室谷さん、最近「非正規から正社員にしたんだけど、何か使える支援ないかな?」って相談を受けたんですよ。何かありますか?
ありますよ! しかも東京都には、正社員転換した従業員が「転換後も安心して長く働ける職場環境」を整備した企業に対して、最大190万円を交付する助成金があります!
ほんとですか!? 最大190万円って、かなり大きいですね。
そうなんです。正式名称は「東京都正規雇用転換安定化支援助成金」。令和8年度から制度が強化されて、対象人数も1事業所あたり5人まで(令和7年度は3人まで)に拡大されました!
令和8年度から変わったんですね。えっ、それは知らなかった。どんな会社が対象ですか?
主な要件は3つです。まず東京の中小企業事業主であること。次に東京労働局管内に雇用保険適用事業所があること。そして国のキャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定を既に受けていることが前提です。
あ、国のキャリアアップ助成金が「前提」なんですね。国の制度と連携してるんだ!
そう、そこが肝心なんですよ。国の助成金(キャリアアップ助成金 正社員化コース)を申請して、
支給決定通知書を受け取ってから、この東京都の助成金を申請する流れになっています。二段階で受け取れるのが特徴です!
助成金額まとめ図
まず基本の助成額から説明しますね。対象労働者の人数に応じて、下の表のように支給されます。
| 対象労働者数 | 助成額 |
|---|
| 1人 | 20万円 |
| 2人 | 40万円 |
| 3人 | 60万円 |
| 4人 | 80万円 |
| 5人 | 100万円(1事業所の上限) |
1人20万円で、5人で100万円ですね。それで190万円になるんですか?
基本額に加えて、4種類の加算制度があります! これを組み合わせると最大190万円に届くんです。
| 加算の種類 | 加算額 | 条件 |
|---|
| 退職金制度整備加算 | 10万円 | 新たに退職金制度を整備・届出、または中退共に加入 |
| 結婚・育児支援制度整備加算 | 10万円 | 新たに結婚・妊娠・育児関連の休暇や一時金制度を整備・届出 |
| 介護支援制度整備加算 | 10万円 | 新たに介護休暇制度を整備・届出(令和8年度から新設!) |
| 賃上げ加算 | 12万円/人(最大60万円) | 対象労働者の時間単価を60円以上賃上げ |
介護支援制度整備加算が令和8年度から新設されたんですね! ほんとに?
そうです! 令和8年度の目玉改定です。退職金・育児・介護の3制度整備加算を全部取れば30万円、さらに5人全員に賃上げ加算(60万円)も合わせると、基本100万円+30万円+60万円で合計190万円になるわけです。
なるほど! じゃあ制度を整備してしっかり賃上げした会社ほど、たくさんもらえるんですね。
そのとおりです。加算系(退職金・育児・介護)はそれぞれ1事業主1回限りの申請ですが、この機会に一気に労働環境を整備するメリットになっています。
賃上げ加算を受けるには、賃上げ後の時間給が東京都の最低賃金を60円以上上回っていることが条件です。最低賃金ギリギリの水準では対象外になるので、支援期間前に時間単価を確認しましょう。
改めて、「うちの会社は対象かな?」という視点でまとめてもらえますか?
はい、整理しますね。事業主側の要件から見てみましょう。
- 東京労働局管内に雇用保険適用事業所があること
- 中小企業等(中小企業基本法に定める中小企業者等)であること
- 令和5年4月1日以降に対象労働者を正社員転換し、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定を受けていること
そうです、中小企業に絞っています。あと「令和5年4月1日以降の転換」が条件なので、それより前に転換した方は対象外になります。
- キャリアアップ助成金(正社員化コース)の交付対象となった労働者であること
- 令和5年4月1日以降に都内事務所において転換等された方
- 転換時から支援期間終了日まで、同一事業主の下で転換後の雇用区分が継続し、都内で継続して勤務していること
- 支援期間の終了日において有期雇用労働者でないこと
「支援期間終了日まで都内で継続勤務」というのが注意ポイントですね。途中で転勤や離職した場合はどうなりますか?
支援期間中に都外への転勤や離職があった場合は対象外になる可能性があります。手引きに細かい要件が書かれているので、事前に必ず確認が必要です。
3か月間の支援期間(第1回は2026年7月1日〜9月30日)の間に、以下の3つを全て実施する必要があります。
13年間の指導育成計画を策定する — 正社員としてのキャリアアップ計画を書面で作成します
2メンター(指導育成者)を選任し、3回・3日以上指導する — 社内の先輩社員をメンターとして選び、3か月の間に3回以上・計3日以上の指導を行います
3指導育成計画に基づく研修を実施する — OJTや外部研修など、計画に基づいた研修を実施します
メンターを選んで、3か月間指導育成計画を実施する、ということですね。思ったより実務的な内容だ!
