室谷さん、今日は「事業承継・M&A補助金」の事業承継促進枠、15次公募について詳しく聞きたいんですけど…まず気になるのは金額ですよね。いくらまで出るんですか?
はい、佐藤さん。事業承継促進枠の補助上限は、なんと最大1,000万円です!
1,000万円! それは大きいですね。でも、誰でももらえるわけじゃないんですよね?条件があるんですよね?
その通りです。基本の補助上限は800万円なんですが、一定の賃上げを実施する場合に限って1,000万円に引き上げられる仕組みになっています。補助率も小規模事業者かどうかで変わります。
なるほど。賃上げの条件を満たせば上限が上がるんですね。その「一定の賃上げ」って、具体的にはどういう内容なんですか?
補助上限800万円から1,000万円への引上げには、従業員への賃上げ計画が求められます。詳細は公募要領で確認いただく必要がありますが、申請時に賃上げ目標を設定し、事後に達成状況の報告が必要になるケースが多いです。
なるほど。賃上げに取り組む企業を手厚く支援するってわけですね。じゃあ、その800万円でも結構大きいですよ。例えば、製造業の方が新しい機械を入れるとか、飲食店が店舗改装するみたいなイメージですか?
まさにそのイメージです!設備投資費用や店舗・事務所の改築工事費用などが補助対象経費になります。補助率が2/3以内なら、1,500万円の投資のうち1,000万円が補助される計算になりますから、インパクトは大きいですね。
補助率が2/3と1/2の2種類あるって聞いたんですけど、その違いは何ですか?
これは企業規模によって決まります。小規模事業者等に該当する場合は補助率2/3以内、該当しない中小企業者等の場合は補助率1/2以内です。
商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律に基づいて定義されています。簡単に言うと、製造業その他は従業員20人以下、商業(卸売業・小売業)・サービス業は従業員5人以下、宿泊業・娯楽業は従業員20人以下です。
つまり、小さな会社ほど手厚い補助が受けられるってことですね。例えば従業員3人の町のパン屋さんが設備投資するなら、2/3の補助率で最大1,000万円までって計算になるんですか?
その通りです。ただし、補助上限1,000万円は賃上げ条件を満たした場合で、基本は800万円ですから注意してください。パン屋さんが従業員5人以下の小規模事業者なら、補助率2/3で1,200万円の投資に対して800万円の補助、賃上げ条件クリアで1,500万円投資して1,000万円補助、というイメージです。
事業承継促進枠の補助概要補助上限額
基本800万円、賃上げ条件達成で最大1,000万円
補助率
小規模事業者等は2/3以内、それ以外は1/2以内
対象経費
設備投資費用、店舗・事務所の改築工事費用など
対象者
5年以内に親族内承継または従業員承継を予定する中小企業者等
じゃあ、具体的に誰が申請できるんですか?「事業承継促進枠」って名前の通り、事業を引き継ぐ予定の人が対象なんですよね?
はい、その通りです。この枠は「5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している中小企業者等」が対象です。親から子に会社を継ぐ、あるいは従業員に事業を譲るというケースですね。
なるほど。じゃあ、M&Aで全くの第三者に売却するケースは対象外なんですか?
そうです。第三者へのM&Aは、同じ補助金の中の「専門家活用枠」や「PMI推進枠」が対応します。事業承継促進枠はあくまで親族内承継か従業員承継に特化しています。
個人事業主でも申請できますか?例えば、個人でやってる工務店を子どもに継がせたいとか。
大丈夫です!個人事業主も対象です。ただし、青色申告者であることが条件です。確定申告書Bと所得税青色申告決算書の写しを提出する必要があります。税務申告を電子で行っている場合は、受付が確認できるメール詳細も追加で必要です。
幅広い業種が対象になっています。製造業、建設業、情報通信業、卸売業、小売業、サービス業、医療・福祉など、本当に多くの業種がカバーされています。公式の一覧を見ると、鉱業や電気・ガス・水道業、金融・保険業、不動産業、教育・学習支援業、宿泊業、飲食サービス業なども含まれています。
じゃあ、うちの会社(出版社)も対象になる可能性ありそうですね!
出版業は「情報通信業」か「サービス業」に該当する可能性が高いでしょう。ただ、資本金や従業員数の基準があるので確認が必要です。
さっき出てきた「小規模事業者等」の定義、もう少し詳しく教えてください。自分が該当するかどうか、どうやって判断すればいいですか?
業種ごとに従業員数で判断します。製造業その他は従業員20人以下、商業(卸売業・小売業)は5人以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業は20人以下です。
え?「サービス業」と「宿泊業・娯楽業」で違うんですか?一般のサービス業は5人以下ってこと?
