室谷さん、今日は「内航船」の補助金だそうですね。どういう制度なんですか?
経済産業省と国土交通省が連携して実施している、内航海運の省エネルギー化と非化石エネルギーへの転換を支援する補助金です。正式名称が長いんですが、ざっくり「内航船革新的運航効率化・非化石エネルギー転換推進事業」と呼ばれています。
内航船って、日本国内の海を走る船ですよね。フェリーや貨物船をイメージすればいいですか?
まさにそうです。国内の海運を支える船の省エネ化と、燃料を非化石エネルギーに切り替える取り組みを、国がまとめて後押しする制度なんです。
しかも今回、三次公募なんですよね。人気の制度なんですか?
どうなんでしょうね(笑)ただ、それだけ何度も公募がかけられるということは、継続的に支援していく方針の表れだと思いますよ。
大きく2つのタイプがあります。1つ目は、ハード対策とソフト対策の組み合わせによる船舶の省エネルギー化です。ハード対策には省エネ船型、高効率プロペラ、高効率エンジンなど。ソフト対策には運航計画・配船計画の最適化などが挙げられています。
船そのものを改良するのと、運用の工夫を組み合わせるわけですね。
そうです。片方だけではなく、両方を組み合わせて、より大きな省エネ効果を目指すのがポイントです。
なるほど。じゃあ、船を新しく造るときだけが対象なんですか?
そこは新しい造船だけに限らないかもしれませんが、詳細は公募要領で確認が必要ですね。既存船の改修や運航方法の見直しも含まれる可能性はあります。
対象になる実証事業の2タイプハード+ソフト対策
省エネ船型・高効率プロペラ・高効率エンジンなどのハード対策と、運航計画・配船計画の最適化などのソフト対策を組み合わせる
非化石エネルギー転換
上記の省エネ対策に加えて、水素燃料電池やバッテリーなど非化石エネルギーを使用する機器を導入する
そもそも、なぜ内航船の省エネが重要視されているんですか?
日本は2050年までにカーボンニュートラルを目指しています。あらゆる分野で省エネと非化石転換を進める必要があって、内航海運も例外ではありません。さらに、エネルギー基本計画では2030年度の内航海運分野における省エネルギー削減目標を62万klと設定しています。
62万kl……どのくらいの量かピンときませんが、かなり大きい数字ですよね。
そうなんです。この目標を達成するには、船を造る技術と運航のノウハウの両方が必要です。そのための実証事業に対して、設備費や設計・工費、検証等費用の一部を補助するのがこの制度の役割です。
経済産業省と国土交通省が一緒になっているあたり、省エネ政策と海事政策の両面から進めていることが分かりますよね。
補助上限額は50,000万円です。ゼロの数が多いので、最初見たとき目を疑いましたよ(笑)
50,000万円……つまり5億円ですよね? マジですか、すごい桁ですね!
そうなんですよ。ただし、誰でも上限までもらえるわけではありません。あくまで「上限」が50,000万円で、実際には費用の半分までが補助される仕組みです。
補助率は1/2と公式にありますけど、計算としてはどうなるんですか?
簡単に言うと、かかったお金の半分が補助されます。例えば総事業費が1億円なら、補助金は5,000万円。自己負担も5,000万円です。
じゃあ、上限いっぱいの50,000万円もらおうと思ったら、総事業費が100,000万円必要ってことですよね。
その通り。それくらい大型の実証プロジェクトを想定しているということです。内航船を改造したり、新しいエンジンや燃料電池を載せたりするには、大きなお金が動きますからね。
なるほど。小さな会社でも手が届く規模感ではないかもしれないですね。
ただ、従業員数の制約はありませんから、共同事業などの形で参加する道もあるかもしれません。そこは公募要領で確認してみてください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助上限額 | 50,000万円 |
| 補助率 | 1/2 |
| 対象経費 | 設備費、設計・工費、検証等費用の一部 |
| 対象地域 | 全国 |
| 対象業種 | 運輸業、郵便業 |
| 従業員数 | 制約なし |
その通りです。融資と違って返済義務はありません。ただし、計画どおりに事業を実施して、実績報告など所定の手続きをする必要があります。
そう。補助金はあくまで事業を実施するためのお金ですから、ちゃんと実証事業を行い、後で報告する義務があります。そこは頭に入れておきましょう。
基本情報では、対象業種が運輸業、郵便業とされています。内航船を使った事業を展開している企業がメインターゲットになるでしょう。
詳細は公募要領で確認していただく必要があります。ただ、実証事業を実施する事業者に対して補助をする制度なので、実際に船を使って実証を行う体制があるかどうかが問われるはずです。
そこは安心してください。基本情報では従業員数の制約なしとされています。
ということは、人数が少ない会社でもチャンスはある?