そうなんです。「ただ正社員にしました」だけでなく、転換後の育成・定着まで取り組んでいる企業を応援する制度なんです。ちゃんとメンターを立てて、計画的に育成することが求められています。
それは賃上げだけでなく、職場環境の底上げにもつながりますね。
まさにそこが東京都の狙いです。非正規から正社員に転換しても「名ばかり正社員」になってしまっては意味がない。研修・指導・制度整備を通じて、実質的な定着と処遇改善を推進しようという設計です。
申請フロー図
実際の申請の流れを教えてください。令和8年度第1回の期間はいつまでですか?
| スケジュール | 期間 |
|---|
| 交付申請受付期間 | 2026年5月1日 8時30分 〜 5月31日 17時15分 |
| 支援期間 | 2026年7月1日 〜 9月30日 |
| 実績報告受付期間 | 2026年10月1日 8時30分 〜 10月25日 17時15分 |
ということは、2026年5月31日が交付申請の締め切りですね!
そうです。5月中に申請を済ませておかないと、第1回は逃してしまいます。ただし、この助成金は年間で第1回から第6回まで申請受付があるので、第1回に間に合わなくても次の回を狙えます。
ただし、予算がなくなり次第受付終了になる場合があります。年度途中で締め切られることもあるので、申請できる状態になったら早めに動くのがベターです。
予算の範囲を超えた場合は、年度途中であっても申請受付を終了することがあります。「まだ時間がある」と思っていると間に合わなくなる可能性があります。TOKYOはたらくネットの公式ページを定期的に確認してください。
基本的には電子申請(Jグランツ)がおすすめです。申請後の書類管理や進捗確認がしやすいですし、郵送事故のリスクもありません。ただし、電子申請に必要なGビズIDプライムのアカウントを事前に取得しておく必要があります。
GビズIDとは、各省庁の行政サービスを1つのIDで使えるようにする法人・個人事業主向けの認証サービスです。このIDのうち「GビズIDプライム」というアカウントが電子申請に必要で、取得にはデジタル庁の審査があり、発行まで数週間かかる場合があります。
数週間かかるんですか! それは早めに動かないとダメですね。
そうなんです。申請期間が2026年5月31日までなので、今からGビズIDを申請してもギリギリになる可能性があります。郵送申請であれば今すぐ動けますが、今後の国の補助金申請でも使えるので、GビズIDは早めに取得しておくことをお勧めします。
1GビズIDプライムを取得する(未取得の場合) — GビズIDサイトからアカウントを申請。審査に数週間かかるため余裕をもって準備
2Jグランツで申請フォームにアクセスする — Jグランツ(jGrants)ポータルにGビズIDでログインし、本制度の申請ページを開く
3必要書類を準備して申請する — セルフチェックリスト・事業実施計画書兼交付申請書・誓約書・口座振替依頼書などを準備
4支援期間中(2026年7月1日〜9月30日)に支援事業を実施する — 指導育成計画の策定、メンター選任・指導、研修実施の3つを完了
5実績報告書を提出する(2026年10月1日〜10月25日) — 実施内容の証拠書類とともに実績報告書を提出
6助成金交付 — 実績報告審査を経て、助成金が指定口座に振り込まれます
東京都正規雇用化推進窓口(正規雇用転換安定化支援助成金担当)
- 住所: 〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町2-42-10 ハローワーク新宿5階
- 電話: 03-6205-6730(ダイヤルイン)
- 受付時間: 平日 8時30分〜17時15分(12月29日〜1月3日を除く)
※FAX・メールでの申請・問い合わせは一切対応していません
※郵送の場合はレターパック等、送達記録の残る方法で送付してください
この助成金は「要件を満たしているかどうか」を判定する助成型の制度なので、競争形式ではありません。つまり要件を正確に満たせば、基本的に全員もらえます!
ただし、書類不備や要件不足で却下されることはあります。特に注意すべきポイントをまとめますね。
- 国のキャリアアップ助成金の支給決定通知書を受け取っているか確認する(これが最重要!)
- 対象労働者の転換日が令和5年4月1日以降であることを確認する
- 支援期間中に3つの支援事業をすべて実施する(計画・メンター指導・研修の3点セット)
- 加算を狙う場合は支援期間中に制度整備・届出まで完了させる(支援期間後の届出は対象外)
- 最新の様式を使う(令和7年度以前の様式は使用不可)
令和7年度の様式は使えないんですね! これは絶対確認しないといけない。
そうなんです。よくある失敗が「昨年ダウンロードした様式をそのまま使った」というケースです。必ずTOKYOはたらくネットから最新版をダウンロードしてください。
加算の制度整備も支援期間中に完了させないといけないんですね。
そうです! 退職金制度や育児・介護制度を整備して就業規則等を労働基準監督署へ届け出るまで、全部2026年7月1日〜9月30日の支援期間内に完結させる必要があります。「実績報告の前にやればいいか」と思っていると遅すぎます。
令和8年度から変わった点を改めて整理してもらえますか?
大きく2つあります。これは既に正社員転換を進めている企業にとって重要な情報です。
| 変更内容 | 令和7年度まで | 令和8年度から |
|---|
| 1年度の申請上限人数 | 1事業所3名まで | 1事業所5名まで(拡大!) |
| 加算制度 | 退職金・育児支援の2種類 | 介護支援制度整備加算が新設(3種類に) |
| 制度名 | 東京都正規雇用等転換安定化支援助成金 | 東京都正規雇用転換安定化支援助成金(「等」が消えた) |
人数上限が3名から5名に増えたのはかなり大きいですね!
