室谷さん、秋田市で「中小企業賃上げ基盤強化支援事業」という補助金が令和8年度から始まったって聞いたんですが、どんな制度なんですか?
はい! これは秋田市が最低賃金の引上げや物価高騰に対応するために、設備投資やDX推進をする事業者さんを支援する補助金です。令和7年度まであった「業態転換等支援事業」が新しい制度として生まれ変わりました。
「賃上げ」が制度名に入っているのがちょっと珍しいですよね?
そうなんです! ここがこの制度の一番のポイントで、令和7年9月10日以降に1時間あたりの賃金を80円以上引き上げていることが必須条件になっています。賃上げを実施した事業者が、さらにその経営基盤を強化するための投資を補助する制度なんです。
なるほど、賃上げとセットで使える制度なんですね! 対象者はどんな事業者ですか?
ざっくり言うと「秋田市内で1年以上事業をやっていて、常時雇用する労働者が1人以上いる中小企業者か個人事業者」です。法人の場合は「秋田市内に主たる事業所があること」、個人の場合は「市内の施設を所有または借りて、当該施設で1年以上事業をやっていること」が条件です。市税の滞納がないことも必須です。
「常時雇用する労働者が1名以上」というのは旧制度にはなかった条件ですよね?
そうです! 令和8年度版から追加された要件です。完全に一人で事業をしている個人事業主の方は対象外になります。会社役員・個人事業主自身は「常時使用する労働者」に含まれないので、従業員を1名でも雇っていることが必須です。この点は旧制度から大きく変わった点なのでしっかり確認してください。
ちなみに旧制度(業態転換等支援事業)との違いはほかにもありますか?
大きく変わっています! あとで詳しく比較表でまとめますね。まず補助額から確認しましょうか。
秋田市中小企業賃上げ基盤強化支援事業の補助額まとめ
事業区分が2種類あって、それぞれ上限額が違います。
| 事業区分 | 補助対象経費の内容 | 補助率 | 上限額 |
|---|
| 設備導入事業 | 設備導入費・工事費 | 対象経費の1/2以内 | 最大100万円 |
| デジタル推進事業 | 設備導入費・委託費・社員育成費 | 対象経費の1/2以内 | 最大50万円 |
えっ! 設備導入事業は最大100万円! 旧制度の50万円から倍になってる!
そうなんです! 補助率も旧制度の「1/3」から「1/2」に引き上がったので、投資額に対してより多くの補助を受けられるようになりました。たとえば200万円の設備投資をした場合、旧制度だと約66万円(上限50万円で頭打ち)でしたが、新制度では最大100万円の補助が受けられます。
それはすごい! 「設備導入事業」と「デジタル推進事業」、どっちが自分に向いているか、どう判断すればいいですか?
「設備導入事業」は業務の効率化・高度化につながる機械装置や特殊車両、ソフトウェアなどの導入が対象です。ただし、一般車両やパソコン・表計算ソフトなど「汎用性の高いもの」は対象外です。一方「デジタル推進事業」はAIやITツールを使ったDX推進が目的で、DX向けのソフトウェア・機器の導入費、DXアドバイザーへの委託費、DX推進のための研修費(社員育成費)が対象です。
そうなんです。ただし、単価3万円以上のものが対象で少額の備品は対象外ですし、消費税は補助対象外になります。また、国・県・市から同様の目的で現に補助金を受けている事業は対象外なので注意が必要です。
この補助金を申請するには「令和7年9月10日以降に時給80円以上の賃上げを実施していること」が必須条件です。賃金台帳で賃上げ前月と改定月の2か月分が確認できる状態にしておく必要があります。まだ賃上げをしていない場合は、まず賃上げから始めることになります。
補助額の概要がわかりました。申請期限と方法を教えてください!
申請フロー図
申請期間は令和8年4月1日(水曜日)から令和8年11月30日(月曜日)までです! ただし予算上限に達した時点で期間内でも受付終了になりますから、早めに動くことをおすすめします。
予算上限で終わるんですね。早めが安心ですね。申請の流れはどうなりますか?
