室谷さん、今日は「廃棄物処理施設」の熱を活用する補助金があると聞いてきました。ごみ焼却場の熱って、そんなにすごいんですか?
実はこれがすごいんですよ。廃棄物処理施設で出る熱を、地域のエネルギーセンターとして活用しようというのがこの補助金の狙いです。名前も長いですけどね(笑)。
令和8年度 熱利活用事業(単年度事業分)第3次公募【廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築促進事業】です。実施機関は環境省、執行団体が一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会ですね。
長い名前ですね(笑)。キャッチコピーは「自立・分散型の『地域エネルギーセンター』の整備を支援します」とありました。
ごみ焼却のときに発生する熱を、そのまま捨てずに地域で使おうという取り組みです。災害時のレジリエンス強化にもつながるので、最近注目されていますよ。
なるほど、防災にも役立つんですね。具体的にどんな設備を入れるのか、もう少し教えてください。
大きく分けて3つの事業があります。①熱供給設備・熱需要設備、②ビニールハウス等の簡易的な建屋、③エネルギーマネージメントシステムです。
ちょっと待ってください。ビニールハウスって、あの農業用のビニールハウスですか?
そうです(笑)。廃棄物処理施設の熱でビニールハウスを温めて、地域農業に活用するケースですね。これ、意外と面白い使い方だと思いますよ。
ビニールハウスは「簡易的な建屋」という区分なんですね。
その通りです。補助対象の①熱供給設備・熱需要設備には、熱交換器、熱導管、ポンプ、温水ボイラ(バックアップ用)が含まれます。それから②としてビニールハウス等の簡易的な建屋、③としてエネルギーマネージメントシステム、つまり熱を制御する通信・制御設備です。
熱交換器や熱導管はイメージできます。ポンプもですよね。
熱を送るためにはポンプで循環させる必要がありますからね。温水ボイラはバックアップ用として認められています。メインの熱源が使えないときの予備という位置づけです。
なるほど。設備を一通り導入するのに欠かせないものがそろっているんですね。
熱利活用事業で補助対象となる3つの事業 ①熱供給・熱需要設備
熱交換器、熱導管、ポンプ、温水ボイラ(バックアップ用)など
②ビニールハウス等の簡易建屋
廃棄物処理で生じた熱を利用するための簡易的な建屋
③通信・制御設備
エネルギーマネージメントシステムなど熱を制御する設備
全部補助対象経費の1/2 です。どの事業も同じ補助率ですね。
補助率は1/2とのことですが、上限額はいくらなんですか?
公式ページには「上限—」と表示されています。「補助対象経費の1/2(但し上限あり)公募要領参照 」という記載だけですね。
公募要領に記載されているので、それを確認する必要があります。jGrantsのページの基本情報には具体的な数字は載っていません。
じゃあ、申請する前に必ず公募要領を読まないといけないですね。
まさにその通りです。公募要領には補助金上限額だけでなく、対象経費の範囲や応募方法も書いてありますから、熟読必須です。
でも、費用対効果の基準というのは書いてありましたよね?
はい。「費用対効果(円/トン-CO2)の基準を16,000円/トン-CO2 を上限」とあります。つまり、CO2を1トン減らすために16,000円までなら補助対象になる、という基準です。
補助金の上限額の算出に影響します。事業計画を立てるときは、どれだけのCO2削減効果が見込めるかを計算しておく必要がありますね。
なるほど。設備を入れるだけじゃなくて、効果を数字で示さないといけないんですね。
環境省としても、税金を投入するのですから、効果が大きい事業を採択したいわけです。CO2削減効果を最大化するような事業設計が求められます。
注意:補助金の上限額は公募要領で確認!
補助率は1/2ですが、上限額が設定されています。費用対効果の基準は16,000円/トン-CO2。詳細な上限額の算定方法は令和8年度公募要領を必ず確認してください。
よくある質問にも、費用対効果の上限額の具体例を求めるQ9がありましたね。
そうなんです。「その場合の補助金額の上限額を求める具体例を挙げて説明してください」という質問です。公募要領か同協会のQ&Aで、計算例が示されているはずなので、参考にするとよいですよ。
民間企業、地方公共団体、独立行政法人、一般社団法人・一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人、そして環境大臣の承認を得て技管協が適当と認める者です。
従業員数の上限はありません。「従業員数の制約なし 」と明記されています。大企業でも中小企業でもチャンスがありますよ。
応募資格の列挙には「民間企業」とあります。個人事業主が「民間企業」に含まれるかどうかは、公募要領で確認するのが確実です。
建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、サービス業(他に分類されないもの)、公務(他に分類されるものを除く)、分類不能の産業です。
そうなんです。廃棄物処理施設を運営する事業者だけでなく、熱を利用する側の事業者も対象になる可能性があります。
申請できる主な団体 地方公共団体 独立行政法人 一般・公益社団法人、財団法人
自分の会社が対象になるか、心配な場合はどうすればいいですか?
