室谷さん、今回めっちゃニッチな補助金の話を聞きたいんですよ。「中小企業生産性革命推進事業_事業承継・M&A補助金(15次公募)_専門家活用枠(買い手支援類型-100億企業特例)」って、名前だけで息継ぎが3回必要じゃないですか(笑)。
佐藤さん、それはもう完全に制度名のインフレですね(笑)。でもこの特例、実はかなりアツいんです。買い手が「年間売上高とか時価総額が100億円超の企業」でも、条件を満たせば補助金もらえるよ、っていう驚きの枠なんです。
えっ、買い手が大企業でも補助金が使えるんですか?中小企業向けの補助金だと思ってましたよ。
その通りなんですが、この特例はあくまで「中小企業の事業をM&Aで引き継ぐ側」が規模が大きくてもOK、という例外です。正式な制度名の通り、専門家活用枠の中の買い手支援類型で、さらに100億企業特例が適用されると補助上限が2,000万円まで跳ね上がる。これ、普通の買い手支援類型だと上限600~800万円なんですよ。なのに100億企業特例だとドーンと2,000万円!これは見逃せない。
普通は600~800万のところが2,000万!? 3倍近く違うじゃないですか。しかも補助率はどうなるんですか?
そこがミソで、基本情報では「補助率 2/3以内 又は 1/2以内」と書いてありますが、この特例の場合は中小企業庁の公募要領によると、1,000万円以下の部分は1/2、1,000万円超の部分は1/3なんです。つまり合計で最大2,000万円まで補助されるけど、支払い総額にすると結構な自己負担が必要。ざっくり計算すると、2,000万円の補助を受けるには総経費が約4,333万円必要になる計算です。
おお、自己資金もそれなりに要るわけですね。でも2,000万が丸々補助されるイメージだとびっくりしますけど、現実的な数字を知っておかないと。
そうそう。補助金は「後払い」なので、まずは自社で経費を立て替える必要があります。100億企業ならキャッシュはあるでしょうけど、計画はしっかり立ててくださいね。
まず基本の確認です。この補助金、名前が長すぎて混乱してるんですが、申請できるのはどんな会社ですか?
結論から言うと、買い手が100億企業でも、譲受ける事業の「売り手」が中小企業であればOKです。この補助金の目的は「中小企業の事業承継・M&Aを促進する」こと。だから売り手側が中小企業であることが大前提。買い手側の規模は、この特例では100億企業まで許容されますが、買い手自身も中小企業である必要はない、という例外です。
なるほど。つまり、大企業が中小企業の事業を買うときに、M&Aの専門家費用を補助してくれるってことですね。買い手が100億企業だと補助上限が2,000万円になる、と。
その理解でOK。ただし、買い手が100億企業でなくても、通常の買い手支援類型として申請は可能です。その場合の上限は600~800万円(デューデリジェンス費用の上乗せあり)となります。この特例はあくまで「100億円要件を満たす買い手」向けの上乗せ特例なんです。
じゃあ、売り手側の中小企業って具体的にどんな規模?資本金や従業員数の条件があるんですよね。
はい。中小企業基本法に基づく定義です。製造業その他は資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業は資本金1億円以下または従業員100人以下、小売業は資本金5千万円以下または従業員50人以下、サービス業は資本金5千万円以下または従業員100人以下。このいずれかに該当すれば売り手として対象になります。個人事業主も対象ですよ。
個人事業主もいけるんですね。開業届を出して5年以上経ってるなど、いくつか条件がありますが。
その通り。個人事業主は確定申告書の提出が必要だったり、追加書類が求められます。詳しくは公募要領を確認してくださいね。
肝心の買い手側の「100億企業」って、どうやって判断するんですか?売上高?資本金?
ここは公募要領で確認するしかないのですが、一般的には年間売上高または時価総額が100億円超の企業を指します。ただし、この制度では「買い手支援類型」のうち、補助上限を2,000万円にするための特例要件です。実際の判定基準は、M&A支援機関登録制度に登録されたFA・仲介業者を利用することなども条件になりますので、事前に事業承継・M&A補助金事務局に確認することをおすすめします。
なるほど。確実な情報は公募要領を読め、と。でもざっくり言うと、そこそこ大きい会社が中小企業を買うときに使えるお金ってことですね。
まさに。大企業がM&AするときのFA費用やデューデリジェンス費用はバカにならない。それを国の補助で一部まかなえるのはかなり大きいですよ。
じゃあここで、具体的な補助額の計算を教えてください。2,000万円って言っても、パターンがあるんですよね。
専門家活用枠 買い手支援類型 補助額比較| 機能 | 通常の買い手支援類型 | 100億企業特例 |
|---|
| 補助上限額 | 600~800万円(DD費用加算で最大800万円) | 2,000万円 |
| 補助率 | 1/3・1/2・2/3(小規模事業者は2/3など) | 1,000万円以下の部分:1/2、1,000万円超の部分:1/3 |
| 補助対象経費の例 | FA・仲介費用、DD費用、表明保証保険料等 | 同左 |
おお、一目で分かりますね。通常の買い手支援類型でも800万円までは出るんですね。でも100億企業特例だと2,000万円と、2.5倍以上!