1商工貿易振興課に事前相談する(申請前の問い合わせが必須)
2申請書類一式を準備する(賃金台帳など令和8年度版の新規必要書類も忘れずに)
3書類を郵送または窓口持参で提出する(秋田市役所本庁舎3階)
5交付決定後に事業を開始する(事前着手の場合は別途届出が必要)
申請前にまず電話で相談するのがとても大切です。補助対象かどうかの確認や書類の準備方法を担当者に直接聞けますよ。
「事前着手」ってどういう意味ですか? 交付決定前に設備を買ってもいいんですか?
本来は交付決定後に事業を開始するのがルールです。ただ「補助金交付決定前着手届」(様式第3号)を先に提出すれば、届出後から事業を開始できます。でも補助金が交付されないリスクもゼロではないので、できれば交付決定を待ってから動くのが安全です。
交付決定前に設備を購入・工事を着工する場合は、必ず「補助金交付決定前着手届」(様式第3号)を先に提出してください。届出なしに先行した場合、補助金が交付されない場合があります。
変わっています! 特に追加された書類が2種類あります。「労働者名簿」と「賃金台帳の写し(賃金改定前月および賃金改定月分)」です。これは賃上げの実施を証明するために新たに必要になった書類です。
| 書類名 | 法人 | 個人事業主 |
|---|
| 補助金交付申請書(様式第1号) | 必要 | 必要 |
| 収支予算書(様式第2号) | 必要 | 必要 |
| 事業計画書 | 必要 | 必要 |
| 見積書・事業計画関連資料 | 必要 | 必要 |
| 労働者名簿 | 必要 | 必要 |
| 賃金台帳の写し(改定前月・改定月分) | 必要 | 必要 |
| 直近の決算書・確定申告書 | 決算書(直近1期分) | 確定申告書(直近1期分) |
| 登記事項証明書/住民票(3か月以内) | 履歴事項全部証明書 | 住民票 |
| 市税未納なし証明書(申請月発行) | 必要 | 必要 |
旧制度は直近3期分の決算書が必要でしたが、直近1期分に変わっているんですね!
そこは申請しやすくなりました。一方で、賃上げを証明する「労働者名簿」と「賃金台帳」が追加されています。賃金台帳は賃金を改定した月とその前月の2か月分が必要なので、事前に準備しておきましょう。
市税未納なし証明書は「申請月に発行されたもの」が必要です。事前に取得しておくと有効期限が切れてしまうので、申請直前に取得するのがベストです。賃金台帳も賃上げの実施が明確にわかるよう、改定前月と改定月の2か月分を準備しておきましょう。
設備導入事業とデジタル推進事業、もう少し具体的な事例を教えてもらえますか?
| 事業区分 | 対象経費の内容 | 対象外の例 |
|---|
| 設備導入事業 | 単価3万円以上の機械装置・運搬具・特殊車両等・ソフトウェア・工具機器・備品、設備導入に伴う工事費 | 一般車両・パソコン・表計算ソフト等の汎用性の高いもの |
| デジタル推進事業 | DX推進用ソフトウェア・機械装置・工具機器・備品(単価3万円以上)、DXアドバイザーへの委託費、DX推進のための研修費(受講料・講師謝金等) | 一般的なビジネス研修費 |
「一般車両やパソコン」が設備導入事業の対象外なのは注意が必要ですね。
そこは担当者に確認するのが一番確実です! 業務特化型のソフトウェアや特殊な機械装置は対象になる場合がありますが、グレーゾーンは申請前に必ず相談してください。一方のデジタル推進事業は、AIを活用した顧客管理システムの導入費、DXアドバイザーへの委託費、IT操作の社員研修費などが対象になります。
デジタル推進事業の「社員育成費」ってどんなものが対象になりますか?
DX推進のための研修費用で、外部セミナーの受講料や外部研修講師への謝金が対象です。ただし、一般的なビジネスマナー研修や資格取得費用など、DX推進に直接関係のないものは対象外です。
「秋田市中小企業賃上げ基盤強化支援事業」の補助を装った詐欺にご注意ください。公式の補助金手続きでは、ATMの操作を求めることは絶対にありません。電話で口座番号や個人情報を求めることもありません。不審な連絡があった場合は、秋田市産業振興部 商工貿易振興課(電話:018-888-5726)に直接確認してください。
令和7年度の旧制度を知っている方向けに、変更点をまとめてもらえますか?