令和7年度に3名分申請して「もっと使いたかった」という声に応えた改定だと思います。複数の非正規社員を一気に正社員転換したタイミングの企業には特に朗報です。
制度名から「等」が消えたというのはどういう意味ですか?
令和7年度まではパートや契約社員だけでなく派遣労働者の直接雇用も対象になっていたんですが、令和8年度から申請対象の転換の種類が整理された影響です。詳細は最新の手引きを必ず確認してください。
令和7年度以前の制度名「東京都正規雇用等転換安定化支援助成金」と令和8年度の「東京都正規雇用転換安定化支援助成金」は別の制度です。検索する際は「令和8年度」「正規雇用転換安定化」で検索し、最新の情報を参照してください。
ありますよ! 同じく令和8年度第1回の受付をやっている東京都の雇用系助成金を比べてみましょう。
就職氷河期世代の助成金は最大240万円もあるんですね!
「どの制度が自社に合っているか」を整理するのが大切です。本記事の助成金は「すでに国のキャリアアップ助成金の支給決定を受けた企業向け」という点が特徴です。他の助成金と要件が重複する場合も、手引きで確認してみましょう。
| 書類名 | 概要 |
|---|
| セルフチェックリスト | 申請前の確認用(郵送用・電子申請用で別様式) |
| 様式第1号 事業実施計画書兼交付申請書 | 支援対象者・支援計画を記載した申請書本体 |
| 様式第2号 誓約書 | 各種要件の遵守を誓約する書類 |
| 支払金口座振替依頼書 | 助成金の振込先口座を届け出る書類 |
| キャリアアップ助成金支給決定通知書のコピー | 国の助成金の支給決定を証明する書類(必須) |
書類をまとめて揃えるのはちょっと手間がかかりそうですね。
TOKYOはたらくネットからすべてダウンロードできます。手引きに記入例も載っているので、順番に確認しながら進めれば迷いにくいです。実績報告時にはさらに指導育成計画書・メンター選任指導報告書・研修実施報告書なども必要になるので、支援期間中から記録をつけておくことが大切です。
- 支援期間が始まる前に様式を全てダウンロードしておき、記入方法を確認する
- メンターの指導記録・研修参加記録を都度記録する(後から作るのはNG)
- 加算を申請する場合は就業規則の変更・届出の日付を支援期間内に設定する
申請を検討している企業からよくある質問ってありますか?
「キャリアアップ助成金をまだ申請していないけど、この助成金は使える?」という質問はありそうですが。
これが一番多い質問です。残念ながら、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給決定が前提なので、先に国の助成金の手続きを進める必要があります。この東京都の助成金は「国の助成金とセットで使うもの」と理解してください。
「複数の非正規社員を転換したが、一度の申請で全員申請できる?」という質問もありそうですね。
1年度につき1雇用保険適用事業所あたり5名まで申請できます。ただし令和8年度第1回の支援期間は2026年7月1日〜9月30日の3か月間なので、この支援期間内に全員分の支援事業を実施する必要があります。
「事業所が複数ある場合は?」という疑問もありそうです。
複数の雇用保険適用事業所がある場合は、事業所ごとに別々に申請できます。東京労働局管内に複数の事業所を持つ企業は、それぞれの事業所で申請を進められる可能性があります。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 東京都正規雇用転換安定化支援助成金(令和8年度第1回) |
| 最大助成額 | 190万円(基本100万円+加算最大90万円) |
| 補助率 | 100%(全額助成) |
| 対象地域 | 東京都(東京労働局管内の事業所) |
| 対象 | 中小企業事業主 |
| 交付申請期間 | 2026年5月1日〜5月31日 |
| 支援期間 | 2026年7月1日〜9月30日 |
| 実績報告期間 | 2026年10月1日〜10月25日 |
| 実施機関 | 東京都(東京都正規雇用化推進窓口) |
| 問い合わせ | 03-6205-6730(平日8時30分〜17時15分) |
| 公式ページ | TOKYOはたらくネット |
ありがとうございます。非正規社員を正社員転換して、さらに育成・定着まで支援してくれる制度なんですね。
まとめると、「正社員転換後に職場環境を整備した企業が、最大190万円の助成を受けられる東京都独自の制度」です。すでにキャリアアップ助成金を使って正社員転換を進めている東京都内の中小企業にとって、ぜひ活用したい制度です!
第1回の申請締め切りは2026年5月31日なので、急いで確認が必要ですね!
そのとおりです。GビズIDを持っていない方は郵送申請を使うか、今から電子申請の準備を始めましょう。東京都の雇用系助成金は第2回以降も受付があるので、まずは
公式ページの手引きを入手して要件を確認することから始めることをお勧めします。
他にも東京都内で使える補助金・助成金を調べたい方は、
東京都の補助金一覧もぜひチェックしてみてください。