ただし補助率が違います。通常の買い手支援類型では、小規模事業者なら2/3、その他は1/2や1/3というパターン。一方、100億企業特例では1,000万円までは1/2、1,000万円超は1/3。つまり、最大2,000万円の補助を受けるには、総経費が(1,000万円÷1/2)+((2,000万円-1,000万円)÷1/3)=2,000万円+3,000万円=5,000万円必要、ではなく、計算がややこしい。
えーっと、ちょっと待ってください。実際の計算式は?
簡単に言うと、補助額=(1,000万円×1/2)+((補助対象経費-1,000万円)×1/3)で、上限2,000万円です。補助額2,000万円をフルに受けるには、補助対象経費が(2,000万円-500万円)×3+1,000万円=5,500万円?いや、違う。
正しくは:1,000万円以下の部分の補助額は最大500万円(1,000万×1/2)。残り1,500万円の補助を得るには、1,000万円超の部分の経費が1,500万円÷1/3=4,500万円必要。よって総経費は1,000万円+4,500万円=5,500万円。そして補助額合計500万円+1,500万円=2,000万円。
おお、自己負担は3,500万円。でも専門家費用で5,500万円もかかるM&Aってどんな案件だよ(笑)。実際はもう少し小額のケースが多いんでしょうね。
そうですね。だから補助上限2,000万円というのは「ここまで出ますよ」という最大値。実際は1,000万円以下の案件が多く、その場合は補助率1/2で500万円まで、という感じです。でもそれでも大きい。
具体的にどんな費用が補助されるんですか?FAとかDDとか、聞きなれない言葉が並んでますが。
補助対象経費と対象外経費の例- ファイナンシャルアドバイザー(FA)費用
- M&A仲介費用(M&A支援機関登録制度に登録された事業者のものに限る)
- デューデリジェンス(DD)費用
- セカンド・オピニオン費用
- 表明保証保険料
- 専門家(弁護士、公認会計士、税理士、弁理士等)によるアドバイス費用
×デメリット
- 買収対価そのもの(株式譲渡代金、事業譲渡代金)
- 自社の従業員の人件費
- 通常の事業運営にかかる費用
- M&A支援機関登録制度に未登録のFA・仲介費用
- 現地支店の開設費用など、直接M&Aに関係しない経費
なるほど。買収価格そのものは補助されないんですね。あくまでM&Aを進めるための専門家費用が対象。特にFA・仲介費用は登録制度に登録された事業者でないとダメ、というのが重要なポイントですね。
そこを間違えると全額自己負担になりますからね。必ず「M&A支援機関登録制度」のサイトで確認してください。申請時にも、利用したFA・仲介業者が登録されていることを証明する書類が必要になります。
申請にはJグランツを使うんですよね。その前にGビズIDが必要とか。
そう。GビズIDプライムアカウントの取得が必須。これがないと電子申請できません。取得には2~3週間かかるので、公募開始前に必ず準備しておいてください。特にこれから取得する人は、6月19日の公募開始に間に合うように5月末には動き出さないと。
それは重要ですね。GビズIDメンバーでもいいんですか?
