室谷さん、東京都が2026年度から「就職氷河期世代等安定就業サポート助成金」っていう新しい助成金を始めたって聞いたんですけど、これってどんな制度なんですか?
ほんとに!しかも令和8年度から名前が変わって、内容もかなり拡充されたんですよ。旧名称は「就職氷河期世代等待遇向上支援助成金」だったんですが、今年から「安定就業サポート助成金」として生まれ変わり、対象者数が1事業所あたり3人から5人に増えました。
えっ、名前が変わったんですか!それはちょっと混乱しそうですね。
そうなんです!実務的に重要なポイントで、旧制度で申請した方も令和8年度は新制度として申請する必要があります。で、今回の最大のポイントは最大240万円の助成金が交付されることです。しかも補助率は100%、つまり対象経費がそのまま出てくる仕組み!
100%ってすごいですね!対象者の「就職氷河期世代」って、具体的にどんな方を指すんですか?
ざっくり言うと1990年代後半から2000年代初頭、いわゆるバブル崩壊後の就職難の時期に就職活動をされた方々ですね。この世代は十分なキャリア形成の機会を逃した方が多く、正規雇用へのアクセスが今でも難しいという問題があります。東京都はそこに手を当てようとしているわけです。
なるほど〜。それで助成金を出して企業に採用を促すと。では実際に申請できる企業の条件はどういったものでしょう?
申請できる企業の条件を教えてください。誰でも申請できるわけじゃないですよね?
そうですね!大きく2つのルートがあります。1つ目は国の「特定求職者雇用開発助成金」の中高年層安定雇用支援コース又は就職氷河期世代安定雇用実現コースの支給決定を受けた事業主。2つ目は都の就職支援事業を利用して対象者を採用した事業主です。
これが充実してて!東京都が実施している8つの就職支援事業のことです。就活エクスプレス、ミドルチャレンジ(Jobトライ)、東京しごと塾、就職チャレンジ多摩(ミドルコース)、雇用創出・安定化支援事業、ものづくり産業人材確保支援事業、成長産業人材雇用支援事業、キャリアチェンジ再就職支援事業の8つですね。
そんなにあるんですか!企業規模の制限はありますか?
はい、中小企業事業主が対象です。あと、東京労働局管内に雇用保険適用事業所があることも必須条件。対象業種はほぼ全業種で、漁業・建設業・製造業から情報通信業、サービス業、医療・福祉まで広く対象になっています!
- 中小企業事業主であること(大企業は対象外)
- 東京労働局管内に雇用保険適用事業所があること
- 以下のいずれかに該当すること:
- 国の特定求職者雇用開発助成金(中高年層安定雇用支援コース又は就職氷河期世代安定雇用実現コース)の支給決定を受けていること
- 都の就職支援事業8事業を利用し、事業者から職業紹介を受けて対象者を採用していること
- 1年度につき1雇用保険適用事業所ごとに最大5人まで申請可能
大企業は対象外なんですね。では対象となる労働者の条件はどんなものでしょうか?
そうなんです。コースが2つあって、それぞれ対象者の要件が違います。正規雇用等コースと安定有期雇用コースですね。
正規雇用等コースは、正規雇用労働者として採用した場合、または有期雇用で採用して6か月未満で正規転換した場合が対象です。有期雇用でも、労働契約期間が3年以上(シニア世代は2年以上)の方も含まれます!
そうなんですよ!安定有期雇用コースもあって、こちらは有期雇用で採用し、労働契約期間が1年以上3年未満(シニア世代は1年以上2年未満)の方が対象です。短期のパートやアルバイトは対象外で、ある程度の雇用安定性が求められます。
採用時に55歳以上の方のことです。令和6年度以降の就職支援事業参加者が対象になります。就職氷河期世代より年上の方も対象に含まれているのがポイントですね!
| 区分 | 対象労働者の要件 |
|---|
| 正規雇用等コース | 正規雇用または有期雇用(契約期間3年以上)で採用 |
| 正規雇用等コース(転換) | 有期採用後6か月未満に正規転換 |
| 安定有期雇用コース | 有期雇用(契約期間1年以上3年未満)で採用 |
| シニア世代(55歳以上) | 安定有期雇用コースは契約期間1年以上2年未満 |
条件をクリアした労働者を採用したら、次はどんな取り組みが必要なんですか?
