室谷さん、今日紹介する補助金、名前からしてすごいインパクトですよ。「省CO2型システムへの改修支援事業」って、もうそのまんまって感じですけど(笑)。
そうですね(笑)。環境省がやっているSHIFT事業という大きな枠組みの一部で、正式名称は「脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)」です。工場や事業場のCO2をガツンと減らそうという、かなり本気な補助金ですよ。
補助上限がなんと5億円!補助率は3分の1。つまり、総事業費15億円の大規模改修でも補助対象になる可能性があるってことです。中小企業にも門戸を開いているのがポイントですね。
5億!?ちょっと想像がつかない金額ですけど、そこまで大規模じゃなくても応募できるんですよね?
もちろんです。大事なのはCO2を15%以上(工場・事業場単位)、または主要システム系統で30%以上削減できるかどうか。金額の大小じゃなく、削減効果の大きさが採否を分けるんです。
そもそもなぜ、こんなに大きな補助金が出るんですか?
日本は2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減する目標を掲げています。そして2050年カーボンニュートラルを目指している。でも、工場や事業場の設備って一度導入すると何十年も使うから、今のうちに思い切った改修をしないと間に合わないんです。
なるほど。政府として「今、設備を変えろ!」と強く後押ししているわけですね。
そうです。特にこの補助金では、単なる高効率化改修ではなく、電化・燃料転換・熱回収といった「脱炭素に直結する技術」への転換を重視しています。例えば、重油ボイラーから電気ヒートポンプに変えるとか、廃熱を回収して別の工程で使うとかですね。
じゃあ、エアコンを効率のいい新型に取り換えるだけじゃダメなんですか?
残念ながら、それは対象外です。蒸気システム、空調システム、給湯システム、工業炉、コージェネレーションシステム(CGS)の単純な高効率化改修は対象外となっています。あくまで「システムそのものを省CO2型に変える」ことが求められます。
ここが一番気になるところですよね。具体的な数字を教えてください。
まず、補助率は3分の1で固定です。そして補助上限ですが、実はCO2排出削減量に応じて1億円または5億円の2段階になっています。
え、上限が1億円と5億円の2種類あるんですか?どうやって決まるんですか?
公募要領では、「補助上限額はCO2排出削減量に応じて1億円または5億円」と記載されていますが、具体的な基準は案件ごとに審査されます。大規模な削減が見込める計画ほど高額になる仕組みですね。
なるほど。じゃあ、ざっくり計算すると、総事業費が3億円の改修なら補助金は1億円、15億円なら5億円ってことですね。
その通りです。ただし、あくまで補助上限なので、全額が保証されるわけではありません。あと、補助金は後払いですから、事業者はまず自己資金で工事を進める必要があります。そこは覚悟しておいてください。
例えば、工場のボイラーを電気式に切り替える工事で総事業費が2,000万円だとします。補助率3分の1なので、補助額は最大約666万円。ただし、上限が5億円あるので、少額案件でも遠慮なく申請できます。
中小企業でも手が届く範囲ですね。でも、補助率3分の1って、他の補助金と比べてどうなんですか?
(他の補助金の比較は禁止されているので)ここではこの制度だけに集中しましょう。ただ言えるのは、補助上限の大きさが最大の魅力です。一般的な補助金だと数百万〜数千万円が上限ですが、これは5億円。大規模投資を考えている事業者には非常に心強い。
確かに。工場のラインを丸ごと変えるような大改修なら、それくらいのお金が動いてもおかしくないですもんね。
残念ながら、個人事業主は対象外です。ア.民間企業(個人、個人事業主を除く)と明記されています。法人格が必要ですね。
かなり幅広いですよ。株式会社などの民間企業はもちろん、独立行政法人、大学、社会福祉法人、医療法人、協同組合、一般社団・財団法人、さらには地方公共団体まで。地方公共団体は、他の法人と建物を共同所有する場合に限って共同申請者になれます。
学校法人や医療法人も入ってるんですね。病院のボイラー改修とかも対象になりそうです。
そうです。業種も18業種にわたっていて、農業、漁業、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸小売業、金融保険業、不動産業、学術研究、宿泊業、飲食サービス、教育、医療福祉まで。ほぼすべての業種がカバーされています。
ただし、応募資格には以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 補助事業を的確に遂行するのに必要な費用の経理的基礎を有すること
- 直近2期の決算において連続の債務超過がないこと(純資産が2期連続マイナスだと不可)
- 暴力団排除に関する誓約事項に誓約できること
特に2番目の「債務超過」がネックになりそうです。黒字じゃなくてもいいけど、借金まみれじゃダメってことですね。
その通り。あと、風俗営業や性風俗関連特殊営業を営む事業場は対象外です。これはどの補助金でもよくある条件ですが、念のため。
中小企業向けの補助金だと「従業員数○人以下」って要件がありますよね。この補助金はどうですか?
従業員数の制約は一切ありません。大企業でも中小企業でも、同じ条件で応募できます。ただし、補助金の目的は「中小企業等におけるCO2排出量を大幅に削減する」ことなので、中小企業の取り組みが優遇される可能性はあるかもしれませんが、公式には人数制限は設けられていません。
それじゃあ、実際にどんな費用が補助対象になるんですか?
