室谷さん、今日は「暑さに配慮した職場環境づくり奨励金」って制度を教えてもらいたいんですけど、これって何ですか?
東京しごと財団が令和8年度から実施している奨励金で、熱中症を生ずるおそれのある作業を行っている都内の小規模企業等が対象なんですよ。熱中症予防対策に取り組んだら、20万円をもらえるという制度です!
えっ、20万円!しかも「対策に取り組んだら」って、どんな取り組みが必要なんですか?
大きく3つの取組が必要です。まずWBGT値(暑さ指数)の測定と評価、次に熱中症予防に資する物品の購入、そして取組報告書の提出です。この3つを全部やって申請する形ですね。
なるほど。WBGT値って聞き慣れない言葉ですけど、それも調べなきゃいけないんですか?
WBGT値というのは「湿球黒球温度」の略で、気温・湿度・輻射熱を組み合わせた熱中症予防の指標です。WBGT値が28度以上、もしくは気温31度以上の作業場で、継続して1時間以上または1日4時間を超えて作業する職場が対象になります。要するに夏の屋外作業・現場作業・工場・厨房などで働く会社が当てはまりますね!
そうです!対象業種はかなり広くて、建設業・製造業・運輸業・農業・飲食サービス業・生活関連サービス業など、ほぼ全業種が対象です。熱中症を生ずるおそれのある作業をしている職場があれば、業種を問わず申請できますよ。
令和8年度からということは、今まさに第1回のエントリー期間中なんですね!
そうなんです。2026年4月27日から5月13日が第1回のエントリー期間で、年間で全4回に分けて受け付けています。ただし先着順ではなく
抽選で通過事業者を決定する仕組みなので、期間中ならいつ申し込んでも大丈夫です。
令和8年度 暑さに配慮した職場環境づくり奨励金 全4回の申請スケジュール
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 令和8年度 暑さに配慮した職場環境づくり奨励金 |
| 主管機関 | 公益財団法人 東京しごと財団 |
| 奨励金額 | 20万円(一律) |
| 対象地域 | 東京都内 |
| 対象規模 | 常時雇用する従業員が20人以下の小規模企業等 |
| 商業・サービス業 | 従業員5人以下 |
| 申請方式 | Jグランツによる電子申請のみ(来所・郵送不可) |
| 実施機関 | 公益財団法人 東京しごと財団 |
| 問い合わせ | 03-5211-1756(平日9時〜17時) |
20万円って一律なんですね。補助率じゃなくて定額というのは珍しい!
そうですね、補助率じゃなく取組への奨励金として一律20万円が支給されます。かかった経費の何割かを補助するのではなく、「対策に取り組んでくれたお礼」というイメージです。
じゃあ物品購入費が少額でも20万円もらえるということ?
理論上はそうです!ただ取組報告書でちゃんと実施したことを証明する必要はありますし、購入物品が対象品目に該当していないと審査で落とされることもありますから、事前によく確認することが大事です。次のセクションで詳しく見ていきましょう。
5つの要件を全部クリアしている必要があります。要件が多く見えますが、一つひとつは分かりやすいですよ。
- 要件1: 本社または主たる事業所が東京都内にあること(都内で営業実態があり、都民税を納付していること)
- 要件2: 小規模企業等であること(業種により従業員数の上限が異なる)
- 要件3: 熱中症を生ずるおそれのある作業を行う職場(高温多湿作業場所)があること
- 要件4: 都内事業所に勤務する雇用保険被保険者を1名以上、6か月以上継続して雇用していること
- 要件5: 過去5年間に東京都の助成事業で不正受給による不支給決定がないこと、過去5年間に重大な法令違反がないこと
要件2の「小規模企業等」って、何人までOKなんですか?
中小企業基本法の定義に基づく小規模企業者なので、基本的には常時雇用従業員が20人以下です。ただし商業とサービス業は5人以下になります。廃棄物処理業や警備業など、熱中症対策が特に必要とされる一部の業種では20人以下の特例が適用されます。
| 業種区分 | 従業員数の上限 |
|---|
| 製造業・建設業・運輸業・農業等 | 20人以下 |
| 商業・サービス業 | 5人以下 |
| 廃棄物処理業・警備業など(特例) | 20人以下 |
過去に東京しごと財団のほかの奨励金を受けたことがある会社は申請できないんですか?
