室谷さん、今治市で最大5億円もらえる補助金があるって聞いたんですけど、本当ですか?
本当ですよ!(笑)「今治市指定区域用地取得奨励金」って制度で、今治新都市区域という指定エリアで用地を取得して事業所を構える企業に、用地取得価格の10%以内、上限5億円を交付するんです。すごいですよね。
5億円って…ちょっと想像つかない金額です。どんな企業が対象なんですか?
これが面白いポイントで、業種が不問なんです。製造業はもちろん、情報通信業、医療・福祉、宿泊業、農業、漁業…日本標準産業分類に載っている業種なら全部OK。まさにオールジャンル。
はい、飲食サービス業も対象です。指定区域の土地を取得して自ら立地すれば、補助金がもらえる可能性があります。ただし、用地取得は今治市または独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)から直接買う必要があります。不動産会社を挟むと対象外になるので注意です。
「今治新都市区域」って具体的にどのエリアなんですか?
今治市内の指定された区域で、UR都市機構が整備に関わっているエリアです。正確な範囲は今治市の産業振興課に確認するのが一番ですが、大規模な工業団地や業務用地として開発されている場所ですね。しまなみ海道にも近く、広島方面へのアクセスも良い立地です。
なるほど。地図で見ると、今治市の中心部から少し離れたエリアですか?
そうですね。でも、交通の要所なので物流拠点や製造拠点に適しています。しかも、この制度は今治市が企業誘致のために本気で作ったもので、令和5年(2023年)4月に拡充されたんです。
めちゃくちゃ珍しいです。同じ今治市の「指定区域企業立地促進奨励金」は業種が限定されていますからね。この用地取得奨励金は「不問」と明記されている。つまり、どんな事業でもチャンスがある。特に今治市に新しい拠点を作りたい企業には朗報です。
まず気になるのは金額です。最大5億円って言いましたけど、具体的な計算を教えてください。
シンプルです。用地の取得価格 × 10%以内の額。ただし、上限が5億円なので、どんなに高い土地を買っても5億円が天井です。
10億円の10%は1億円。なので最大1億円交付されます。50億円なら5億円。100億円でも上限の5億円です。ざっくり言うと、50億円以上の土地を買っても5億円どまり。
その通り。補助率10%以内と書かれているので、必ずしも10%全額がもらえるわけではありません。市が事業計画などを審査して最終決定しますが、基本的には10%が目安と考えていいでしょう。
用地取得価格と奨励金の目安| 用地取得価格 | 奨励金(10%計算) | 実際の交付額(上限付き) |
|---|
| 5億円 | 5,000万円 | 最大5,000万円 |
| 10億円 | 1億円 | 最大1億円 |
| 30億円 | 3億円 | 最大3億円 |
| 50億円 | 5億円 | 最大5億円 |
| 100億円超 | 10億円以上 | 上限5億円 |
50億円超の土地を買うような企業って、かなり大規模ですよね。そういう企業向けに別の制度もあるって聞きました。
よくご存じですね。同じ指定区域に「指定区域 大規模用地取得 奨励金」というのがあって、3ヘクタール以上取得した場合に適用されます。なんと限度額なし!3haまで10%、3〜5haは20%、5ha超は30%と、広いほど補助率が上がる。大規模投資ならこちらも必見です。
でも、この記事で扱うのはあくまで「指定区域用地取得奨励金」ですよね?
そうです。比較のために隣の制度をご紹介しましたが、メインはこちら。ただし、3ha未満の用地取得ならこの制度一択です。
では、申請資格を詳しく教えてください。まず、個人事業主でもいいんですか?
はい、個人事業主でも法人でもOKです。業種不問なので、開業届を出している個人事業主も対象。ただし、用地取得は今治市またはUR都市機構から直接、そして自ら事業所として使うことが条件です。
- 用地取得先: 今治市または独立行政法人都市再生機構からの直接取得
- 立地要件: 取得した用地に自ら事業所を構え、操業すること(転売・賃貸はNG)
- 代金完納: 操業開始日までに用地取得代金を全額支払い済みであること
- 事前指定: 市長に申請して「適用事業者」の指定を受けること
適用事業者の指定って、事前に申し込まないといけないんですか?