使途は「設備整備・IT導入」と大まかに書かれていますが、具体的には以下のようなものが含まれます。
- 省CO2型の設備・システムの購入費(電化設備、燃料転換設備、熱回収システムなど)
- 工事費(設備設置に伴う配管工事、電気工事、基礎工事など)
- 設計費(システム設計、エンジニアリング費用)
- 導入に必要なソフトウェアやITシステム(DX型CO2削減対策に該当する場合)
設備の購入だけじゃなくて、工事や設計も対象になるんですね。トータルで見てくれるのは助かります。
- 単なる高効率化改修(前述の通り、蒸気・空調・給湯・工業炉・CGSの単純な高効率化はNG)
- 建物本体の建設費(工場の建て替えそのものは対象外)
- 通常の維持管理費(定期点検や消耗品の交換など)
- 不動産の購入費(土地や中古建物の取得費用)
「単純な高効率化」って具体的にどう区別するんですか?例えば、古いボイラーから新しい効率的なボイラーに変えるのと、電気式のヒートポンプに変えるのとでは?
後者です。ポイントはエネルギー源の転換や熱回収の導入など、システムそのものをCO2排出量の少ない構造に変えること。同じ燃料を使い続けて効率を上げるだけでは対象外と考えてください。
つまり、CO2排出量を15%以上(工場全体)または30%以上(主要システム系統)削減できる改装であることが大前提。そのための費用であれば、幅広く認められる可能性があります。
なるほど。あらかじめ削減量を見積もって、それがクリアできるかどうかが鍵ですね。
対象経費と対象外経費- 設備購入費(電化・燃料転換・熱回収等)
- 工事費(設置工事、配管工事、電気工事)
- 設計費(システム設計、エンジニアリング)
- IT導入費(DXシステム等、該当する場合)
×デメリット
- 単純な高効率化改修(空調・ボイラー等の単品更新)
- 建物本体の建築費
- 通常の維持管理費
- 土地・建物の購入費
- 風俗営業等の事業場での工事
じゃあ、いよいよ申請の流れです。募集期間が6月12日から8月26日と結構長いですが、見逃せないポイントありますか?
実は、この事業には一次公募と二次公募の2回の締切があります。今回の募集では、一次締切が7月15日(水)正午、二次締切が8月26日(水)正午です。
あれ?jGrantsのページには「2026-06-12 〜 2026-08-26」としか書いてなかったけど、中で分かれてるんですね。
そうです。環境省の報道発表資料によると、一次公募と二次公募で同程度の採択額を設ける予定です。そして、一次公募で不採択になった案件は、応募者が希望すれば自動的に二次公募で再審査される仕組みになっています。つまり、最初にチャレンジしておくのがお得です。
それは嬉しいシステムですね。じゃあ、早めに申し込んで、もしダメでもやり直しがきく。
申請はすべてjGrants(電子申請システム) を使って行います。まずはGビズID(法人用)を取得していない場合は、事前に準備しましょう。
GビズIDって、よく補助金申請で出てくるやつですね。取得には2週間くらいかかるから早めにやれって聞きます。
その通り。特に初めての場合は1ヶ月以上見ておいたほうが安心です。申請期間が始まってから慌てないように、今のうちに取得しておきましょう。
必要書類は公募要領に記載されていますが、主なものは以下の通りです。
- 交付申請書(様式第1号)
- 事業計画書(CO2削減計画を含む)
- 収支予算書
- 法人の定款や登記簿謄本
- 直近2期の決算書(債務超過がないことの証明)
CO2削減計画はどうやって作ればいいんですか?専門知識が必要そうです。
執行団体である一般社団法人温室効果ガス審査協会のウェブサイトに算定ツールが公開されています。これをダウンロードして使うことになると思います。公募説明会でも算定ツールの説明があるので、参加することをおすすめします。
今回の令和8年度の公募に合わせて、6月12日以降に開催される可能性が高いですが、具体的な日程はまだわかりません。執行団体のホームページで確認してください。
補助金申請の流れ- 1
① GビズIDを取得
法人用の電子証明書。取得に2週間〜1ヶ月。
- 2
② 公募要領を熟読
対象要件・経費・スケジュールを確認。
- 3
③ 事業計画を策定
CO2削減見込み量を算定ツールで計算。
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- 5
⑤ jGrantsで申請
一次締切7/15か二次締切8/26までに。
- 6
- 7
⑦ 交付決定・工事開始
承認後、事業を実施(3年以内)。
- 8
ここで一番知りたいのが、どうすれば採択されるかですよね。審査のポイントを教えてください。
まず、最大のポイントはCO2削減効果の大きさです。工場・事業場全体で15%以上、または主要システム系統で30%以上の削減が条件ですが、それ以上に削減できる計画ほど有利です。
じゃあ、削減率が大きいほど点数が高いってことですか?
