室谷さん、今日のテーマは「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(水インフラにおける脱炭素化推進事業)」の四次公募ですよね。名前、めちゃくちゃ長いんですけど(笑)。
そうなんですよ、正式名称を全部言うだけで息が切れます(笑)。略して「水インフラ脱炭素化補助金」って呼ばれてますね。環境省がやっていて、上下水道やダム施設で再エネ設備や省エネ設備を入れるとお金が出るんです。
水インフラって、あまりピンとこないんですが、具体的にどんな施設が対象なんですか?
上下水道施設、ダム施設、あと工業用水道施設や集落排水施設も含まれます。要は水に関わる公共インフラですね。そこに太陽光発電や小水力発電を設置したり、省エネのポンプやインバータを導入したりする事業を支援してくれるんです。
実はこの事業、大きく分けて2つのタイプがあるんです。一つ目が「①水インフラのCO2削減設備導入支援事業」。これは再エネ設備や省エネ設備を導入してCO2を減らすためのもの。もう一つが「②水インフラ由来再エネの地産地消モデル事業」。これは自家消費しきれないほどの再エネポテンシャルがある場合に、民間事業者が発電事業を行い、周辺地域に電力を供給するモデル事業です。
あ、地産地消ってやつですね。電力を作って地域に売るイメージですか?
そうです。水道の流れを利用した小水力発電とかで、施設で使い切れない電力を周辺エリアに供給して、電力の地産地消を実現する。そのモデルを国が支援することで、全国に横展開したい狙いがあるんです。
地球温暖化対策計画で2030年度、2035・2040年度の目標、そして2050年カーボンニュートラルを掲げてますよね。水インフラは電力消費の大きな部門の一つで、まだまだ再エネ導入の余地があるんです。特に下水処理場は24時間動いているから電力消費が大きく、省エネ効果も高い。先行事例を作って他の事業者に波及させたいというのが国の狙いです。
なるほど。だから補助金を使って「成功例」を増やしたいんですね。
制度のポイント2つの支援タイプ
①CO2削減設備導入支援(上限1.0億円)②地産地消モデル事業(上限2.5億円)
対象は全国・全業種
農業から製造業、水道業、情報通信業、公務まで幅広く対象
補助率は最大1/2
再エネ設備は1/2、太陽光は1/3。地産地消モデルは一律1/2
やっぱり気になるのはお金の話ですよ。いくらもらえるんですか?
まず補助率から。①のCO2削減設備導入支援事業は、設備によって分かれます。太陽光発電設備とCO2削減率が15%以上30%未満の省CO2促進設備は3分の1以内。それ以外の再エネ設備(例えば小水力や風力)とCO2削減率が30%以上の省CO2促進設備は2分の1以内。そして上限は事業期間全体で1.0億円です。
太陽光は既に普及が進んでいて、設備価格も下がっているからでしょう。一方、小水力や風力はまだまだ初期投資が大きいので、補助率を高くして導入を後押ししたいんだと思います。
こちらは補助率2分の1以内で、上限は2.5億円と大きいです。民間事業者が発電事業として行うので、より大きなプロジェクトが想定されているんですね。
1.0億と2.5億、かなり差がありますね。どちらも事業期間全体での上限ってことですよね。
そうです。複数年度にわたる事業でも、合計でこの金額を超えないように計画する必要があります。ちなみに「上限は」と書いてあるので、予算の範囲内で決まる形。必ず満額もらえるわけではないので注意が必要です。
例えば、①の事業で太陽光パネルを設置する場合、いくら補助されるんですか?
仮に事業費3000万円だとすると、補助率1/3で1000万円。でも上限1.0億円には収まるので、満額1000万円が支給される可能性があります。ただし、実際には他の事業者との競争があるので、採択されればの話ですがね。
なるほど。補助率と上限、両方を頭に入れておかないといけないですね。
【表】タイプ別 補助額・補助率比較| 項目 | ①CO2削減設備導入支援 | ②地産地消モデル事業 |
|---|
| 補助率 | 太陽光・CO2削減率15%以上30%未満:1/3、それ以外の再エネ・CO2削減率30%以上:1/2 | 1/2 |
| 上限額 | 事業期間全体で1.0億円 | 事業期間全体で2.5億円 |
| 主な対象設備 | 太陽光、小水力、風力、高効率設備、インバータ等 | 水力発電等を活用した発電事業(地産地消) |
申請できるのはどんな事業者ですか?やっぱり水道事業者だけ?
