室谷さん、今日はまたずいぶん長い名前の補助金が出てきましたね。「ハイブリッド及び天然ガストラック・バス導入支援事業」……もう一度噛まずに言える自信がありません(笑)。
確かに長いですね(笑)。正式名称は「令和8年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業(ハイブリッド及び天然ガストラック・バス導入支援事業))」です。ただ、かいつまんで言うと、トラックやバスをハイブリッド車や天然ガス車に買い替えるとき、その差額の一部を補助してもらえる制度 なんです。
ああ、いわゆる「エコ車両」への買い替え支援ってやつですね。でもなぜ今、この補助金に注目なんですか?
運輸部門のCO2排出量の約4割をトラック・バスが占めているんですよ。環境省が国土交通省と連携して、環境配慮型の車両普及を後押ししようと、令和8年度もこの事業を継続して実施しています。補助率は標準的なディーゼル車との価格差の2分の1 。これは結構大きいですよ。
なるほど!「価格差の半分」ってなかなかの手厚さですね。どんな車両が対象になるんですか?
大きく2種類です。1つはハイブリッド自動車 。エンジンとモーターを組み合わせたタイプで、プラグインハイブリッドは除かれます。もう1つは天然ガス自動車 。どちらも継続的に製造され、市場で販売予定の車両である必要があります。
バスとトラック両方いけるんですね。ちなみに、バスの場合は定員の制限とかあるんですか?
あります。ハイブリッド及び天然ガスバスは定員11人以上 が対象です。あと、トラックもバスも、ベース車両に架装物を取り付けた特種車も含まれますよ。トラックの場合は積載があるものに限られますが。
なるほど。じゃあ、路線バスや観光バスから配送用トラックまで、幅広く使えそうですね。
そうなんです。ただし、ハイブリッド連節バスだけは別の補助事業 として別に公募が行われています。この制度の対象からは除かれているので注意してください。
じゃあ、肝心の補助額について詳しく教えてください。上限はいくらなんですか?
ここがちょっと独特でして、補助上限額という固定的な金額は設定されていません 。jGrantsの情報でも「補助上限額 -」と表示されています。代わりに、補助率が「補助対象となるハイブリッド及び天然ガス自動車と同クラスの標準的燃費基準自動車との価格の差額の2分の1 」と定められています。
つまり、エコ車両と普通のディーゼル車の価格差を計算して、その半分が補助金として出る、と。
そうです。例えば、同じクラスの標準的なディーゼルトラックが800万円で、ハイブリッドトラックが1,000万円だとすると、差額は200万円。その半分の100万円が補助金 になります。
おお、具体的にイメージできました。車両価格が高ければ高いほど差額も大きくなりますが、補助金も比例して増えるわけですね。
そうです。車両メーカーやディーラーに見積もりを取るときに、同クラスの標準的燃費基準自動車の価格も提示してもらう 必要がありますので、その準備は忘れずに。
補助額の計算イメージ ケース1:中型トラック
標準ディーゼル車800万円 / ハイブリッド車1,000万円 → 差額200万円 → 補助額100万円
ケース2:大型バス
標準ディーゼル車1,500万円 / 天然ガス車1,800万円 → 差額300万円 → 補助額150万円
ケース3:小型トラック
標準ディーゼル車400万円 / ハイブリッド車500万円 → 差額100万円 → 補助額50万円
なるほど、車両価格が上がれば補助額も上がる構造。車種選びが重要になってきますね。
そうですね。ただし、補助対象車両はあらかじめ財団ホームページに事前登録情報として掲載 されます。購入を検討する前に、必ずそのリストで対象車両かどうかを確認してください。
補助対象事業者は次の3つです。1つ目はトラックを事業の用に供する者 。2つ目はバスを事業の用に供する者 。3つ目はトラック又はバスの貸渡し(リース)を業とする者 で、1つ目か2つ目に貸し渡す場合に限ります。
つまり、運送会社やバス会社がメインターゲットですね。個人事業主のトラック運転手さんも対象になるんですか?
