富山県の中小企業が海外で特許や商標を取りたいとき、費用って相当かかりますよね。そのあたりをサポートしてくれる補助金があると聞いたんですが。
ありますよ!令和8年度「富山県中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」です。富山県内の中小企業が外国で特許、実用新案、意匠、商標の出願をするときにかかる費用の半額を補助してくれる制度です。実施しているのは公益財団法人富山県新世紀産業機構(TONIO)で、令和8年度の公募が2026年5月15日に始まりました。
出願の種類によって変わります。一番大きいのが特許出願で上限150万円。実用新案・意匠・商標はそれぞれ上限60万円。抜け駆け対策商標(悪意の第三者に先に出願されないための対策商標)は上限30万円です。複数案件を同時申請できて、1社あたりの年間上限は300万円です。
へえ、種類ごとに細かく設定されてるんですね。複数案件を一度に出せるのも嬉しい。
そうなんです。たとえば特許1件と商標1件を同時に出すなら最大210万円まで補助が出る計算になりますね。
令和8年度富山県海外出願支援事業 補助額一覧
| 出願種類 | 補助金額(上限) | 補助率 |
|---|
| 特許出願 | 150万円 | 1/2以内 |
| 実用新案出願 | 60万円 | 1/2以内 |
| 意匠出願 | 60万円 | 1/2以内 |
| 商標出願 | 60万円 | 1/2以内 |
| 抜け駆け対策商標出願 | 30万円 | 1/2以内 |
| 1社年間合計上限 | 300万円 | — |
「抜け駆け対策商標」って初めて聞いたんですけど、どういうものですか?
日本国内で既に出願・登録済みの商標を、海外の第三者が先に現地で無断出願してしまうことがあるんです。これを「抜け駆け出願」と言います。アジア圏では特にやっかいな問題で、日本ブランドが現地でコピーされる前に先手を打つための出願が「抜け駆け対策商標」です。この対策商標に対しても最大30万円が補助されるのが、この制度のちょっとユニークなところですね。
なるほど!海外展開を狙う富山の会社にとっては、ブランド保護の観点でも使える制度なんですね。次のセクションでは、どんな会社が対象になるかを聞かせてください。
実際に申請できる会社はどういう条件を満たす必要があるんですか?
まず大前提として富山県内に主たる事業所を有する中小企業者であることが条件です。グループ申請の場合は構成員の2/3以上が中小企業者であること。みなし大企業(資本系列等で実質的に大企業扱いになる企業)は対象外ですので注意が必要です。
みなし大企業に引っかかる中小企業ってどういう会社ですか?
発行済株式の2分の1以上を同一の大企業が保有している会社、あるいは大企業役員が役員総数の2分の1以上を占めている会社などが該当します。資本金5億円以上の法人に100%保有されている場合も該当しますね。それ以外にも、直近3年平均の課税所得が15億円超の場合も対象外になります。
わかりました。それ以外にはどんな要件がありますか?
- 富山県内に主たる事業所があること(みなし大企業を除く)
- 国内弁理士等の協力が得られること(または現地代理人に直接依頼できること)
- 外国出願と国内出願の出願人名義が同一であること
- 権利活用の事業計画または抜け駆け対策の意思を持っていること
- 外国出願に必要な資金能力と資金計画を有していること
- 採択後5年間のフォローアップ調査に協力できること
弁理士の協力が得られること、というのは具体的にはどういうことですか?
外国特許庁への出願業務を依頼できる国内弁理士を確保しているか、あるいは自社で現地代理人に直接依頼できる体制があるかどうかですね。弁理士なしで自分で出願手続きをしようとしてもほぼ不可能ですし、そういう企業は対象外です。まだ弁理士が決まっていない場合は、TONIO(富山県新世紀産業機構)に相談すると紹介してもらえることもあります。
国内出願との名義が同一というのも気をつけないといけないですね。子会社名義で出願していて、別会社で申請しようとすると引っかかりますね。
そのとおりです。グループ企業でよくある落とし穴なので、出願人名義は事前に確認しておきましょう。また、地域団体商標の外国出願については商工会議所・商工会・NPO法人等も対象になりますので、中小企業以外でも申請できるケースがあります。補助対象となる外国出願の条件についても次に見ていきましょうね。
出願そのものにも条件があるんですか?どんな出願が対象ですか?
