室谷さん、今日は石川県の事業者さん向けに、ちょっとユニークな補助金を紹介してもらえるんですよね?
そうなんですよ、佐藤さん。東京大学先端科学技術研究センター共同研究創出支援事業 、通称「東大先端研との連携事業」ってやつです。正式名称めっちゃ長いですけど(笑)。
長い! 令和8年度の新技術・新製品開発事業化可能性調査事業……頭がこんがらがりそうです(笑)。でも、東大と石川県の企業が組めるって聞いて、もう興味津々なんですよ。
その通り。東大の先端研 、つまり東京大学先端科学技術研究センターの先生と、石川県内に事業所がある企業が連携体を組んで、新しい製品や技術のための調査研究をする事業なんです。補助率なんと10/10 、つまり実質無償 で調査ができる!
えっ! 10/10って、全額補助ってことですよね? マジですか?
マジです。通常タイプで上限100万円 、さらに国等の研究開発助成に申請予定がある場合は上限200万円 まで全額補助されます。この手厚さは石川県ならではですよ!
実はですね、石川県とISICO(いしかわ産業創出支援機構)は、平成24年3月に東大先端研と全国の自治体で初めて連携協定を結んだ んです。それからずっと、県内企業と東大の先生をマッチングして共同研究を支援してきてる。今回の公募はその流れですね。
全国初! すごい歴史があるんですね。今年度の募集期間はいつからいつまでですか?
令和8年6月8日(月)から7月31日(金)午後4時必着 です。約2カ月の募集期間ですね。申請はjGrantsからの電子申請のみ なので、GビズIDの取得も含めて早めの準備が必要です。
ほぼ全業種ですね。農業から製造業、情報通信、サービス業、医療福祉、教育、公務まで……「分類不能の産業」って項目まである(笑)。従業員数にも制限なし。大企業でもOKです!
「新技術・新製品開発事業化可能性調査事業」ってタイトルにありますけど、具体的にどんな調査が対象になるんですか?
公式の制度詳細にはこう書いてあります。「先端研の技術シーズを活用した新技術・新製品等の研究開発において必要となる調査」で、具体的には 実用化可能性調査、技術課題解決のための調査、市場調査 などが該当します。
つまり、東大の先生の技術をベースに、うちの会社で製品化できるかどうかを調べるためのお金ってことですね。
その理解でバッチリです。例えば「この新素材で自動車部品が作れないか?」って仮説を検証するための試作品評価 や「市場のニーズ調査」など、研究開発に先行する予備調査的な位置づけ 。ただし、この補助金で本格的な研究開発や量産までやるわけじゃなくて、あくまで「可能性を探る調査」までが対象です。
これ、申請中に他の補助金ももらってたらダメなんですか?
大事なポイントです。本補助金の交付を受けようとする事業が、実施期間中に他の補助金等による財政支援を受けている、または受ける予定の場合、交付の対象になりません 。つまり、併給は不可 。同じ研究開発テーマで複数の公的資金をもらうのはNGってことですね。
なるほど。でも「国等の研究開発助成事業に申請予定」の場合は上限が200万円にアップするんですよね?
そうです。この調査の結果を使って、後で国プロジェクト(NEDOとか科研費とか)に応募する計画があるなら、その分費用がかさむから上限が引き上げられる。まさに「種まき」のための補助金 と言えますね。
この制度の3つの特徴 補助率10/10!
通常タイプ:上限100万円 / 国等申請予定タイプ:上限200万円、全額補助
東大先端研と直接連携
東大のトップ研究者と組み、調査から製品化の可能性を探れる
対象業種ほぼ全般
製造業だけでなく、農業、情報通信、医療福祉など幅広い業種OK
ここが一番気になる! お金の話、詳しく聞かせてください!