大きく5点変わっています。比較表で確認しましょう!
| 比較項目 | 旧制度(令和7年度) | 新制度(令和8年度) |
|---|
| 制度名 | 業態転換等支援事業 | 中小企業賃上げ基盤強化支援事業 |
| 事業類型 | 新分野進出・業態転換・生産性向上 | 設備導入事業・デジタル推進事業 |
| 補助率 | 対象経費の1/3以内 | 対象経費の1/2以内 |
| 上限額 | 50万円(全類型共通) | 設備導入100万円・DX推進50万円 |
| 賃上げ要件 | なし | 時給80円以上の引上げが必須 |
| 雇用要件 | なし(一人でも対象) | 常時雇用労働者1名以上が必要 |
| 決算書 | 直近3期分 | 直近1期分 |
補助率も上限額も上がっているけど、賃上げ要件と雇用要件が新たに追加されているんですね!
そうです。旧制度より使いやすい面(補助額の大幅増加)と、要件が追加された面(賃上げ・雇用)の両方があります。特に一人で事業をしている個人事業主の方は、令和7年度は対象でしたが令和8年度は雇用要件で対象外になるケースがあります。早めに要件を確認してください。
申請を検討している事業者さんが気になりそうな疑問を聞いてもいいですか!
令和7年9月10日以前に賃上げした場合は対象外ですか?
はい、要綱には「令和7年9月10日以降」に時給80円以上引き上げていることが条件と明記されています。それ以前の賃上げは対象外です。これは最低賃金改定タイミングに合わせた設定です。
設備の購入を複数回に分けて行う場合、合算して申請できますか?
一つの事業計画の中で複数の設備を購入することは可能です。ただし「一事業者につき1回が上限」と要綱に明記されているため、令和8年度中に複数回申請することはできません。計画をまとめて1回の申請で使い切るイメージで考えてください。
事業終了後1年間、事業者の都合による人員削減を行わないことが条件の一つです。また事業完了の翌年度に、労働者名簿・賃金台帳・事業状況の報告書類を市に提出する義務があります。これを怠ると補助金の返還を求められる可能性があります。
同じ経費に対して国・県・市等から同様の目的の補助金を「現に受けている」場合は対象外です。別の経費に対する別の補助金との組み合わせは可能な場合もありますので、申請前に商工貿易振興課に確認するのがベストです。
最後に、この補助金の基本情報を整理してもらえますか?
もちろんです! 申請を検討している方はここを確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 制度名 | 秋田市中小企業賃上げ基盤強化支援事業費補助金 |
| 対象者 | 秋田市内で1年以上事業実績があり常時雇用労働者1名以上の中小企業者・個人事業者 |
| 賃上げ要件 | 令和7年9月10日以降に時給80円以上の引上げ実施が必須 |
| 設備導入事業 | 対象経費の1/2以内、上限100万円 |
| デジタル推進事業 | 対象経費の1/2以内、上限50万円 |
| 申請期間 | 令和8年4月1日(水)〜令和8年11月30日(月) |
| 事業完了期限 | 令和9年1月31日 |
| 申請方法 | 郵送または窓口持参(要事前相談) |
| 問い合わせ | 秋田市産業振興部 商工貿易振興課 電話:018-888-5726 |
| 所在地 | 〒010-8560 秋田市山王一丁目1番1号 本庁舎3階 |
| 公式URL | 秋田市公式サイト |
ありがとうございます! 賃上げを実施した事業者さんが設備投資やDX推進の費用を補助してもらえる、実用的な制度ですね。
そうですね! 最低賃金の引上げで人件費が増加した事業者さんが、生産性を高めて経営体制を強化するための投資を後押しする制度です。最大100万円の補助が受けられるので、ぜひ積極的に活用してほしいですね。
賃上げ基盤強化支援事業以外にも、秋田市の事業者向け補助金ってありますか?
組み合わせて使えれば、事業投資の自己負担をかなり抑えられそうですね!
同じ経費への重複申請はできませんが、異なる経費に対して使い分けることは可能な場合もあります。商工会議所や中小企業診断士に相談しながら、最適な組み合わせを検討してみてください!