室谷さん、今日は「海外ビジネス展開支援等事業費補助金(対内直接投資促進事業)」という、すごく長い名前の補助金を教えてもらいたいんですけど。これ、ジェトロが事務局なんですよね?
そうです!ジェトロ、つまりJETRO(日本貿易振興機構)が事務局をやっている補助金で、正直これ、かなり特殊な補助金なんですよ。通常の補助金と根本的に目的が違う。
普通の補助金って「日本企業の競争力を強化しましょう」とか「設備投資を促進しましょう」という目的じゃないですか。でもこの補助金は「外国企業・外資系企業の日本への投資意欲を喚起し、投資案件を具体化・加速させる」という対内直接投資(FDI)誘致が目的なんです。
えっ、日本企業に対して補助金を出すのに、外資誘致が目的ってどういうことですか?
日本企業が外国企業と組んで「この事業、日本でやったら面白いよね」って実現可能性を調査する費用を補助してくれるわけです。日本企業が橋渡し役になって外資の日本投資を促進する、という国策を担う補助金、ということですね!
なるほど!それで補助上限が最大2,000万円と、かなり高額なんですね。
そう!補助上限2,000万円です。補助率は1/2または1/3で、調査費・人件費・旅費など幅広い経費が対象になります。半導体やライフサイエンス、脱炭素分野を手掛けている企業には特に向いている補助金です。
ジェトロ対内直接投資促進補助金 基本スペック
締切が2026年5月11日の15時00分と、かなり厳しい締め切りですね!
郵送・持参は一切受け付けなくて、オンライン提出のみです。しかも15時00分の必着なので、送信完了を必ず確認メールで確認してください。締め切り直前のシステムトラブルが怖いので、遅くとも5月9日には提出を終わらせておくのが現実的な計画です。
そうか、余裕を持った対応が大事ですね。次は対象分野を教えてもらえますか?
「重点分野がある」って言ってましたが、具体的にどの産業が狙い目なんですか?
対象分野は大きく4つです。製造、ヘルスケア、グリーン、そしてデジタル関連技術。この4分野が対象になるんですけど、特に半導体・マイクロエレクトロニクス、ライフサイエンス、脱炭素の3分野が最重点と明記されています。
半導体・ライフサイエンス・脱炭素、というのは確かに今の国の産業政策と完全に一致していますね。
まさにそうです!岸田内閣以来の対日投資促進政策、それに続く半導体戦略や脱炭素政策の流れで、この補助金は国家的な意味合いを持っている。ですから、審査員の目線も「この事業が国の重点政策にどれだけ貢献するか」という観点で見てきます。
| 分野 | 重点度 | 具体例 |
|---|
| 製造(半導体・マイクロエレクトロニクス) | ★★★ 最重点 | 半導体装置メーカーとの合弁可能性調査 |
| ヘルスケア(ライフサイエンス) | ★★★ 最重点 | 欧米バイオテックとの技術移転調査 |
| グリーン(脱炭素) | ★★★ 最重点 | 洋上風力・水素分野での外資連携調査 |
| デジタル(モビリティ・Fintech) | ★★ 重点 | EVモビリティ、デジタル金融分野 |
| その他製造・サービス・農林業等 | ★ 対象 | 上記分野との関連性次第 |
ということは、半導体や再生可能エネルギーと全く関係ない業種でも申請自体はできるんですか?
対象業種はかなり広くて、漁業・農林業・建設業・サービス業・運輸業・宿泊飲食業・教育業など多様な業種が対象です。ただし採択審査で「なぜこの事業が対日投資促進に貢献するか」を説得力を持って示せるかどうかが問われます。重点分野外の企業は、AgriTechやFoodTech、あるいはデジタル要素を組み込んだ事業設計で関連性を示すのが攻略策ですね。
改めて確認なんですが、この補助金が他の補助金と最も違うポイントはどこですか?
ズバリ、「外国企業・外資系企業との協業連携」が申請の絶対条件だということです。これがない限り、どんなに素晴らしいビジネスプランでも採択されません。
ほんとに?それって、申請時点でもう外資のパートナーが決まっていないといけないということですか?
申請書に「どの企業と」「どのような連携で」「何を調査するか」が具体的に書けないといけないです。ただ、ジェトロは世界50カ国以上に海外事務所を持っていて、外資企業とのマッチング支援サービスもやっているんですよ。公募期間(3月31日〜5月11日)中でもジェトロに相談してパートナーを探すことはできます。
へえ!それは助かりますね。でも時間的にかなりタイトじゃないですか?
そうなんです(笑)。だから申請を考えている方は
今すぐジェトロのビジネスデベロップメント課(DX_POC@jetro.go.jp)に連絡を入れるのが最初のステップです。公募開始直後から動いた企業が有利で、締め切り直前だとマッチング支援も間に合わなくなる可能性がある。
在日外資系企業が連携する場合は、何か特別な手続きが必要なんですよね?