過去に本奨励金(暑さに配慮した職場環境づくり奨励金)を受給したことがある事業者は申請不可ですね。ほかの奨励金との重複受給も、同一目的の場合はNGです。
なるほど、初めて申請する会社向けの制度ということですね。申請要件の確認ができたところで、次は実際に何をしなければならないか見てみましょう!
奨励金をもらうために何をしなきゃいけないか教えてください!
3つの取組を全部実施する必要があります。取組①のWBGT値活用と熱中症予防対策の実施、取組②の熱中症予防物品の購入、そして取組③の報告書作成です。
取組①のWBGT値の測定って、専門家に頼まないとダメですか?
自社でできます!WBGT指数計(JIS規格適合品推奨)を使って自分たちで測定できます。測定後はWBGT基準値と比較して、超えている場合には冷房設置や作業時間の短縮などの対策を行います。
そうかあ、WBGT指数計自体が取組②の購入物品になるんですね!
その通りです!取組②で購入できる物品は4つのカテゴリーがあります。
熱中症対策 購入可能な物品カテゴリー
| カテゴリー | 購入可能な物品の例 |
|---|
| WBGT測定機器 | WBGT指数計(JIS規格Z8504またはB7922適合品) |
| 冷却機器 | ミストファン、スポットクーラー、冷風機、除湿機 |
| 身体冷却用品 | 電動ファン付き作業服、冷却ベスト、水冷服、遮熱ヘルメット |
| 深部体温検知機器 | 心拍等身体データ計測器 |
いくつか対象外があります。塩分タブレット・塩飴・使い捨て冷却パック・保冷剤・冷却タオル・保冷ボトルなどの消耗品や日用品は対象外です。あと、レンタルやリースも対象外です。「都内事業所で購入して、都内の高温多湿作業場所で使用する物品」であることが基本条件です。
- 飲食料品等の日用品(塩分タブレット・塩飴・使い捨ての冷却パック・保冷剤・冷却ボトル・冷却タオル等)
- レンタルおよびリース契約での取得物品
- 都内事業所での購入でない物品
- 取組期間外に購入した物品
そうです。令和8年3月5日から各回の取組実施期限までの間が取組実施可能期間です。第1回のエントリーに通過した場合、2026年9月30日が取組実施期限です。それまでに全ての取組を完了して報告書を作成する必要があります。
手順を5ステップで説明しますね。一番重要なのは、まず事前にGビズIDを取得しておくことです!
1GビズIDプライムのアカウントを取得する(gbiz-id.go.jp)→ 国の審査があり発行まで時間がかかるので今すぐ準備を!猶予は一切なし
2Jグランツ(jgrants-portal.go.jp)で事前エントリーを行う→ 各回のエントリー期間中に専用フォームから申込。先着順でなく抽選。1社につき1回まで
3エントリー通過の通知を受ける→ エントリー期間終了後、概ね7営業日以内にJグランツ上で通知される
4奨励金対象事業の取組を実施する→ 取組実施可能期間内(2026年3月5日〜各回の取組期限)に①WBGT測定・対策実施 ②物品購入 ③取組結果報告書作成を完了
5Jグランツで支給申請を行う→ 支給申請受付期間内に取組結果報告書・領収書・写真等の必要書類をJグランツにアップロードして申請。審査後、支給決定通知が届いたら奨励金請求フォームから請求し、概ね1か月で振込
法人代表者や個人事業主が取得できる「GビズIDプライム」は、国(デジタル庁)の審査があるので発行まで数日〜2週間程度かかることがあります。エントリー期間が始まってから慌てて申請すると間に合わないので、今すぐ取得しておくことを強くおすすめします!
次の回で再度エントリーできます。第1回で抽選に外れた場合は第2回(2026年6月22日〜26日)で申し込めます。全4回あるので、1度外れてもチャンスはあります。ただし、同じエントリー回での複数申込は対象外になりますから注意してください。
書類は思ったより多めです。主な必要書類は取組結果報告書(様式第4号)のほか、事業所の実態確認書類、雇用保険被保険者の確認書類、購入物品の領収書・写真・カタログ、WBGT測定の記録など、複数の電子データ(PDF・JPEG)が必要です。支給申請後のアップロードや書類の差し替えは原則できないので、提出前に必ず全書類を揃えてから申請してください!