そうです。土地を買う前、あるいは買う段階で産業振興課に相談し、指定を受ける必要があります。後から「あ、忘れてた」では遅いので、用地探しを始めたらすぐに連絡しましょう。
今治市外、例えば東京の会社が今治に進出する場合でも申請できますか?
もちろんです。むしろ県外・海外からの企業誘致を促進するための制度なので、大歓迎。今治市は瀬戸内海の要所で、しまなみ海道で広島ともつながっている。物流拠点としても魅力的です。
この制度には資本金・従業員数の制約は一切ありません。大企業も中小企業も同じ条件。ただし、従業員数無制限は楽ですが、事業計画の審査はありますから、しっかりした計画が必要です。
奨励金の計算は「用地の取得価格」がベースですよね。でも、土地を買うときって、土地代以外にもいろいろ費用がかかるじゃないですか。仲介手数料や登記費用なども含まれるんですか?
大事な質問です。ここで注意してほしいのは、対象となるのは「用地の取得価格」のみ。仲介手数料や登記費用、測量費、造成費用などは対象外です。あくまで土地そのものの購入価格だけ。
対象経費と対象外経費- 用地の取得価格(土地代)
- 今治市またはUR都市機構からの直接購入分
×デメリット
- 仲介手数料
- 登記費用
- 測量費・造成費・整地費用
- 建物建設費
- 設備購入費
- 消費税(原則として課税対象)
つまり、土地代だけが計算のベースで、そこから10%ってことですね。
そうです。ただし、注意点がもう一つ。操業を開始した日までに用地取得代金を完納していないと交付されません。つまり、ローンで買ったとしても、引き渡し前に全額支払いを終えている必要がある。資金計画はしっかり立ててください。
設備投資やIT導入にも使えると書いてありましたけど、あれは?
それは「使途」の記載ですが、この奨励金自体は用地取得に対する補助です。設備やIT導入は、別の奨励金(設備投資奨励金など)でサポートされる場合があります。ただし、この制度の交付金額は自由に使える現金なので、結果的に設備投資に回すことは可能です。あくまで使途制限はありません。
では、実際の申請手順を教えてください。何から始めればいいですか?
最初の一歩は今治市産業振興課への事前相談です。電話でもメールでもOK。担当者が制度の詳細を説明してくれます。ここで事業計画の概要を伝え、要件を満たしているか確認します。
はい。必要書類は事業計画書、会社概要(個人事業主は開業届の写しなど)、用地の売買契約書案など。具体的な一覧は産業振興課からもらえます。
この制度はjGrantsで受け付けています。したがって、GビズID(利用者登録)が必要です。まだお持ちでない方は、申請前に取得しておきましょう。GビズIDの取得には2〜3週間かかることもあるので、余裕を持って。
指定区域用地取得奨励金 申請の流れ- 1
- 2
- 3
適用事業者指定申請
市長に申請し、指定を受ける(用地取得前)
- 4
用地取得・操業
UR又は市から直接購入し、操業開始までに代金完納
- 5
- 6
審査・交付決定
市が審査し、交付額を決定。その後振込
そうです。適用事業者の指定を受けるには、市長への申請が必須。指定は用地取得前に行う必要があるので、土地を買う前に相談して、指定を受ける流れを確認しておかないと、後から「対象外」になってしまいます。
- 対象区域の具体的な範囲(地番など)
- 申請書類の様式と記入例
- 審査期間の目安(交付決定までどれくらいかかるか)
産業振興課に問い合わせると様式一覧がもらえます。一般的には以下のようなものが必要です。
- 奨励金交付申請書(所定様式)
- 事業計画書
- 会社の登記簿謄本または個人事業の開業届の写し
- 用地の売買契約書の写し
- 用地取得代金の完納を証明する書類
- 操業を証明する書類(工事完了届など)
結構書類が多いですね。でも、事前に確認できるので安心です。
申請しても必ず通るわけではないですよね?審査でどこが見られるんですか?