そういうことになります。中小企業でも、事業内容がしっかりしていれば申請は可能です。むしろ大型の補助金なので、挑戦しがいがあると言えますね。
大型の補助金だからこそ、準備も大変そうですが……。
ですね。だからこそ、申請を考えているなら早めに動くのが大事ですよ。
対象地域は全国です。全国どこからでも申請できます。
それはいいですね。ちなみに、書類作成を代行してもらうことはできますか?
この制度は代理申請が不可です。申請者自身で申し込む必要があります。コンサルタントに丸投げはできないので、自分たちで申請手続きを進めましょう。
公式に明記されているのは、事業実施に必要な設備費、設計・工費、検証等費用の一部です。設備費は省エネ船型や高効率プロペラ、高効率エンジンなどの導入費用。設計・工費は船の設計変更や工事にかかる費用。検証等費用は実証の効果を測定・検証するための費用、というイメージです。
先ほどの水素燃料電池やバッテリーといった非化石エネルギー機器も設備費に含まれるんですか?
その通りです。ハード対策の機器に加えて、非化石エネルギーを使用する機器の導入も対象になり得ます。これがこの補助金の大きな特徴です。
公式の基本情報には、ここが対象外ですよ、という具体的なリストがありませんでした。なので、正直なところ断言はできないんです。
公募要領で確認するのが確実です。補助金の対象外となる経費は、事業の内容によっても変わります。通常の事業運営にかかる費用や、実証と関係のない事務的な費用などは、多くの補助金で対象外になる傾向がありますが、この制度でどうなのかは要確認です。
対象経費の考え方- 設備費:省エネ船型、高効率プロペラ、高効率エンジンなどの導入費用
- 設計・工費:船の設計変更や工事にかかる費用
- 検証等費用:実証の効果を測定・検証するための費用
×デメリット
- 対象外経費の詳細は公募要領で要確認
- 自己負担分(補助率1/2の残り)を計画しておく必要がある
補助率が1/2なので、自己負担分を考えておかないといけません。例えば設備費1億円の計画なら、補助が5,000万円、残り5,000万円は自社負担です。
あらかじめ資金計画を立てておかないと、あとで苦労しそうですね。
そうなんです。補助金ありきで計画を立てると、あとで資金が足りなくなる危険があります。あと、補助対象になる時期や支払いのタイミングも、公募要領で確認しておくのがおすすめです。
事務手続きも含めて、計画をきちんと立てることが大事なんですね。
忘れちゃいけない締め切りですね。今回の公募期間は?
三次公募の受付期間は、2026年8月19日(水)から2026年9月9日(水)までです。そして締切は9月9日17時必着です。
えっ、そんなに近いんですか? 今から準備して間に合うんですか?
公募期間は約3週間です。公募要領を読むところから始めると、書類の準備は本当にギリギリ。とにかく、まずは公式サイトから公募要領をダウンロードしましょう。
三次公募のスケジュール2026年8月19日
公募開始
公募要領や申請様式が公開されています
2026年8月中旬〜9月初旬
書類作成期間
公募申請書・実施計画書・プレゼン資料を作成
2026年9月9日
申請締切
17時必着。時間厳守です
採択後
事業開始
有識者審査を経て補助事業者が決定
配布資料として掲示されているのは、公募要領、公募申請書及び実施計画書の記載例、交付要綱、承諾書、プレゼンテーション概要資料、プレゼンテーションひな形です。
そうなんですよ。申請書類のほかに、プレゼンテーション用の資料が用意されています。しかも、ひな形まであるので、それに沿って作る形になりますね。
書類審査だけじゃなくて、プレゼン審査もあるってことですか?