基本は要件を満たしているかどうかなんですが、取組結果報告書の内容が審査されます。特に購入物品が「熱中症予防対策に資すると認められるか」が重要です。
- ポイント1: WBGT値の測定記録を丁寧に残す。測定日時・場所・数値・着衣補正値を含めて記録すること
- ポイント2: 購入物品は高温多湿作業場所で実際に使用することを証明できるようにする(使用前後の写真など)
- ポイント3: 取組①の熱中症予防対策(作業環境管理・作業管理・健康管理・労働衛生教育)を全て実施して記録する
- ポイント4: 領収書は購入先・購入日・品名・金額が明確に分かるものを準備する
- ポイント5: 要件チェックリスト(公式XLSXファイル)で事前に全項目を確認し、不備なく申請する
審査の必要に応じて職員による現地調査が実施されることもあります。また審査の経過・結果に関する問い合わせには一切応じられないとのことなので、申請書類は提出前に完璧に仕上げることが大切です。
支給決定の通知が届いたら、速やかにJグランツの「奨励金請求フォーム」で請求手続きをしてください。支給申請だけでは奨励金は振り込まれません! 通知を受け取ってから14日を過ぎると申請撤回もできなくなりますので、通知が届いたらすぐに動いてください。また、本奨励金に係る関係書類は奨励対象事業終了後5年間保存する義務があります。
令和8年度は全4回あります。第1回のエントリーは2026年5月13日が締め切りで、締切は各回とも午後5時までです!
| 回 | エントリー受付期間 | 取組実施可能期限 | 支給申請受付期限 | 枠 |
|---|
| 第1回 | 2026年4月27日〜5月13日 | 2026年9月30日 | 2026年11月30日 | 250社 |
| 第2回 | 2026年6月22日〜6月26日 | 2026年11月30日 | 2027年1月29日 | 300社 |
| 第3回 | 2026年8月24日〜8月28日 | 2027年1月31日 | 2027年3月31日 | 300社 |
| 第4回 | 2026年10月19日〜10月23日 | 2027年3月31日 | 2027年5月31日 | 150社 |
第1回が250社で第4回が150社と少ないんですね。
そうですね。合計1000社の枠がある中で、第1回が一番枠が多く、後になるほど少なくなります。早い回ほど競争率が低い可能性があるので、申請できる準備が整い次第、早めの回でエントリーするのがおすすめです!
GビズIDを持っていれば、2026年4月27日から5月13日の間にエントリーできますね!
その通りです。ただし同一の代表者が複数の企業等を所有する場合、別法人格でも同一企業等とみなされて複数申込が対象外になることがありますから、グループ企業の方は注意してください。
そもそも最近、熱中症対策が義務化されたって聞いたんですけど、その内容も教えてもらえますか?
令和7年(2025年)6月1日から、改正された労働安全衛生規則に基づき、全ての事業者に「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が義務付けられています。この奨励金の取組①はその義務対応にもなりますから、法令遵守と奨励金申請を同時に達成できる一石二鳥の制度です!
法律でやらなきゃいけないことをやったらお金もらえるというのはいいですね!
そうなんです。厚生労働省の「職場における熱中症予防基本対策要綱」に規定する取組を実施すれば、奨励金の取組①の要件を満たせます。義務化への対応が奨励金の対象取組と連動しているので、どうせやるなら奨励金も申請しない手はないですよ!
- 令和7年6月1日から全事業者に「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が義務付け済み
- 奨励金の取組期間(令和8年3月5日〜)に実施した取組のみが対象(それ以前の取組は不可)
- 奨励金の申請は抽選(先着順でない)なので、事前エントリーに必ず参加すること
- 本年度中に同一目的の国・都・区市町村の奨励金等と重複して受給することは不可
準備や注意事項はわかってきました。最後に問い合わせ先なども教えてもらえますか?
電話は込み合いそうですね。まず募集要項をしっかり読んでから電話した方がよさそうですね!
その通りです!募集要項のPDFは34ページあって細かい規定が詰まっていますが、要件チェックリスト(XLSX)も公開されているので、まずそれで自社が対象かどうかを確認するのが効率的です。わからないことがあれば電話で確認してください。
GビズIDを持っていない方はまず今すぐ取得ですね!
東京都内の小規模企業でモノを作ったり、屋外で仕事をしている会社はぜひ検討したい奨励金ですね。ありがとうございました!
熱中症は命に関わる重大なリスクです。この奨励金を活用して、働く人の安全を確保しながら経営コストも補填できるなら、申請しない理由はないですよね。東京都内の小規模企業の皆さん、ぜひ令和8年度第1回のエントリー(2026年5月13日締め切り)をお見逃しなく!
ほかに東京都内の中小企業が使える制度はありますか?