対象は外国特許庁への特許・実用新案・意匠・商標(抜け駆け対策商標含む)の出願です。基本的な条件は応募時点で既に日本国特許庁に出願済みであること。その国内出願を基礎にして優先権を主張しながら外国出願するケースが主な対象です。
PCT出願(特許協力条約に基づく国際出願)も対象ですが、日本の特許出願を優先権主張の基礎にしないダイレクトPCT出願の場合は日本への国内移行予定のものに限ります。ハーグ出願(意匠の国際出願制度)については出願時に日本国を指定締約国に含むものが対象です。
商標については優先権がない外国出願も可ということですが?
そうです。商標は特許と違って優先権主張なしで外国出願することが普通のケースも多いですし、抜け駆け対策商標は性質上、優先権主張より先に現地で押さえることが重要だったりします。そのため、商標については優先権のない外国出願も対象になっています。
なるほど、実態に合わせた設計ですね。もう一つ、「先行技術調査等の結果から外国での権利取得の可能性が明らかに否定されないこと」という条件が気になりました。
これは審査段階で使われる要件で、「既に海外で同じ発明・商標が権利化されていて、どう見ても登録できない案件」には補助しないということです。事前に先行調査をして可能性があると判断されたものを申請する、というスタンスですね。
- みなし大企業(資本・役員構成が大企業支配下)
- 外国出願と国内出願で出願人名義が異なる
- 令和8年12月31日までに出願手続きが完了しない見込みの案件
- 先行技術調査等で外国での権利取得可能性が否定されている案件
- 資金能力・資金計画が不十分と判断される場合
スケジュールが厳しいですね。12月31日までに全部完了しないといけないんですか。
補助対象期間は交付決定日から令和8年12月31日までです。審査結果が7月中下旬に通知されますから、採択から約5ヶ月で出願手続きを全て完了させる必要があります。外国出願は翻訳・現地代理人手続きなど時間がかかりますから、採択後すぐに動けるよう準備を整えておくことが大事です。
| 経費区分 | 内容 |
|---|
| 外国特許庁への出願手数料 | 外国特許庁に出願する際の官庁手数料 |
| 現地代理人費用 | 外国特許庁に出願するための現地の弁護士・弁理士費用 |
| 国内代理人費用 | 外国特許庁に出願するための国内代理人(弁理士)費用 |
| 翻訳費用 | 出願書類の外国語への翻訳費用 |
これって実際どのくらいの金額になるものなんですか?
国や出願種類によってかなり違いますが、特許1件を米国に出願する場合で、翻訳・代理人費用込みで100〜300万円ほどかかるのが一般的です。中国や欧州への出願も同規模です。補助率が2分の1ですから、特許1件で最大150万円が戻ってくるというのは非常に大きな支援ですよね。
それは確かに助かる!国内の弁理士費用も含まれるのはいいですね。逆に対象にならない経費ってありますか?
記載はないですが、補助対象経費として明示されていない費用は対象外になります。たとえば社内の人件費や移動交通費、出願後の登録維持費(年金)などは含まれません。また、交付決定日より前に発生した費用は遡って補助できない点も注意が必要です。採択後に動き始めるのが鉄則です。
交付決定日より前はダメなんですね。それでは申請の流れも教えてください。
申請受付期間は令和8年5月15日から6月12日17時必着です。申請方法は2通りあります。
書類の準備
交付申請書(様式1-1または1-2)、資金計画書(Excel様式)を用意。賃上げ予定の企業は従業員賃金引上げ計画の表明書も必要。
事前確認(必須・推奨)
受付締切の1週間前(2026年6月5日ごろ)までに申請書と資金計画、添付書類一式をメール(renkei@tonio.or.jp)に送付して事前確認を依頼。受付後は書類の追加修正不可のため、この事前確認を強くおすすめ。
本申請
以下のいずれかで提出。
郵送: 〒930-0866 富山市高田529番地 技術交流ビル1F へ
持参: 受付時間9時から17時(土日除く)
Jグランツ(電子申請)+郵送併用: Jグランツで基礎情報を入力し、その他書類は別途郵送
Jグランツ電子申請を使う場合のGビズID取得
Jグランツ利用には「GビズID」が必要。取得には2〜3週間の審査期間があるため、電子申請を検討する企業は今すぐ取得手続きを開始する。