まず通常タイプ から。補助限度額は合計で1,000千円(100万円)以内 です。ただし、東大先端研の経費と企業の経費の比率が概ね1:2 になるようにしないといけません。
具体的な例を公式資料から引用すると、先端研側に約330千円、企業側に約670千円 の配分で、合計1,000千円。補助率は両方とも10/10です。つまり、企業側の実質負担はゼロで、調査にかかる経費のうち約67万円分を企業が使えて、約33万円分を東大の先生が使える、ってイメージですね。
こちらは補助限度額が合計2,000千円(200万円)以内 にアップ! 比率は同じく約1:2で、先端研側約660千円、企業側約1,340千円 になります。
200万円まるまる補助! しかも10/10だから返済不要ですよね?
そうです。補助金なので返済は不要です。ただし、この補助金で行う調査は1年間(年度またぎ可) で、交付決定は令和8年9月頃 、最長で令和9年8月頃 までに終わらせる必要があります。
タイプ 先端研分(補助率10/10) 企業分(補助率10/10) 合計補助限度額 比率の目安 通常 約330千円 約670千円 1,000千円(100万円) 概ね1:2 国等申請予定 約660千円 約1,340千円 2,000千円(200万円) 概ね1:2
すごくわかりやすい! 企業側は670千円か1,340千円まで実質タダで調査できるってことですね。ただし、東大の先生と組むための経費もちゃんと予算に組み込まないといけないと。
そうです。あくまで「連携体」として両方に経費が発生する前提なので、先生とどんな調査をいくらでやるか を事前にしっかり計画する必要があります。
申請資格をもう少し詳しく教えてください。東大の先生と組めば誰でもOKなんですか?
ここが一番大事。必ず連携体で申請する必要があります 。連携体の構成は、①東大先端研の教員 と②石川県内に事業所を有する企業 の両方が必須。個人事業主でも法人でも大丈夫です。
教授、准教授、講師、助教 が基本。ただし、特任教員や客員教員は、雇用条件等で本研究開発が職務の一環として認められている場合に限ります 。まずは自分がつながりたい先生が対象かどうか確認してください。
企業側の条件は「石川県内に事業所を有する企業」だけど、具体的には?
公式の定義をそのままお伝えすると、次の3つのどれかに該当する必要があります。
石川県内に本社がある企業
石川県内に事業本部またはそれに類する組織を持ち、調査結果の事業展開がその組織で行われる場合
石川県内に開発部門を有し、調査がその部門で主体的に行われ、かつ結果が県の産業政策上有効と認められる場合
つまり、本社が県外でも、県内にちゃんとした開発拠点があればOKってことですね!
その通り。でも「営業所だけある」とかは厳しいかも。主体的に研究開発を行う拠点 が必要ですね。
東大先端研の教員と組めない個人・法人
石川県内に事業所がない企業
すでに同じテーマで他の補助金をもらっている(またはもらう予定)
応募資格を満たしていない(書類不備など)
大企業でもOKってのが意外でした。資本金や従業員数の制限は一切ないんですね。
ないんです。だから中小企業だけでなく、県内に研究開発拠点を持つ大手企業も積極的に活用できます 。ただし、採択件数は①と②(FS事業と本格研究)合計で5件程度 と限られていますから、競争はそれなりにありますよ。
実際に補助金で何に使えるのか、内訳を教えてください!