その通りです。一般のサービス業は5人以下、宿泊業と娯楽業は特例で20人以下とされています。間違いやすいポイントなので注意が必要です。ちなみに、個人の医者や農業法人も、従業員の基準を満たせば小規模事業者等に含まれます。
なるほど。じゃあ、自分の会社の従業員数を正確に把握しておかないといけませんね。
そうですね。補助率が2/3になるか1/2になるかの分かれ目ですから、大きな差になります。20人以下の製造業なら2/3、21人以上なら1/2というように、1人違うだけで補助額が変わってきます。
小規模事業者等の定義(業種別従業員基準)| 業種分類 | 小規模事業者等(補助率2/3) | 一般中小企業(補助率1/2) |
|---|
| 製造業その他 | 従業員20人以下 | 従業員21人以上300人以下 |
| 卸売業・小売業(商業) | 従業員5人以下 | 従業員6人以上100人以下(卸売)or50人以下(小売) |
| サービス業(一般) | 従業員5人以下 | 従業員6人以上100人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 従業員20人以下 | 従業員21人以上200人以下 |
じゃあ、具体的にどんな費用に使えるんですか?補助金っていうと、機械設備とかイメージがありますけど。
事業承継促進枠の主な対象経費は、設備投資費用と店舗・事務所の改築工事費用です。
なるほど。新しい機械を入れたり、事務所を改装したりする費用ですね。
もう少し具体的に言うと、製造業なら生産設備の導入費用、飲食店なら厨房設備や内装工事、小売店なら陳列棚やレジシステムの導入などが考えられます。事業承継を機に、生産性を向上させるための投資が対象です。
ということは、例えば親父の会社を継いで、古い機械を最新のものに入れ替えたい、みたいなケースにぴったりですね。
まさにそういうケースです!事業承継は設備が古くなりがちなタイミングでもありますから、最新鋭の設備を導入して生産性を上げるチャンスです。
もちろんです。例えば、単なる消耗品の購入や、土地の購入費用、保証金・敷金などは対象外です。また、補助事業の遂行に直接関係のない経費も対象になりません。
あと、書类作成を第三者に依頼する場合の費用は?行政書士さんとかに頼むケースもあると思うんですけど。
良い質問です。申請内容の作成を有償で第三者に依頼する場合、依頼できるのは行政書士または行政書士法人に限られます。その場合、行政書士証憑と委任契約書の提出が必須です。くれぐれも、行政書士資格のない業者に頼むと、書類不備や最悪の場合、審査対象外になりかねません。
それは重要なポイントですね!やっぱりプロの力を借りたいと思う時もありますから、行政書士に限るって覚えておきます。
では、実際にどうやって申請すればいいんですか?書類を出せばいいんですか?
この補助金の申請は、電子申請(Jグランツ)のみです。紙での提出は受け付けていません。まずは、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
行政サービスの共通ログインIDです。法人の代表者向けの「GビズIDプライム」と、従業員用の「GビズIDメンバー」があります。補助金申請にはプライムアカウントが必要です。
ここが重要なんですが、取得に2~3週間程度かかります。申請書類の準備とは別に、この手続きが必要なので、余裕を持って始めましょう。公募開始後にGビズIDを取り始めると、締切に間に合わない可能性があります。
それはやばいですね。募集期間が6月19日から7月24日までなので、GビズIDの申請は6月上旬には始めておかないと。
まさにその通りです。GビズIDの申請自体はオンラインでできますが、書類の確認などに時間がかかります。遅くとも公募開始の2週間前には申請を始めることをおすすめします。
GビズIDを取得したら、次は何をすればいいですか?
公募要領と交付規程をしっかり確認します。公式サイトからダウンロードできます。ここに全ての要件や提出書類が記載されています。特に、対象経費の範囲や補助事業の期間、実績報告のルールを事前に理解しておくことが大切です。
必要書類は公募要領のチェックリストで確認できますが、代表的なものとしては、事業計画書、収支計画書、見積書、確定申告書の写しなどがあります。また、事業承継を証明する書類(承継計画書や株主総会議事録など)も必要になるでしょう。
そうです。Jグランツにログインして、申請フォームに必要事項を入力し、書類をアップロードします。ここで一点、大きな注意点があります。
申請期日の5営業日前までの提出が推奨されています。具体的には、2026年7月16日までに出すのが理想です。
過去の公募では、締切間際に申請が集中し、事務局の確認が追いつかないケースがあったんです。申請内容に不備があった場合、事務局から修正の指摘があって、差し戻し・再提出ができるんですが、締切直前だとその対応ができず、不備が解消されないまま不採択になってしまう可能性があります。
それは怖い!確かに、ギリギリに出して「不備がありました、直してください」と言われても、時間が足りないですもんね。
事業承継促進枠 申請の流れ- 1
GビズIDを取得
2~3週間かかるので早めに。公募開始前から準備を
- 2
- 3
- 4
- 5
Jグランツで申請
電子申請のみ。5営業日前の提出が推奨(7月16日目安)
- 6
審査・採択通知
不備があれば修正対応。採択後、交付申請へ
- 7
ここで重要なのが「審査」ですよね。どういう基準で選ばれるんですか?単に必要書類を出せば通るわけじゃないですよね。
もちろん、審査があります。採択率は公表されていませんが、不備なく提出しても全員が通るわけではありません。審査では、事業計画の実現性や生産性向上の効果が重視されます。
生産性向上って、具体的にどうアピールすればいいんですか?