審査(書類審査+プレゼン)
書類審査と申請者によるプレゼンテーション(非公開)が実施される。
事業実施
交付決定日から令和8年12月31日までに外国特許庁への出願手続きを全て完了させる。
実績報告・補助金受領
補助事業完了後に実績報告書を提出し、審査後に補助金が交付される。
Jグランツを使う場合、それだけじゃ受理されないんですね。郵送が必須なんですか。
そうなんです。Jグランツで入力できるのは企業情報などの基礎情報のみで、申請書や資金計画書などの添付書類は別途郵送または持参が必要です。電子申請単独では受理されないのでご注意ください。
GビズIDが2〜3週間かかるのは盲点ですね。今から取っても6月12日に間に合うかどうか…。
申請期間の開始が5月15日で締切が6月12日なので、今日(5月15日)からGビズIDの申請をしても審査に2〜3週間かかると6月上旬にはなんとか取れる計算ですが、ギリギリです。
Jグランツを使わない郵送・持参申請なら今すぐ動けますので、GビズIDを持っていない企業は郵送での申請を検討した方が確実です。
令和8年度富山県海外出願支援事業 申請フロー
審査ではどういう点が評価されるんですか?採択されるためのコツがあれば教えてください。
審査は書類審査とプレゼンテーションの2段構えです。公式に審査基準の詳細は公表されていませんが、この種の補助金で見られるポイントは共通しています。
- 権利活用の事業計画が具体的: 外国で権利が成立したとき「どの市場でどう活用するか」が明確に書かれているか。「海外展開したい」では弱く、「〇〇市場に2027年に進出予定で、この特許で競合を排除する」くらいの具体性が求められる。
- 先行技術調査をしっかり実施している: 「外国での権利取得の可能性が明らかに否定されないこと」が条件。弁理士による先行技術調査の結果や意見書を添付すると説得力が増す。
- 資金計画が現実的: 補助対象経費の見積もりが具体的で、自己負担分の確保見込みも明示されている。概算ではなく弁理士からの正式な見積書があると強い。
- プレゼンで伝える「なぜこの国か」: 審査プレゼンでは「なぜ今その国に出願するのか」「どういうビジネス上の根拠があるか」を論理的に説明できると評価が高い。
プレゼンもあるんですね!書類だけじゃないのは大変ですが、逆にそこで挽回もできますね。
そうです。書類が少し弱くても、プレゼンで事業の具体性や経営者の本気度が伝われば採択されることもあります。逆に書類がきれいでもプレゼンで「よくわからない」となると落ちやすい。審査員に「この企業が採択されれば権利を実際に活用して海外展開する」と確信させることが大事です。
採択された場合は法人番号・社名・所在地・交付決定金額が公表されます。また採択後5年間はフォローアップ調査も実施されます。補助金をもらって終わりではなく、ちゃんと活用できているかを追跡されるわけです。それもあって、「本当に海外展開をする気がある」企業に向いている補助金と言えます。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 正式名称 | 中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業) |
| 実施機関 | 公益財団法人富山県新世紀産業機構(TONIO) |
| 対象地域 | 富山県内に主たる事業所を有する中小企業等 |
| 補助率 | 補助対象経費の1/2以内 |
| 補助上限 | 特許150万円、意匠・実用新案・商標各60万円、抜け駆け対策商標30万円(1社年間300万円上限) |
| 申請受付期間 | 2026年5月15日〜2026年6月12日17時必着 |
| 審査結果通知 | 2026年7月中下旬(予定) |
| 補助対象期間 | 交付決定日〜2026年12月31日 |
| 申請方法 | 郵送・持参またはJグランツ(電子)+郵送併用 |
| 問い合わせ | イノベーション推進センター連携促進課 TEL 076-444-5606 |
| 公式URL | https://www.tonio.or.jp/search/2026-1chizai/ |
ありがとうございます。申請書類の様式はどこで入手できますか?