はい、在日外資系企業がコンソーシアムに参加する場合は、ジェトロのサービス利用規約への同意が別途必要になります。この手続きの調整は日本企業側がリードしてあげる必要があるので、外資パートナーへの連絡も早めに!
- 外国企業・外資系企業との既存の取引・関係がある、またはジェトロに紹介を依頼できる
- 半導体・ライフサイエンス・脱炭素・デジタル分野で事業展開している(特に重点分野に強い)
- 「外資が日本に投資したくなる事業モデル」の実現可能性を調査できる
- プレゼン審査(6月5日)に経営者または事業責任者を出せる体制がある
- 2,000万円規模の補助事業を管理・報告できる経理体制がある
実際に何の費用に使えるんですか?補助率1/2と1/3の違いも気になります。
補助対象経費は幅広いです。調査・研究費(市場調査委託費・専門家委託費等)、人件費(補助事業担当者分)、旅費(外国企業との協議のための国内外出張)、会議・イベント費(通訳費含む)、翻訳・資料作成費、ソフトウェア・ツール費などが対象になります。
けっこう幅広いですね!補助率はどっちになるんですか?
補助率の1/2と1/3の適用区分は、事業の性質・対象者の属性によって変わります。中小企業の場合は1/2が適用される可能性が高く、大企業や一定規模以上の場合は1/3になるケースが多い。ただし、これは必ずジェトロの担当窓口に確認してから申請することを強くお勧めします。
| 補助率 | 自己負担額(補助上限2,000万円の場合) | 総事業費 |
|---|
| 1/2 | 最低2,000万円 | 最大4,000万円 |
| 1/3 | 最低4,000万円 | 最大6,000万円 |
補助率1/2のほうが自己負担が少ないから、中小企業にとっては有利ですね。補助対象外の経費も知っておきたいです。
対象外はよくある感じですね。国内事業のみを対象とした活動費(外資連携に無関係なもの)、補助事業期間外に発生した経費、土地・建物の購入費・賃借費、飲食・接待費、税金・保険料、既存設備の維持管理費・修繕費、汎用事務用品などです。特に「外資連携に無関係」な経費は対象外になるので、経費設計の段階から外資連携との関連性を明確にしておくことが重要です。
- 補助率(1/2か1/3か)の確認をせずに経費計画を立てる(採択後の変更が困難)
- 外資連携に無関係な自社の既存事業費を混入させる(不正受給リスク)
- 補助事業期間外の経費を計上する(精算時に全額返還になる可能性)
- 見積書なしに概算経費を計上する(審査で信用性が低くなる)
申請の流れを教えてもらえますか?プレゼン審査があるというのも特徴的ですよね。
申請から採択までのフロー図
プレゼン審査って、どれくらいの準備が必要なんですか?
想定される審査時間は10〜15分程度です。「なぜこの事業が日本への外資投資を促進するか」「事業化後の波及効果」を論理的に説明できる資料を書類提出と同時に準備し始めるのがベストです。英日バイリンガル対応の資料にすると外資パートナーへの示しもつくし、審査員への印象も良くなります。
採択されるためのポイントを教えてください!2,000万円の補助金を獲得したい企業は多いはずで、競争は激しそうですよね。
採択の最大要因は2点です。「外資連携の実質性」と「対日投資促進への具体的貢献(定量的根拠)」。この2点が弱い申請は、どんなに経費計画が整っていても採択されません。
「外資連携の実質性」というのは、具体的にどういうことですか?
例えば、名目上だけ「欧州企業が参加予定」と書いても、その企業が本気で日本投資を検討しているかどうかが問われます。既存の取引関係がある企業、あるいはJETROを通じて実際にコンタクトが取れている企業を連携先にすることが大前提です。「連携検討中」では審査を突破しにくいです。
「この調査によって外資がXX億円規模の日本投資を行う可能性がある」「YY件の対日投資案件につながる見込み」といった数字で効果を示すことです。漠然と「連携強化に役立つ」ではなく、投資額・雇用創出・拠点設置等の具体的なインパクト指標を事業計画に盛り込むことが採択率を高めます。
- 採択企業: 外資パートナーが実在し、MOUや合意書がある。調査後の対日投資効果を億円単位で示せる。重点分野(半導体・ライフサイエンス・脱炭素)に強く関連している。プレゼン審査でも経営陣が登壇して力強く説明できる
- 不採択企業: 外資パートナーが「予定」段階のみ。対日投資効果が「期待できる」という定性的な記述のみ。重点分野との関連性が薄い。書類提出後の準備が不十分でプレゼンが弱い
ジェトロを早期活用するというのは、申請成功の鍵なんですね。
そうです!ジェトロのビジネスデベロップメント課は単なる書類受付窓口ではなくて、外資企業とのマッチング機能・投資促進ノウハウを豊富に持っている機関です。申請前にジェトロの相談窓口を積極活用することで、連携先外資企業の発掘や事業計画のブラッシュアップが期待できます。申請書を書き始める前に一度相談するだけで、採択確率は大きく変わります。
この補助金と他の補助金を組み合わせることはできるんですか?