「新しい設備を入れることで、作業時間が何割削減できる」「製造コストが何%下がる」「売上が何%アップする見込み」といった具体的な数値目標を盛り込むことです。漠然とした「効率化します」ではなく、「これだけ変わります」という数字が大事です。
また、事業承継のスケジュールが明確であることも重要です。「5年以内に承継を予定」という大枠だけでなく、「いつ、誰が、どのように事業を引き継ぐのか」という具体的な計画が必要です。
よくあるのは、添付書類の不足や様式の誤りです。公募要領に記載されているチェックリストを活用して、一つ一つ確認することが大切です。また、Jグランツの操作ミスも多いですね。入力中にセッションが切れてデータが消える、ファイルの形式が指定と違うなど。
注意しないと…でも、5営業日前に出せば、事務局が確認して不備を教えてくれるんですよね?
その通りです。7月16日までに出せば、不備があっても修正の機会があります。ただし、複数回の修正が必要になるケースもあるので、できるだけ早めに出しましょう。理想は公募開始から1週間以内ですね。
ここまでの話をまとめると、スケジュール管理がすごく重要ってことですね。
本当にそうです。この補助金は「準備期間の確保」が合否を分けると言っても過言ではありません。
7月16日推奨って話、もう少し詳しく聞かせてください。
過去の公募では、締切直前の殺到でシステムが重くなったり、事務局の確認が物理的に追いつかなかったりしました。15次公募の公募要領にも「申請期日間際での申請に対し、事務局での複数回の不備指摘、修正差戻しができず、不備の解消がしない場合には不採択となる可能性がある」と明記されています。
なるほど。つまり、早く出せば不備を直すチャンスがあるけど、遅いとそのチャンスすらない、と。
その通りです。採択の可能性を高める最大の方法は、早めの提出なんです。申請の推奨期限は7月16日ですが、さらに理想を言えば7月上旬には提出を終えたいところです。
わかりました。まずはGビズIDの取得から、今すぐ始めます。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 中小企業生産性革命推進事業_事業承継・M&A補助金(15次公募)_事業承継促進枠 |
| 実施機関 | 中小企業生産性革命推進事業_事業承継・M&A事業補助金(15次公募) |
| 補助上限額 | 800万円(賃上げ条件達成で1,000万円) |
| 補助率 | 小規模事業者等:2/3以内、一般中小企業:1/2以内 |
| 募集期間 | 2026年6月19日~2026年7月24日17時 |
| 推奨提出期限 | 2026年7月16日(申請期日5営業日前) |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 製造業、建設業、卸売業、小売業、サービス業、医療・福祉 等(全19業種) |
| 主な対象経費 | 設備投資費用、店舗・事務所の改築工事費用 |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請)のみ |
| 公式サイト | https://www.jgrants-portal.go.jp/subsidy/a0WJ200000CDapgMAD |
| 問合せ先 | 事業承継・M&A補助金事務局(事業承継促進)050-3192-6274(平日9時30分~12時、13時~17時) |
はい。まず、「廃業・再チャレンジ枠と併用できますか?」という質問です。答えは併用可能です。その場合、事業承継促進枠として申請することになります。
「外国籍の者でも申請できますか?」ですね。可能ですが、在留資格や在留期間などが明記された住民票の提出が必要です。
「過去に他の補助金を受けていて、賃上げの要件が未達成だとどうなりますか?」という質問です。過去18カ月の間に中小企業庁所管の補助金(ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金など)で賃上げ加点の要件が未達成の場合、正当な理由がない限り大幅に減点されます。
四つ目は「必ず事業承継支援センターなどを利用しないといけませんか?」です。申請時に利用状況のアンケートがありますが、回答が採択に影響することはありません。ただし、利用することで計画の精度が上がるので、可能なら相談してみることをおすすめします。
五つ目、最後の質問です。「採択後に事業が計画通り進まなかったらどうなりますか?」
補助金は原則として計画に沿って事業を実施し、実績報告を行う必要があります。大幅な変更がある場合は、事前に事務局の承認が必要です。やむを得ず中止する場合も、ルールに従った手続きが必要になります。必ず公募要領を確認してください。