そうですね。交付額は「用地の取得価格の10%以内」とあるので、審査次第で減額される可能性もあります。重要なのは事業の実現性と地域への貢献度です。
そうです。今治市は人口減少対策も含めて企業誘致を進めているので、新規雇用の見込みは大きな評価要素です。ただし、この制度自体に雇用数要件はありません。それでも事業計画に具体的な雇用創出数を盛り込むと説得力が増します。
「適用事業者の指定を受ける」って具体的にどういう手続きなんですか?
用地取得の前に、市長に対して「この土地を買って事業をします」と申請し、市が「あなたは適用事業者です」と認める手続きです。この指定を受けると、正式に奨励金の対象になることが確定します。ただし、指定後も実際の操業や代金完納が条件なので、油断は禁物。
申請から指定まで、通常は1〜2ヶ月程度と言われています。ただし、事業計画の内容によっては審査が長引くことも。余裕を持って、少なくとも用地取得の3ヶ月前には相談しましょう。
最大の失敗は**「指定前に用地を買ってしまう」**こと。後から「この制度使いたい」と言っても、指定が遡及しないので対象外になります。また、UR都市機構以外から買うのもNG。不動産会社を通した中古物件などは対象外です。あと、代金を操業開始日までに完納できないと交付されません。資金計画は厳しめに。
今治市の企業立地優遇制度には、他にもいくつか奨励金がありますよね?違いを整理してください。
はい。今治市の指定区域(今治新都市区域)には、主に6つの奨励金があります。この「用地取得奨励金」はその中の一つ。簡単に比較します。
今治市指定区域の主な奨励金比較| 制度名 | 対象 | 補助上限 |
|---|
| 【6】設備投資奨励金 | 設備更新(中小企業) | 各年度1千万円 |
この制度は用地取得だけじゃなくて、固定資産税の軽減や設備投資にも使えるってことですか?
いいえ、この制度は用地取得だけです。ただし、同じ指定区域で 【1】指定区域企業立地促進奨励金(固定資産税の収納額に相当する額を交付)や 【6】設備投資奨励金 と併用できる可能性があります。併給ルールは市に確認してください。
つまり、複数の奨励金を組み合わせれば、トータルの支援額が大きくなる可能性があると。
その通り。例えば、この用地取得奨励金で最大5億円、さらに固定資産税の軽減で数百万〜数千万円、設備投資奨励金で年間1千万円…うまく使えばかなりの額になります。
3ha以上なら「大規模用地取得奨励金」の方がお得そうですね。
そうなんです。大規模用地取得奨励金は、3haを超えると20%、5ha超で30%と補助率が上がり、しかも上限なし。もし3ha以上の用地を検討しているなら、絶対にそちらを視野に入れるべきです。ただし、こちらの制度の「用地取得奨励金」は3ha未満の用地に最適。どちらもURまたは市からの直接取得が条件です。
大規模用地取得奨励金は「3ha以上」なので、3haなら対象。ただし、3haまでの部分は10%で、それを超えた部分から20%になります。3haちょうどなら、全額10%で上限なし。なので、どちらを選んでも同じかもしれませんが、大規模の方は上限がないので、もし少しでも面積が増えればお得。制度の選択は市と相談して決めましょう。
募集期間は 2026年3月31日から2027年3月31日まで。ただし、予算がなくなり次第終了の可能性もあるので、早めに動いた方がいいです。
結構長い期間ですね。でも、申請は随時受付なんですか?
そうです、随時受付。ただし、審査には時間がかかるので、遅くとも2026年度中に申請を完了する必要があります。用地取得→操業→代金完納までを2027年3月31日までに終えなければならないので、実際はもっと早く動く必要があります。
はい。まず「法人じゃないとダメ?」→個人事業主でもOK。次に「買った土地を賃貸に出したい」→ダメ、自ら立地が条件。「URから直接買うってどういうこと?」→今治新都市区域の土地をUR都市機構が分譲しているので、そこから直接購入する。「奨励金はいつ振り込まれる?」→審査後、交付決定から数ヶ月以内。詳細は市に確認。