なります。個人事業主であっても「事業の用に供する」のであれば、1つ目の「トラックを事業の用に供する者」に該当 します。業種としても、運輸業・郵便業だけでなく、製造業や金融業、保険業、公務も対象と明記されています。
(笑)そう不思議に思いますよね。でも、例えばリース会社が該当します。リース業は金融業の一部と見なされるんですね。貸渡しを業とする場合、3つ目の区分で対象になります 。
申請できるのは、補助対象車両の自動車検査証上の所有者となる者 です。リースの場合はリース事業者が所有者になりますから、リース事業者が申請者 となります。
じゃあ、実際に車両を使うユーザー企業は直接申請できないんですね。
そういうことです。ただし、リース事業者とユーザー企業で事前に協議して、補助金をリース料に反映させるなどの調整が必要になるでしょう。割賦販売による所有権留保は認められません ので、その点も注意が必要です。
なるほど。所有権がはっきりしていないとダメなんですね。
もう少し車両の条件を細かく教えてください。ハイブリッドと言っても色々ありますよね。
はい。エンジンとモーターを組み合わせた動力源を持つ自動車 が対象です。ただし、プラグインハイブリッドは除かれます ので注意してください。
えっ、プラグインはダメなんですか? よりエコなイメージがありますけど。
確かにプラグインハイブリッドもエコですが、この補助金の趣旨は「既存のハイブリッド技術や天然ガス技術の普及促進」にあります。別の補助制度の対象になる可能性はありますが、この制度では対象外です。
天然ガス自動車についても、同様に継続的に製造され市場で販売予定のもの が対象です。こちらも財団ホームページに事前登録情報が掲載されます。
天然ガス自動車って、最近はあまり見かけませんけど、まだ新しい車両は出ているんですか?
はい、物流業界ではまだまだ一定の需要がありますし、環境省としても普及を後押ししています。特に路線バスや配送トラックで導入事例があります 。あと、特種車も対象になります。例えば、冷凍・冷蔵車やウィング車など、架装物を付けた車両も、ベース車両がハイブリッドや天然ガスであれば対象 です。ただし、トラックの場合は積載があるものに限ります。
大事なポイントです。補助対象車両は、令和8年4月1日(水)から令和9年2月26日(金)までに新車として新規登録 する必要があります。ただし、購入後に交付申請する場合は、令和9年1月29日(金)まで に登録されていることが条件です。
この制度は、購入前に交付申請する場合(事前申請)と、購入後に実績請求する場合(事後申請)の2パターン があります。事前申請なら登録期限が令和9年2月26日まで、事後申請ならそれより早い令和9年1月29日までに登録が必要になります。
つまり、車両を買ってから申請する場合は、登録期限が1ヶ月近く短いんですね。注意が必要だ。
そうなんです。スケジュールをしっかり把握しておかないと、せっかく買った車両が補助対象外になってしまうリスクがあります。
受付期間は、**令和8年7月17日(金)から令和9年1月29日(金)**までです。長期間ありますが、申請は先着順 で行われます。
先着順! じゃあ、早く申請した方が有利なんですね。
その通りです。ただし、ちょっと特殊なルールがあります。予算額の残額が2割程度に達した場合、申請受付期間をその日から1ヶ月(30日)後までに制限 するという制度なんです。
つまり、予算が残り少なくなったら、新規の申請を受け付ける期間を30日間に区切るんです。そして、その30日の間に来た申請の中から、抽選で補助事業者を決定 します。
通常は先着順なんですが、予算残額が2割を切ると申請が殺到する可能性があります。そうなった場合、公平を期すために抽選に切り替わるんです。予算残額が2割程度に達したことは財団ホームページで公表 されますので、こまめにチェックしてください。
なるほど。余裕を持って早めに申請した方が、先着順で確実に通る可能性が高いわけですね。
そういうことです。しかも、一度の申請で多数の車両を申請する場合、事業所ごとなどに分けて申請するよう求められることもあります 。計画は早めに立てておきましょう。
この補助金は、jGrants(日本政府の電子申請システム)を使って申請します。まずは GビズID(政府の共通ID)を取得 しておく必要があります。
GビズID、もう持ってる人は多いですけど、初めての人は事前に取得が必要ですね。
そうですね。申請にはGビズIDでのログインが必須 です。発行に2週間程度かかることもあるので、早めに準備しましょう。
補助金申請の流れ 1 GビズIDを取得
政府の共通ID。事前に発行しておく
2 公募要領を確認
対象経費・要件・書類を公式サイトで確認
3 車両の見積もり取得
ハイブリッド/天然ガス車と標準ディーゼル車の価格差を確認
4 必要書類を準備
申請様式・実施計画書・見積書などをそろえる
5 jGrantsから電子申請
ログインして必要事項を入力・添付
6 申請後メール送信
確認メールをtrkbus_oubo@heco-hojo.jpに送信
jGrantsのページに、以下のような様式が用意されています。
R8トラックバス通常申請提出書類一覧表
R8トラックバス通常申請入力シート
様式第1(その2)_実施計画書
リースの場合はリース料金算定根拠明細書
実績申請の場合はR8トラックバス実績申請提出書類一覧表 など
結構たくさんありますね。特に注意すべき書類はありますか?
