と違って天候に左右されにくく、ベースロード電源として24時間安定発電できるのが強みです。しかも燃料費がゼロでCO₂を出さない。これがエネルギー自給率向上とカーボンニュートラルの両方に貢献できる理由です。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助金名 | 令和8年度 水力発電導入促進支援事業費補助金(既存設備有効活用強化支援事業) |
| 実施機関 | 一般財団法人 新エネルギー財団(NEF)水力地熱本部 水力業務部 |
| 監督省庁 | 経済産業省資源エネルギー庁 |
| 令和8年度予算額 | 約14億7,435万円(1,474,350千円) |
| 公募期間 | 令和8年4月27日(月)〜令和8年9月29日(火) |
| 一次締切 | 令和8年5月25日(月)17時00分(財団必着) |
| 二次締切 | 令和8年7月22日(水)17時00分(財団必着) |
| 最終締切 | 令和8年9月29日(火)17時00分(財団必着) |
| 補助対象期間上限 | 令和9年3月1日 |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請)が原則 |
| 対象地域 | 全国 |
| 問い合わせ先 | kisetsukatsuyou@nef.or.jp / TEL 03-6810-0373 |
| 問い合わせ受付時間 | 平日9時00分〜12時00分、13時00分〜17時00分 |
そうです、原則メールでお願いしますとなっています。電話は03-6810-0373です。所在地は東京都新宿区下落合二丁目3番18号 SKビル K棟4階です。ちなみに財団の水力発電支援専用サイト(
https://suiryokuhojo.nef.or.jp/)では様々な情報を提供しているので、まずそちらを確認するのもいいですよ。
この補助金、特に「これに当てはまる事業者はチャンス!」というケースはありますか?
いくつかあります。まず「昭和〜平成前期に建設された水力発電所を持っている事業者」です。高経年化した設備は更新すると効率が大幅に改善するケースが多い。
古い発電所ほどリプレースの効果が大きいということですね。
それから「過去数年で台風・豪雨被害を受けた発電所を持っている事業者」。災害復旧等事業の枠は補助率が最大2/3と高く、長期停止中の電源を復旧するための費用を大きくカバーできます。
ダム式ではなく流水式・水路式の小規模な発電所でも対象になりますか?
1,000kW以上であれば対象になります。ダム式に限らず、水路式・調整池式でも申請可能ですよ。あとは「FIT/FIPに頼らず自家消費や相対契約で電力を販売している事業者」にも向いています。FIT/FIP適用中は対象外ですが、適用していない場合は申請できます。
- 交付決定の前に発注・工事を開始すると補助対象外になる。必ず交付決定通知を受けてから着手すること
- 令和7年度以前からの複数年度事業の場合、補助率は令和7年度以前の補助率と同等以下になる
- 各締切時点で予算が超過した場合、公募期間中でも受付終了となる可能性がある
- 申請書類の作成を行政書士等に外部委託する場合、行政書士法第19条に基づき行政書士または行政書士法人以外の者が有償で代行することは認められない
最後に、よくある疑問をいくつか聞かせてください。補助金をもらった後の設備、処分してもいいですか?
これは注意が必要なポイントです。補助金で取得・改良した設備(取得財産等)は「財産処分制限期間内」に処分する場合、事前に財団の承認が必要です。無断で売却・賃貸・担保提供などは禁止されています。
結構ボリュームがありますよ(笑)!様式第1(交付申請書)と様式第2(実施計画書本文)に加えて、7種類の別紙があります。特に「積算明細書・積算根拠(別紙4-2)」や「建設単価算出根拠(別紙7)」は技術的な専門知識が必要で、工事の見積書や設計資料を詳しく準備する必要があります。
不採択の場合も通知が来ますが、採択審査委員会での審査結果は公表されない場合がほとんどです。ただし再チャレンジする場合は、申請内容を見直して次の締め切りに再申請する方法もあります。毎回3回の締め切りがあるので、修正してすぐ申請し直すことも可能ですよ。
「各省庁あるいは財団の他の補助事業から同目的の補助金を受けていないこと」が条件なので、同じ設備・同じ目的で重複して補助を受けることはできません。ただし異なる設備・異なる目的であれば別途検討の余地はあります。必ず事前に財団に確認してください。
この補助金の申請を検討している方、今から動くとしたら何から始めればいいですか?
まず今すぐやるべきは2つです。1つ目はGビズIDをまだ持っていない場合は今日申請すること。取得に時間がかかるので、一次締切(5月25日)を狙うなら急ぐ必要があります。2つ目は発電所の発電機単機出力が1,000kW以上かどうか確認すること。ここが基本条件なので、まずここから確認してみてください。
水力発電関連では、同じNEF(新エネルギー財団)が窓口の事業性評価支援事業や、過去年度の有効活用支援事業があります。比較してみると今回の制度の位置づけがよく分かりますよ。
事業性評価支援事業というのは今回と何が違うんですか?
今回の「既存設備有効活用強化支援事業」はすでに発電所を保有している事業者が対象です。一方、事業性評価支援事業はこれから新しい水力発電所を開発したい事業者向けの調査支援。対象が根本的に違うので混同しないよう注意してください。
- 窓口: 一般財団法人 新エネルギー財団(NEF)水力地熱本部 水力業務部
- 担当: 既存設備有効活用強化支援事業担当者
- メール: kisetsukatsuyou@nef.or.jp(原則メールで問い合わせ)
- 電話: 03-6810-0373(平日9時〜12時・13時〜17時)
- 所在地: 東京都新宿区下落合二丁目3番18号 SKビル K棟4階