おそらく、そういう流れになるでしょう。プレゼンテーション概要資料やひな形があるということは、口頭での説明機会も想定されていると考えるのが自然です。
申請はどうやって行うんですか? 窓口に持っていくんですか?
この補助金は**jGrants(ジェイグランツ)**という政府の補助金申請システムから申し込む形式です。公式ページもjGrantsにあります。
基本的にはそうですね。ただし、公募要領や記載例はPDFやWordで配布されているので、まずはそれらを入手して、内容を確認しながら書類を作成していく流れになります。
補助金申請の流れ- 1
公募要領を入手
経済産業省・国交省のサイトからダウンロード
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
事業実施と報告
実証事業を行い、実績報告後に補助金交付
この補助金、令和8年度予算が前提だと聞きましたが?
その通りです。もともとの公募案内にも、予算成立前に募集手続きを行うもので、補助対象者の決定や予算の執行は令和8年度予算の成立が前提だと明記されています。
その可能性はゼロではありません。今後の内容変更もあり得るということは、頭の片隅に入れておいたほうがいいでしょう。
その点は注意しつつ、それでもチャンスがあれば挑戦したいですね。
公式には「有識者による審査結果を踏まえて決定する」とされています。専門家の先生方が、提出された書類とプレゼンを見て判断するという流れです。
書類だけでなく、プレゼンテーション資料が配布されているところがポイントですね。事業の意義や実現可能性を、口頭でも説明できる準備が必要です。
1つ目は、事業が国の省エネ目標や非化石転換の推進にどれだけ貢献するか。2つ目は、ハード対策とソフト対策の組み合わせが合理的かどうか。3つ目は、実証事業としての実現可能性ではないでしょうか。
やはり「組み合わせ」ですね。省エネ船型を導入するだけ、高効率エンジンにするだけ、ではなく、運航計画の最適化とどう組み合わせるか。そのストーリーが具体的であればあるほど、説得力が増すと思います。
つまり、ただ「やりたいです」ではなく、説得力のあるストーリーが必要なわけですね。
そう。特に「この船型とこの運航最適化を組み合わせるから、これだけの省エネが期待できる」というように、具体的なロジックが求められるはずです。
一番怖いのは、要件を満たしていないのに申請してしまうことです。対象業種、事業の内容、経費の区分……どれか一つでも要件とズレていると、審査の前に弾かれる可能性があります。
そう。特に複数回公募があるので、今回の三次公募の要領が前回と変わっている場合もあります。必ず最新の公募要領で確認してください。
書類の書き方そのものよりも、まずは「要件を満たしているか」が大事なんですね。
問い合わせ先が2つあります。公募に係る全般的なことは経済産業省、事業内容に係ることは国土交通省です。それぞれ担当課と担当者名、電話番号も公表されています。
経済産業省は資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課、担当は川邉さんと矢嶋さん。電話は03-3501-9726です。
国土交通省は海事局海洋・環境政策課、担当は高橋さんと山村さんと小田桐さん。電話は03-5253-8614です。話したい内容によって窓口が分かれているんですね。
細かい条件や経費の判断は、電話で問い合わせるのが確実です。メールで聞くより、電話で直接確認したほうがレスポンスが早いことも多いので、積極的に使いましょう。
この補助金は、内航船の省エネと非化石転換を進めるための実証事業を支援するものです。補助上限額は50,000万円、補助率は1/2。対象業種は運輸業・郵便業で、全国の事業者が申請できます。
申請期間は2026年8月19日から9月9日17時必着でしたね。
そうです。しかも代理申請は不可で、jGrantsからの申請が必要です。準備には時間がかかるので、迷っているなら即行動ですよ。
この補助金は、内航海運の未来を変える大きなチャンスです。ただし、公募期間が限られていて、必要書類も多い。だからこそ、まずは公式サイトにアクセスして、公募要領を読むことから始めてください。
なるほど。遠回りに見えて、それが一番の近道なんですね。
そういうことです。特に経費の範囲や申請要件は、ここで説明した以外の細かい条件が公募要領に書かれています。「なんとなく」ではなく「しっかり確認して」行動に移しましょう。
ありがとうございました! またよろしくお願いします!