室谷さん、最近「高額医療合算介護サービス費」という制度を調べているんですが、名前が長くて正直よくわからなくて!
ははは、確かに名前だけ見るとすごくとっつきにくいですよね。ざっくり言うと「医療費と介護費を1年分まとめて計算して、払いすぎた分をまとめて返してもらえる制度」です。
そうです。たとえば親御さんが病院にも通って、さらに介護サービスも使っているご家庭って、月々の医療費と介護費が積み重なって年間で相当な額になりますよね。その合算額が一定の上限を超えたら、超えた分が戻ってくるんです。
なるほど!「高額介護サービス費」とか「高額療養費」は聞いたことあるんですが、それとは別物ですか?
別物というか、「さらにその先の救済措置」というイメージです。高額介護サービス費は月単位で介護費の上限を超えた分を返してくれる制度、高額療養費は月単位で医療費の上限を超えた分を返してくれる制度。今日の高額医療合算介護サービス費は年間(8月〜翌年7月)の合計で計算し、さらに両方を足した額で判定するんです。
月単位でもらっていてなお、年間でも追加でもらえることがある、ということですね!
まさに。月々の上限で削った後の「残った自己負担額」を12か月分足して、それがまだ年間の上限を超えていたら、また払い戻してくれる仕組みです。2008年(平成20年)4月に始まった制度で、医療費・介護費が両方高額になる世帯を手厚く守るために設けられました。
計算期間は毎年8月1日〜翌年7月31日の1年間。高額介護サービス費や高額療養費で月単位の還付を受けた後でも、年間合計額がさらに高ければ追加で払い戻しを受けられます。差額が501円以上ある場合に支給されます。
世帯の年間負担限度額一覧
世帯の所得によって変わります。70歳以上の方でみると、一般的な世帯では年間56万円が上限です。非課税世帯だと31万円まで抑えられる。
56万円か。それ以上かかったら全部戻ってくるってことですか!
そうです。課税所得が高い方は限度額も上がって、課税所得145万円以上で67万円、380万円以上で141万円、690万円以上だと212万円が上限になります。
高所得の方は自分でたくさん負担してもらう、ということですね。
そういうことです。下の表にまとめましたので確認してみてください。
| 所得区分(70歳以上) | 年間限度額 |
|---|
| 課税所得690万円以上 | 212万円 |
| 課税所得380万円以上690万円未満 | 141万円 |
| 課税所得145万円以上380万円未満 | 67万円 |
| 一般世帯 | 56万円 |
| 市町村民税非課税世帯 | 31万円 |
| 所得区分(70歳未満) | 年間限度額 |
|---|
| 所得額901万円超 | 212万円 |
| 所得額600万円超901万円以下 | 141万円 |
| 所得額210万円超600万円以下 | 67万円 |
| 所得額210万円以下 | 60万円 |
| 市町村民税非課税世帯 | 34万円 |
70歳未満だと非課税世帯は34万円なんですね。70歳以上の31万円より少し高い。
そうなんです。所得区分は基準日(7月31日)現在の状況で判定されます。この日時点でどの医療保険に入っていて、所得がいくらかで区分が決まるので、年度の途中で保険が変わった場合は注意が必要です。
なるほど、基準日が重要なんですね。では、誰が対象になるんですか?
大前提として、世帯の中に介護保険のサービスを受けている方がいる必要があります。介護保険を使っていない純粋に医療費だけの世帯には適用されません。
じゃあ、介護サービスを使っている高齢の親と同居している場合は対象になり得るってことですか?
そうです。ただし、医療保険の世帯単位で計算するので、同じ医療保険に入っている家族の医療費を合算します。異なる医療保険(たとえばお父さんが会社の健康保険、お母さんが国民健康保険)に加入している場合は、それぞれの医療保険ごとに別々に計算されます。
ここは誤解が多いポイントなんです。「同じ屋根の下に住んでいる家族」ではなく、「同じ医療保険に入っている世帯員」で計算します。その点はしっかり確認が必要です。
- 世帯内に介護保険の受給者がいること
- 計算期間(8月〜翌年7月)の医療費と介護費の自己負担を合算して、年間の負担限度額を超えること
- 限度額との差額が501円以上であること(500円以下だと支給なし)
制度を設計するときに、申請・支給事務のコストと見合わない少額の支給を省くために500円以下は対象外とされたんです。ほとんどの対象者には気にならない金額ですが、計算するとぴったり500円だった場合は残念ながら対象外になります。
高額医療合算介護サービス費の申請フロー
申請はどうやってするんですか?自分でやらないといけないですか?