そういうわけでもありません。実現可能性と費用対効果も見られます。非現実的な計画で削減率を大きく見せても、審査では「本当に達成できるの?」と疑われます。
次に、技術の先導性です。単なる高効率化ではなく、電化・燃料転換・熱回収といった、脱炭素に直接貢献する技術を導入しているかどうかが評価されます。
つまり、「とりあえずエアコンを新しいのに替えました」じゃダメで、「ボイラーを廃止してヒートポンプにしました」みたいな大胆な転換が必要だと。
その通りです。しかも、蒸気システム、空調システム、給湯システム、工業炉、CGSの単純な高効率化改修は対象外と明記されています。この5つの技術は「単品更新」ではなく「システム転換」が求められます。
さらに、事業計画の具体性も重要です。いつ、どこで、何を、いくらで導入するのか、そのための資金計画はどうなっているのか、スケジュールは現実的か。これらが明確に書かれている必要があります。
あと、経理的基礎も要件でしたね。直近2期連続で債務超過でないことはもちろん、補助事業を遂行するだけの資金力があるかどうかも見られます。
そうです。補助金は後払いなので、事業者はまず自己資金で工事を進めなければなりません。その資金が確保できるかどうかも判断材料になります。
- CO2削減効果が大きいこと(15% or 30%以上は当然クリア)
- 技術が先導的であること(電化・燃料転換・熱回収が入っているか)
- 計画が具体的で実現可能であること(資金・スケジュール・体制)
- 経理の健全性(債務超過でない、適切な管理体制)
なるほど。ただ要件を満たすだけじゃなく、ちゃんとストーリーとして説得力がある計画を立てないとダメってことですね。
最後に、よくある質問をいくつか聞いていきますね。まず、この補助金と他の補助金は併用できますか?
他の補助金との併用については、公募要領で確認する必要があります。一般的に、国庫補助金の二重取りは禁止されているケースが多いですが、県や市の補助金との組み合わせが可能かどうかは、それぞれの制度によるので、執行団体に問い合わせてください。
執行団体は
一般社団法人温室効果ガス審査協会です。jGrantsのページにも載っていますが、具体的な質問はメールで受け付けています。
shift@gaj.or.jpに、協会のホームページからダウンロードした質問票を添付して送ります。
絶対に参加したほうがいいです。特に初めての方は、書類の書き方や算定ツールの使い方など、直接質問できる機会です。オンライン参加も可能なので、遠方でも大丈夫。
一つ注意点です。昨年度にこの補助金を辞退した事業者は、今年度の採択に影響する可能性があります。ただし、辞退理由が他の補助事業の採択による場合や天災による場合はこの限りではありません。
えっ、辞退したら次に響くんですか?それは知らなかった。
そうです。補助金は税金を使う事業なので、安易に応募して辞退すると信用を損ねます。応募する前に、しっかり事業計画を練ってから申請しましょう。
あと、応募資格に「風俗営業等の規制及び適正化等に関する法律」の除外がありましたね。
そうです。風俗営業や性風俗関連特殊営業を営む事業場は対象外です。また、旅館業法の許可を受けた旅館で、店舗型性風俗特殊営業を行っている場合も対象外。これは公序良俗の観点から当然ですね。
事業が完了し、実績報告を提出して、内容が承認されてから支払われます。通常、工事完了後2〜3ヶ月くらいかかると思ってください。なので、工事費用は一旦自社で立て替える必要があります。
資金繰りが心配な事業者は、つなぎ融資を検討したほうがいいですね。
それでは、ここまでの情報をまとめた表を見ておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 【令和8年度】省CO2型システムへの改修支援事業 |
| 実施機関 | 環境省(執行団体:一般社団法人温室効果ガス審査協会) |
| 補助上限額 | 5億円(CO2削減量に応じて1億円または5億円) |
| 補助率 | 3分の1 |
| 募集期間 | 2026年6月12日(金)〜 8月26日(水)正午 |
| 一次締切 | 2026年7月15日(水)12時 |
| 二次締切 | 2026年8月26日(水)12時 |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 農業、漁業、建設業、製造業、電気・ガス・水道、情報通信、運輸、卸小売、金融保険、不動産、学術研究、宿泊飲食、教育、医療福祉 等18業種 |
| 応募資格 | 本邦法人・団体(個人事業主は除く) |
| 対象経費 | 設備購入費、工事費、設計費、IT導入費 |
| 公式URL | jGrants |
| 問合せ先 | shift@gaj.or.jp |
室谷さん、今日は本当にありがとうございました。最後に、これだけは絶対に覚えておいてほしいというポイントをまとめてください。
まず、補助上限5億円、補助率3分の1という破格の条件。そして一次公募と二次公募の2段階があるので、早めにチャレンジすること。個人事業主は対象外なので注意。そして何より、単なる高効率化ではなく、電化・燃料転換・熱回収といったシステム転換が必要だということです。
CO2削減の計画は公募要領と算定ツールを使ってしっかり作り込む。そして資金計画も現実的に。これで準備万端ですね!
そうですね。この補助金は、日本の脱炭素化を本気で進めるための強力な武器です。ぜひ活用してください。