いえいえ、対象業種がものすごく広いんです。農業、林業、漁業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、学術研究、教育、医療・福祉、さらには公務まで。実質ほとんどの業種が対象ですね。
はい、対象です。ただし、補助金を使うのは水インフラ施設に対して、ですからね。例えば病院が所有する浄水場や排水処理施設があれば、そこで再エネ設備を導入できるってことです。
はい、なれます。業種のリストに「農業、林業」「漁業」などがあるので、個人の農家さんが農業用水路を使って小水力発電をする、なんてケースも想定されています。開業届を出していれば大丈夫です。
その通り。従業員数の制約なしと明記されています。大企業でも中小企業でも、個人でも応募できます。ただし、補助金の交付条件として、事業の実施主体がしっかりしていることが求められますけどね。
公務って書いてありますが、市町村の水道局も対象ってことですか?
そうですね。地方公共団体が運営する上下水道事業ももちろん対象です。実際、水道事業は自治体がやっているケースが多いので、この補助金の主要なユーザーになるでしょう。
補助金で購入できる設備や経費の範囲を教えてください。
まず①のCO2削減設備導入支援事業では、再生可能エネルギー設備の設置や省エネ設備の導入が対象です。具体的には太陽光発電設備、小水力発電設備、風力発電設備などの再エネ設備、それから高効率設備やインバータなどの省エネ設備が挙げられます。
太陽光発電は補助率が下がるけど、対象にはなるんですね。
はい、対象です。それと、CO2削減率が15%以上ある設備が「省CO2促進設備」として認められ、削減率によって補助率が変わります。15%以上30%未満なら1/3、30%以上なら1/2です。
こちらは自家消費以上の再エネポテンシャルを活用して、発電事業を行い、周辺地域に電力を供給することが目的です。主に水力発電設備の設置や、送電設備、系統連系に必要な設備などが対象になります。
制度の詳細としては「設備整備」と「IT導入」が利用目的に挙がっています。一般的に設備導入補助金では、設備本体の購入費、設置工事費、基本設計費などが対象になることが多いですが、具体的な経費の範囲は公募要領で必ず確認してください。提示された情報ではそこまで細かく書かれていません。
制度の詳細には明記されていませんが、一般的な補助金のルールとして、土地の購入費や中古設備、維持管理費、人件費などは対象外になることが多いです。ただし、この補助金特有のルールは公募要領や執行団体のホームページで確認してくださいね。
そうです。特に「CO2削減率の計算方法」や「設備の規模要件」は要領に細かく書いてあるので、見落としがないように。
対象経費(可能性が高いもの)と使えない経費(一般的な注意)- 再エネ設備(太陽光・小水力・風力等)
- 省エネ設備(高効率設備・インバータ等)
- 設計費・工事費(公募要領で確認)
- 系統連系設備(②のモデル事業)
×デメリット
- 土地購入費
- 中古設備
- 維持管理費・人件費
- 一般的に補助対象外の経費
令和8年6月18日(木)から令和8年9月18日(金)17時必着です。これは四次公募で、令和7年度予算の最後の公募になる可能性が高いので、逃すとまた来年度まで待たなければなりません。
あと3か月弱ありますから、設備の見積もりや計画書の作成は十分可能でしょう。ただし、執行団体への事前相談や、必要書類の準備に時間がかかるので、早めに動いたほうがいいです。
まず、**GビズID(政府の共通認証システム)**を取得する必要があります。これは電子申請をするための必須アカウントです。次に、公募要領と申請様式を執行団体のホームページからダウンロードして、事業計画書を作成します。そして、JGrants(デジタル庁の補助金ポータル)から電子申請を行います。
システムによりますが、JGrantsでは様式に従って入力し、添付ファイルをアップロードする形式が多いです。詳しくは執行団体の指示に従ってください。