名古屋市で国民健康保険か愛知県の後期高齢者医療制度に加入している方は、対象になりそうな人に申請案内が郵送されてきます。案内が届いたら、それに従って手続きをすればOKです。
ただし、案内が届かないケースがあるんです。1年間のうちに住んでいる市町村が変わった方、被用者保険から国民健康保険に移られた方、国民健康保険または被用者保険から後期高齢者医療制度に移られた方は、申請案内が届かないことがあります。
基準日(7月31日)時点で加入している医療保険の窓口に問い合わせてください。国保・後期高齢者の方なら各区の保険年金課か支所区民福祉課、それ以外の健康保険(会社の社会保険など)の場合は各医療保険者の担当窓口に申請します。
1申請案内が届く(国保・後期高齢者の方)または窓口へ問い合わせ(被用者保険の方)
2被用者保険の方は介護保険の負担額証明書を区役所福祉課で取得(オンライン申請も可能)
3基準日(7月31日)時点で加入している医療保険者の窓口で申請書を提出
介護保険の負担額証明書を取得するステップが必要になります。この証明書はオンラインでも申請できるので、役所に足を運ぶのが難しい方はオンラインを活用するといいと思います。
| 加入保険 | 申請窓口 | 必要書類 |
|---|
| 名古屋市国民健康保険 | 各区保険年金課・支所区民福祉課 | 申請案内に記載の書類 |
| 愛知県後期高齢者医療制度 | 各区保険年金課・支所区民福祉課 | 申請案内に記載の書類 |
| 被用者保険(社会保険等) | 各医療保険者の担当窓口 | 介護保険の負担額証明書(区役所で取得) |
計算期間が終わる7月31日を基準に、その後に申請案内が届きます。案内が届き次第、早めに動くのがベストです。制度上は計算期間終了後から申請できるので「随時」という形になっています。
期限が「随時」だと、いつまででも大丈夫なんですか?
時効があって、2年以内に申請しないと権利が消えてしまいます。案内が届いたのに放置すると損をしますし、案内が届いていない方も心当たりがあれば2年以内に確認・申請することをお勧めします。
2年ですね!覚えておきます。申請期間が決まっていないぶん、忘れてしまいそうですが。
そうなんです。特に案内が届かないケースの方は、自分から動かないと知らないまま2年が過ぎてしまうこともあります。7月31日の基準日を意識して、毎年チェックするクセをつけておくといいですよ。
高額医療合算介護サービス費の申請権は、計算期間終了後から2年以内に行使しないと失効します。申請案内が届かなかった方も、自ら窓口に問い合わせることで受け取れる権利があります。期限切れにご注意を!
受給対象者が亡くなってしまった場合、申請できないんですか?
ご安心ください。相続人が申請できます。配偶者の方は常に相続人となりますし、配偶者がいない場合は子、父母、兄弟姉妹の順で相続人として申請できます。
そうですね、相続関係を証明する書類が必要です。配偶者の方なら戸籍謄本、子や父母の方は順位に応じた戸籍書類が必要になります。法務局が発行する法定相続情報一覧図があれば戸籍謄本は不要なのでそちらを活用するとスムーズです。
亡くなった後の手続きでも2年以内というルールは変わらないですか?
変わりません。亡くなった日から2年以内ではなく、計算期間終了(7月31日)から2年以内です。そちらの期限内に相続人が申請してください。詳しい必要書類は介護保険課給付担当(052-972-2594)に問い合わせると教えてもらえます。
名古屋市や国の機関が電話で口座番号や暗証番号を聞くことは絶対にありません。また、ATMを操作させて給付金を受け取る手続きも存在しません。「給付金を受け取るために手数料が必要」「ATMで操作が必要」といった連絡は詐欺です。不審に思ったら介護保険課給付担当(052-972-2594)に直接電話で確認してください。
そもそも介護保険分と医療保険分で、それぞれ払い戻し額はどうやって計算されるんですか?
年間の合計自己負担額が限度額を超えた分を、介護保険と医療保険の自己負担額の比率で按分します。名古屋市から振り込まれる「高額医療合算介護サービス費」が介護保険の分、医療保険者(健康保険組合等)から振り込まれる「高額介護合算療養費」が医療保険の分です。
そうです。だからちょっとわかりにくいんですが、合計して受け取ることになります。計算自体は各保険者がやってくれるので、申請者が自分で計算する必要はありません。
例えば、75歳以上の非課税世帯の夫婦がいて、旦那さんが病院に年間の医療費自己負担が20万円、奥さんが介護サービスで年間の介護費自己負担が15万円、合計35万円だとします。非課税世帯の限度額は31万円なので、35万円 - 31万円 = 4万円が払い戻されます。
しかもこれは月単位の高額療養費・高額介護サービス費で削った後の自己負担額で計算するので、実際には月々の還付もあった上でさらに年間でも返ってくるというイメージです。組み合わせると大きな節約になります。
そうですね、一番多い質問は「高額介護サービス費との違いは何か」ですね。高額介護サービス費は月単位で介護費の上限超過を還付する制度、高額医療合算介護サービス費は年間で医療費と介護費を合算して還付する制度です。月単位で還付されてなお、年単位でもさらに還付される可能性があります。
両方もらえる可能性があるってことですよね。最後に基本情報をまとめてもらえますか?
名古屋市健康福祉局 介護保険課給付担当 TEL: 052-972-2594(平日8:45~17:15)
国保・後期高齢者の方の申請先: 各区保険年金課・支所区民福祉課
この制度と組み合わせて使える制度も確認しておきましょう。高額介護サービス費は月単位で介護費を抑える制度なので、セットで理解しておくと今後の費用管理がしやすくなります。