まず東大先端研側の教員が使える経費 から。以下の7項目です。
人件費・謝金
備品費
旅費
材料・消耗品費
雑役務費
通信運搬費
その他の経費
結構幅広いですね。先生の研究時間に対する謝金とかも入るんですね。
旅費
機器・設備等賃借料
クラウドサービス利用費
材料・消耗品費
外注加工・評価分析費
謝金
知的財産権関連経費・認証取得費
共同開発費(ただし先端研へ支払う経費は不可)
その他
「クラウドサービス利用費」って項目があるんですね! AIやシミュレーション系の調査も想定してるんでしょうか。
そうですね。最近の研究開発にはデータ分析やクラウド上のツールは欠かせませんから。あと**「外注加工・評価分析費」**もポイント高い。試作品の外注製作や、専門機関での評価分析にも使えます。
一番注意したいのは共同開発費(先端研へ支払う経費は不可)って部分。企業が東大の先生に「調査してもらう対価」をこの補助金で支払うことはできません。あくまで 両者がそれぞれ経費を使う 形ですね。
あ、なるほど。企業から東大への「丸投げ委託」はできないんですね。
そうです。連携体として共同で調査するのが前提。あとは、国等の他の補助金を受けている経費 はもちろんダメ。それから、補助対象期間(令和8年9月頃〜令和9年8月頃)より前の経費は対象外なので、交付決定前に発注・購入しないように 注意してください。
対象経費とNG経費 先端研:人件費・謝金、備品費、旅費、材料・消耗品費、雑役務費、通信運搬費 企業:旅費、機器賃借料、クラウド利用費、材料消耗品、外注加工費、謝金、知財関連経費、認証取得費 補助率10/10で実質無償 返済不要 × デメリット
企業から先端研への支払いは不可(共同開発費=NG) 他の補助金との併給不可 交付決定前の経費は対象外 補助期間は最長1年(年度またぎ可)
いよいよ申請方法ですね。最初に何をすればいいですか?
まずGビズID(gBiz IDプライム)を取得してください 。電子申請はjGrantsポータルから行うんですが、ログインにGビズIDが必要なんです。取得までに2〜3週間かかる ので、申請を考えたら今すぐ動いたほうがいいですよ!
2〜3週間! 募集開始の6月8日までに取らないといけないとなると、5月中には申し込まないと危ないですね。
事業計画書の様式って、WordやExcelなんですか?
そうです。Word: 別記様式、別紙1〜2、別紙5、提出書類チェックシート 。Excel: 別紙3 。その他ファイル: 別紙4 。合計6つのファイルを全部そろえて提出します。1枚目の「提案者1東大先端研」「提案者2企業」の欄は捺印不要 なので、そこは気楽に。
でも、ぶっちゃけ「東大の先生とどうやって知り合えばいいの?」って声が聞こえてきそうです。
確かに! そこが一番のハードルですよね。ISICOに相談すれば、先生を紹介してくれるケースもあるみたいです。問い合わせ先の**担当/出嶋、山崎、山下(TEL 076-267-6291)にまずは電話してみるのが良いかと。それと、東大先端研側の窓口として 戦略推進室 担当/宮本(TEL 03-5452-5106)**もあります。
事前に連携して、一緒に事業計画書を作らないといけないんですね。
事業計画書のポイントは、**「先端研の技術シーズをどう自社の製品・サービスに生かすか」**を具体的に書くこと。調査の目的、方法、期待される成果、その後の展開までストーリーが大事です。
はい。申請者と連携体構成員(企業)の直近2カ年分の決算書 が必要。個人事業主なら確定申告書の写し(直近2年分) 。創業間もなくて決算書がない場合は、履歴事項全部証明書 で代用できます。もし経営革新計画の認定を受けている(または申請中)なら、その認定書の写しを添付すると加点対象 になる可能性があります。
間違いなく!(笑)期限は令和8年7月31日(金)午後4時必着 。時間厳守です。
申請の流れ(所要期間の目安) 1 GビズID取得(2〜3週間)
事前にgBiz IDプライムを申請
2 ISICOサイトから様式DL
公募要領と事業計画書を入手
3 東大先端研の先生と調整
連携の打診、役割分担を決める
4 5 jGrantsにログインして申請
検索ワードを正確に入力
6
採択されるには、どんなところを評価されるんですか?