同一事業・同一経費への複数補助金の重複受給は禁止されています。ただし、事業フェーズや経費区分が異なれば、時系列や用途別に組み合わせることは認められる場合があります。
よくある組み合わせは「フェーズ別の時系列活用」です。例えば、本補助金で外資との事業実現可能性を調査し(調査フェーズ)、採択・調査完了後に設備投資の段階でものづくり補助金を活用する(投資フェーズ)というパターンです。デジタル分野であればIT導入補助金も次のフェーズで活用できます。
都道府県の補助金と同時利用できる場合があるんですね。それは知らなかった!
はい。ただし、採択後は他の公的補助金との重複排除条項が適用される可能性があるので、申請時に担当部署へ他の補助金受給状況を必ず申告することが大事です。二重受給は不正受給になりますので要注意です。
読者の方からよく来そうな質問をまとめてもらえますか?
ぜひ!まず一番多い質問は「外国企業とのパートナーシップがまだない場合でも申請できますか?」ですね。
申請時点で連携体制を示せないと採択が困難です。ただし、JETROのマッチング支援サービスを活用すれば、公募期間中(3月31日〜5月11日)にパートナーを探す時間的余裕はあります。重要なのは、提出時に「どの企業と」「何を調査するか」が具体的に説明できる状態にすること。ジェトロへの早期相談が成功への最短ルートです。
事業規模・対象者の属性・事業内容によって異なります。必ずジェトロの担当窓口に確認してください。補助率を誤って申請すると採択後の変更が認められないケースもあります。参考として、補助率1/2だと自己負担が2,000万円(総事業費4,000万円)、補助率1/3では自己負担が4,000万円(総事業費6,000万円)になります。
もちろんです!大企業・中小企業を問わず申請可能です(公募要領で具体的な対象者要件を確認)。中小企業のほうが補助率1/2が適用される可能性が高く、自己負担を抑えやすいメリットがあります。JETROや産業支援機関のサポートを積極的に活用することで、外資連携の実質性を担保できますよ。
一般的に10〜15分程度の発表と5〜10分の質疑応答が想定されます。審査員はJETROおよび関係省庁の担当者で構成され、対日投資促進への具体的貢献、外資連携の実質性、事業実現可能性の観点から評価します。プレゼン資料の英日バイリンガル対応が好印象です。
補助事業実施中の中間報告(事務局指定頻度)、補助事業完了後の実績報告書・精算報告書の提出、会計書類の一定期間保管義務(通常5年間)、調査成果物(報告書等)の提出、採択後の広報・PR活動(プレスリリース・JETRO公式サイトへの掲載等)への協力などがあります。また採択後も対日投資促進効果の追跡調査への協力を求められる場合があります。
採択されてからの管理体制も事前に整えておく必要があるんですね。
そうです!申請書に「補助事業を適切に管理・報告できる体制がある」ことを示せると、審査員からの信頼度も上がります。担当者の配置・会計書類の整備体制を申請前から準備しておくことをお勧めします。
最後に、この記事を読んでいる経営者・担当者に向けて、今すぐやるべきことをまとめてもらえますか?
ハイ!公募締切が2026年5月11日なので、今から動き始めるなら時間的に決して余裕があるわけじゃないですが、まだ間に合います。最初にやるべきことは
ジェトロのビジネスデベロップメント課に連絡すること。お問い合わせフォームからでも、
DX_POC@jetro.go.jpへのメールでも。「この補助金に申請を検討しているが、要件を満たすか確認したい」という内容で大丈夫です。
そうです。第二に、社内で外資との連携実績や取引関係があるかを棚卸しすること。第三に、事業計画の仮説として「外資のXX企業が日本でZZをやるとして、それを支援するFSをする」という骨子を作ること。この3つを並行して進めてください。プレゼン審査まで含めると実質2ヶ月弱のスプリントです。スピード感が採択率に直結します。
対日投資促進という国策に乗れる絶好のチャンスですね!半導体・ライフサイエンス・脱炭素分野の企業はぜひ検討してほしいと思います。詳しくは
ジェトロの公式ページで公募要領を確認してみてください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 海外ビジネス展開支援等事業費補助金(対内直接投資促進事業) |
| 実施機関 | ジェトロ(日本貿易振興機構) |
| 補助上限額 | 最大2,000万円 |
| 補助率 | 1/2 または 1/3 |
| 公募開始 | 2026年3月31日 |
| 申請締切 | 2026年5月11日(月)15時00分 |
| プレゼン審査 | 2026年6月5日(金) |
| 採択発表 | 2026年6月中旬〜下旬 |
| 申請方法 | オンライン(jGrants経由)のみ・郵送不可 |
| 対象地域 | 全国 |
| お問い合わせ | ジェトロ ビジネスデベロップメント課 TEL: 03-3582-5644 |
| 受付時間 | 9時00分〜12時00分/13時00分〜17時00分(土日祝日・年末年始除く) |
| 公式URL | jetro.go.jp/invest/newsroom/2026/81916ae606863b8c.html |