実施計画書は重要です。事業の目的やCO2削減効果を具体的に記載する必要があります。あと、見積書は必須 で、標準的なディーゼル車の価格と比較できるものを用意しましょう。
へえ、二段階の確認があるんですね。メールを忘れると申請が無効になったりするんですか?
公式ページには「申請後は必ず送付いただきますようお願いいたします」と明記されています。メールを送らないと申請が受理されない可能性があります ので、必ずセットで行ってください。
わかりました。申請して終わりではなく、メール送信までがセットなんですね。
まず、事業の実施によるエネルギー起源二酸化炭素の排出量が確実に削減されること が最重要です。つまり、単に車両を買い替えるだけでなく、CO2削減効果を具体的に示す必要があります。
事業完了後にはCO2削減効果について事業報告書を提出する義務 があります。申請段階でも、導入する車両の燃費や走行距離から、どれだけCO2が減るかを試算して記載することになります。
そうなんです。補助事業の完了後も、善良な管理者の注意をもって管理し、補助金の交付の目的に従って効率的運用を図る 必要があります。
重大な場合は、交付決定の取消しや新たな申請を受理しない という措置があります。財団から改善の指導が入ることもありますので、車両の維持管理と報告はしっかり行いましょう 。
審査・実施のポイント
(1)CO2削減効果を具体的に示すこと(走行距離・燃費の試算)
(2)事業完了後の報告義務を理解していること
(3)善良な管理者として車両を維持管理する意思があること
(4)書類の不備がないこと(見積書・実施計画書など)
書類の不備で落ちるのはもったいないですからね。しっかり準備しなければ。
そうですね。特に見積書の比較対象となる標準的燃費基準自動車の価格 は、間違えると補助額が変わってしまいますので、正確に取得してください。
ここでよくある質問をいくつか確認しておきましょう。
まず多いのは「個人事業主でも申請できるか? 」という質問ですね。これは先ほどもお話しした通り、事業の用に供するのであれば可能です。
次に「リースの場合の申請はどうするのか? 」ですね。これはリース事業者が所有者として申請する形になります。
はい。あと「申請後のメールを忘れた場合どうなるか? 」もよくあります。公式には再送してくださいとしか書かれていませんが、確実に送信するよう強く推奨します 。
環境省の報道発表資料には、別の事業(ハイブリッド連節バス導入支援事業)の問い合わせ先としてTEL: 011-206-1573 が記載されていますが、この通常のトラック・バス事業の電話番号は公募要領でご確認ください。
そういうことです。補助金はルールを正しく理解した者勝ちですからね。
1 補助率は標準ディーゼル車との差額の2分の1(上限額なし) 2 対象はハイブリッド自動車(プラグイン除く)と天然ガス自動車 3 バスは定員11人以上、トラックは特種車も対象 4 受付期間は令和8年7月17日〜令和9年1月29日(先着順) 5 申請前にGビズID取得、申請後に確認メール送信が必須 6 事業完了後はCO2削減効果の報告義務あり 7 執行団体は公益財団法人北海道環境財団
室谷さん、今日は長丁場でしたが、とてもよくわかりました! 最後に一言お願いします。
この補助金は、CO2削減に貢献しながら経費負担も軽減できる絶好のチャンス です。ただし、先着順で予算が尽きる可能性が高いので、計画は早めに立てて、準備ができたらすぐ申請する ことをおすすめします。何より公募要領は必ず熟読してくださいね!
ありがとうございました! これから申請を考えている事業者の皆さん、ぜひ参考にしてください。