審査基準は公募要領に詳しく書いてありますが、ざっくり言うと次の3つが大事です。
技術シーズの理解と活用の的確さ :東大先端研の技術をちゃんと理解して、それをどう自社に生かすか
調査計画の具体性と実現可能性 :調査の内容が具体的で、予算配分も妥当か
事業化の展望 :調査の結果をどう製品化・事業化につなげるか、その後の計画が明確か
もう一つ。経営革新計画の認定を受けている(申請中も可)事業者は加点対象 になる可能性があります。持っているなら絶対に添付しましょう。
「国等の研究開発助成事業に申請予定」のパターンも、審査で有利になるんですか?
それは上限額が変わる要件であって、審査の加点かどうかは公募要領で確認が必要です。ただ、「この調査を足がかりに大きなプロジェクトを狙う」ってストーリーは好印象でしょうね。
ここは正確なデータがないので言えませんが、採択予定はFS事業と本格研究を合わせて5件程度 と石川県のプレスリリースにあります。決して多くはないので、応募するなら万全の準備が必要です。
5件程度! 狭き門ですね。でも、その分サポートも手厚いんですか?
問い合わせ窓口がISICOと東大先端研の両方にありますから、わからないことは積極的に聞くことをおすすめします。事前相談で「この計画でいけそうか」を確認するのも手 ですね。
令和8年6月8日(月) :公募開始
令和8年7月31日(金)午後4時 :申請締切(必着)
令和8年9月頃 :交付決定
令和8年9月〜令和9年8月頃 :補助対象期間(最長1年、年度またぎ可)
交付決定が9月で、調査期間は実質11カ月くらい。結構タイトですね。
ここでよくある質問をいくつかピックアップしておきましょう。
はい、想定問答をいくつか。
Q1. 個人事業主でも申請できますか?
A. できます。「石川県内に事業所を有する企業」の条件を満たせば、法人・個人問わずOKです。決算書の代わりに確定申告書の写しが必要です。
Q2. 大企業でも対象になりますか?
A. なります。従業員数や資本金の制限は一切ありません。ただし、石川県内に事業所があり、主体的に研究開発を行うことが条件です。
Q3. すでに東大の先生とつながりがなくても大丈夫?
A. 大丈夫ですが、自分で探すか、ISICOに相談する必要があります。全くの白紙から応募期間中に組み立てるのは時間がかかるので、早めに動きましょう。
Q4. この補助金で試作品を作れますか?
A. 「調査」が目的なので、本格的な試作開発ではなく、評価・分析のための外注加工や材料購入が対象です。量産試作は対象外と考えてください。
Q5. 経費の比率(1:2)は厳密に守らないといけないの?
A. 「概ね1:2」とされているので、多少の誤差は許容されると思われますが、著しく偏ると審査で指摘される可能性があります。公募要領で確認を。
Q6. 申請書類に不備があったらどうなる?
A. 審査対象とならない場合があります。提出前に提出書類チェックシート で必ず確認しましょう。
そうですね。最大の特徴は「東大先端研のトップ研究者と直接連携できる 」ことと「補助率10/10で調査費用が実質無料 」という破格の条件です。石川県の企業で、新しい技術に挑戦したいけど研究開発のリスクが不安…という方には最高の制度です。
でも、5件程度の狭き門だからこそ、準備がものを言いますね。
そうです。GビズIDの取得はすぐに 、そしてISICOに相談して東大の先生とのマッチングを早めに 。この2つが勝負の分かれ目です。疑問があれば、遠慮なくISICOの担当(出嶋さん、山崎さん、山下さん)に電話してくださいね!
室谷さん、今日はありがとうございました! 石川県の事業者の皆さん、ぜひチャレンジしてみてください!
ありがとうございました! 皆さんの挑戦を応援しています!
1 東大先端研の教員と石川県内企業の連携体が対象 2 補助率10/10、上限100万円(国等申請予定なら200万円) 3 対象経費は旅費・材料費・外注加工費・クラウド利用費など幅広い 4 申請はjGrantsから、GビズIDの取得が必須(2〜3週間必要) 5 募集期間:令和8年6月8日〜7月31日午後4時必着 6 採択予定は5件程度。問い合わせはISICO(076-267-6291)へ