申請自体は代表者アカウント(プライム)が必要です。メンバーは代理申請が可能ですが、委任の設定が必要。詳しくはJグランツのマニュアルを確認してください。
次は公募要領を読む、と。でもあれ、めちゃくちゃ分厚いんですよね。
そうです。でも、この特例に関係する部分だけでもざっと目を通しましょう。特に「6.1.補助対象となる事業及びM&Aの要件」は必読。売り手企業が中小企業であること、買い手が100億企業特例の要件を満たすこと、M&Aの契約が最終契約書まで進んでいる(予定含む)ことなど、細かい条件があります。
ここが肝ですね。補助対象になるには、登録されたFA・仲介業者を使わないといけない。
はい。そしてその契約書や見積書を申請書類に含める必要があります。行政書士などに申請書作成を依頼する場合は、その契約書も必要。注意点として、有償で申請書作成を第三者に依頼する場合は行政書士(行政書士法人)に限られます。これ、よく引っかかるポイントです。
そう。そしてここで大事なのが、申請期日の5営業日前(2026年7月16日)までの提出を推奨していること。理由は、過去の公募で最終日に申請が集中し、不備があった場合に修正差し戻しができずに不採択になるケースがあったから。
ギリギリは危険ってことですね。余裕をもって提出するのがポイント。
具体的な期間は公表されていませんが、過去の傾向から数ヶ月程度。採択されたら交付申請を行い、事業終了後に実績報告を提出します。補助金は後払いなので、実績報告が承認されてから入金されます。
つまり、最初は自社で全額負担して、後から補助金が返ってくる形。キャッシュフローの計画が大事ですね。
その通り。特に大企業でもM&Aの専門家費用は数千万単位になるので、資金繰りはしっかりやってください。
申請の流れ(100億企業特例)- 1
GビズIDプライムを取得
2~3週間必要。事前に準備
- 2
- 3
M&A支援機関登録制度のFA/仲介と契約
登録業者の確認が必須
- 4
- 5
Jグランツで申請(推奨:7月16日まで)
最終日7月24日17時必着
- 6
- 7
- 8
審査のポイントを教えてください。どういうところが評価されるんですか?
まず、この補助金は「採択型」です。審査基準は公募要領に記載されていますが、過去の公募からの推測も含めて重要なのは以下の3点。
第一に、申請内容の完全性。不備があると減点どころか不採択になります。特に添付書類の不足は致命傷。第二に、事業の確実性。M&Aが本当に成立する見込みがあるかどうか。最終契約書が既にある案件は有利です。第三に、賃上げや地域貢献などの加点要素。公募要領には賃上げ加点の要件があり、過去に他の補助金で賃上げ目標を未達成だと大幅減点されます。
地域貢献の要件も応募資格の一部に入ってますね(2)の項目。地域の雇用維持や域内仕入れ、域外販売など。これもアピールポイントですね。
そう。特に100億企業の買い手だと「地域経済に貢献しているか?」の説明が大事。単に事業を買うだけでなく、その地域への波及効果を具体的に書く必要があります。
行政書士に依頼するのも手ですが、結局最後は自分たちで確認する必要があります。特にJグランツ上の入力ミスはよくあるので、申請前にプリントアウトしてチェックすることをおすすめします。
15次公募のスケジュールを教えてください。特に重要な日付を。
はい。公募期間は2026年6月19日(金)~2026年7月24日(金)17:00。そして推奨提出期限が7月16日(木)。これらを絶対に押さえてください。また、審査結果の通知時期は公表されていませんが、過去の例からすると公募終了から2~3ヶ月後くらいです。
15次公募スケジュール(予定含む)2026年5月22日
公募要領公表
2026年6月19日
申請受付開始
2026年7月16日
推奨提出期限(5営業日前)
2026年7月24日
申請締切(17時必着)
2026年秋頃?
採択結果通知(未確定)
採択後
交付申請・事業実施(M&A完了まで)
事業完了後
実績報告・補助金受領
ここでよくある質問をいくつかまとめておきましょう。
はい。まず「廃業・再チャレンジ枠と併用できますか?」という質問。答えは可能です。ただし併用する場合は補助上限が変わることがあるので注意。次に「補助金の交付決定前にM&Aを契約してもいいですか?」これも可能ですが、補助対象経費は交付決定日以降の支出でなければならないので、契約書の日付に注意。最後に「買い手が100億企業でなくてもこの特例は使えますか?」→使えません。100億企業特例は名前の通り、買い手が100億企業要件を満たす場合のみ適用されます。
よくある「M&A仲介費用の領収書がないとダメですか?」という質問もありそうですね。
そうですね。実績報告時には支払いを証明する書類(領収書、振込明細など)が必要です。必ず保管しておきましょう。
最後に、この特例を特に活用すべき事業者のタイプを教えてください。
ズバリ、年間売上高100億円超の企業で、中小企業の事業をM&Aで取得しようとしている会社です。従来の買い手支援類型だと補助上限が600~800万円ですが、この特例なら2000万円まで出る。しかもM&Aの専門家費用は高額になりがちなので、補助金でまかなえる部分が大きい。自己資金に余裕がある大企業ほど、積極的に活用すべきです。
とはいえ、補助率が1/2と1/3で自己負担も大きいですけどね。
でも、元々FA費用やDD費用は全額自己負担だったものが、半分近く戻ってくるわけですから。使わない手はないですよ。
わかりました。室谷さん、今日は詳しくありがとうございました!
ありがとうございました。ぜひチャレンジしてみてくださいね。