そうなんです!採用後に支援期間(3か月間)中に以下の3つの取り組みを実施することが必須です。これをやらないと助成金はもらえません。
1つ目は「3年間の指導育成計画の策定」(安定有期雇用コースは1年間)、2つ目は「指導育成者(メンター)の選任とメンターによる指導」、3つ目は「指導育成計画に基づく研修の実施」です。これがベースで、さらに4つの加算制度があります!
退職金制度整備加算として新たに退職金制度を設けて労働基準監督署に届け出たり中退共に加入したりすると+10万円。結婚・育児支援制度整備加算として結婚・育児関連の休暇や一時金制度を整備して届け出ると+10万円。そして2026年度から新設された介護支援制度整備加算で介護関連の有給休暇制度を整備すると+10万円!
令和8年度から介護支援が新設されたんですね!ほかにも加算がありましたっけ?
そう!最後は賃上げ加算。対象労働者の時間単価を60円以上賃上げした場合に追加助成があります。1人12万円、5人で60万円です。賃上げ後の賃金が東京都最低賃金を60円以上上回ることが条件です。
- 退職金制度整備加算: 新規に退職金制度を整備し届け出 → 10万円加算(1事業主1回限り)
- 結婚・育児支援制度整備加算: 育児・結婚関連の休暇・一時金制度の整備と届け出 → 10万円加算(1事業主1回限り)
- 介護支援制度整備加算(令和8年度新設): 介護関連の有給休暇制度の整備と届け出 → 10万円加算(1事業主1回限り)
- 賃上げ加算: 対象労働者の時間単価を60円以上賃上げ → 1人12万円(最大5人・60万円)
加算をフル活用すると結構な金額になりますね!次は気になる助成金額の話を教えてください。
結局いくらもらえるんですか?コース別に教えてください!
じゃあ正規雇用等コースから。こちらは
対象労働者1人につき30万円で、最大5人まで対応。合計最大150万円になります。安定有期雇用コースは1人20万円で5人で100万円。そして加算を合わせると
最大240万円が上限です!
就職氷河期世代等安定就業サポート助成金 助成金額一覧
最大240万円!具体的な組み合わせ例を教えてもらえますか?
例えば正規雇用等コースで5人採用して、退職金・育児支援・介護支援の3加算を全部取って、さらに5人全員を賃上げしたとします。150万円(5人分)+ 30万円(3種の加算)+ 60万円(賃上げ5人)= 240万円になります!
なるほど!加算をうまく組み合わせれば最大になるわけですね。
| コース | 対象人数 | 基本助成額 | 加算上限 | 合計上限 |
|---|
| 正規雇用等コース | 最大5人 | 150万円 | 90万円 | 240万円 |
| 安定有期雇用コース | 最大5人 | 100万円 | 加算なし | 100万円 |
| 対象労働者数 | 正規雇用等コース | 安定有期雇用コース |
|---|
| 1人 | 30万円 | 20万円 |
| 2人 | 60万円 | 40万円 |
| 3人 | 90万円 | 60万円 |
| 4人 | 120万円 | 80万円 |
| 5人(上限) | 150万円 | 100万円 |
そうなんです。有期雇用を安定させることを目的としたコースなので、制度整備などの加算は対象外なんです。それでも5人で100万円はかなりの金額ですよ!では申請の手続きについて説明しますね。
申請はJグランツ(電子申請)と郵送・窓口の2つの方法があります。手順を順番に見ていきましょう!
就職氷河期世代等安定就業サポート助成金 申請の流れ
デジタル庁が運営する補助金・助成金の電子申請ポータルです!使うにはGビズIDプライムのアカウント取得が必要です。アカウント取得には審査があって、発行まで時間がかかることがあります。今から申請を考えている方は今すぐGビズID取得の準備を始めてください!
郵送か窓口申請でも受け付けていますよ。ただし注意点があって、電子申請で出したら以後の実績報告等も電子申請のみ、郵送・窓口で出したら以後も郵送・窓口のみという縛りがあります。途中で切り替えはできないんです。
交付申請時に選んだ申請方法(電子/郵送・窓口)は、実績報告・撤回届・中止申請書にも同じ方法を使わなければなりません。途中で変更することはできません。あらかじめどちらで申請するかを決めてから手続きを開始しましょう。
書類の準備も大変そうですが、具体的にどんな書類が必要なんでしょうか?