ここからは経費の話ですね。熱供給設備・熱需要設備には具体的に何が含まれるんですか?
熱交換器、熱導管、ポンプ、温水ボイラ(バックアップ用)です。よくある質問でも、熱需要設備にどのようなものが含まれるかというQ1があって、公募要領に記載の内容を確認する必要があります。
そうです。焼却施設の熱水と、地域の建物の暖房用水を熱交換するイメージです。熱導管はその熱を運ぶ配管ですから、施設から離れた場所まで熱を供給できます。
はい。Q2には「利用する熱媒体が蒸気の場合、蒸気発生用のバックアップボイラも対象設備として含めることが出来ますか」という質問もあります。こうした細かなことは、Q&Aを確認すると解決しますね。
ビニールハウスは「簡易的な建屋」という表現ですが、どんなものが対象ですか?
「ビニールハウス等の簡易的な建屋」とあります。廃棄物処理により生じた熱を利用するための建屋という位置づけですね。
そのあたりは公募要領の対象経費の定義を確認する必要があります。ただし、補助対象になるのは「熱を利活用するための」建屋ですから、単に農業用として建てるのではなく、熱を利用する設備と一体になっている必要がありそうです。
それから③のエネルギーマネージメントシステムも教えてください。
廃棄物処理により生じた熱を制御するために必要な通信・制御設備等です。熱の供給量をコントロールして、無駄なく使うためのシステムですね。ITやセンサーを活用した設備が想定されています。
まさにIT導入支援の側面もあるんですね。使途に「設備整備・IT導入をしたい」とありましたから。
公式の情報で明示されているのは、この3事業です。逆に考えると、この3つに該当しない設備、例えば廃棄物発電設備そのものや、熱を利用する側の生産設備そのものは、この熱利活用事業の対象外になる可能性が高いです。
あれ?でも環境省の報道発表には「電力利活用事業」もありましたよね?
よくご存じですね。令和8年度の同事業には、電力利活用事業と熱利活用事業、それに実現可能性調査事業があります。電力利活用事業は電線・変圧器等、廃棄物発電により生じた電力を利活用する設備(EV収集車のリースを含む)が対象です。ただ、今回の公募は熱利活用事業ですから、申請する際は間違えないようにしてください。
対象設備まとめ(3事業に共通して補助率1/2) ①熱供給・熱需要設備:熱交換器、熱導管、ポンプ、温水ボイラ(バックアップ用) ②ビニールハウス等の簡易的な建屋 ③通信・制御設備(エネルギーマネージメントシステム) × デメリット
熱利活用事業の対象外の設備は公募要領で要確認 電力利活用事業は今回の対象ではない
令和8年8月24日(月)から同年9月18日(金)17時着信 までです。
約1か月の期間ですね。しかも17時着信ということは、郵送の場合は余裕をもって送る必要がありますね。
そうですね。手続きのミスで期間に間に合わないのが一番もったいないですから、スケジュールを逆算して準備しましょう。
jGrantsのページ下段、または廃棄物処理施設技術管理協会のホームページからダウンロードできます。公募要領や交付規程も同じ場所に掲載されています。
交付申請書(様式第1)、実施計画書(添付資料)、暴力団排除に関する誓約書、要件対応等確認表などです。それから事業によっては、変更交付申請書や計画変更承認申請書なども用意されています。
変更交付申請書(様式第2)や計画変更承認申請書(様式第5)を提出します。進められなくなった場合の中止(廃止)承認申請書や遅延報告書もありますから、トラブル時も手続きが用意されていますね。
あります。様式第11の完了実績報告書です。事業完了後に提出して、補助金額が確定する流れになります。消費税の仕入控除税額報告書や取得財産等管理台帳も必要です。
熱利活用事業の申請手順 1 GビズIDを取得
jGrantsでの電子申請に必要。事前にアカウントを発行
2 公募要領を熟読
対象経費・要件・上限額の算定方法を確認
3 申請書類を準備
交付申請書、実施計画書、誓約書などをダウンロード
4 必要書類を提出
令和8年9月18日(金)17時着信厳守
5 交付決定・事業実施
交付決定後に事業を開始。ただし要件を確認
気になるのが、交付決定前に工事を始めてしまってもいいのか、ということです。
よくある質問にそのものズバリのQ6があります。「交付決定前に事業に着手してもよろしいですか」という質問です。一般的には、交付決定前の着手は補助対象外になるリスクが高いため、公募要領や交付規程に従って行動してください。
そうです。Q7には「何らかの事情で期間内に事業が完了しない場合は、ペナルティはありますか」という質問もあります。期間内に完了しない場合の取り扱いも、公募要領・交付規程に記載されています。
まず、CO2削減効果がどのくらい見込めるかを丁寧に計算することです。費用対効果の基準が16,000円/トン-CO2 ですから、これを超えない事業設計が求められます。
熱導管のルートを短くするとか、熱需要を増やすとかですか?