補助金申請の流れ- 1
GビズIDを取得
電子申請に必須。事前にアカウントを作成
- 2
公募要領を確認
執行団体(静岡県環境資源協会)のHPからダウンロード
- 3
事業計画書を作成
補助対象経費・CO2削減効果などを具体的に記入
- 4
JGrantsから電子申請
公募期間内にオンラインで提出
- 5
- 6
交付申請→事業実施
採択後、正式な交付申請手続きを行い、事業開始
執行団体は
一般社団法人静岡県環境資源協会 省CO2促進事業支援センターです。メールでの問い合わせが推奨されていて、アドレスは
center@siz-kankyou.or.jp。電話番号は提示されていませんが、極力メールでと書いてありますね。
環境省が所管だけど、実際の事務は静岡の団体がやるんですね。
そうなんです。国の補助金でも執行団体が地域にあるケースはよくあります。
補助金の目的は「CO2排出抑制」と「先行事例の波及」です。だから、CO2削減効果の大きさや事業のモデル性が重要でしょう。特に①のタイプでは、CO2削減率30%以上で補助率が上がるので、削減効果が高い事業ほど有利になります。
再エネポテンシャルの最大限の活用と、電力の地産地消の実現が目的なので、発電した電力の周辺地域への供給計画や事業の持続可能性が評価されると思います。具体的な審査基準は公募要領に記載されているはずなので、しっかり確認してください。
まず、CO2削減効果を定量的に示すこと。単に設備を導入するだけでなく、導入前後の電力消費量やCO2排出量の比較を明確に書くといいですね。また、先行事例としての波及効果をアピールすること。例えば「この事業をモデルに、他の水道事業者が同じ取組を始める見込み」など、広がりを期待させるストーリーがあると良いです。
なるほど。数字とストーリーの両方が必要なんですね。
最後に、よくある質問をいくつかQ&A形式でまとめましょう。
はい。まず「複数の事業を同時に申請できますか?」。制度上は一つの事業者で複数の申請は可能ですが、予算の範囲内で審査されるので、採択されるとは限りません。また、①と②は別の事業として申請できますが、同じ事業の重複はできません。
基本的には、同じ経費に対して複数の公的補助金を受けることはできません(二重補助の禁止)。ただし、別の経費であれば可能な場合もあります。具体的なルールは公募要領で確認してください。
いいえ、補助金は原則後払いです。まず事業を実施し、実績報告を行ってから、交付額が確定し、その後にお金が振り込まれます。ですから、事業者は一時的に資金を立て替える必要があります。銀行融資などとの併用を検討したほうがいいかもしれません。
今回は四次公募ですが、もし落ちたらまたチャンスはありますか?
令和7年度予算の四次公募なので、これが最終回の可能性が高いです。ただ、来年度(令和8年度)も同様の事業が実施されるかどうかは未定です。環境省の予算次第ですね。今回どうしても必要な場合は、しっかり準備して臨みましょう。
通常、補助金申請時には設備の見積書が必要です。ですから、申請前に対象設備の見積もりを取っておく必要があります。公募期間が始まる前に、複数の業者から相見積もりを取って、適正な金額か確認しておくと安心です。
では最後に、室谷さんからこの補助金のポイントを総括してください。
この補助金は、水インフラの脱炭素化を進めるためのもので、2つのタイプから選べます。補助率は最大1/2、上限額は ①1.0億円、②2.5億円と大型です。対象業種は非常に広く、従業員数制限もありません。ただし、補助金は後払いで、公募期間は令和8年9月18日までと迫っています。
そうですね。特にGビズIDの取得や事業計画書の作成、見積もりの収集は早めに済ませてください。わからないことは執行団体の静岡県環境資源協会にメールで問い合わせるのが確実です。
ありがとうございました!これを聞いて、ぜひチャレンジしたいと思った事業者の方は、すぐに動き出しましょう!