申請にあたって必要な書類をざっと教えてもらえますか?
基本的な書類として事業計画書兼交付申請書(様式第1号)、誓約書(様式第2号)、同意書(様式第11号の2)、支払金口座振替依頼書が必要です。加算を申請する場合はそれぞれの加算に対応した確認票が追加で必要になります。
はい!退職金制度整備加算なら退職金規程と労働基準監督署への届出書類、結婚・育児支援や介護支援加算は就業規則の変更と届出書類、賃上げ加算は賃金支払実績確認表が必要です。これらはすべてTOKYOはたらくネットからダウンロードできます。
そこは実はセルフチェックリストがとても便利です!交付申請時用、実績報告時用、撤回・変更・中止時用と場面ごとにチェックリストが用意されていて、書類の漏れを防げます。申請前に必ずセルフチェックリストで確認してから提出するのがプロのやり方です。
- FAXやメールでの申請・問い合わせは不可
- 消えるタイプのボールペンは使用不可
- 郵送の場合はレターパック等の送達記録が残る方法で送付
- 信書に該当するため宅配便・メール便は使用禁止
- 書類不備や期間外の申請は受け付け不可
書類の不備で弾かれるのは怖いですね。では窓口や問い合わせ先を教えてください。
- 窓口: 東京都正規雇用化推進窓口(就職氷河期世代等安定就業サポート助成金担当)
- 所在地: 〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町2-42-10 ハローワーク5階
- 電話: 03-6205-6730(ダイヤルイン)
- 受付時間: 平日 8時30分から17時15分まで(12月29日から1月3日を除く)
- 様式ダウンロード: TOKYOはたらくネット
新宿のハローワーク内にあるんですね。電話での問い合わせもできるんですよね?
できますよ!ただしFAXとメールでの問い合わせは一切対応していないので、電話か直接窓口に来るかのどちらかです。問い合わせが集中する時期もあるので、なるべく余裕をもって連絡してください。
わかりました。ところで申請期間って第1回だけじゃないんですよね?
そうなんです!令和8年度は第1回から第6回まで計6回の交付申請受付期間が設定されています。ただし予算の範囲を超えた場合、年度途中でも受付を終了することがあります。早めの申請をおすすめします!
申請したら確実に通るものなんですか?落ちることもある?
助成金は要件を満たしていれば原則交付されます。ただし予算が尽きた場合は打ち切りになるので、要件を満たしていることと早期申請が最重要です。要件を正確に理解して申請することが合格への近道ですね!
多いのは書類不備と要件確認のミスです。例えば採用から1か月が経過していない時点で申請してしまうケース、或いは支援期間中に3つの必須取り組みを全て実施していないケース。実績報告の段階で発覚すると交付が取り消しになることもあります。
そうです!特に指導育成計画書は3年分の計画を事前に作る必要があります。採用時からしっかり取り組みをデザインして、途中でメンターを変えたり研修が不十分にならないよう注意です。
- 早期申請: 予算が尽きる前に申請する。第1回の5月1日から準備を整えておく
- 書類の完備: セルフチェックリストを活用し、書類不備で弾かれないようにする
- 計画的な支援実施: 採用前から3年間の指導育成計画を設計し、3か月の支援期間中に確実に実施する
GビズIDの話も出ましたが、準備に時間がかかるものを教えてください。
申請まで時間がないですが、今からできる準備はありますか?
まず最優先でやってほしいのがGビズIDプライムの取得です。デジタル庁の審査があって、書類送付から発行まで数週間かかることもあります。Jグランツで電子申請したい場合は今すぐ申請を!
もう一つは申請の手引きをダウンロードして熟読すること。TOKYOはたらくネットに「郵送申請の手引き」と「電子申請の手引き」の2種類があって、どちらで申請するかを決めてから該当の手引きを読み込んでください。要件の詳細が全部書いてあります。
採用要件の確認ですね。都の就職支援事業を利用して採用した場合は、事業者から職業紹介を受けたという証明書類が必要です。採用後に慌てて揃えようとすると間に合わないケースがあるので、採用時から書類を保管しておくことが大切です。あと国の助成金ルートで申請する方は、特定求職者雇用開発助成金の支給決定通知書を手元に用意しておいてください!