まさにそうです。どれだけ多くのCO2を削減できるかが、補助金の上限額を決めるうえでも重要になってきます。事業計画の段階で、熱供給量と需要量のバランスを精査しましょう。
要件対応等確認表という様式があります。「要件対応等確認表(熱).docx」というファイルです。これは申請者が要件を満たしているかどうかを確認するための表ですね。
そうです。この確認表を提出するということは、審査側も申請者の理解度を見ている可能性があります。空欄にしないで、根拠となる資料を添えて丁寧に記入しましょう。
そうですね。よくある質問のQ5には「第1回目の公募に間に合いませんでした。次回公募に応募したいと考えていますが、実施される予定ですか」というものもあります。わからないことは臆せず問い合わせるのがよいです。
攻略のポイント
費用対効果16,000円/トン-CO2を意識した事業設計と、要件対応等確認表を活用した自己チェック。公募要領の対象事業に該当する設備を正確に選定してください。
事業はどのくらいの期間で完了させる必要がありますか?
この事業は「単年度事業分」という名称です。ですから、原則として単年度で事業を完了させることを想定しています。
よくある質問のQ8で「実施期間が3年程度を見込んでおりますが、補助事業パンフレットには、国庫債務負担行為事業の期間が2年間と記載されています。このような場合でも、当該事業は対象となりますか」と聞かれています。
公式ページのQ&Aに回答が掲載されています。複数年度にわたる事業の取り扱いについては、交付規程や公募要領に従う必要がありますので、気になる方はそちらを確認してください。
最後に、これから申請を考えている人へのアドバイスをお願いします。
まずは令和8年度の公募要領をダウンロードして読むことから始めてください。対象事業の詳細、補助対象経費、上限額の算定方法、応募方法、留意事項が全部書いてあります。
でも、これが一番の近道です。それから、わからないことは問い合わせましょう。日頃から廃棄物処理施設の熱をどう活用するか検討している事業者の方が対象ですから、具体的な計画がある方は早めに相談するのがおすすめです。
jGrantsのページに9問掲載されています。熱需要設備の範囲、バックアップボイラの対象、バイオマスガス施設の取り扱い、応募期間外の受付、次回公募の予定、交付決定前の着手、事業完了の遅延、複数年度事業、費用対効果の計算例、という構成です。
バイオマスガスを発生する施設の質問もあったんですね。
Q3に「バイオマスガスを発生する施設にガス利用設備(焼却・発電)と熱回収設備を設置し、生じた熱を他の施設に供給する場合、当該事業は対象となりますか」とあります。こうした具体的な事例は、ぜひチェックしておきたいですね。
最後に、この制度のポイントをまとめていただけますか?
ポイントは4つです。1つ目、廃棄物処理施設の熱を地域で活用する設備導入を支援する制度であること。2つ目、補助率は1/2で、上限額は公募要領に記載があること。3つ目、公募期間は令和8年8月24日から9月18日17時までであること。4つ目、費用対効果16,000円/トン-CO2の基準を満たす計画が必要であること。
とてもわかりやすい! あとは公募要領を読むだけですね。
そうですね。廃棄物処理施設の熱で地域を活性化したい事業者は、ぜひチャレンジしてみてください。私たちも応援しています!
令和8年度 熱利活用事業のスケジュール 2026年8月24日
公募開始
公募要領と申請書類のダウンロード開始
2026年9月18日
公募締切
17時着信厳守。書類を提出
2026年度中
交付決定・事業実施
交付決定後に設備導入を実施
1 制度名:令和8年度 熱利活用事業(単年度事業分)第3次公募【廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏構築促進事業】 2 補助率:補助対象経費の1/2(上限あり、公募要領参照) 3 公募期間:令和8年8月24日~9月18日17時着信 4 対象:民間企業、地方公共団体、独立行政法人、各種法人など 5 費用対効果の基準:16,000円/トン-CO2を上限 6 問い合わせ:一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会 044-742-6228