TONIO(富山県新世紀産業機構)の公式ページからダウンロードできます。申請書様式(特許・意匠・商標用の様式1-1と抜け駆け対策商標用の様式1-2)、資金計画書のExcel、記載例・留意事項も公開されています。Q&A集も公開されているので、記載例と合わせて読むと申請書作成がぐっと楽になります。
外国出願をサポートする補助金って、富山以外にもあるんですか?
あります!全国向けには特許庁が窓口の「中小企業等外国出願支援事業」が都道府県・公益財団法人を通じて実施されていて、今回の富山の制度もこれに連なるものです。東京都や長野県など、他の都道府県にも同様の外国出願支援制度があります。INPITが実施する中間手続補助の制度も別枠でありますよ。
せっかくなので比較してみたいです。どんな違いがあるんですか?
補助率はどこも1/2で横並びなんですね。上限額はかなり差がありますが。
そうです。富山・長野は年間300万円という大きな枠が用意されているのが特徴的です。東京都の実用新案出願助成は上限60万円と小ぶりで、INPITの中間手続補助は出願後の中間応答手続きに特化した別枠の補助金ですね。制度の枠組み(交付要綱・実施要領)は経済産業省が定めていて、各都道府県の産業振興機関が実施機関として運営する形が基本です。
- 補助率: いずれも1/2と同水準
- 対象地域: この制度は「富山県内に主たる事業所」が必須条件。東京や大阪の企業は該当する地域の制度を確認
- 特徴: 富山の制度は抜け駆け対策商標への対応が手厚い(上限30万円)
- J-PlatPat活用: 出願前に特許情報プラットフォームで先行技術調査をしておくと、申請時の説得力が増す
富山県外の中小企業には使えないんですね。でも、富山の企業にとっては間違いなく活用すべき制度ですね。
全くその通りです。外国出願は費用の大きさで諦めてしまう企業が多いですが、この補助金で実質半額になりますから、費用面でのハードルはかなり下がります。
最後に、申請者がよく疑問に思う点を教えてください。
できます!1社年間300万円の上限の中であれば、複数案件の同時申請が可能です。たとえば特許1件(上限150万円)と商標2件(上限60万円×2)を同時申請すれば、合計270万円まで補助対象になります。案件ごとに申請書を別々に作成して提出してください。
なりません。補助対象期間は交付決定日以降です。「採択されると思って先に出願した」という場合、その費用は対象外になってしまいます。採択結果は7月中下旬に通知されますので、それまで出願を待機させる必要があります。
え、それって結構リスクがありますよね。優先権の期限があるのに7月まで待てない案件もあるのでは?
鋭いご指摘ですね。パリ条約の優先権は国内出願から12ヶ月以内に外国出願する必要があります。たとえば国内出願から10ヶ月経った案件は、7月の採択通知を待っていると優先権期限が切れてしまうことがあります。そういう案件はこの補助金の申請対象としてはタイミング的に難しいので、TONIO に事前相談した上で判断してください。
受付期限後の書類の追加・修正は一切受け付けてもらえません。不備があった場合でも受付不可になります。だからこそ、締切1週間前(6月5日ごろ)までにメールで事前確認を依頼するのが非常に重要なんです。「内容を見てもらえる」という貴重な機会なので、必ず活用してください。
賃上げを予定している企業のみ提出が必要な書類です。提出することで審査で加点になる可能性があります。常時従業員がいる場合は別紙1-1、いない場合は別紙1-2を使います。
詳しく教えていただきありがとうございます!最後に、富山県内で海外展開を考えている中小企業にメッセージをお願いします。
外国出願は「費用が高くて無理」と諦めてしまう企業が本当に多いんです。でも、この補助金を使えば実質半額で出願できます。海外市場で競争力を持つためには知的財産権の取得が不可欠な時代ですから、2026年6月12日の締切前にまず一度TONIOに相談してみてください。Q&A集や記載例も充実していますし、事前確認制度もありますから、初めての方でも安心して申請できる体制が整っています。
申請受付の締切は2026年6月12日17時必着です。書類不備での受付不可を避けるため、遅くとも2026年6月5日ごろまでに事前確認のメールを送付してください。GビズIDを持っていない企業は、電子申請を使わず郵送・持参での申請がおすすめです。
締切1週間前に動き始めるのが大事なんですね。富山県内の中小企業の方、ぜひ活用してみてください!富山県内の補助金情報をもっと見たい方は、
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