令和8年度から変わった点をまとめて教えてもらえますか?
はい!大きく3点あります。まず助成金の名称変更。旧「就職氷河期世代等待遇向上支援助成金」から「就職氷河期世代等安定就業サポート助成金」に変わりました。
2点目は申請できる対象労働者数の拡大。1事業所あたり3人から5人に増えました!これで最大助成額も上がっています。3点目が介護支援制度整備加算の新設です。これは令和8年度から初めて設けられた加算で、介護に関する有給休暇制度を整備すると+10万円もらえます!
| 変更点 | 令和7年度まで | 令和8年度から |
|---|
| 制度名 | 就職氷河期世代等待遇向上支援助成金 | 就職氷河期世代等安定就業サポート助成金 |
| 申請対象者数(1事業所) | 最大3人 | 最大5人 |
| 介護支援制度整備加算 | なし | あり(10万円) |
全体的に使いやすくなった感じがしますね!では他の東京都の助成金との比較もしてもらえますか?
似たような東京都の助成金と比べて、どんな特徴があるか教えてください。
まず同じく令和8年度第1回として受付中の
東京都正規雇用転換安定化支援助成金と比較してみましょう。こちらは有期雇用労働者を正規転換した場合に最大190万円が交付される制度です。
190万円ですか。この助成金の240万円とはどう違うんでしょうか?
一番の違いは対象が「採用」か「転換」かという点。今回の就職氷河期世代等安定就業サポート助成金は就職氷河期世代・シニア世代を新規採用した企業向けで、正規雇用転換安定化支援助成金はすでに雇用している有期雇用労働者を正規転換した場合です。両方の要件を満たす場合は、どちらの助成金が有利か確認することをおすすめします。
同じ労働者で同時に複数の助成金を申請することは基本的に難しいですが、別々の労働者に対して申請することは可能です。
東京都中小企業障害者雇用支援助成金(最大198万円)など、他の属性の方を採用する助成金とは組み合わせて活用できます!
いろんな制度があるんですね!では最後によくある質問をまとめてください。
まず「都の就職支援事業を利用した採用」という要件ですが、対象の8事業に参加した方を採用した後に助成金申請するもので、事前登録や届け出は不要です。ただし採用時に職業紹介を受けたという書類を保管しておく必要があります!
「1人採用でも申請できるか?」という質問も多いです。もちろん1人でも30万円(正規雇用等コース)の申請ができます。複数人採用した場合はその分増えていく計算です。加算は労働者数に関わらず1事業主あたり1回限りなので注意が必要ですよ。
あと、受付が終了する可能性があるってことでしたが、終了したらどうなりますか?
年度途中でも予算が尽きたら申請受付が終了します。この場合、TOKYOはたらくネットでお知らせがあります。終了した後は次の回(第2回以降)か次年度まで待つことになります。第1回を逃すと次は第2回の申請受付まで待つことになるので、早め早めの行動が本当に大事です!
今のうちに急いで準備しないといけないですね!今日はたくさん教えてもらってありがとうございました!
まとめると、就職氷河期世代やシニア世代の採用を考えている東京都の中小企業にとって、この助成金は最大240万円・補助率100%という非常に手厚い支援です。令和8年度から申請可能な人数が拡大され、新たな加算制度も加わりました。2026年5月31日の第1回締切に向けて、GビズIDの取得と書類準備を今すぐ始めてください!
| 項目 | 内容 |
|---|
| 助成金名 | 東京都就職氷河期世代等安定就業サポート助成金 |
| 対象 | 東京都内の中小企業(雇用保険適用事業所を持つ事業主) |
| 助成対象 | 就職氷河期世代・シニア世代の採用と育成支援 |
| 補助率 | 100%(定額交付) |
| 上限額 | 240万円(正規雇用等コース5人+全加算) |
| 申請受付(第1回) | 2026年5月1日〜2026年5月31日 |
| 支援期間(第1回) | 2026年7月1日〜2026年9月30日 |
| 実績報告(第1回) | 2026年10月1日〜2026年10月25日 |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請)または郵送・窓口 |
| 実施機関 | 東京都産業労働局 |
| 公式ページ | TOKYOはたらくネット |